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番外編 キスとぬくもり 安藤課長編
5 対面 KAIサイド 安藤課長編
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KAI視点
明日はキー局の単発ドラマの製作発表会。
マスコミ向けの宣伝というわけだ。
・・めっちゃ気が重い。
きっとマスコミは俺が何を言うか、どんな表情をするか、そこには事実なんていらない。ただ、自分達が書きたい事を書くための材料集めでしかない。
・・はあぁぁ。
「あの女性とはどこで?」
「お付き合いされてるんですか?」
絶対言われる。
どんなキャラ設定で臨めばいいんだよ。
質問を全部ノーコメントで通すにしてもきっと共演者や司会者に迷惑が及ぶ。
「KAI」っていう商品としての俺は何を望まれてるんだろう。。
そんな思いでせっかくの休日に社長から呼び出されてドアを開けた俺の目に入ってきたものに、
ドクン
心臓が爆音をたてた。
見慣れた無機質な空間には、社長に何故か手を握られたグレーのスーツのあの女。あの夜とは打って変わってビジネスウーマンな爽やかな出で立ち。それでも・・あの夜を彷彿させる色香がはらんでる。
ドクン、ドクン、ドクン。
耳鳴りしそうな自分の鼓動。
また今度って言っただろ?。
俺をあんな風に抱きしめたのに
だいたいかわいこちゃんってなんだよこら。元童貞をなめんなよ。
あれからいらいらと同じ事を何度も思っていた。
もしもう一度出会えることができたら、その時は・・。
そう思っていたのに。。
俺の頭の中に出会ったあの一夜の記憶がジェットコースターのように巡る。触れたいと思えた女を前に興奮と緊張に身体の芯が震えたあの時。部屋に入り向き合えば、匂い立つような色香を纏った女が優しげに微笑んでいた。
「あんた、名前は?」
興奮し切った俺の声はかすれていた。
「それより・・。」
クスッと笑った女が俺の腰に手を回し、その柔らかくてあたたかい身体で俺を抱きしめた。
すると鼻孔をくすぐる甘い香りに、俺の身体は更なる温度を上げる。
くそっ。
痛いぐらいに俺の身体が反応する。
初心者すぎる自分の経験値とは反対に余裕をかました女は、俺の喉仏や鎖骨辺りに軽いキスをしながら俺の腰に回した手で俺の背中を撫で上げていく。
「はぁっ、、。」
たったこれだけの触れ合いがどうしてこんなに官能的なんだ。
拗らせた俺が読み漁ったどんな小説よりも目の前の女はどうしょうもなくエロい。
黒いドレスの背に手を回すと、女の曲線を包んだドレスの生地はするすると俺の手を滑らせていく。そして、滑らかな肌に手が触れ、首筋までそっと撫で摩るとピクンと華奢な身体が震えた。
俺の手で感じたのか?
女の変化一つに浮き立つ。
俺の首元から顔を上げた女の瞳は明らかな情欲と・・どこか寂しげな影。
その瞳に引き寄せられ唇を重ねようとすると、ふいっと顔が避けられほおにキスが落とされる。
「?」
肩透かしのようなその態度に疑問が浮かぶ。
え?なに、キスしないの?
初心者な俺には分からないルールが?
ちょっと不服な目で女を見ると、
「キスって、なんか照れるじゃない?」
ふふっと可愛らしく笑う女。
「っ・・。」
女をぎゅっと抱きしめ、綺麗にセットされた髪に口づけた。
なんだよ。
甘い痛みで胸が苦しい。
なんて甘い記憶が蘇り立ちすくんだ俺は、社長に引っ張られ女の横に。
すると感じる女の熱量。
俺の頭の中に、更なる甘い記憶が蘇る。
そんな時、
「あの、帰り・・」
女が立ち上がる素振りを見せた。
!!
また、消えちまうのか!?
「会いたかった。」
焦った俺は縋るように目の前の華奢な女の手首にそっと触れた。
心から溢れた言葉は俺の理性とか建前とかを吹っ飛ばした・・が、言いながら猛烈な恥ずかしさが俺の全身を襲った。
なんだよ、会いたかったって。
すげぇ待ってたみたいじゃねえか。
この女はあっさり俺を置いてったのに。
言ってしまった手前、取り消すことのできない本心をどう取られたか不安で目を向けることができない。
すると、
「もう恋人期間始まってる?」
え!?
マジで?
見上げた俺の視界には戸惑う女と、ニヤリと笑う社長と爽やかな笑顔の鬼マネ。
・・次はストリップしろとか言わねえよな?
明日はキー局の単発ドラマの製作発表会。
マスコミ向けの宣伝というわけだ。
・・めっちゃ気が重い。
きっとマスコミは俺が何を言うか、どんな表情をするか、そこには事実なんていらない。ただ、自分達が書きたい事を書くための材料集めでしかない。
・・はあぁぁ。
「あの女性とはどこで?」
「お付き合いされてるんですか?」
絶対言われる。
どんなキャラ設定で臨めばいいんだよ。
質問を全部ノーコメントで通すにしてもきっと共演者や司会者に迷惑が及ぶ。
「KAI」っていう商品としての俺は何を望まれてるんだろう。。
そんな思いでせっかくの休日に社長から呼び出されてドアを開けた俺の目に入ってきたものに、
ドクン
心臓が爆音をたてた。
見慣れた無機質な空間には、社長に何故か手を握られたグレーのスーツのあの女。あの夜とは打って変わってビジネスウーマンな爽やかな出で立ち。それでも・・あの夜を彷彿させる色香がはらんでる。
ドクン、ドクン、ドクン。
耳鳴りしそうな自分の鼓動。
また今度って言っただろ?。
俺をあんな風に抱きしめたのに
だいたいかわいこちゃんってなんだよこら。元童貞をなめんなよ。
あれからいらいらと同じ事を何度も思っていた。
もしもう一度出会えることができたら、その時は・・。
そう思っていたのに。。
俺の頭の中に出会ったあの一夜の記憶がジェットコースターのように巡る。触れたいと思えた女を前に興奮と緊張に身体の芯が震えたあの時。部屋に入り向き合えば、匂い立つような色香を纏った女が優しげに微笑んでいた。
「あんた、名前は?」
興奮し切った俺の声はかすれていた。
「それより・・。」
クスッと笑った女が俺の腰に手を回し、その柔らかくてあたたかい身体で俺を抱きしめた。
すると鼻孔をくすぐる甘い香りに、俺の身体は更なる温度を上げる。
くそっ。
痛いぐらいに俺の身体が反応する。
初心者すぎる自分の経験値とは反対に余裕をかました女は、俺の喉仏や鎖骨辺りに軽いキスをしながら俺の腰に回した手で俺の背中を撫で上げていく。
「はぁっ、、。」
たったこれだけの触れ合いがどうしてこんなに官能的なんだ。
拗らせた俺が読み漁ったどんな小説よりも目の前の女はどうしょうもなくエロい。
黒いドレスの背に手を回すと、女の曲線を包んだドレスの生地はするすると俺の手を滑らせていく。そして、滑らかな肌に手が触れ、首筋までそっと撫で摩るとピクンと華奢な身体が震えた。
俺の手で感じたのか?
女の変化一つに浮き立つ。
俺の首元から顔を上げた女の瞳は明らかな情欲と・・どこか寂しげな影。
その瞳に引き寄せられ唇を重ねようとすると、ふいっと顔が避けられほおにキスが落とされる。
「?」
肩透かしのようなその態度に疑問が浮かぶ。
え?なに、キスしないの?
初心者な俺には分からないルールが?
ちょっと不服な目で女を見ると、
「キスって、なんか照れるじゃない?」
ふふっと可愛らしく笑う女。
「っ・・。」
女をぎゅっと抱きしめ、綺麗にセットされた髪に口づけた。
なんだよ。
甘い痛みで胸が苦しい。
なんて甘い記憶が蘇り立ちすくんだ俺は、社長に引っ張られ女の横に。
すると感じる女の熱量。
俺の頭の中に、更なる甘い記憶が蘇る。
そんな時、
「あの、帰り・・」
女が立ち上がる素振りを見せた。
!!
また、消えちまうのか!?
「会いたかった。」
焦った俺は縋るように目の前の華奢な女の手首にそっと触れた。
心から溢れた言葉は俺の理性とか建前とかを吹っ飛ばした・・が、言いながら猛烈な恥ずかしさが俺の全身を襲った。
なんだよ、会いたかったって。
すげぇ待ってたみたいじゃねえか。
この女はあっさり俺を置いてったのに。
言ってしまった手前、取り消すことのできない本心をどう取られたか不安で目を向けることができない。
すると、
「もう恋人期間始まってる?」
え!?
マジで?
見上げた俺の視界には戸惑う女と、ニヤリと笑う社長と爽やかな笑顔の鬼マネ。
・・次はストリップしろとか言わねえよな?
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