最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた

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第Ⅳ章 天国へ至る迷宮

何があってもやることは変わらない

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「それでいいの? フウマは」

 オゥバァは、透き通るようなまっすぐな目を俺に向けてきた。

「いいも悪いも、それを決めるのはリノだ。俺じゃない」

 ブレない俺の返答に、オゥバァはちょっと目を丸くした。

「てっきりフウマは慌てるか、うろたえるか、まあ要するに平常心を失うって思ってたんだけど……」

「俺はやること決まってるからな」

「え? 『天国』みたいな場所を作るってこと?」

 考え込むように黙り込んでいたセーレアが、話に加わってきた。

「いや。それは、俺も『天国』みたいな場所を作る一人として努力はするけど、それは『みんな』でやることだろ」

 ここで言う『みんな』が誰を指すか、セーレアもオゥバァもすぐに察したらしい。もちろんシノビノサト村の者たちだけじゃない。この場にいるドワーフや魔族、ハイエルフやリザードマン、その他のまだ見ぬ様々な者たちも含めてだ。

「だから、俺はついていくよ。リノに」

「え?」

「要はそういうことだろ? 二人がヘンな顔してる理由は。不安定な様子のリノを一人にしたくないっていう」

「ヘンな顔ってあんたねぇ……」

 セーレアの顔がさらにヘンになった。
 もとがいいのに、もったいないな。

「リノについていくことができるのは、俺しかいない、というか、俺の役目だ。『天国』のほうは、他にできる者が大勢いる。彼らに任せるさ。もちろん、俺も力を貸せるところは貸すし、シノビノサト村のことは責任を持つ」

「…………」

 なぜかセーレアは、凄く驚いた顔をして、オゥバァと顔を見合わせた。
 オゥバァも目をぱちぱちさせている。

「どうした?」

「いや。……あんた、変わってないように見えて……変わったわねぇ」

 セーレアが褒めてるのか、毒づいているのかわからない口調で言う。

「ああ。あと、イヌガミも連れていくよ。置いていっても『天国』づくりの役には立たないだろうし、むしろ不安が残るからな、置いていくと」

「じゃあ、アンタは、リノちゃんとイヌガミと旅に出るて言うのね?」

「リノが一人でどっか行ったら、こっそりついていって、適当なところで合流するさ」

「はぁ…………」

 セーレアが長い溜息を吐いた。

「心配した私の時間と、その間に取られただろう猪肉を返しなさいよ」

 セーレアらしい言い分に、俺は「ははは」と短く笑って返事した。

「またイノシシを獲ってくるよ」
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