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1ー10、検問

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 翌朝、流石に地面に服を敷いて寝ていたので全身が痛い。夜間魔獣に襲われなかっただけマシだろうか。

 「さて出発しますかね。」
 重い腰を上げ再び歩いて目的地へむかう。
 
 「キーマン、俺は勝手にドワーフの国とか言ってるけど、正式な国家名はあるのか?」
 「確か、マニュファクチャー国だったかと。」
 まんま製作・製造もろもろ、ドワーフのいる国にピッタリの国名だ。

 2日目になると冒険者に大分すれ違う。
 ただ、こんなにも近くに魔獣がいそうなのに冒険者は草むらとかへは一切と言って良いほど興味を示さずただひたすら走っている。おまけに、武器という武器もなさそうだ。この先のマニュファクチャーで仕入れでもするのだろうか?

 キーマンがまたひどく睨んだ顔で木陰から冒険者を見ている。

 「キーマンどうした?何かあったかー?」俺は小声で尋ねてみた。
 「ウスミさんはあの冒険者なんか違和感ありませんか。」
 「まあ確かに軽装備だし魔獣には興味なさそうだし、不思議っていえば不思議だな。」
 「では、やりますかね。」
 「何をです?」
 「キーマンはそこで隠れてみていてくれ。まずい時は合図するかか。」

 俺が今からやることはだ。前世では大抵の人が嫌うアレだ。

 ピピー「そこのお兄さん、お姉さんこちらへー。」
 「あん?誰だオメー。」
 「今、急いでんだけど、早く行こう兄様。」
 「ダメダメ、こちらの質問及び軽い手荷物検査をしてから行ってね。」
 「だからなんでオメエにそんなことされなきゃいけねえんだよ。」
 「そもそも、なんだその変な服装は。」
 「こちらもコレが仕事でね協力していただけないと…」
 「なら…」

 いきなり若い男性の方が襲いかかってきた。幸いなことに素手できた。
 よっ、をし、男性の膝の上に乗り足首をクロスにして身動きをしづらくしそのまま維持。
 「ただ私の質問に答えれば良いだけなんだ。もう、ここまできたら話してくれないか。てか、話すまで離さないがね。」
 「兄様っ!」
 「妹さんかい?大丈夫何も今のところする予定はないから。」
 「わかったよ。なんだよ、なにを話せばいいんだよ。」
 「うむ、それでよろしい。でもこの体制のままでの質問になるよ。」
 「ああ、早くしてくれ。」

 「ここら辺の冒険者は皆んな君も含め軽装備だが魔獣とかの狩り目的ではなさそうだが、目的はなんだ?」
 「俺は、家が貧しいから鉱山で鉱石を沢山採ってきたらいい金が入るって言われて鉱山に急いでんだ。」
 「それは誰に?」
 「手紙で来たからわからないけど、多分国王からだと思う。」

 前世でやたら俺らを悩ませたじゃないといいんだが…
 「もういいだろ。離せよ。」
 「ご協力ありがとう。お気をつけて。ただ、己の道を踏み間違えることのない様に。」
 「うっせー。行くぞ。」
 「はい、兄様。」

 「よかったのですかウスミさん。あいつらを逃して。」
 「良い。情報が聞けたからまずはそれでいい。」
 「キーマン、あくまで俺の推測だが、ああいう誰かに唆された冒険者が鉱山で鉱石を大量に盗み、それを君たち魔族のせいに仕立て上げているのだろう。」
 「くっ、許せない。こちらは苦しんでいるのにあちらは苦しまないなんて。」
 「コレもあくまで推測だが誘拐を実行している奴も誰かに唆されているのだろう。」
 「キーマン、この先は感情的になってはダメだ、冷静にな。」
 「っ、わかりました。」

 そうこうしているうちに2日が経ち、ついにマニュファクチャーという国の門までたどり着いた。
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