渋谷カフェの人生哲学、お好き? ~一杯で変わる日常の味~

月下花音

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第36話「カップルの香りって、愛の温度差なんです」

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「今日はカップルさんがいっぱい~♪」

 美咲は土曜日の午後、店内を見回しながらにっこり。

 窓際の席では大学生カップルがラテアートを撮影中。
 カウンター席では社会人カップルが仲良くおしゃべり。

「みんな幸せそう~♪」

 でも美咲の心は、昨日の智也くんとのブレンド作りでふわふわ。

「ハーモニーブレンド~♪」

 一人でにやにやしてると、またボトルを落としそうになる。

「あわわ~、集中集中~」

 恋する乙女は今日も天然全開。

 ☕☕☕

「美咲さん、おはようございます」

 智也が今日もやってきた。

 でも今日はちょっと様子が違う。
 頰が赤くて、そわそわしてる。

「あ、智也くん♪」

 美咲も昨日のことを思い出して、頰がほんのり。

「今日もお疲れさまです~」

「昨日は...ありがとうございました」

「え~、こちらこそ~♪」

 二人でもじもじしてると...

「あの...すみません」

 恐る恐る声をかけてきたのは、大学生くらいのカップル。

 女の子の方が涙目で、男の子の方は困った顔。

「いらっしゃいませ~♪」

 美咲が元気よく迎える。

「どうされました?」

 智也が心配そうに聞く。

「実は...」

 女の子が小さな声で言う。

「最近、彼が冷たくて...」

「冷たくなんてしてないよ」

 男の子が慌てて否定。

「ただ、バイトが忙しくて...」

「でも、デートの時もスマホばっかり見てるし...」

 女の子の目に涙が。

「あ~」

 美咲がうなずく。

「よくあるお悩みですね~」

「お二人、お名前は?」

「アヤカです」

「ユウタです...」

「アヤカちゃんとユウタくん♪」

 美咲がにっこり。

「香りで仲直りしませんか~?」

「香りで?」

 二人が首をかしげる。

「はい♪お二人の気持ちを香りで表現してみるんです~」

 智也も説明を加える。

「香りには、心を落ち着かせる効果があるんです」

「本当ですか?」

 アヤカが興味深そう。

「じゃあ、まずはそれぞれ好きな香りを選んでみましょう~♪」

 美咲がサンプルを並べる。

 ☕☕☕

「アヤカちゃんから~♪」

 美咲がローズのサンプルを差し出す。

「これは...」

 アヤカが嗅いでみると、表情が和らぐ。

「すごく好きです」

「ローズは愛情の香りなんです~♪」

「愛情...」

 アヤカがユウタを見る。

「次はラベンダー~」

「これも落ち着きますね」

「ユウタくんはどうかな~?」

 今度はユウタの番。

「これ、頭がスッキリしますね」

 ペパーミントに反応。

「ベルガモットはどう?」

「明るい気分になります」

 智也が分析する。

「アヤカさんは愛情や安らぎを求めてて」

 間。

「ユウタさんは集中力や活力を求めてるんですね」

「え?」

 二人が驚く。

「今、お二人が求めてるものが違うんです~」

 美咲が優しく説明。

「アヤカちゃんは愛情や絆を求めてて、ユウタくんは成長や達成感を求めてる」

「確かに...」

 ユウタが気づく。

「最近、バイトで結果を出したくて必死になってました」

「アヤカのことを大切に思ってないわけじゃないんです」

「私も...」

 アヤカも反省。

「ユウタが頑張ってるのに、甘えすぎてたかも」

「でも大丈夫~♪」

 美咲が手を叩く。

「お二人の気持ちを理解し合えるブレンドを作りましょう~」

「本当ですか?」

 二人が同時に答える。

「アヤカちゃんの愛情を表すローズと」

 美咲が説明。

「ユウタくんの活力を表すベルガモット」

 智也が考えながら言う。

「そこに、お互いを理解し合うためのラベンダーを加えて...」

 美咲が手際よくブレンドを作る。

「『カップルハーモニーブレンド』の完成です~♪」

 二人が同時に香りを嗅ぐ。

「あ...」

 アヤカの表情が和らぐ。

「なんだか、ユウタの頑張りが理解できるような」

「僕も...」

 ユウタも驚いてる。

「アヤカがどんな気持ちでいたか分かる気がします」

「すごい~♪」

 美咲が嬉しそう。

「香りが二人の心を繋いでくれたんです~」

 智也が提案する。

「このブレンドを、デートの時に一緒に使ってみてください」

「一緒に?」

「はい」

 智也がうなずく。

「同じ香りを共有することで、お互いの気持ちが理解しやすくなります」

 美咲が付け加える。

「そして、香りを嗅ぎながら、素直に気持ちを話し合ってみてください~♪」

「やってみます」

 アヤカが嬉しそう。

「僕も、もっとアヤカの気持ちを理解したいです」

 ユウタも決意を込めて答える。

 二人が帰る時、手を繋いでいた。

「ありがとうございました」

 アヤカが振り返って手を振る。

「また報告に来ます」

 ☕☕☕

 二人を見送った後。
 智也が感心して言う。

「美咲さん、すごく的確なアドバイスでしたね」

「え~、智也くんの心理学の説明があったからですよ~♪」

「でも、美咲さんが二人の気持ちを理解してあげてました」

 智也の言葉に、美咲の頰がほんのり。

「二人で協力したからですね~♪」

「そうですね」

 智也も微笑む。

「僕たちも、いいコンビですね」

「コンビ~♪」

 美咲がくるくる回る。

「でも...」

 智也がちょっと真剣な顔。

「僕たちは、どんな関係なんでしょうね?」

「え?」

 美咲が立ち止まる。

「アヤカさんとユウタさんを見てて思ったんです」

「何を?」

「恋愛って」

 智也が言葉を探す。

「お互いを理解することから始まるんだなって」

 智也の言葉に、美咲の心がドキドキ。

「そうですね~...」

「美咲さんと僕も、お互いのことをもっと知りたいです」

「私も~♪」

 美咲が嬉しそう。

「智也くんのこと、もっと知りたいです~」

 二人の距離がちょっと近づく。

「美咲さん...」

「智也くん...」

 その時。
 またカフェのドアがガラガラ。

「あ、お客様~」

 美咲が慌てて立ち上がる。

 ☕☕☕

 でも二人の心には、確かに何かが芽生えてる。

 カップルの香りを見てると、自分たちの気持ちも見えてくる。

 愛の温度差じゃなくて、愛の調和。

 そんな関係を築いていけそうな予感がする、甘い午後だった。

 ☕☕☕

 夕方。
 閉店後。

「今日もお疲れさまでした~♪」

 美咲が店の片付けをしてると、智也がまだ残ってる。

「智也くん、まだいたんですか~?」

「あの...美咲さん」

 智也がちょっと緊張してる。

「今度、一緒に映画でも見ませんか?」

「え~、映画?」

 美咲の心臓がドキドキ。

「はい」

 智也が真剣な顔。

「お互いをもっと知るために...」

「わあ~、嬉しいです~♪」

 美咲がぴょんぴょん跳ねる。

「じゃあ、今度の日曜日はどうですか?」

「はい♪楽しみです~」

 二人でにこにこ。

 ☕☕☕

 カップルの香りを作ってたら、自分たちもカップルに近づいてる?

 そんな甘い予感がする、特別な夕暮れだった。

(第36話完 次話へ続く)

 次回予告:
 インスタ映えする、恋のブレンドってこんな感じ

 #渋谷クロスカフェ #特別編 #カップルの悩み #映画デートの誘い #お互いを知る #恋の進展
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