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第4話:公園のベンチで、君の缶コーヒーを分けた
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グループ課題が終わり、友人が一人去った後。
僕と沙季だけが公園に取り残された。
気まずい沈黙の中、僕は何か言おうと口を開いた。
「……あのさ、ちょっと休憩してかない?」
沙季は少しだけ驚いた顔で頷いた。
自動販売機に向かった。
沙季が以前「甘いコーヒーが好き」と言っていたことを思い出した。
だから、一番甘そうなカフェオレを一本買う。
ガコン。
重たい音が響いた。
公園のベンチに並んで座る。
沙季がプルタブを開けるのを見守った。
ぷしゅ、という音。
甘い香りが広がる。
「あ、甘っ」
沙季が一口飲んで、驚いたように目を見開いた。
「え、もしかして苦手だった?」
しまった。聞き間違えてたのか…?
「ううん、違う。好きだよ、こういうの。でもいつも私が飲んでるやつより、もっと甘いから、びっくりしちゃった」
そう言って、彼女はいたずらっぽく笑った。
その笑顔に全身の力が抜ける。
「陽人くん、いつもブラックだよね? 無理してない?」
「……バレてた?」
「うん。変な顔して飲んでたから」
くすくすと笑う沙季につられて、僕も苦笑いを浮かべた。
「沙季が甘いの好きって言ってたの、思い出して」
言ってから、はっとする。
これじゃあ、まるでずっと君のことを考えてました、と告白しているようなものじゃないか。
顔にじわじわと熱が集まってくる。
沙季は、一瞬きょとんとした顔で僕を見つめ、それから、ゆっくりと視線を落とした。
缶を両手で包み込むように持ち、その温もりを確かめているように見える。
沈黙。
長い沈黙。
夕陽が彼女の頰をオレンジ色に染めていた。
「……そっか」
やがて聞こえてきたのは、消え入りそうな、でも、どこか嬉しそうな声だった。
「……じゃあ、半分こ、だね。この甘さ」
そう言って顔を上げた彼女の瞳は、夕陽のせいだけじゃない熱を帯びて、潤んでいるように見えた。
彼女は缶を僕に差し出した。
間接キス。
その言葉が脳裏をよぎるより早く、彼女の飲んだ場所に自分の唇を当てた。
温かい。
彼女のぬくもりが、この缶を通じて伝わってくる。
一口飲んだ後、缶を返す。
彼女が受け取った時、指先が触れ合った。
その瞬間、彼女の顔がさらに赤くなった。
「陽人くん」
「え?」
「ずっと、私も君のことを……」
彼女の言葉は最後まで聞こえず。
ただ、彼女の手が僕の手を握り返してくれた。
温かかった。
温かくて、確かだった。
僕と沙季だけが公園に取り残された。
気まずい沈黙の中、僕は何か言おうと口を開いた。
「……あのさ、ちょっと休憩してかない?」
沙季は少しだけ驚いた顔で頷いた。
自動販売機に向かった。
沙季が以前「甘いコーヒーが好き」と言っていたことを思い出した。
だから、一番甘そうなカフェオレを一本買う。
ガコン。
重たい音が響いた。
公園のベンチに並んで座る。
沙季がプルタブを開けるのを見守った。
ぷしゅ、という音。
甘い香りが広がる。
「あ、甘っ」
沙季が一口飲んで、驚いたように目を見開いた。
「え、もしかして苦手だった?」
しまった。聞き間違えてたのか…?
「ううん、違う。好きだよ、こういうの。でもいつも私が飲んでるやつより、もっと甘いから、びっくりしちゃった」
そう言って、彼女はいたずらっぽく笑った。
その笑顔に全身の力が抜ける。
「陽人くん、いつもブラックだよね? 無理してない?」
「……バレてた?」
「うん。変な顔して飲んでたから」
くすくすと笑う沙季につられて、僕も苦笑いを浮かべた。
「沙季が甘いの好きって言ってたの、思い出して」
言ってから、はっとする。
これじゃあ、まるでずっと君のことを考えてました、と告白しているようなものじゃないか。
顔にじわじわと熱が集まってくる。
沙季は、一瞬きょとんとした顔で僕を見つめ、それから、ゆっくりと視線を落とした。
缶を両手で包み込むように持ち、その温もりを確かめているように見える。
沈黙。
長い沈黙。
夕陽が彼女の頰をオレンジ色に染めていた。
「……そっか」
やがて聞こえてきたのは、消え入りそうな、でも、どこか嬉しそうな声だった。
「……じゃあ、半分こ、だね。この甘さ」
そう言って顔を上げた彼女の瞳は、夕陽のせいだけじゃない熱を帯びて、潤んでいるように見えた。
彼女は缶を僕に差し出した。
間接キス。
その言葉が脳裏をよぎるより早く、彼女の飲んだ場所に自分の唇を当てた。
温かい。
彼女のぬくもりが、この缶を通じて伝わってくる。
一口飲んだ後、缶を返す。
彼女が受け取った時、指先が触れ合った。
その瞬間、彼女の顔がさらに赤くなった。
「陽人くん」
「え?」
「ずっと、私も君のことを……」
彼女の言葉は最後まで聞こえず。
ただ、彼女の手が僕の手を握り返してくれた。
温かかった。
温かくて、確かだった。
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