【告白短編集】～どこにでもある日常の中に、最高の愛が隠れている～

第48話：雨の夜に、君を再び見つけた

五年。五年ぶりの再会だった。

駅前。雨が降っていた。

僕は、傘をさしていなかった。理由は、その傘を忘れてしまったから、ではなく、五年前、彼女とも同じ雨の中で別れたから。



その日、運命は微笑んだ。

雨の中で、彼女の姿を見つけた。

五年前と同じ、駅前の軒下。彼女は、傘を持っていなかった。

互いに目が合った。

時間が、止まったようだった。



「こんにちは」

彼女が言った。

「こんにちは」

僕は返った。

それ以上の言葉は、不要だった。



五年間で、何が変わったのか。何が変わらなかったのか。

彼女の瞳を見つめると、全てが分かった。

彼女も、同じ道を歩んでいたのだ。



「また、傘、さしましょうか」

彼女が言った。

だが、二人とも傘を持っていない。

だから、二人は、ただ、雨の中を歩いた。

肩を寄せ合って。



五年の時間が、すべて帳消しになった。

二人は、また、始まるのだ。

終わらないラブストーリーの、新しい章が。