恋愛物語り。

闇猫古蝶

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聖夜の願い

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雪の降る寒い夜には、君に会いたくなってしまう。

窓の外からは、家々を彩る電飾が覗いている。

──はぁ。クリスマスイブ、なのにな。

忙しいのはわかってる。

君は歳上の社会人で、私はただの学生。

『クリスマスは無理でも、せめてクリスマスイブには一緒に過ごそう』

そう約束した時、二人は学生だった。

思わず二つ目のため息が零れた時、携帯がブブッと揺れた。

勢いよく机から携帯をとり、画面をみる。

映し出されるのは君の名前と数件のメッセージ。

『今、家?』

『外、綺麗だから見てみたほうがいいぞ』

…期待したのが馬鹿みたいだ。

『気が向いたらね』

少し迷って送った、そのそっけない一言に、すぐに返信がくる。

『だめ、みて』

…昔から変なところが強引なのは変わらないな。

なんだか可笑しくて乾いた笑いが漏れそうになりながら、私は再び外へと目を向けた。

柔らかい明かりが辺り一面に積もった雪に模様をつけている。

あまりに眩しくて、惨めな気持ちになった。

滲む涙を拭いて、窓を開ける。

冷気が頬を刺して、ぴりぴりする。

「おーい!」

けれど私にはそれくらいで丁度いい。

「×××!」

君の声が聞こえて

「何やってんだ!」

君の走る姿が見えて

「×××、風引くから…」

心配そうに君は──

「え?」

私のことを、見上げていた。

「外見てとは言ったけど、窓まで開けて…寒いだろ?」

君から、ふわっと、あたたかい何かが私に流れ込んでくるような気がした。

じっとしていられなくて、雑にコートを羽織って飛び出す。

「おいおい、子供か」

泣きじゃくる私をその腕に抱きながら、あやすような声で言った。

「子供だし」

「拗ねるなよ」

「拗ねてない」

他愛ないやりとりでさえ可愛げがないな、私は。

「はい、これ」

ようやく泣き止んだ私を離して、君はポケットから何かを取り出した。

「なに?」

「サンタからのクリスマスプレゼント」

「結局子供扱い…!?」

むすっとむくれる振りをしながら、内心はドキドキ。

君は、目を瞑って、と言った。

私は言われた通りにして、君の行動を待つ。

「キス待ちか?」

「自分でそうしろって…!」

「はいはい、目開けない。照れ隠しくらい、許せよ」

右手の薬指に冷たい感覚。

それが何か、目を開けなくたってわかって、嬉しくて、涙が出そうだ。

だけど。

「どうして右手?」

「左手になんてまだはやいわ、ばか」

…ひどい。

「あ、馬鹿は自分にな」

…じー

「疑うな」

だってひどいじゃない?

こういうのは左手につけて『もう少し待ってて』『守れるようになるから。そしたら結婚しよう』なんて言うものでしょ?

待つのも、その気があるのも、わかってるからしないんだろうけどさ…

「私からもプレゼント」

「ん?」

「ほら、目」

「はい」

わくわくしてるって顔。

私より大人のくせに、たまに私より君は子どもっぽい。

まぁそんなところも好きだけどね。

「ねぇ、ま──」

焦らしに焦らして、君が目を開けようとした瞬間に、唇を奪う。

「お前…」

「なぁに」

「それは、ずるいわ」

ふふん、とドヤ顔を披露してみせる私に、君はにやり笑った。

「んっ?」

気づけば再び唇には柔らかい感触。

熱が離れると君はいたずらっ子みたいにウィンクしてみせた。

「仕返し」

「もう!」

こんな奇跡のような、愛おしい、小さな幸せが

この先も続きますように…

願う頃にはもう、日付が変わっていた。
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