【告白短編集】～どこにでもある日常の中に、最高の愛が隠れている～

第49話：夢の中で、君に誓った

眠っていた。

深い、深い眠りの中で。

夢を見ていた。

彼女・咲良との別れの夢。

「さようなら」

彼女の声が聞こえた。その声は、静かで、確定的で、もう二度と戻らないことを意味していた。



その時、僕は目を覚ました。

心臓が、バクバクしていた。



横を見ると、咲良は、静かに眠っていた。

その寝顔を見て、僕は全身が震えた。

悪い夢。だが、その夢は、僕に何かを教えてくれた。



彼女がいない世界。

その世界の重み。その恐怖。



僕は、彼女の手を握った。

その温かさ。その生の実感。

「絶対に、放さない」

独り呟いた。

その言葉は、誓いになった。



咲良は、目を覚ました。

「どうしたんですか?」

「何もない。君がそこにいるってことが」

彼女は、笑った。その笑顔は、世界で一番美しかった。



その夜、僕は何度も何度も、彼女の体温を確認した。

彼女は、それを知ると、優しく僕を抱きしめた。

「逃げません。ずっと、ここにいます」

その言葉だけで、僕の全ての不安は消えた。



人生は、失う恐怖を知ることで、初めて、今を大切にできるのだ。

夢の中での別れが、現実での誓いになったのだ。