渋谷カフェの人生哲学、お好き? ~一杯で変わる日常の味~

月下花音

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第33話「初めての授業って、ドキドキの第一歩なんです」

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「今日から智也くんの先生~♪」

 美咲は朝からテンション高め。

 昨日、智也くんが「アロマをちゃんと学びたい」って言ってくれたから。

「でも、先生なんてできるかな~?」

 不安になりながらも、カウンターにアロマボトルをずらり。

「よし、今日は基本の『き』から~♪」

 でも案の定。
 ボトルを並べてる途中で手が滑って...

「あわわわ~」

 ボトルがコロコロ転がって、香りがぷんぷん。

「あれ?なんかいい匂い~♪」

 偶然混ざった香りが、なぜか絶妙なブレンドに。

「これも授業で使っちゃお~♪」

 美咲の天然授業、開始です。

 ☕☕☕

「美咲さん、おはようございます」

 智也が今日もやってきた。

 でも今日はいつもと違って、ノートとペンを持参。

「あ、智也くん♪」

 美咲がにっこり笑う。

「今日から生徒さんですね~」

「よろしくお願いします、美咲先生」

「え~、先生だなんて~」

 美咲が照れ照れ。

「でも頑張りますね~♪」

 カウンターに並んだアロマボトルを見て、智也が感心。

「すごい種類ですね」

「はい♪でも最初は基本から~」

 美咲が一番手前のボトルを取る。

「まずはラベンダーから~♪」

 でも手が滑って、なぜかペパーミントを取っちゃう。

「あれ?」

 智也がくすっと笑う。

「美咲さんらしいですね」

「えへへ~、でもペパーミントも大事な香りです~♪」

 美咲が慌てて説明開始。

「ペパーミントは...えーっと...」

「頭をスッキリさせてくれる香りですよね?」

 智也がフォロー。

「そうそう♪智也くん、もう覚えてるじゃないですか~」

「美咲さんに教えてもらったからです」

 二人でにこにこ。

 でも美咲は内心ドキドキ。

(ちゃんと教えられるかな~?)

 ☕☕☕

「じゃあ、実際に嗅いでみましょう~♪」

 美咲がストリップに1滴垂らす。

「はい、どうぞ~」

 智也が嗅いでみると...

「あ、確かにスッキリしますね」

「でしょう~♪」

 美咲が嬉しそう。

「次はこれ~」

 今度はちゃんとラベンダーを取る。

「ラベンダーは安心の香り~♪」

 智也が嗅ぐと、表情が和らぐ。

「本当ですね」

 間。

「心が落ち着きます」

「そうそう♪智也くんの最初の香りでしたね~」

「はい」

 智也が微笑む。

「あの時から、僕の世界が変わり始めました」

 智也の言葉に、美咲の胸がきゅん。

「私も、智也くんに出会えて嬉しかったです~♪」

 二人の視線が絡み合う。

 でも美咲は慌てて次のボトルを取る。

「つ、次はベルガモット~♪」

「あ、これも知ってます」

「明るい気持ちにしてくれる香りですね~♪」

 智也が嗅ぐと、笑顔になる。

「美咲さんみたいに明るい香りですね」

「え~、そんな~」

 美咲の頰が真っ赤。

「で、でも今度は智也くんがブレンドしてみましょう~♪」

「え、僕が?」

「はい♪好きな香りを3つ選んで~」

 智也が真剣に考える。

「えーっと...ラベンダーと、ベルガモットと...」

「あと一つは?」

「美咲さんが好きな香りを教えてください」

「え~、私の?」

 美咲がもじもじ。

「実は...バニラが好きなんです~♪」

「バニラですね」

 智也がボトルを手に取る。

「じゃあ、それで」

「でも、どのくらい入れればいいんですか?」

「えーっと...」

 美咲も実は感覚派。

「適当に~♪」

「適当って...」

 智也が困った顔。

「大丈夫です~♪」

 美咲がにっこり。

「心を込めれば、きっといいブレンドになりますよ~」

 美咲の言葉に、智也がほっこり。

「わかりました。心を込めて」

 智也が慎重に滴を落とす。

 ラベンダー2滴、ベルガモット2滴、バニラ1滴。

「できました」

 二人で一緒に嗅いでみる。

「わあ~、すごくいい香り♪」

 美咲が感動。

「本当ですね」

 智也が目を閉じる。

「なんか...温かい感じがします」

「智也くんの優しさが香りになったみたい~♪」

 美咲の言葉に、智也の頰がほんのり赤く。

「美咲さんが好きな香りを入れたからかも」

「え~、そんな~」

 二人でもじもじ。

 ☕☕☕

「あ、そうそう♪」

 美咲が思い出したように言う。

「香りには相性があるんです~」

「相性?」

「はい♪仲良しの香り同士だと、もっと素敵になるんです~」

「へ~」

 智也が興味深そう。

「例えば、ラベンダーとベルガモットは大の仲良し~♪」

 美咲が嬉しそうに説明。

「だから智也くんのブレンド、すごく調和してるんです~」

「そうなんですね」

 智也がメモを取る。

「他にも仲良しの組み合わせはありますか?」

「えーっと...」

 美咲が考え込む。

「ローズとサンダルウッドとか~」

「ふむふむ」

「あ、でも一番大事なのは~」

 美咲が智也を見つめる。

「作る人の気持ちです~♪」

「気持ち?」

「はい♪」

 美咲が真剣な顔。

「愛情を込めて作ると、香りも愛情いっぱいになるんです~」

 智也の心がドキドキ。

「美咲さんの香りが特別なのは、そのせいですね」

「え~、そんな~」

 美咲が照れ照れ。

「智也くんの香りも、とっても温かいですよ~♪」

 二人の距離がちょっと近づく。

「美咲さん...」

「智也くん...」

 その時。
 カフェのドアがガラガラ。

「あ、お客様~」

 美咲が慌てて立ち上がる。

 でも智也は嬉しそう。

(美咲さんと一緒だと、勉強も楽しいな)

 ☕☕☕

 お客様が帰った後。
 智也が言う。

「今日はありがとうございました」

「え~、全然ちゃんと教えられなくて~」

 美咲がしょんぼり。

「そんなことないです」

 智也が優しく微笑む。

「美咲さんの授業、すごく楽しかったです」

「本当ですか?」

「はい」

 智也が真剣な顔。

「香りの知識だけじゃなくて、大切なことを教えてもらいました」

「大切なこと?」

「愛情を込めることの大切さです」

 智也の言葉に、美咲の目がうるうる。

「智也くん...」

「明日も、よろしくお願いします」

 智也が深々と頭を下げる。

「こちらこそ~♪」

 美咲がにっこり。

「明日は何を教えようかな~」

「楽しみにしてます」

 ☕☕☕

 智也が帰った後。
 美咲は一人でにやにや。

「智也くん、すごく真剣に聞いてくれた~♪」

 カウンターに残った智也のブレンドを嗅いでみる。

「やっぱり温かい香り~♪」

 美咲の心も、温かくなっていく。

 初めての授業は大成功。

 でも一番の収穫は、二人の距離がまた縮まったこと。

 先生と生徒の関係から、もっと特別な関係へ。

 そんな予感がする、甘い香りの午後だった。

(第33話完 次話へ続く)

 次回予告:
 心の声を聞く、香りの魔法ってすごいです

 #渋谷クロスカフェ #特別編 #アロマレッスン #先生と生徒 #バニラブレンド #距離が縮まる
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