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何さらっとキスしようとしてるわけ?!
いや、私はあなたからずっと嫌われていると思っていたわけで!まだ!ついていけてない!
「……顔が赤いな」
「赤くもなります!ご自分の顔見た事あります!?その!お美しい顔を!」
「……エルメア、君照れると顔が真っ赤になるんだな」
「いや何まじまじ見てるんですか?!なりますよ!というか今キスしようとしました!?」
「ああ、した。……駄目か?」
そう言った殿下の顔が最高に良い。顔が良い。ねえ、いつもの仏頂面のままでいてくれないか?なんだその子犬みたいな顔。ふざけないでほしい。かわいいな、おい。
「だ……めです!!」
「……そうか、君にはこういう方が効くのか……過去の私に教えてやりたい。エルメアは、直接言葉をかけたり、スキンシップした方が効くと」
「効くってなんですか?!」
「少しは、ほんの少しは私に興味があると思ってもいいか?」
「だから、耳元で話さないでください!!」
私がわーきゃー言っているのをくすくす笑い出した。
アルベルト殿下が笑った……。
「わ、笑った」
「ん?なんだ?」
「……アルベルト殿下、笑えるんですね」
「……それは、笑えるさ」
「…………私には一度も笑ったことなどないくせに」
沈黙。
……ちょっと待て。今のはなんだか、私には笑いかけてくれたことなんてないじゃないみたいな拗ねた感じになってる。
違う違う、本当に違う。
抱きしめられていた腕が少し緩み、アルベルト殿下がきょとんとした顔でこちらを見てきた。そ、その顔もかわいいなおい。
「いや、あの」
「………エルメア」
「すみません、違います。本当に、本当に違う」
「……何が違うんだ?」
羞恥で顔が赤くなったのを隠したい一心で顔を俯かせるが、それを覗き込むように、アルベルト殿下が下から見てくる。しかも何その顔、何ちょっと嬉しそうにしてるんだ。
「……とにかく、違います。なんですかその顔。違います。勘違いです、殿下」
「はは、そうか。違うのか、わかったよ……エルメア、君、この顔が好きか?」
「ええそれはもう!好きです!好きだからやめてください!」
「はは、そうか、好きか。両親に感謝しないとな」
「……今まで一度も笑ったことないくせに!やめてください!耐性がないんです!」
私が叫ぶと、堪えきれないといった感じで笑い出す。
頼む、笑わないでくれ。心臓がもたない。
「……私はずっと間違えていたんだな、もっともっと、君に伝えればよかった。笑い合えばよかった。幼い頃に聞いたことを実践し続けて、気持ちを離れさせてたなんて、気づかなかった」
「アルベルト、殿下」
「……よし、君の前ではもっと笑うようにしよう」
「いやいいです。やめてください」
「……どうやら私は間違えていたようだからな、あえて取り繕うことはやめようと思う」
「間違い?取り繕う?」
「……無口で冷静な男が好きだ、あとお喋りな男は信用ならない、寡黙な男が一番だ」
「は?」
「君が公爵家のメイド達に語っていたことだ。……私はそれを実践してきたんだが……どうやら勘違いだったんだな、自分が恥ずかしい」
いやそれどこ情報?と思ったが、思い出した。本当にものすごーく小さい頃、確かに言った。まだ4歳とかそのくらい、メイド達に混じって恋バナしてた時に言った。もう、お嬢様ったら、おませさん!みたいな感じで見てもらえてたが、普通に考えて4歳が寡黙な男がいいとか普通じゃない。
え、それを聞いて、その通りの男になろうとしてたの?え?それって……。
「わ、たしに好かれたくて、ですか?」
「……笑っていい。君に、どうにか好きになってもらいたかった。……君の言う一番の男になりたかった。それを実践し続けて、君に国ごと捨てられそうになった男だ。……まあ、もう逃さないが」
なんだそれ、なんだそれ。そんな素振り一切なかった。いや、そもそもこの方がいつ、どこで、私を好きになった??
思い返しても、そんなこと、なかった気がする。……私が彼にちゃんと向き合ってなかったからだろうか。
こんなに強い目で見られていたのに、気づかなかったとは。……そりゃ、皆が私の為に動いてくれてても気づかなかった訳だ。私、鈍感ヒロインみたいな感じじゃない?
……自分で言ったけど、きついな。
「で、殿下、そろそろ離れていただけますか?」
「断る。……本当に嫌なら突き飛ばせ」
「……それ、本当に突き飛ばせる人いないです」
「……嫌じゃないってことだな」
「いや、それは……」
「エルメア……愛してる、君だけだ、ずっと、子供の時から、君だけだ」
見たこともない極上の微笑みでそんなこと言われたら、さすがに死ぬ。
そのまま、また強く抱きしめられたと思ったら、そのままくっついて動かなくなった。
……つまり簡単に説明すると…………私のこと実はめちゃくちゃ好きってことでオッケー?
いや、どういうこと……。
心臓がバクバクして、なんか本当に死んでしまいそうだ。
いや、私はあなたからずっと嫌われていると思っていたわけで!まだ!ついていけてない!
「……顔が赤いな」
「赤くもなります!ご自分の顔見た事あります!?その!お美しい顔を!」
「……エルメア、君照れると顔が真っ赤になるんだな」
「いや何まじまじ見てるんですか?!なりますよ!というか今キスしようとしました!?」
「ああ、した。……駄目か?」
そう言った殿下の顔が最高に良い。顔が良い。ねえ、いつもの仏頂面のままでいてくれないか?なんだその子犬みたいな顔。ふざけないでほしい。かわいいな、おい。
「だ……めです!!」
「……そうか、君にはこういう方が効くのか……過去の私に教えてやりたい。エルメアは、直接言葉をかけたり、スキンシップした方が効くと」
「効くってなんですか?!」
「少しは、ほんの少しは私に興味があると思ってもいいか?」
「だから、耳元で話さないでください!!」
私がわーきゃー言っているのをくすくす笑い出した。
アルベルト殿下が笑った……。
「わ、笑った」
「ん?なんだ?」
「……アルベルト殿下、笑えるんですね」
「……それは、笑えるさ」
「…………私には一度も笑ったことなどないくせに」
沈黙。
……ちょっと待て。今のはなんだか、私には笑いかけてくれたことなんてないじゃないみたいな拗ねた感じになってる。
違う違う、本当に違う。
抱きしめられていた腕が少し緩み、アルベルト殿下がきょとんとした顔でこちらを見てきた。そ、その顔もかわいいなおい。
「いや、あの」
「………エルメア」
「すみません、違います。本当に、本当に違う」
「……何が違うんだ?」
羞恥で顔が赤くなったのを隠したい一心で顔を俯かせるが、それを覗き込むように、アルベルト殿下が下から見てくる。しかも何その顔、何ちょっと嬉しそうにしてるんだ。
「……とにかく、違います。なんですかその顔。違います。勘違いです、殿下」
「はは、そうか。違うのか、わかったよ……エルメア、君、この顔が好きか?」
「ええそれはもう!好きです!好きだからやめてください!」
「はは、そうか、好きか。両親に感謝しないとな」
「……今まで一度も笑ったことないくせに!やめてください!耐性がないんです!」
私が叫ぶと、堪えきれないといった感じで笑い出す。
頼む、笑わないでくれ。心臓がもたない。
「……私はずっと間違えていたんだな、もっともっと、君に伝えればよかった。笑い合えばよかった。幼い頃に聞いたことを実践し続けて、気持ちを離れさせてたなんて、気づかなかった」
「アルベルト、殿下」
「……よし、君の前ではもっと笑うようにしよう」
「いやいいです。やめてください」
「……どうやら私は間違えていたようだからな、あえて取り繕うことはやめようと思う」
「間違い?取り繕う?」
「……無口で冷静な男が好きだ、あとお喋りな男は信用ならない、寡黙な男が一番だ」
「は?」
「君が公爵家のメイド達に語っていたことだ。……私はそれを実践してきたんだが……どうやら勘違いだったんだな、自分が恥ずかしい」
いやそれどこ情報?と思ったが、思い出した。本当にものすごーく小さい頃、確かに言った。まだ4歳とかそのくらい、メイド達に混じって恋バナしてた時に言った。もう、お嬢様ったら、おませさん!みたいな感じで見てもらえてたが、普通に考えて4歳が寡黙な男がいいとか普通じゃない。
え、それを聞いて、その通りの男になろうとしてたの?え?それって……。
「わ、たしに好かれたくて、ですか?」
「……笑っていい。君に、どうにか好きになってもらいたかった。……君の言う一番の男になりたかった。それを実践し続けて、君に国ごと捨てられそうになった男だ。……まあ、もう逃さないが」
なんだそれ、なんだそれ。そんな素振り一切なかった。いや、そもそもこの方がいつ、どこで、私を好きになった??
思い返しても、そんなこと、なかった気がする。……私が彼にちゃんと向き合ってなかったからだろうか。
こんなに強い目で見られていたのに、気づかなかったとは。……そりゃ、皆が私の為に動いてくれてても気づかなかった訳だ。私、鈍感ヒロインみたいな感じじゃない?
……自分で言ったけど、きついな。
「で、殿下、そろそろ離れていただけますか?」
「断る。……本当に嫌なら突き飛ばせ」
「……それ、本当に突き飛ばせる人いないです」
「……嫌じゃないってことだな」
「いや、それは……」
「エルメア……愛してる、君だけだ、ずっと、子供の時から、君だけだ」
見たこともない極上の微笑みでそんなこと言われたら、さすがに死ぬ。
そのまま、また強く抱きしめられたと思ったら、そのままくっついて動かなくなった。
……つまり簡単に説明すると…………私のこと実はめちゃくちゃ好きってことでオッケー?
いや、どういうこと……。
心臓がバクバクして、なんか本当に死んでしまいそうだ。
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