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TS少女と幼馴染のとある一日

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 二学期が始まって約一月、ほんの少し肌寒くなってきたこの日、宮本葵はその日の昼休みに体育館の裏に呼び出されていた。
 体育館からは早弁したバスケ部連中のボールをつく音や床と靴が擦れる音が聞こえている。
 彼女よりも背丈が少し大きい男が直角に腰を曲げて、握手を求め片腕を彼女に突き出した。

「僕と付き合ってください!」

 夏休み明け、宮本葵が後天性性転換症で女になったとバレてからこのように告白されるのは、もう両手でも数えられなくなった。
 その度に彼女は気まずそうに断っていた。そしてこの同学年だけれど別のクラス、喋ったことはある程度の男子生徒にもそうだ。

「あーその、ごめんなさい」

 残念、だけれども予想はしていたといった感じにその男子生徒は腕を下ろし顔を上げた。
 その表情を見た葵は気まずそうに目線をそらして、男にしては長く女にしてはちょっと短い髪型で少し伸ばしている前横髪、右側を手慰みに触りながら言葉を選ぶ。

「その、まだこの身体になって二ヶ月も経ってないからさ」

 夏休み中のある日に高熱を出し数日間入院し、退院する頃には今のような姿になっていた。
 もともとそれなりに顔が整っていた葵は女性になると余計目を惹く綺麗な顔になった。切れ長の目に二重、大きな瞳。もともと中性的な顔つきだったが、頭蓋骨自体が小さくなったのか輪郭もすっきりして、より女性的になった。鼻筋は細くまっすぐ伸びて、唇は薄く柔らかく健康的な桃色になった。男の頃より女性にモテる、男装が似合いそうなどと評判になった。
 身長は一気に160cmもない位に低くなった。全体的に身体が薄くなったものの、縮んだ身長はすべて胸に移ったと疑われるほど大きくなった胸。骨盤は大きく広がり、その対比で腰は締まっている。
 元運動部ということもあり筋肉はそれなりに残ったものの、その表面には女性特有の柔らかい脂肪と皮膚が覆い、腹筋のみ微かに浮き上がっているだけで、完全に女性の身体になった。
 その日から葵は姉の着せ替え人形になった。
 平均的な身長に、抜群のプロポーション、そして10代後半の可愛いとかっこいいと綺麗が混在する顔。今年から社会人になった姉は実家ぐらしで余るお金をほとんど葵の服につぎ込んでいたい。
 夏休みが開ける頃にはすでに葵は制服のスカートやブラウスのほうがマシ、という感覚にまで派手な服を着させられた。
 それでもやはり男の時代を知っている人たちや、同年代の女子たちには肌を見せるのは恥ずかしい。
 今までは半袖のブラウスに学校指定の軽いニットベストを着ていたが、今日は9月の終わり、少し肌寒く長袖のブラウスの上に黒のカーディガンを羽織っている。ニットベストやカーディガンは突き出た胸やスカートのウエスト部分も隠せて身体のラインをごまかせるので毎日着ている。着用すると胸の膨らみとスカートから覗く健康的な太さの脚、いくぶん太って見えるが背に腹は変えられない。ブラウスの上に羽織っているカーディガンは買い換えるのがめんどくさく、そしてまだ使えるのにもったいないということで、男時代のをつかっている。サイズは全く合わず手首や親指の付け根まで袖があり、一部の男子からは萌え袖萌え袖と囁かれ猛烈な人気になっている。
 今日は今シーズン一の寒さということもあり、膝まですっぽり覆い隠す黒のニーハイソックスも卸した。学校指定の灰色を基調としたチェックスカートとの間に絶対領域がお手本のような綺麗さで存在している。

「あんまり男にそういう感情が出ないんだよね。だから小林が悪いとかじゃないから」

 数回話したことはあるが、下の名前までは知らない男をどうにか傷つけずに付き合えないことを伝える。
 このセリフを喋ったのもいつの間にか両手では数えられなくなってきた。その相手は殆ど名前も思い出せないような人たちだ。なので最初告白されるときはいつも意外に思う。人気の無い所に呼び出された時点では全く予想もしていないのだ。
 女の身体になってからちょっと気軽に数回挨拶程度の会話をした人から告白されるなんておかしいと思っている。
 宮本葵は男の頃もモテていた。その頃から男女問わず誰にでも気軽に話していた。その時も名前の知らない女子生徒に告白されていた。なので断ることには慣れていた。

「そうか、そうだよな。ごめん」
「いや、謝ることじゃないよ。なんならこっちも女子なのに距離感とか掴めてないから申し訳ないと思ってるから……」
「あ、いや、できれば距離感というか、今まで通り友達のまんまがいい。他の人が好きになったときは宮本に相談したいから」

 まるで便利屋のように扱われているのにちょっとイラっとしたが、それは顔や仕草に出さなかった。
 こういう話は穏便に済ませるのが一番だと信じている。

「あー、うん。んじゃ友達ってことでこれからもよろしく」

 涼しい顔でお世辞を含めて口角をわずかに上げて答える。
 それを聞いた小林はぱあっと笑顔になり、下ろした腕をまた差し出してきた。

「ともだちの握手」
「あー握手ね」

 その右手を葵も一回り二回り小さくなった手で優しく握り返す。
 彼はその小さくて柔らかい手の感触を楽しみ忘れないように二度三度にぎにぎと握力を加えてから離して、すぐにその場から走って消えていった。
 葵はたちまち一人になってしまい呆然とした。とりあえず彼の汗ばんだ手を握った掌をスカートで乱暴に拭い、校舎に戻った。



「あーお前ら食べるの待っててって言っただろ!」
「「「遅いから食ってたよー」」」

 狭くなった歩幅で、早足で他の女生徒と比べても大きな胸を人知れず制服の中で揺らしながら、自分のクラスに帰ってきた。昼を一緒に食べる約束をしていた友人衆に裏切られていた。

「まぁまぁ食い終わったからってどこにも行くことないし」
「そうそう」
「僕は約束を破ったことに怒ってるんだって!」

 葵はクラスの安心感からか感情を豊かに表している。さっきまでの王子様のようなきれいな顔が破顔するほどの笑顔や不満げに歪めたり、とにかくコロコロ変わった。
 4つの机をくっつけた一角に座って、これまた男のときと比べて小さくなった弁当箱を取り出して、いそいそと食べだした。

「で、葵は今日更新の漫画プラス読んだ?」
「あーいやまだ。ネタバレするなよ! めっちゃ楽しみにしてるんだから」
「おい読んどけよー、めっちゃ熱い展開だったんだから! さっきこいつらと喋っておいてよかったわ。じゃなかったらネタバレしてたわ」
「あとで佐原の家で他の漫画と一緒に読んでおくわ」
「今日もうちに来るのな……」

 座ってても目立つほど大きな体格の佐原哲太は口数少なく苦笑いをしている。三白眼ということで周りからは本当に嫌そうにしている。
 しかし宮本葵はご飯を食べなからニカっと笑いながら話をしている。佐原哲太とは小学校からの親友で、彼のその眠たそうな表情の微弱な変化にも感嘆に気づく事ができる。実際に佐原はそこまで嫌がっていない。それを知っている宮本葵はその日本男子の中でも別格な強靭な肉体を持つ彼が寡黙に三白眼で見つめてきても、いつもどおり一切怖がることはなく、ただ笑っていた。しかし周りの生徒からは怖いもの知らずだなと思われている。
 そこに別の澄んだ声が聞こえてきた。

「ねえちょっといい?」

 クラスでも人気の成瀬さんが葵の後ろから話しかけてきた。

「わたしたちも葵ちゃんと話したいんだけど。葵ちゃんも女子と話したほうがいいと思うし」
「アオイちゃんって……」

 未だに葵はちゃんづけで呼ばれるのに慣れていない。男友達からも大抵名字で呼ばれることが多い。
 中性的な名前ということで小学生のときに上の学年の男子から時々イジられていたが、知恵でも力でもこてんぱんにして、わざとその場を周りに見せつけた。そうするとすぐに誰もちゃんづけで呼ぶことはなくなった。しかし今は確かに身体は女性だ。相手も悪気がないとは思っているが、どうしても違和感がある。
 苦笑いしながらも、率直に会話したいって女子に言われるのは葵もうれしいと認識している。
 男のときの葵は誰が見てもモテていた。そしてそれを自分も分かっていた。よく告白され彼女もいたが、もとから忙しい強豪のサッカー部に時間をとられ、ほぼ会えない。僅かな隙間に会ってデートしても、彼の話題はほぼサッカーや、部活の顧問や友人の話ばかり。なので宮本葵は聞き役に徹するも、その清潔で中性的な見た目からとは離れたズバズバと強い言葉で解決策や正論を振りかざすので、今まで女性から別れを告げられてばっかりだった。
 別れた理由の九割以上は時間が取れずに会えないからというだけのことだが、その一割にも満たない宮本葵の性格の強さが原因として注目され、女子の中で一気に話題になった。
 その同意を求めているだけなのに、ちょっと強めのカウンターを食らわせる、話題も部活のことばっかりで話が合わないという、ちょっとした悪めの評判だったものが背びれ尾ひれがついて広まるのにはさほど時間はかからなかった。いつのまにか関係のない女子たちに今世紀最大の女性の敵だとか影で言われるようになり、一年の冬からは彼はずっと付き合っている人はいなかった。
 そして夏に彼が彼女になった。その噂も性転換してからはぱったりと聞かなくなった。
 高校生はある程度同性の友達がいないと苦労するというのは分かっている。このひと月で彼も身にしみて感じているようだ。
 例えば着替えのときなどは苦労した。体育前の休み時間に更衣室のないこの学校では男女別々のクラスで着替えをすることになっている。万が一下着が見られてしまう危険があるので、女子たちは制服から肌を見せずに体操着に着替える術を身に付けていた。しかし宮本葵はそんなことも知らずにぽんぽんと制服を脱いで、女子たちの格好のおもちゃにされた。肌が白くて綺麗だとか、下着がつまらないだとか。その日から体育前の女子が着替える教室は鍵がかけられ、宮本葵の下着を品評する時間が設けられた。
 しかしそれも最近では彼女もその制服から体操着、またはその逆を下着を見せずに着替える技術を身に着けたので風化していった。そしてなによりその技術を教えてくれたのが話しかけてきてくれた成瀬さんだった。なので、カースト上位にいそうな成瀬さんに声をかけてもらえたというところは嬉しかった。
 しかし友人と盛り上がっているときに来るのでちょっとイラッとしているようだ。そこにまだ慣れていない名前プラスちゃんづけの呼び方。
 いつもなら彼ももっと丁寧な応対ができるはずなのだが。

「わかったわかった。なら明日のお昼は女の子と食べるから、それでいい?」

 顔だけ振り向いて告げる。それを聞いた成瀬は一気に顔が明るくなった。どちらかと言うと、予想外の報酬を受け取ったような歓喜のしようだ。
 その表情に違和感を覚えた葵はすこし考えた。今日は金曜日、明日は土曜日だ。急いで訂正しようと顔だけじゃなく身体も翻し、短めの髪の毛が揺れ、ボディソープの清潔な匂いの中にほんの少し思春期女子特有の甘い体臭を滲ませて振りまきつつ、椅子に片膝を乗っけて男子共に尻を突き出す形になった。
 南、吉川はそれに釘付けになった。ふわっと揺れるスカートから健康的な白くすべやかな太ももがあらわになる。足首からふくらはぎは細いのに、膝から上は彼女が少女から大人の女性へと変わりつつあることを示すような健康的な肉感がある。そのせいで内ももにはニーソに肉が乗っている。学校指定のプリーツスカートに包まれていても、突き出されるとその安産型の巨尻は目立つ。そして一瞬だけ見えた宮本葵の下着。それは青だった。サテン生地の光沢も確認できた。
 事故とはいえその覗き行為にすぐさまに佐原と成瀬が男子二人を睨みつけた。
 そして南吉川両名は申し訳なさそうに頭を下げた。その際葵は自分の下着が覗かれたこともわかっていない。
「いや明日ってのは――」と必死に訂正しようとする葵に対し、成瀬はまたころっと表情を変えてにこやかに念押しした。

「明日ってことは土曜日だよね? 一緒に遊びに行くってことでいいよね? ね?」

 葵の肩を揺すって何度も確認する。葵もしまったと思いつつも、言ったことを飲み込むことは出来なかった。
 女子の身体ではあるが、15年以上男として生きてきたのだ。

「言っちゃったからね……いいよ。明日別になにもないし。男に二言はない」

 佐原は少し鼻で笑った。女子制服を着た美少女が言うにはあまりにもおかしいセリフだ。しかしそこに気付いたがツッコむ意味もないと判断した成瀬はすぐに踵を返した。

「んじゃわたしはみんなに伝えてくる!」

 葵はその嬉しそうなうしろ姿を見てから体勢を戻して食事に戻った。
 体勢を戻す際、スカートの裾を直し、お尻の下に敷くように手を回す。そして後悔を態度に出すように、ぼふっと勢いよく座った。その時に彼女の太ももは皿に乗せたプリンのように揺れた。

「はぁ、明日が怖いわ……ん? 南と吉川、顔赤いけどどうした?」
「「なんでもない、です」」

 南と吉川は机に突っ伏した。
 両名はそれぞれの息子が落ち着くまでずっとうずくまっていた。



 宮本葵はその日の夕方、男の頃から同じように佐原の部屋にいた。
 哲太がリビングから飲み物をもって来ると、葵はベッドを背もたれに漫画を読んでいた。家の中は風が当たらず寒くないからか、ぶかぶかのカーディガンは脱いで隣に綺麗にたたまれていた。
 黒い靴下は彼女にとってはすこし長すぎるようだ。足首のところでたるみがいくつかの段差を作っている。リブ編み生地の厚さと暖かさを見る人間に知らせてる。膝をまるっきり包み、太ももを締め付け、その先の白く透き通る肌のふとももの柔らかさが強調している。脚の片方は伸ばし、もう片方は立たせて膝の頂点に漫画を置いている。
 曲げた脚には白のブラウスに包まれた胸が少し当たっているようにも見える。腿とおっぱいの柔和な肉が互いにひしゃげている。しかし葵は漫画に夢中でそれが男目線にどう映っているか気づきもしない。
 切れ長で大きな瞳で漫画を追い、ページをめくるごとに表情を変えている。ピンクのぷっくりとした唇が口角の動きに合わせてぷるんと揺れる。

「……葵、飲み物、持ってきたから」
「ん、サンキュー」

 彼女の仕草にどうも口の中が乾いてうまく喋られない。
 二人きりのときは下の名前で呼び合う。これは小学生の頃からの癖のようなものだ。
 ぱたっと漫画を閉じて筋肉の線が浮き上がっている手から渡された烏龍茶を飲む。
 ごくごくと飲む時に動く白い喉、水滴がついた唇、白魚のような細い指、ゴクゴクっと烏龍茶を飲んだ後の爽やかな笑顔。どれもが佐原の性欲を掻き立てるものだった。

「そこ俺座ってゲームするから葵はそっち」
「ん」

 特に不満を言うわけでもなく葵は立ち上がってベッドにダイブした。自分のベッドの臭さの中に、雌の匂いが混ざって飛んでくる。
 乾いた口内を潤すため、そして自分を落ち着かせるために彼はお茶を一気に飲み干した。
 テレビを付けて、最近発売されたRPGを途中から始める。葵はそれにちょっとは興味を持ったようだ。

「それ、先月出たやつじゃん。もう買ったのか。テッタはどこまで進めたの?」
「わからん。多分半分は行ったと思う」
「終わったら貸してね」
「ん」

 いつもどおり簡略した返事をしつつ、哲太はセーブデータをロードしてゲームを始める。葵はネタバレを防ぐ意味も込めてベッドでうつ伏せになって漫画を読みふけっている。
 スラリと伸びた身長にしては長い脚、そのくせに歩いてもうつ伏せになっていても少し動くだけで男を誘うように揺れる90cm超えの尻、彼女の薄い身体に押しつぶされて形を変えているたわわな双乳。

「昼休み、なにしてたんだ?」
「あー、小林に告白された」

 葵はあっけらかんと答えた。この身体になってからは日常茶飯事のようなもので、単なる会話の一つのネタのように扱い、漫画を読み続けている。
 しかし佐原哲太にとって、まだ慣れない。自分がそういう色恋沙汰から離れた生活をしていたこともあるが、それよりも葵が男だろうが女だろうが、他の男と自分より仲良くする情景を思い浮かべたくもなかった。

「で」
「そりゃ断ったよ」
「そうか」

 ゲームを再開したが、すぐでもう集中力が切れた佐原。ベッドに乗っかり、葵をまたいで膝立ちになった。グワングワンとベッドが歪む。

「なんだよ」
「脚のマッサージしようかと思って」
「はぁ? 僕がサッカー部で何度もドンピシャなパス出してやってた頃にはそんな殊勝な心がけもなかっただろ……ったく」

 葵は拒否はしなかった。親友同士の言わなくても分かること。本当に嫌だったら普通に葵は拒絶している。
 佐原はある意味許可をもらったものだと理解し、彼女の黒の靴下に包まれたふくらはぎに少し体重を乗せてもみほぐす。

「あー、力加減そのくらいがいいかも」
「了解」

 葵に筆下ろししてもらうまで、佐原哲太は童貞だった。その顔と体付きで女性が離れ、話したとしてもその元々の寡黙さのせいで話題も続かず、自然と女性と話せなくなっていた。
 そんな彼にとって元男の親友とはいえ美少女が、口数が少なく無骨で普通に夜に歩いているだけでも、目の前の女性が小走りしてしまうくらい恐れられるような外見の彼を、一切軽蔑せず少ない言葉でも意思疎通ができる。ただそれだけのことだが、サッカー部時代に点取り屋だった頃、決勝点を決めるのと同じくらい彼の自尊心を満足させるものだった。
 ふくらはぎを按摩しているだけでも興奮の沼がこぽこぽと沸き立つ。告白されたと聞いてざわつく心を抑えるように、お前の男は俺しかいないのだと伝えるように手のひらに力が入る。
 リブ生地で温かみのある靴下。こんなものは男は履かない。履いても他人に見せないだろう。そんなものを彼女が身に付け、触ることを許可している。
 息子がズボンの中で苦しいくらいに膨らんでいる。その靴下の肌触りだけで、女性がいなくてもさほど変わらないような人生を送ってきた彼にとっては、如実に女性を感じて自然と息が荒くなってしまう。
 しかし彼女はそんなことお構いなく漫画を読み進めている。

 佐原はだいたいこのくらいでいいだろうと今度は両足の膝裏から脚の付け根にまで圧迫するようなマッサージに移った。
 昨日、時間の余っていた佐原哲太は適当にネットサーフィンした時に女性の感度が増すマッサージ方法が目に入った。
 それを今実践している。やられている葵も彼の手付きでなんとなくこれはエロ目的だなとは察知しているが、やめさせようとはしない。

 佐原と葵は小学校からの幼馴染だ。葵が女体化したときも、家族以外では一番に相談した。初めてこの女体でこの部屋に来た時に、流れからセックスになった。そして互いに恋人ができるまでは練習ということでセックスをしようと。
 なので葵もこれは彼が彼女出来たときのための練習ということで、拒否をしなかった。そもそも拒否するものでもないと思っている。なぜなら彼女もそれなりに彼とのこの身体でのセックスが嫌いじゃないからだ。

 佐原はその求愛のような按摩を続けた。
 膝裏は黒色の靴下に覆われ、その少し刺さるような、さらさらとした質感が伝わってくる。そのまま付け根へ滑らせると、ニーソと素肌の境目に当たる。
 そのサッカー部時代とは真逆の柔らかくきめ細かく白い太ももは指先に吸い付くようだ。直に体温が感じられる。力を入れるとひしゃげて掌全体を飲み込むようだ。
 なめらかな素肌を味わいながらプリーツスカートの中に侵入する。お尻と太ももの境目がスカートで視界を遮られていても分かる。お尻があまりにも大きいので、一部が太ももを隠すようになり、大きな溝が出来ているのだ。男の身体では決してこうならない。女性の骨盤の広がりと、脂肪の柔らかさがその明確な境界線を作っている。
 その段差の始まりから親指を通そうとすると、自然と内ももを通過することになる。
 この一連の動きを繰り返す度に、かすかではあるが親指の通る場所がショーツに覆われた陰唇に近づいていく。

「ぁ……ん……♥」

 ぷっくりとふくれている柔肉に触れられそうで触れられない。葵は思わず甘えるような声を出してしまった。
 大陰唇や遠く離れた乳首が疼いている。しかしこれを気取られたくない。必死に漫画に目線をやるが、内容が頭に入ってこず、一向に次のページへめくれない。
 身体が浅ましく快感を欲しがる。ピクンと腰が数ミリ浮く。脳が必死にそれに抵抗しようとすると、漫画のことがどんどんと端に追いやられる。
 佐原の視点からは彼女の腰が震える度にスカートの中の巨尻がぷるんと揺れる。完全に男を誘っている。按摩の流れでゆっくりとその薄い一枚の布をめくる。
 サテン生地の濃い青色のショーツに包まれた尻がさらされた。

「……今日に限ってエロい下着つけて」

 彼女がつけている下着の中では派手な部類だった。今まではサテン地のもあったが、大抵は薄いピンクや水色、白などがほとんどだった。
 最初は体育などで動きやすいブラやショーツを付けていたが、女子生徒からいろいろ言われ、年齢相応の、周りの女子と似たような薄い色の少し刺繍やフリルなどがあしらわれたものを使用していた。しかし今日は違う。

「なに着ても……いいだろ……ん……ぅ……♥ 『かぎって』ってなんだよ……?」
「今日成瀬と話してた時に、南と吉川にこのパンツ見られたの、わかってた?」
「し、知らない……っ♥」
「……っ!」

 微弱に葵の尻が男を誘うようにぷるんと揺れた。実際に揺れたかどうかは分からないが、佐原の目にはそのように映ったし、手のひらからもそう感じ取った。
 彼の手に力が入る。その甘い淫靡な声が下着と相まって男を誘うような仕草に感じた。
 宮本葵は「んっ♥」と顔を佐原の普段使っている枕に沈ませる。漫画を手放し、その枕を両手で握りしめる。親友の体臭が一気に鼻孔を通り抜けた。ガクガクっと腰が震えた。匂いだけで感じてしまう程に、身体は快感を求めてしまっている。
 彼女は男の友人二人を思い出す。南と吉川に下着を見られた。恥ずかしいという気持ちは出てくるも、それよりも、その瞬間を佐原に見られて、妬みのような感情をぶつけられていることに興奮している。
 うつ伏せで無抵抗にスカートをめくられ、そのくせ彼の体臭が染み付いた部屋、ベッド、枕の臭いで興奮している。まるで自ら巣に入り込み、食べられるようだ。

「学校にニーソ履いてきたり、ふざけんなよ……!」
「んぁっ♥」

 お尻から膝裏へ戻るとき、ずっと丁寧に優しく手が離れていたのに、指が離れる際に尻肉を弾いた。その衝撃に素直に彼女の臀部は揺れた。
 外見だけではそれのみだが、彼女の中ではその振動が陰唇、膣口、果てはポルチオまで微弱ながら振動が伝わった。
 先程から全く触ってもらえず疼いていた箇所箇所がその微かな刺激でさえ格別な快感として身体中が歓ぶ。彼女の背筋が震えて、快感にたまらず元男とは思えないような甘い声を漏らし、腰を浮かせた。
 ショーツ越しにまるで挿入をおねだりするように膣口が斜め上を向く。彼の目にはその入り口がしっかりわかった。クロッチの一部分だけ彼女が漏らした愛液とても色濃くなっていた。
 すでに葵の中は牡を受け入れる準備が出来ている。膣襞が柔らかく熱くうねり、今か今かと待ちわびている。

「んっ♥ もしかして、心配してる? 僕に彼氏ができること」
「そうじゃない、友達がエロい目線で見られていやなだけ」

 彼は気付いていないが、世間と比べても嫉妬心が強い。部活動をやっていたころも、彼からの遠慮ないギリギリなパスを受け取れるフォワードは自分だけだと考えていた。しかし宮本葵は別の選手にも時々同じようなパスを出して、パスミスとして扱われることが多かった。彼にとっては単に他の選手の能力と相性を測る目的だったが、佐原哲太にはそれが無性にイライラした。他の選手には取りやすいお膳立てのようなパスさえ渡していればミス扱いにはならないのに、あいつのワガママのようなパスは俺にしか届かないと純粋に冷静に思っていた。それが嫉妬だとは宮本葵が女性化しサッカー部を辞めて、自分も追っかけて退部するときにも一切気がついていない。
 その強大で危うい心を知っているのは彼女だけだ。
 佐原はそのちょっとした彼女からの挑発にズボンの中でフル勃起してしまった。自らベルトを外し、ズボンとボクサーパンツを下げる。むわぁっと男の臭いが部屋に広がった。

「はぁっ、はぁっ♥」

 息が苦しくなり、顔を上げても佐原の部屋なので雄のすえた臭いが充満している。口で息をして回避するが、完全にメス特有のオスを誘い出すような甘く熱い吐息になってしまった。
 彼がベッド横に手を伸ばした。この部屋で何度も犯されたのでこの行動の意味がてに取るように分かる。サイドテーブルにあるコンドームを取り出してつけている。見ていなくても分かってしまう。分かるようにさせられてしまっている。
 そしてその後も容易に想像できる。そのギンギンに勃起した、数ヶ月前までは自分も持っていた、しかし昔の自分のよりも長大なソレを、数えきれないくらいに彼のみに許してしまった挿入が待っている。
 ゴムの装着が終わり、彼女が持っている中でも特に派手めのショーツを剥ぎ取った。
 そこに溜め込んでいた甘酸っぱい臭いと暖かさが露出される。
 後天性性転換症特有の毛穴すら全く無い綺麗な大陰唇は、その肉感的な身体つきと裏腹にまるでまだなにもしらない子供のような陰部だ。ふとももの間にぷっくりと緩やかな丘を形成し、中央には細いスジが一本通っている。しかしその割れ目のお尻側からは透明な液体が浮き上がっている。こどもまんこの癖にメスとしての快感を享受して、喜んでしまっている証左でもある。
 彼は無作法に片手で陰唇の片方を開くと、淡桃色の小陰唇が姿を表し、愛液を漏らしていた箇所は魚が水面で呼吸をするように、ゆっくりパクパクとぐずぐずに湿った膣内を見せびらかせている。

「なぁ、挿れていいか……?」
「ふーっ♥ ふーっ♥」

 彼女は答えずに挿入の衝撃に耐えようと枕に抱きつき顔を埋めている。
 しかし彼は一向に挿入しようとしてこない。何度も陰唇を精液溜まりと亀頭部分で擦り、ゴムの表面に愛液をなじませている。

「いいか……?」

 互いに了承した場合のみしかセックスしないという約束を律儀に守っている。しかし彼女のこの状態では断るわけがない。すでに絶頂しないと収まりがつかないところまで身体が興奮しきっている。
 どうにか枕に顔を押し付けながらできる限りの意思表示としてコクコクッとすばやく二度頷いた。
『いいから早く挿れて♥』
 そう脳内で翻訳した佐原はゆっくりと腰を進める。

「ぁ♥ きて、る……♥」

 膣口が開いた瞬間に彼の尖端が侵入を始める。閉じる頃には亀頭がすっぽり入り、歓迎するようにとろとろになったヒダを絡ませる。

「ぅぁ……葵の中あっつ……ちんこまで溶けそうだ」
「実況……するな……♥ んぅぅぅ……♥」

 平均男子のソレを優に超えるちんぽをじっくりと、しかし決して止まらずに押し進める。コンドームの表面についているローションと彼女の多量に分泌された愛液があるからこそ、狭く彼のでは隙間が出来ない膣穴を、ゆっくりとだが進んでいける。陰茎が女に包まれる快感が男を支配し、感嘆のような吐息に変わって彼女の制服越しの背中に当たる。
 先程からキュンキュンとなんでもいいから刺激が欲しいと疼いて空の雌穴を、いきなりメインディッシュのような巨大な熱いもので満たされ、彼女の小さな身体に止めどない快楽が流れる。

「んーーーーっ♥」

 快感を逃さないと絶頂してしまう。ただ挿入されただけでイクなんて元男のプライドがずたずたにされる。枕で口を塞いで甘い声を思いっきり出し、下半身を脱力させる。
 しかし緩んだ隙間を埋めるようにズルっと滑るようにペニスが彼女の膣内を蹂躙した。床に押し付けるような体勢で、彼のが全て入った刹那、亀頭はGスポットをぐぐっと押しつぶした。

「ば、か……っ♥ いきなり、そこはぁ……っ! ぃ、ぃんっ、イ----ィグっ♥ んぅぅぅぅ♥♥」

 いきなりの強烈な快感に、いままで散々焦らされた身体が喜びに跳ねた。
 ぐぐぐぐっといきなり膣圧が強烈になる。女の身体が男から子種を乱暴に、しかし完全に吐き出させるような行動。

「ぐぁ……締めすぎだ……っ」
「うっ、んぅぅぅううゔゔっっ……♥ イグ……イッてる、ぅぅ……♥」

 佐原が苦悶の表情を浮かべ抗議する。しかしその言葉は葵の耳には入っていない。彼女は女としての多幸感に包まれてそれどころではないのだ。
 白磁のようなお尻をぷるぷると痙攣させて、彼が普段使っている枕に快感で普段とは全く違う顔を押し込む。口からよだれが出ていると分かっているものの、飲み込むことも出来ない。
 全身から汗が吹き出し、目からもあまりの気持ちよさに涙が出ている。

「まだ、ぃぐ♥ ぃって、るぅ……♥ イグ、のつづ、いて……ぅぅぁぁ♥」

 甘美なエクスタシーは続く。吹き出した汗は普段とは違う、フェロモンが多量に入っているのか甘ったるい女の匂いを振りまいている。

「まら、絶対♥ 動くらよっ♥ ぅ、ぐぅぅ……んぅ♥ぁぁぁ♥」

 顔を横に向けて伝えたいことだけを舌っ足らずになりながらも簡潔に伝えてまた枕に顔をうずめた。

「こんなに締め付けられたら動けねぇって」

 彼もまた快感にもだえていた。視界では寝バックで巨乳安産型の女を犯して絶頂に導いているという征服欲、嗅覚では女性の絶頂後の男を興奮させるために特化した匂い、そして触覚はペニス全部を膣内に締め付けられる快感、てのひらからは女の脂肪の柔らかさと吸い付くように皮膚の感触に多幸感を味わっていた。
 油断してしまうとすぐに射精してしまう。意識をイかないようにするのに必死だ。

「んふーっ♥ んふーっ♥」

 その体勢のまま数分後、徐々に快楽の頂点から戻ってきた。彼女の下腹部からも力が抜けてきている。彼も暴発は避けられたようだ。

「……落ち着いたか?」
「ん……少しはな……っ……♥」

 葵はちんぽを膣内に収めながらケツ肉を快感に震わせながら強がる。

「んじゃ、動くから」

 言葉少なく彼女の細い腰を掴む。佐原に掴まれるためにあるようだと思ってしまうほどその腰と大きな骨盤は彼の手に馴染んだ。掴まれた彼女は、これからのことを想像して、また腟内が淫らに疼く。
 ゆっくりと腰を引く。いままであったモノが無くなる切なさに彼女が声を漏らす。しかし、その後またゆっくりと戻ってきて安心感に包まれる。
 慣らし運転のような遅さのストローク。膣肉を丁寧に味わっている。引き抜くとカリ部分に肉襞が絡みつき一枚一枚剥がす度に溜息が出る。そしてまた挿入すると喜んで迎え入れてくれるかのような充足感。

「んっ……♥んっ……♥んっ……♥、んっ♥んっ♥んっ♥」

 彼は膣内の具合を確かめてギアを一つ上げた。彼女の嬌声もそれに合わせて音階が上がる。
 パンパンと小気味の良い音が部屋に響いている。それが自分のこの無駄に大きくなってしまったお尻から出ている音だと思うと、とても恥ずかしくそして興奮を掻き立てられた。

「ピス、トンは……だめっ♥だって、言った、ろっ♥」

 彼女も男の頃はよく女性とセックスしていた。そこで培った経験知識を授けるための親友のセックス。その最初の頃に、単に抜き差しを繰り返すだけじゃ女の子は気持ちよくならないと教えていた。しかし今日、今に限っては彼はその行動をあえてしている。
 昼間に疼かされた独占欲がSっ気となって現れている。しかし親友を痛めつけることは出来ない。だからネット知識のマッサージで感度を高めてから、ただこちらの性欲、加虐心、嫉妬にまみれた気持ちを満たすような腰の動きを止めようとはしない。

「一度イッたんだから、俺にもイかせろ」

 その我儘極まりない言葉に無性に男らしさを感じて、葵は反射的に膣口がキュンと締まった。
 今も30cm差くらいある彼に後ろから乗られ、犯され、喘がされてる。あの試着室での身体と表情なら、犯されてもしょうがないと思っていたが、最近ではそういう男目線での見方が苦手になってきていた。
 強姦のようなプレイのくせに、跨いでいる両足に体重の殆どを乗せて、こちらの身体にはあまり重さを感じさせないようにしている。この身体を優しく扱ってくれることに女としての歓びを感じてしまっている。

「葵の中、めっちゃ熱くてとろとろなのに、すげぇ締め付けてくる」
「……ッ……♥ 勝手に、こうなるんだよ……っ♥ テッタも、女になれば、分かるっつーの♥ んっ♥ んっ♥ んぁっ♥ や、ぁッ♥」

 人一倍段差の高いカリが、一度達して凝り固まった肉襞をほぐすように何度も往復する。
 しかし彼女がお腹をぺたっとベッドにつけているこの体勢では、彼女の尻肉の厚さも重なり、なかなか最奥までには到達出来ない。

「枕、没収」
「えっ、なんで、だめっ♥ 声、漏れる、からぁ♥」
「もっと聞きたいし」

 彼女の手から強引に枕を奪った。必死に葵も抵抗したが、丸太のような太い腕の佐原には全く敵わなかった。
 よだれと涙と鼻水と汗と……いろんな彼女の体液がついた枕。

「ぁ♥ ん、ぁぅ……あんまり、見るな……んっ♥ んっ♥ んっ♥」

 恥ずかしい液体にまみれた枕を奪い返そうと腕を振り回しているものの、届きそうにもない。
 彼は彼女の腰を持ち上げ、その枕を下に差し入れた。
 その健康的な臀部が持ち上がり、少しだけ上を向く。その角度に垂直になるように佐原も身体を少し彼女側に傾けた。
 挿入が一気にしやすくなった。まだ刺激がなくて切なかった彼女の膣内の後半部にも大きく開いたカリが届く。

「ぉぅっ♥ こ、れ……らめ♥ おく、届いて……変な声、出るからぁ♥」
「聞きたい」
「うっせ♥ うご、くなってぇ♥ ぅん♥ ん♥ ぅっ♥ ぅっ♥」

 彼女は必死に嬌声を抑えようとシーツを握りしめている。彼は少し角度のついた腰を掴んでリズミカルにピストン運動を繰り返す。
 この動きじゃ女の子は気持ちよくならないなんて言ってた葵は、自分自身が恥ずかしくなっていた。こんな声を漏らしていたら気持ちよくないなんてありえないし、今までの自分の知識経験に間違いがあって、それを上書きされるような、ちょっと前まで童貞だった男に性の知識で上回られるような気恥ずかしさもあった。
 じゅぶじゅぶと卑猥な音が部屋に響いている。その音は葵の耳にも届いている。決して防衛本能で濡らしているわけではなく、好きな相手を受け入れるために、自分も彼も気持ちよくなるために執拗に愛液を分泌し、蜜壺を柔らかく湿らせている。

「あっ♥いっ、いいっ♥そこっ♥うっ♥んあっ♥ うっ♥うっ♥うっ♥」

 恥ずかしいのに、汚い声が抑えられず漏れる。一度そんな声が発せられても彼も冷めることなく自分の中に挿れられたそのモノの硬さが一つ上がったように感じた。そうなったら声を抑えることはしなくなった。ただただ横隔膜を押されて、強制的に出てくる喘ぎ声を羞恥に感じながらも響かせる。

「やば、い……♥ また、イキそうに、なってる んっ♥うっ♥うっ♥」

 結合部からどうにか隙間を見つけてこんこんと真っ白な本気汁が溢れてきてる。彼が腰を打ち付ける度に男を余計欲情させようとたぷんたぷんと白い臀部が波打つ。スカートはすでにめくり上がって、彼女の臀部を隠す気もない。
 キュッと締まったウエストを掴み、その彼女の細さを再確認する。いつもはだぼっとした服装で体格を隠しているので、余計に細さを感じる。
 白いブラウスはたっぷりと両者の汗を吸い、彼女が上下合わせた下着の濃い青色が透けて見える。
 女性にしては短めの髪の毛が揺れて、真っ白なうなじが見え隠れする。汗をつたう、その細い首。
 背中から見える彼女の全てに興奮が止められない。こんな綺麗な女の子を後ろから服も脱がさず犯している。少し前まで童貞だった高校生にはセーブできない。彼女がなんと言おうと射精まで絶対に到達すると身体が脳を支配する。

「なか、絡みついてきて……そろそろ……でそう、く、ぅ……」
「んっ♥ はやく……イケっ♥……うっ♥ うっ♥ うっ♥ んぅっ♥」

 圧倒的な体格差の男がこの160cmすらない自分の身体に夢中になっているのが、どこか嬉しかった。寝バックでガンガンに犯されているのに、一切の抵抗が出来ない体勢なのに、教えたとおりのセックスじゃないのに、元男なのに、この女体で彼の心を支配しているみたい。彼女は身体への直接的な刺激以外にも脳内が倒錯的な快感に浸っていた。僕の喘ぎ声でテットが興奮している、僕のおまんこでテットが射精しようとしている。その事実が彼女を幸せに満たしている。
 だからといってその男を転がす身体からの快感が薄まるということはない。
 股の間から脳天までを貫くような快感がずっと繰り返し与えられて、彼女はもう息は上がっている。できるだけ声を抑えようとしていたため、うまく呼吸が出来なかった。
 元サッカー部の彼も、長時間のピストンに息が少し荒れてきた。

「葵が最初にギュウギュウに締め付けるから、もう限界だ……気持ちよすぎる」
「うっ♥ んっ♥ 僕、も、いつ、でも、イク、から……んっうっ♥ あっ♥ ゃぁ♥」

 葵は気持ちよすぎると言われて、嫌な気はしなかった。
 あーだとかうーだとかうわ言のように佐原が漏らす。そろそろ限界が近いものの、この出来てまだ一ヶ月程度のまんこの気持ちよさをもっと味わおうと我慢している。
 どんどんと限界は迫り、今すぐ止まっても射精はしてしまうラインを突破した。その時、彼のピストンは一気に早く激しくなった。

「あ、やば♥ それ、だめっ♥ んっ……ぅ、ぁ♥ む、りだ……ってぇ!……ぅん♥ ぅん♥ ぅん♥」

 より深いところで射精したいという男に生まれながら備わっている欲望が抑えられない。腰を掴む手に力は入り、体重をかけて発射直前の最大限膨らんだペニスを打ち付ける。
 彼女の巨尻が形を歪め、引くとまた綺麗な丸に戻る。彼の腰と当たる音もパチンパチンと強めに変わった。
 彼女はこの射精直前の男の身勝手な遠慮のない乱暴なただただ射精するためだけこの瞬間がたまらなく好きになっていた。

「葵、好きだ……っ! 好き、好きだっ!」

 いつからか彼は射精直前にこのように叫ぶようになった。最初は言われた葵もびっくりしていたが、多分練習だということで、「それ、彼女出来た時にやったらめっちゃ喜ぶと思うよ」と返された。
 寡黙でシャイな彼にとっては一世一代の想いでの告白だったが、そのように受け取られ、一人きりになったときは落ち込んだ。しかし次からは吹っ切れて伝わらないなら好き勝手言おうとなった。

「マジでイク、もうイクわ……ぅぅ、くぅぉぉぉっっ!!」

 彼女の少し丸めた背中に頭を預け、力が入りすぎて彼女の身体すら持ち上げるほど腰を掴んでしまっている。彼の尿道を一気にせり上がった精液は勢いよく飛び出し、ゴムにぶち当たった。
 ゴムを着けていようがいまいが、彼は最奥で射精したいという欲が抑えられない。大量の精液を貯めたゴムの先端が、子宮口に押し付けられる。

「ぁっ♥ ぉく、当たって……イッ♥ くっ、イッ----くぅぅぅぅぅッッ♥」

 膣口が絶対にこの陰茎を離さないといわんばかりにぎゅうっと締め付け、彼女の全身がビクビクと跳ねる。

「あー♥ きも、ち、いいのッ、とまんないッ♥ まだ、い、ぐっ♥」

 シーツを握りしめて、全身でその享楽を味わっている。
 男も絡みつく蜜壺の中で何度もペニスを弾ませて射精を繰り返している。その絶頂のせいで彼女もまだ快感から戻ってこれない。

「んっ♥ ぁっ、またぁ♥ も、いくの……とめろぉ♥ 出しすぎだって……んぁ♥」
「葵が締めるのが悪い」
「うっせ またぎゅってするな……っ♥」

 互いの絶頂での刺激でなかなかオーガズムが収まらない。
 彼は握っていた腰を離し、全体重を彼女に預けるように倒れ込んだ。

「おも、いっ♥ まて、はなれ、ろ……ッ♥」
「いや」

 その体格からは似合わない甘えるような言葉に女性脳が痺れる。
 背中にある下着の留め具が、彼に押しつぶされて背中に刺さるようだ。自分が今ブラを着けているということを否が応でも意識してしまう。
 その下で二人分の体重でぐにゅっとひしゃげる胸も、彼の硬い腹筋を包み込むように形を変えている尻も、そして普通の男ではありえないまんこに彼の射精後の収まりつつある陰茎をしまいこんで、空白を埋めてくれている安心感も。すべてが自分が女性だと雌なんだと強制的に思わせられる。
 そう感じた瞬間、またこの身体が悦んでしまった。

「はな、れろっ♥ またっ、おっきいの、クるッ♥ からぁ♥ ……んっ♥ イ、イクっ! んーーーッッ♥♥」

 おねだりするように何度も痙攣して彼のブツを締める。
 それに呼応するようにまた彼女の中でムクムクと元気を取り戻した。

「んっ♥ ぁ……テッタ、回復早すぎ……中でまた大きくなって……んっ♥」
「葵が何度も達するから悪い。もう抜くぞ」
「まって……っ♥ んぁっ♥ こらぁ……ッ♥」

 倒れ込んだまま耳元で会話をする。囁くような小声で膣内に留まっていてほしいと告げる葵に、哲太はまた陰茎を膨張させた。

「もう一回……していいか?」

 彼女は本日初めて上気した顔を彼にに向け、無言で頷いた。
 女性の身体は絶頂してもなかなか興奮が収まらず、彼の剛直が抜かれるだけでも甘美な快感が流れて、彼女は思わず声を漏らしてしまった。
 今度は正面で向かい合って繋がりたいと思った彼は、彼女の左肩を持ってひょいと簡単そうに身体をひっくり返した。

「……あんまり、見るな……っ♥」

 彼女の表情は、黙ったときのクールな印象や友人と話しているときの爽やかな笑顔とは全く違う、顔全体を鬼灯のように赤くして恥ずかしそうにその熱く潤んだ瞳をそらす。悦楽に浸かった女性の妖艶な雰囲気を醸し出している。
 そんな顔を見られた彼女は羞恥に耐えられず耳まで赤くしつつ、腕で両目を隠した。
 男はその表情仕草に心を奪われ、顔を近づけその目を隠している腕を掴む。彼女も気配を感じ取ったのか、腕から力を抜いて目を閉じた。
 葵の予想は当たっており、哲太はそのまま彼女の唇にキスをした。

「んっ、ちゅ……ちゅ……ん、んぅ……♥」

 キスを重ねながら、哲太は器用にゴムを外して縛り、新しいゴムを取り出した。
 一度射精したというのに、まだまだ痛いくらいに勃起している。
 しかし刺激がないとしぼんでしまうかもしれないので、もう片方の手で葵の太ももを撫でる。靴下の生地とすべすべの白い肌の差を一度に味わうように境目をずっとなでる。

「ちゅ、ん……♥ んはぁ……めっちゃ勃起してるじゃん……そんなにニーソよかったのか?」
「……ん」
「へへっ、履いてきてよかった」
「……俺に見せるため?」
「半分はな。お前ニーソ好きだって知ってたから。あと半分は寒いから。あんまうぬぼれんなよ……ん、ちゅ、ちゅ♥ んっ、んちゅ……っ♥」

 互いの唇を吸い合うような優しいキス。これだけでも互いに幸福感が増す。
 コンドームの転換が終わった頃に彼が顔を離すと、彼女は少し切なそうな表情を浮かべるも、すぐにニヒルな笑顔に変わった。

「テッタ、キスうまくなったよな。練習重ねた結果だな」
「ん」
「前は下手くそだったのに、今は巧すぎるくらいだ」
「指導者のおかげだな」
「そう思ってるなら、挿れる前に、もう一回……んっ♥ ちゅ♥ んっ……あむっ、んちゅ……ん♥」

 恋人のような接吻を繰り返しつつ、彼は学年を色で示す赤のリボンはそのままに、彼女のブラウスのボタンを一つずつ外していく。
 するとショーツとおそろいの濃い青色のブラに包まれた双乳があらわになった。

「んちゅ♥ んはぁ……♥ どう? 似合ってる……?」

 中性的な顔のくせに身体はあまりにも女性で、しかもそれをより際立たせるような下着を着けている。花柄の刺繍がこれでもかと散りばめられ、カップとカップの間には機能には全く関係ない小さなリボンが据え付けられている。それが妖艶な女性の中に微かな少女っぽさを残している。
 彼女のまだ女性になって一か月少々のくせに、豊満さや柔軟さを示すようにカップからすこし柔肉がこぼれ落ちている。

「これ、サイズ合ってないだろ?」
「正解。だから今日着けてきた。姉が買ってきた派手な下着とはいえ、つけないで捨てるのは勿体無いからな」
「なるほど」
「で、似合ってるかどうか聞いてるんだけど?」

 はぐらかして逃げようとした彼だったが、宮本葵は昔からこういうところは逃さない。

「……すごい興奮する」
「ん、正直でよろしい」

 恥ずかしくもしっかりと答えた彼は、ごまかすように彼女の膝裏に腕を伸ばして、脚を上げる。
 葵の膝が彼女の頭の真横に来た。天井にヒクヒクと疼いている陰唇を見せつけるような体勢だが、天井と彼女の間には彼の大きな体躯がある。
 所謂まんぐりがえしの体勢になる。

「ちょっと、これ、恥ずかしい……かも」

 少し嫌がって脚を跳ねさせて元の姿勢に戻ろうとしても、全く動かない。彼の腕にロックされている
 興奮していることを示すように、陰唇に完全に固くなっているモノの裏筋を擦りつける。
 彼女の視界には筋骨隆々の男が血走った目で、しかしながら理性を保とうと必死に呼吸をしているのが映った。

「こ、このまま挿れるつもり……?」

 彼がコクと頷くと、マジか……と漏らして顔を逸らした。
 それを合図と取った哲太は一度大きく腰を引き、尖端をヒクヒクを蠢く膣口にあてがい、そのまま押し込んだ。

「うぉ……あったかい……」
「ぅ……♥ ぁ……♥ ふか……い……んぁっ♥」

 普通の正常位よりも挿入がしやすく、より密着できる。彼は今まさに知識をつけた。
 彼女との性行為を繰り返し、亀頭やカリが彼女のどこに当たっているのか、どこに当たるといいのかも習得している。
 正常位でも子宮口に当たる哲太のソレは、まんぐりがえしの体勢だとより奥に侵入し、子宮口を避けて膣を伸張させて無理やり収まった。裏筋が子宮口と擦れ合い、彼の背筋にゾクゾクっと快感が流れた。

「これ、ふか……すぎ、だから……♥ 体勢、変えて……♥」
「すまん……全部入ってあたたかくて、葵のポルチオが裏スジに当たってたまらん……」
「だから、実況するなぁ……ッ♥」

 葵の肉襞が一枚一枚彼の段差の高いカリや血管が浮き出た竿にゴム越しながらも執拗に絡みつく。

「動くぞ」
「あ、ちょ、まって……んぁっッ♥」

 先ほどとは違う、恥骨を密着させたまま、腰をグリグリと前後に動かす。先端が膣奥で縦横無尽に動き回り、子宮口を舐め回す。
 完全に女性に快感を与えるための動き。モテていた時代に身に付けた葵の知識を受け継いだ動きだ。

「ぁ……これ、りゃめぇっ……ッ♥ ぁ゛、すごっ、い゛ッ♥ おく、やりゃ……♥ また、すぐ……イッちゃう、からぁ……んっ♥ あっ♥ あぁ゛♥」

 自分で教えたことで強烈な快感を味わされる。
 この体勢、彼の20cm近いペニスの長さ、彼女の膣の深さで先端ではなく雁首と裏筋が何度もポルチオを責め立てている。
 男の方も弱点を押し付けるような動きで、互いに悦楽に染まる。

「俺も、気持ちいい……好きな時にイっていいぞ」

 葵が哲太の背中に手を回す。絶頂の快感に全身がぐぐっと緊張する。その腕にはめいいっぱい力が入る。
 多少痛くても男にとっては嬉しいことだ。射精を促すように蜜壺はきゅうきゅうと収縮し、彼女のか細い腕がこちらをすがるように抱きしめてくる。
 すでに彼女を女性として好いてしまっている哲太にとって、その反応は自己肯定感を高めさせてくれる。余計に感じてほしいく、葵がオーガズムを味わっているのに、腰のグラインドは止めない。彼女のニーソとの境目を掴んでいた両手を彼女の首に回し、頭を抱き自らの身体をもっと密着させる。

「イってる♥ イっへるからぁ♥ んっ♥ んっ♥ んっ♥ やら、また……クるっ! イっーーーーくぅぅッッ♥」

 降参するように可愛らしい喘ぎ声で甘えてくる。しかしもっとイってもらいたい。自分ももっと彼女のイく姿を見たい。
 艶やかなブラによって形成されている胸の谷間に自然と吸い寄せられるように、哲太は顔を葵の胸に埋めた。
 彼女の暖かさと、両胸の柔らかさを贅沢に味わいつつも、石鹸の清潔感のある匂いに混じって、連続絶頂で吹き出た汗にフェロモンも含まれているのか甘酸っぱい匂いが溢れ、それが鼻孔をくすぐる。すぐにその多種多様な刺激が興奮を掻き立て、締め付けられている息子が、膣内で反抗するようにより血液を蓄えて膨らんだ。

「すご、いぃぃ……ッ♥ また、ふく、らませて……イってるのにぃ……ッ♥ また、イグっ! と、めてぇ……ッッ♥」
「俺を誘惑したお前が悪い」
「ゆう、わく、なんて、んっ♥ ぁ……ッ……♥」
「こんなエロい下着に、制服にニーソとか、あからさまだろっ!」

 彼女も自分自身でこの身体は男を魅了するとそれなりには理解している。一週間で退院し、姉に連れられていった下着屋で測られたスリーサイズに驚き、そしてフィッティング室で見た下着姿の自分の姿に男としての興奮も覚えた。
 平均的な身長に同年代では確実に大きい方に属するEカップの胸、表皮が切れてしまいそうに見えるも柔肌に包まれたお尻。それらを包む青地に黒の糸で色々な花をかたどったレースがあしらわれた下着。カップとカップの間には意味のない小さなリボンがあしらわれている。
 ショーツの方も同じようなデザインで、正面の一部がレースのみで、下の無毛のデルタ地帯が透けて見えていた。
 女子高生にしては背伸びしすぎのような下着。そして自らを鏡で見ながら興奮し上気した表情。まだ慣れていない女性としての顔がすこし色っぽく見え、また自分がわからなくなった。
 それからは徐々に自分の身体で興奮することはなくなったが、今度は友人とセックスをする度に男との体格の違いに興奮するようになってしまった。
 こんな下着は二度とつけるかと思っていたのだが、もったいない精神の後押しもありたった今着ている。そして下は脱がされている。そして今は買ってもらって良かったのかもと思ってしまっている。

「イクの、とまんにゃい……ッ♥んっ♥また、イっグッッ♥♥ うぅぅゔぁぁッッ♥♥」

 子宮責めによるオーガズムの連続した波に抗うことも出来ず、ただただその元凶でもある男に、まるで許しを請うように抱きつくしか出来ない。
 彼の拘束が脚から胴体に変わって、自由になった黒の膝上までの厚手の靴下に包まれた脚でも彼の身体に絡めて密着度を高める。
 男の方も常時射精を促すような膣内の痙攣収縮にどんどんと射精感を高められている。

「やばい……そろそろ出る……っ」
「んっ♥んっ♥ はやく、出せぇ……ッ! イキすぎて、へんになるからぁ♥」

 子宮口をイジメるような腰の動きに、雁首で膣肉をほじくり返すようなピストンも時々追加される。
 違う種類の責めに彼女はその中性的な顔を雌の喜びを享受していることを示すように、苦悶するように顔をしかめるのと、緊張が一気に解れにへらと涙目になりながらだらしなく口角を上げるのを繰り返す。
 いつもの彼女からは誰も想像できない、恥ずかしさなどをかなぐり捨てているその顔に、彼の独占欲、支配欲が一気に満たされる。ドクドクと尿道に精液がせり上がるのを感じた。

「くっ……葵、好きだ、好きだぁっっ!! くぁぁっっ!!」

 射精直前にまるでゴムなしで妊娠させるかのように、子宮口に亀頭を密着させて一切の動きをストップさせた。先端から勢いよく排出される精子が液溜まりを膨らませて彼女の最奥を圧迫刺激する。

「ぁあッッ♥ おく、びゅって、出てるっ♥ ゴム、あっても……わかっちゃう……ッ♥ イグ、イッッッ----♥♥」

 数回陰茎が収縮し、彼は途中に残ったのも全部絞り出すように前後に腰を動かす。ぐっと力を入れて放出するのは必ず最奥だ。ペニス全部を彼女の蜜壺に包まれながらの射精がとにかく好きなのだ。
 彼がぐっと奥に押し込む度に彼女の身体が震える。

「うっ♥おっ♥ それ、やめろぉ……ッ♥」
「葵が脚絡めるからだろ……くっ、ぁぁっ!」
「こう、しないと、めちゃくちゃになって……へんになるんだよ……んっ、んぁッ! まだ、出しやがって……ぅぅッ♥」

 互いの絶頂が終わるまで、抱き合ったまま繋がったまま息を整える。

「んっ、ちゅ……♥ ちゅ、んふぅ……っ♥」

 どちらかともなく、まるで互いの健闘を祝すようにキスをする。
 次第に葵の身体から力が抜けて、弱々しくも彼の身体をホールドしていた脚がだらんとベッドに落ちた。
 それが満足したという合図だと認識した哲太は腰を引き、息子を彼女の膣から抜いた。だが口づけは止めたくないようで、キスしながら横に倒れる。
 ベッドの上で寝ながら互いを見つめながらキスを繰り返す。第三者がいたらどう見ても恋人同士だが、彼らはどちらもそういう関係だとは考えていない。

「ちゅ、んっ♥ んはぁ……っ……♥ ほんと、セックス上手になったな……」
「教え方が上手だからな」
「僕はとんでもねー男を作ってしまったかもしれねーな……ん……ちゅ、ん……っ♥」


 ふたりとも絶頂の余韻に揺蕩い、先に男のほうが起き上がった。葵はまだ快感が身体中に残っているようで、身体がピクピクと時折小さく震わせている。
 哲太はゴムを外してゴミ箱に捨て、ティッシュを取り出し彼女のぐちょぐちょになった太ももや股間を拭く。
 先程までは単なる縦のスジしかなかったのに、今はまるで水面に顔を出している魚のように蜜壺の入り口をパクパクとさせ、陰唇を震わせている。

「んっ♥ あっ♥ バっカ……まだ、身体、落ち着いてないんだから……んぅ♥」
「もっと優しく拭いたほうがいいか?」
「ぅぅぅぁ♥ そう、じゃない……ッ♥ も、好きに……しろ♥」

 無遠慮にゴシゴシ愛液を拭われても、やさしくふき取られてもそれぞれ違った快感が増幅される。せっかく落ち着かせようとしていたのにまた変に昂ぶってしまう。
 ガクガクと巨尻を震わせてしまう。
 しかし彼はそれを見ても内ももや陰部の愛液を拭ききったら、めくり上がったスカートを戻して毛布をかけた。

「あー明日憂鬱だ……」
「言ったから行かないとな」
「そうだけどなー……」

 数十分後、彼女もようやく快感が落ち着いたようで、普通に会話ができるようになった。しかし身体はまだ疲れているのか、うつ伏せになってベッドに転がっていた。
 哲太はゲームをしながら話を聞いている。

「なら、明日帰ってきたらこのゲーム貸すか?」

 テレビ画面では侍が敵をバッサバッサと切り倒している。

「え、まだ発売してそんな経ってないだろ? 終わりそうなの?」
「ああ」
「無理しなくていいぞ?」
「言われなくても葵の為に無理なんてしたことないだろ」
「確かに」

 一気に葵の顔が明るくなる。

「なら明日我慢して行く! 明日多分成瀬さんの他に女子来ると思うから、そこでお前の評判上げとくわ」
「ん」
「なんだよそれ、もっと喜べよ」
「かたじけない」
「ゲームにつられるな」

 その日の夜、彼はエナジードリンクを飲んだ。クリアした頃にはすでに朝日は昇っていた。
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