彼と姫と

蓬屋 月餅

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登場人物について~物語読了後推奨~

『姫/冴』

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 焦げ茶色の髪と生まれつき薄い小麦色に色付いた肌をしている『姫』。
 名前は酪農地域の言葉で『冴えた月夜の子』を意味します。
(産まれたのが真冬の、よく冴えわたった明るい月夜だったことに由来しているようです)
 愛称は『姫』(家族内では『冴』)。
 きめ細やかな肌、豊かで長い睫毛、すっと通った鼻筋…肩まで伸びた髪はとても艶やかであり、直接会話をしてみるまでは誰もが女性と思ってしまうほどの容姿をしています。

 酪農地域の中央広場沿いにある 荷車を引くための馬を貸し出す仕事をしている一家の末っ子に生まれました。
 長男とはいえ、上に3人の姉がいる彼は物心ついたころからすでに女の子達がするような遊びによく加わったりおさがりを着たりしていて、可愛いものや綺麗なものへの関心は高かったようです。
 彼は自身のことを『男』だとはっきり認識しているため、近所の男友達と駆け回って遊ぶこともありました。
(恋愛話などでは恋愛対象が同性であるということを隠して上手く話を合わせていたんだとか)
 ちなみに、母親も可愛らしいものが大好きな人なので彼が3人の姉達と一緒になっておさがりの衣を着ていても「可愛い!とってもよく似合ってるじゃない!」「髪をこういう風にしてみたら?きっと衣に合うと思うわ」「お姉ちゃん達のおさがりだと、あちこち丈が…直してあげる」とむしろ乗り気だったんだそう。
 父親は元々穏やかな性格をしていることもあり、冴や女性陣が賑やかにしているのを「いいね、楽しそうだ」と一歩外からいつもニコニコと眺めていました。
 冴が『男らしくありたい』というようであればそのようにしたでしょうが、ただ母親や姉達に混ざって楽しそうにしているのだと分かっていたため、特に何も言うことはありませんでした。(少し女性陣の元気さに圧されていた部分もありそう)

 作中にある通り、冴はを抱いて向かった先で霙と出会い、恋をします。
 しかし長らく彼の中には『自分は女の子に見間違われるような容姿をしている』『同性を好きになる人だなんて、自分以外にはいない』『男は皆、に惹かれるものだ』というような思いがあったため、霙が自身のことを「かっこいい」と言いかけたことで様々な方面から衝撃を受け、勝手に失恋でもしたような落ち込み具合を見せました。
 それからは あれやこれや と…なんだかとんでもないことをやってくれましたね、彼は。
 結果として冴は農業地域で幸せな日々を送ることになったわけですが、かなり罪深いことをしました。
(君は…な、なんてことを…振り回されたなんてものではないの身にもなってみなさい…!)

 作中にもある通り、とんでもない酒豪でちっとも酔わずに酒を呑み続けることができます。
 両親それぞれが代々酒に強い家系ですので、3人の姉達も例外なく一般の人々よりも強い傾向にあります。
 おそらく、飲み比べで彼らに勝てる人はいないでしょう。
 しかし酒が大好きというわけでもないため、あまり頻繁に呑むことは無いようです。
(そもそもいくら呑んでも酔えないため、意味が無いと思っている)
 元々味の濃いもの(佃煮など)が大好きな偏食家ですが、実家の母親や霙の母親が栄養面を考慮した美味しい食事を作ってくれるので、それらを食べて健康面を良好に保っています。

 幼い頃から女性、男性問わず賑やかな人達の中で過ごしていたことで優れた会話術を身につけており、相手に合わせた話題提供や話し方によってどんな人ともすぐに打ち解けることができます。
 表情も豊かなため、彼と話したくなる人は多いでしょう。
 どんな会話でも楽しみつつ、大笑いしてもどこか品があって、男らしい大胆な面もあれば淑女のようにたおやかで美しい面もある冴の不思議な魅力は人々を惹きつけて離しません。
 かなり性に奔放(あらゆることに興味がある)ということはもうご覧の通りですが、その実とても一途なので、な霙とは本当に相性がいいようです。 
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