渋谷カフェの人生哲学、お好き? ~一杯で変わる日常の味~

月下花音

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第34話「心の声を聞く、香りの魔法ってすごいです」

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「今日は智也くんに教わる番~♪」

 美咲は朝からワクワク。

 昨日、智也くんが「今度は僕が美咲さんに何か教えたいです」って言ってくれたから。

「でも、私なんかに教えられることあるのかな~?」

 不安になりながらも、いつものようにコーヒーを準備。

「あ、また違う香り入れちゃった~」

 今度はジャスミンのつもりがイランイラン。

「まあ、いっか♪今日は甘~い一日になりそう~」

 美咲の天然ぶりは今日も健在。

 ☕☕☕

「美咲さん、おはようございます」

 智也が今日もやってきた。

 でも今日はいつもと違って、小さなノートパソコンを持参。

「あ、智也くん♪」

 美咲が首をかしげる。

「今日はなんだかお仕事モードですね~」

「はい」

 智也がちょっと緊張しながら言う。

「今日は僕が美咲さんに教える番です」

「え~、楽しみ♪何を教えてくれるんですか~?」

「心理学とアロマの関係について、調べてきたんです」

 智也がノートパソコンを開く。

「わあ~、すごい♪」

 美咲が目をキラキラ。

「でも、美咲さんの方が実践的な知識は豊富だから...」

「そんなことないですよ~♪」

 美咲がにっこり。

「智也くんの論理的な説明、聞きたいです~」

 美咲の言葉に、智也がほっと安心。

「ありがとうございます。じゃあ、始めますね」

 智也が画面を美咲に見せる。

「香りは、脳の感情を司る部分に直接働きかけるんです」

「へ~♪」

「だから、理屈じゃなくて、感情で反応するんですね」

「なるほど~♪」

 美咲が真剣に聞いてる。

「美咲さんがいつも『心の声を聞く』って言ってるのは」

 智也が真剣な顔。

「科学的にも正しいんです」

「え~、そうなんですか~?」

「はい」

 智也がうなずく。

「香りによって、その人の本当の気持ちが表れるんです」

 智也の説明に、美咲が感動。

「智也くん、すごいです~♪」

「いえ」

 智也が照れる。

「美咲さんが実践してることを、僕が理論で説明してるだけです」

 二人でにこにこしてると...

 ☕☕☕

 その時。
 カフェのドアがゆっくり開いた。

 疲れた様子の女性が入ってくる。

 スーツ姿だけど、肩が重そう。

「いらっしゃいませ~♪」

 美咲が元気よく迎える。

「コーヒーを...ブラックで」

 女性がカウンターに座ると、深いため息。

「お疲れのようですね」

 智也が心配そうに声をかける。

「ええ...」

 女性が小さく呟く。

「最近、何もかもうまくいかなくて」

「もしよろしければ...」

 美咲がそっと提案。

「香りで少しリフレッシュしませんか~?」

「香り?」

「はい♪心の声を聞くお手伝いをするんです~」

 美咲がサンプルを取り出す。

 智也も隣に座る。

「実は、香りは心理学的にも効果があるんです」

「心理学?」

 女性が少し興味を示す。

「はい」

 智也が優しく説明。

「香りによって、その人の本当の気持ちがわかるんです」

「試してみませんか?」

 美咲がラベンダーのサンプルを差し出す。

 女性が恐る恐る嗅いでみると...

「あ...」

 間。

「なんか、懐かしい感じが」

「どんな気持ちになりますか?」

 智也が質問。

「子供の頃を思い出します」

 女性の表情が少し和らぐ。

「お母さんの膝の上で...」

「素敵な思い出ですね~♪」

 美咲がにっこり。

「次はこれ~」

 今度はベルガモット。

 女性が嗅ぐと、目が少し輝く。

「これは...明るい気持ちになりますね」

「そうそう♪ベルガモットは希望の香りなんです~」

「希望...」

 女性が呟く。

「最近、希望なんて感じてなかったかも」

「大丈夫ですよ~♪」

 美咲が優しく微笑む。

「香りが教えてくれてるんです」

 間。

「あなたの心の奥に、まだ希望があるって~」

 智也も続ける。

「脳科学的にも、香りは記憶と直結してるんです」

「きっと、楽しかった記憶が蘇ってるんですね」

 女性の目に涙が浮かぶ。

「そうかもしれません...」

「最後にこれ~」

 美咲がローズのサンプルを差し出す。

 女性が嗅いだ瞬間。
 表情が変わった。

「これ...すごく好きです」

「わあ~♪」

 美咲が手を叩く。

「ローズは自分を大切にする香りなんです~」

「自分を大切に...」

「はい♪」

 美咲が真剣な顔。

「あなたはもっと、自分を愛していいんですよ~」

 美咲の言葉に、女性が涙を流す。

「ありがとうございます...」

 智也が優しく言う。

「香りが教えてくれたんです。あなたの心の声を」

「心の声...」

「『もっと自分を大切にしたい』って言ってるんです~♪」

 美咲がティッシュを差し出す。

「そうですね...」

 女性が涙を拭く。

「最近、自分のことばかり責めてました」

「でも、本当はもっと優しくしたいんですよね?」

 智也の質問に、女性がうなずく。

「はい...」

「じゃあ、特別なブレンドを作りましょう~♪」

 美咲が立ち上がる。

「『自分を愛するブレンド』です~」

 智也も手伝う。

「ローズをベースに、ラベンダーで安心感を、ベルガモットで希望を」

 二人で協力してブレンドを完成。

「はい、どうぞ~♪」

 女性が嗅いでみると、笑顔になった。

「すごく...温かい香りですね」

「あなたの心の温かさが、香りになったんです~♪」

 美咲の言葉に、女性が深々と頭を下げる。

「ありがとうございました」

 間。

「久しぶりに、自分を好きになれそうです」

 ☕☕☕

 女性が帰った後。
 智也が感心して言う。

「美咲さん、すごかったです」

「え~、そんなことないですよ~」

「いえ、本当に」

 智也が真剣な顔。

「あの方の心の声を、ちゃんと聞いてあげてました」

 智也の言葉に、美咲の頰がほんのり赤く。

「智也くんの心理学の説明があったからですよ~♪」

「僕は理論を話しただけです」

 智也が微笑む。

「美咲さんが実際に心に寄り添ってました」

「二人だからできたんですね~♪」

 美咲がにっこり。

「そうですね」

 智也が言葉を探す。

「僕たち、いいコンビかも」

 智也の言葉に、美咲の心がドキドキ。

「コンビ...」

「あ、その...」

 智也が慌てて言い直そうとすると、美咲が笑う。

「いいコンビですね~♪」

 美咲が嬉しそう。

「私も、そう思います~」

 二人で顔を見合わせて、にっこり。

「智也くんの心理学、すごく勉強になりました~♪」

「美咲さんの実践的な技術も、すごく勉強になりました」

「お互いから学び合えるって、素敵ですね~♪」

「はい」

 智也がうなずく。

「これからも、一緒に勉強しましょう」

 智也の提案に、美咲が嬉しそうにうなずく。

「はい♪一緒に、もっとたくさんの人の心の声を聞いてあげましょう~」

 ☕☕☕

 二人の絆が、また一つ深まった瞬間。

 香りの魔法は、人の心を癒すだけじゃなく、二人の心も近づけてくれる。

 そんな素敵な発見をした、温かい午後だった。

(第34話完 次話へ続く)

 次回予告:
 二人で作る、特別なレシピってこんな感じです

 #渋谷クロスカフェ #特別編 #心理学 #心の声 #自分を愛する #いいコンビ
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