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神々とその側仕え達について(物語読了後推奨)
争いの神/???
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・争いの神
賭け事や喧嘩を眺めることを好む神。
『争いの神』として周知されていますが、その正体は【天界】のさらに上にある【上天界】から降りてきた賭け事の神であり、男女の区別が無い特殊な存在であるとされています。
【上天界】とは太陽神や月の神、山の神に大地の神、さらには命運を司る神といった世界のすべてを司るような神々の住む世界で、陸国のみを加護する【天界】の神々とは比べ物にならないほどの神力と神格を備えた神のための世界です。
人間にとっての『神』がほとんどの場合【天界】の神々を指すなら、【天界】に住む者にとっての『神』はこの【上天界】の神々ということになるでしょう。
(おそらく、【天界】の神は陸国の土地の神というような存在なのだと思われます)
そんな【上天界】から降りてきたという賭け事の神は実際はとてつもなく強大な神力を内に秘めており、本来であれば隠しきれるものではない神力や神格の強さを誇っていますが、かえって力が強大過ぎるためにそれらを抑え込むことができているという、まさに他とは比べ物にならない存在であるようです。
その強大な力のために自らの姿を男神にも女神にも自由自在に変化させることができ、時と場所によってどちらか適した方に変化させているのだとか…
そのため、【天界】の神々はそれぞれどの姿を目にしたことがあるかによって争いの神とは『男神だ』『女神だ』もしくは『争いを司る夫婦神だ』と認識しています。
現に、牧草地の神は未だ女神の姿しか目にしたことがないために『争いの神は女神である』と思っています。
(しかし、森の神とその側仕えの梟はなんとなく察している模様)
【上天界】でどのようなことがあったのか…とにかく賭け事の神はある日『ここにいてもつまらないだけだ、下の【天界】に降りる』と宣言し、自ら【天界】行きを決めます。
【上天界】から一度そうして降りてしまうと戻ってくることは容易ではないため他の神々はなんとか考え直させようと止めたようですが『それで構わん。それでこの身が消えたとてそれもまた一興だ』『賭け事こそ最大の楽しみだろう?いいじゃないか、我が身を賭けてみよう』と言ってさっさと降りていってしまいました。
降りた先は、まだ陸国が興って目醒めたばかりだった真新しい【天界】。
長い旅路の果てにようやく新天地に辿り着いた人間達は疲弊しており、賭け事などしようもなく賭け事の神は退屈していましたが、そこに目醒めたばかりの『争いの神』が近づいてきたことをきっかけに『争いの神』に目をつけます。
争いの神はとても荒っぽく、戦や諍いを好むような神だったため、そのまま野放しにしておけば人々の間に諍いをもたらしてついには殺戮まで引き起こし、陸国をたちまち滅ぼしてしまうというのは明らかでした。
賭け事の神は『表情豊かなこの陸国の人間達が賭け事に興じれば絶対に楽しいものになる』と直感しており、争いの神によって陸国が滅ぼされてしまうことはなんとしても防ぎたかったようです。
そこで賭け事の神は上手く唆して争いの神を創ったばかりの自らの屋敷に連れ込み、絶対に破ることのできない結界を強大な神力を使って張ることで事実上監禁してしまいました。
怒り狂う争いの神に「1つ、我と賭けをしないか」と持ちかけた賭け事の神。
「君は人間を滅ぼしたいんだろうが、そのためにはこの屋敷から出る必要がある。しかしこの結界は絶対に君には破ることはできないぞ、分かるだろう?君と我とでは格が違うんだ。我が自ら結界を解かない限り、君は囚われのままということだな。…しかしまぁ、それでは面白くないから」
「我と争ってもし君が勝ったなら、そのときは自由にしてやろう。陸国を滅ぼすなりなんなり好きにすればいい、陸国がなくなればこの【天界】も消えてここに住む我ら神も滅びることになるが…はは、そんなのは君にとっては問題ではないんだろう。我も滅びることになるから、君にとっては良い復讐にもなるんじゃないのかな」
挑発するようなその言い方に余計に怒りを滾らせた争いの神はその賭けに応じましたが、その賭けの内容というのは『どちらが先に服従するか』というものであり、一見すれば争いの神に勝ち目があるようでも、実際には賭け事の神が勝つに決まっているという理不尽なものでもありました。
時間の制限がない【天界】で、囚われの身である争いの神。
当初は賭け事の神が憎くてたまらず(服従などするはずがない)と思っていた争いの神でしたが、賭け事の神は狡猾にも争いの神に迫り、徐々にその心を屈服させていきます。
中でも最も効果的だったのが賭け事の神による『色仕掛け』でしょう。
美しい女神の姿にも変化することができる賭け事の神は争いの神が男神であったために好みだと思われるその姿で争いの神に迫りましたが、それではあまりにも簡単に心を絆すことができてつまらなかったため、やがて男神の姿で争いの神に迫り、強引に抱いてしまいます。
争いの神にとってそれはひどく屈辱的なことであり、一時は嫌悪も凄まじいほどにまでなっていましたが、強引に抱かれるうちにやがて神力の相性には抗いきれなくなり、抵抗しながらも受け入れるまでになっていきました。
ついに目が合うと睨むのではなくパッと顔を背けるようになった争いの神。
ある日、賭け事の神は言います。
「どうだ、陸国はこれからさらに国らしくなって栄えていきそうだけど、やはり君は滅ぼしたいか?」
「永遠に1つの賭け事ばかりしていても仕方がないからな、ここらで潮時だろう」
賭け事の神の言葉を俯いて聞いていた争いの神でしたが、やがて「もう…そんな気も失せてしまった」と小さく呟き、ほとんど自身の負けを認めました。
それは人間や神々の争う姿を見るのが楽しみであったはずの争いの神が賭け事の神に服従した瞬間であり、その後「それでは、賭けは我の勝ちということだな」と言った賭け事の神に頷いて答えたことで決定的となりました。
すでに賭け事の神は『争いの神』として【天界】の他の神々に周知されていて本来の『争いの神』という存在を説明するのが難しかったということと、『争いの神』の神の本質が諍いをもたらすというものであるために気軽に出歩けば周囲に影響をもたらしてしまうだろうということから、賭け事の神は争いの神と屋敷の外に出る際は争いの神の姿を動物や装身具に変えさせることでそばに連れて歩くことにします。
他の神々は『争いの神(実際には賭け事の神)』を見かけた際にそばにいる動物を側仕えだと思っているようですが、本当はその動物こそが『本来の争いの神』であるということです。
たとえ動物を伴っていなくても、必ず『争いの神(実際には賭け事の神)』はどこかに漆黒の簪や帯などの装身具を身に着けているでしょう。
その装身具こそが『本来の争いの神』です。
賭け事の神は神や人間の喧嘩などにも『どのようにして相手と渡り合うか』という駆け引きを賭けの一環として楽しむために見に行きますが、どうやら争いごとが好きな争いの神のためにそれらをわざわざ見に行っているということもありそうです。
なんだかんだ言って争いの神のことを愛しており、【上天界】を降りたことに対する後悔はなく、むしろ自身の身を賭けた甲斐があったと自負してもいます。
また、争いの神との賭けについては初めから完全に自身の方に勝算があったため、公平な賭けではないことは理解していましたが、むしろそうした中での争いの神の反応が面白くて堪らなかったことから内容には満足しているようです。
本来は【賭けとは双方互いが公平な上に成り立っていなければならない】という信条があるらしく、そこに発生する駆け引きや やり取りを眺めることを何よりも好ましく感じているのだとか。
漆黒の髪に漆黒の衣姿をした、なんとも麗しい神です。
男神姿も女神姿も少々衣が薄いようで…いやがおうにも妖艶さが目立っています。
『賭け事を好む気質』というのは つまり賭け事に興じている神や人間同士の関わり合いを好んでいるということでもあるため、賭け事の神もすべての神や人間達のことを無条件に好ましく、愛らしく思っているのだとか。
【天界】で他の神を見つけるとすぐさま賭け事をしようと迫り、何度も何度も繰り返し賭けに付き合わせたりすることも…よくあるようです。
ーーーーーーー
・???
本来は戦や諍いなどを司る男神。
陸国という国を新たに興そうとしている人間達によって一番初めに【天界】で目醒めさせられた神でした。
自身が『争いの神』だと理解してすぐに人間達を互いに争わせて滅ぼそうとしていましたが、賭け事の神に見つかり、監禁された挙句 賭けに誘われたことによって結果的にその務めを放棄することになります。
それはつまり、陸国に安寧をもたらすということでもありました。
初めは賭け事の神に翻弄されて煮え滾る怒りと憎しみの気持ちでいっぱいだったものの、やがて長い年月を過ごすうちに文字通り身も心も屈服させられ、ついに自ら賭けへの負けを認めます。
おそらくですが…陸国の人々が諍いに関しての想いを届けることがなくなったため、自然と神力が弱まり、弱体化していくらか気性が柔らかくなったということもあったでしょう。
神力が人々から届けられなくなった神は消滅してしまうものですが、争いの神の場合は常に賭け事の神がそばにいて神力を分け与えているため、消滅してしまうことはないのだと思われます。
また、【天界】に住む男神とその側仕え(夫神)は精霊を生み出すことができますが、それは側仕え達が転生をして【天界】での神格を得たことによって可能になったことであり、出身が【上天界】という異なる世界である賭け事の神とは争いの神は精霊を生み出すことができません。
きっとこの先も2人、ひっそりと【天界】に佇む屋敷で暮らしていくでしょう。
屋敷の外に出る際は賭け事の神によって姿を変えられていますが、それは『器』に魄を移されているのとは異なりただ単に『変化』させられているというだけなので、賭け事の神や争いの神の気分によって姿はその時々で変わっているようです。
(ある時は大きな漆黒の山犬、またある時は大きな漆黒の烏、など…)
関係の始まりは最悪極まりなかったものの、今ではすっかり賭け事の神を受け入れ、愛してさえもいるのだとか。
武芸などの他には特に興味を持つものがなかった争いの神ですが、賭け事の神と共に目にするものにはなんでも関心を寄せているようです。
賭け事の神同様に漆黒の髪と漆黒の衣をしているそうです。
射るような目つき、そしていかにも武芸を嗜んでいるというような強靭な体つきで本来は近寄りがたい雰囲気を漂わせていますが…その姿を目にしたことのある者はただ一柱、賭け事の神のみです。
【地界】では時折小さな諍いも起きるようですが、そこには争いの神の神力となるような強烈な想いがこもっていることは『ない』とはっきりと言ってもいいくらいなので、これからも賭け事の神とは運命共同体というような形で日々を過ごしていくでしょう。
実は…
陸国は余所の国から1、2回ほど侵略のためらしい装備をした遠征隊を送られたことがあるようですが、それらはすべて争いの神と賭け事の神によってもれなく始末されています。
資源などを巡ってなのか、侵略を試みた国があったのでしょう。
相手方にも戦の神がついてきたことがありましたが、陸国を守護する神々はそれをはるかに上回る強さを誇っており、遠征隊は陸国に到着することすらできませんでした。
以降どの国からも遠征隊がやってくることはなく、陸国は平和を保っています。
陸国は何しろ広く、他の地域がそれぞれ『他の国』といった感じのため…人々も特に余所の国に関心を示すことがないようです。
武芸に秀でた争いの神と【上天界】から降りてきた強大な力を持つ賭け事の神が守護している以上、陸国はこの先もずっと安泰であるということは疑うまでもないこと、確実です。
賭け事や喧嘩を眺めることを好む神。
『争いの神』として周知されていますが、その正体は【天界】のさらに上にある【上天界】から降りてきた賭け事の神であり、男女の区別が無い特殊な存在であるとされています。
【上天界】とは太陽神や月の神、山の神に大地の神、さらには命運を司る神といった世界のすべてを司るような神々の住む世界で、陸国のみを加護する【天界】の神々とは比べ物にならないほどの神力と神格を備えた神のための世界です。
人間にとっての『神』がほとんどの場合【天界】の神々を指すなら、【天界】に住む者にとっての『神』はこの【上天界】の神々ということになるでしょう。
(おそらく、【天界】の神は陸国の土地の神というような存在なのだと思われます)
そんな【上天界】から降りてきたという賭け事の神は実際はとてつもなく強大な神力を内に秘めており、本来であれば隠しきれるものではない神力や神格の強さを誇っていますが、かえって力が強大過ぎるためにそれらを抑え込むことができているという、まさに他とは比べ物にならない存在であるようです。
その強大な力のために自らの姿を男神にも女神にも自由自在に変化させることができ、時と場所によってどちらか適した方に変化させているのだとか…
そのため、【天界】の神々はそれぞれどの姿を目にしたことがあるかによって争いの神とは『男神だ』『女神だ』もしくは『争いを司る夫婦神だ』と認識しています。
現に、牧草地の神は未だ女神の姿しか目にしたことがないために『争いの神は女神である』と思っています。
(しかし、森の神とその側仕えの梟はなんとなく察している模様)
【上天界】でどのようなことがあったのか…とにかく賭け事の神はある日『ここにいてもつまらないだけだ、下の【天界】に降りる』と宣言し、自ら【天界】行きを決めます。
【上天界】から一度そうして降りてしまうと戻ってくることは容易ではないため他の神々はなんとか考え直させようと止めたようですが『それで構わん。それでこの身が消えたとてそれもまた一興だ』『賭け事こそ最大の楽しみだろう?いいじゃないか、我が身を賭けてみよう』と言ってさっさと降りていってしまいました。
降りた先は、まだ陸国が興って目醒めたばかりだった真新しい【天界】。
長い旅路の果てにようやく新天地に辿り着いた人間達は疲弊しており、賭け事などしようもなく賭け事の神は退屈していましたが、そこに目醒めたばかりの『争いの神』が近づいてきたことをきっかけに『争いの神』に目をつけます。
争いの神はとても荒っぽく、戦や諍いを好むような神だったため、そのまま野放しにしておけば人々の間に諍いをもたらしてついには殺戮まで引き起こし、陸国をたちまち滅ぼしてしまうというのは明らかでした。
賭け事の神は『表情豊かなこの陸国の人間達が賭け事に興じれば絶対に楽しいものになる』と直感しており、争いの神によって陸国が滅ぼされてしまうことはなんとしても防ぎたかったようです。
そこで賭け事の神は上手く唆して争いの神を創ったばかりの自らの屋敷に連れ込み、絶対に破ることのできない結界を強大な神力を使って張ることで事実上監禁してしまいました。
怒り狂う争いの神に「1つ、我と賭けをしないか」と持ちかけた賭け事の神。
「君は人間を滅ぼしたいんだろうが、そのためにはこの屋敷から出る必要がある。しかしこの結界は絶対に君には破ることはできないぞ、分かるだろう?君と我とでは格が違うんだ。我が自ら結界を解かない限り、君は囚われのままということだな。…しかしまぁ、それでは面白くないから」
「我と争ってもし君が勝ったなら、そのときは自由にしてやろう。陸国を滅ぼすなりなんなり好きにすればいい、陸国がなくなればこの【天界】も消えてここに住む我ら神も滅びることになるが…はは、そんなのは君にとっては問題ではないんだろう。我も滅びることになるから、君にとっては良い復讐にもなるんじゃないのかな」
挑発するようなその言い方に余計に怒りを滾らせた争いの神はその賭けに応じましたが、その賭けの内容というのは『どちらが先に服従するか』というものであり、一見すれば争いの神に勝ち目があるようでも、実際には賭け事の神が勝つに決まっているという理不尽なものでもありました。
時間の制限がない【天界】で、囚われの身である争いの神。
当初は賭け事の神が憎くてたまらず(服従などするはずがない)と思っていた争いの神でしたが、賭け事の神は狡猾にも争いの神に迫り、徐々にその心を屈服させていきます。
中でも最も効果的だったのが賭け事の神による『色仕掛け』でしょう。
美しい女神の姿にも変化することができる賭け事の神は争いの神が男神であったために好みだと思われるその姿で争いの神に迫りましたが、それではあまりにも簡単に心を絆すことができてつまらなかったため、やがて男神の姿で争いの神に迫り、強引に抱いてしまいます。
争いの神にとってそれはひどく屈辱的なことであり、一時は嫌悪も凄まじいほどにまでなっていましたが、強引に抱かれるうちにやがて神力の相性には抗いきれなくなり、抵抗しながらも受け入れるまでになっていきました。
ついに目が合うと睨むのではなくパッと顔を背けるようになった争いの神。
ある日、賭け事の神は言います。
「どうだ、陸国はこれからさらに国らしくなって栄えていきそうだけど、やはり君は滅ぼしたいか?」
「永遠に1つの賭け事ばかりしていても仕方がないからな、ここらで潮時だろう」
賭け事の神の言葉を俯いて聞いていた争いの神でしたが、やがて「もう…そんな気も失せてしまった」と小さく呟き、ほとんど自身の負けを認めました。
それは人間や神々の争う姿を見るのが楽しみであったはずの争いの神が賭け事の神に服従した瞬間であり、その後「それでは、賭けは我の勝ちということだな」と言った賭け事の神に頷いて答えたことで決定的となりました。
すでに賭け事の神は『争いの神』として【天界】の他の神々に周知されていて本来の『争いの神』という存在を説明するのが難しかったということと、『争いの神』の神の本質が諍いをもたらすというものであるために気軽に出歩けば周囲に影響をもたらしてしまうだろうということから、賭け事の神は争いの神と屋敷の外に出る際は争いの神の姿を動物や装身具に変えさせることでそばに連れて歩くことにします。
他の神々は『争いの神(実際には賭け事の神)』を見かけた際にそばにいる動物を側仕えだと思っているようですが、本当はその動物こそが『本来の争いの神』であるということです。
たとえ動物を伴っていなくても、必ず『争いの神(実際には賭け事の神)』はどこかに漆黒の簪や帯などの装身具を身に着けているでしょう。
その装身具こそが『本来の争いの神』です。
賭け事の神は神や人間の喧嘩などにも『どのようにして相手と渡り合うか』という駆け引きを賭けの一環として楽しむために見に行きますが、どうやら争いごとが好きな争いの神のためにそれらをわざわざ見に行っているということもありそうです。
なんだかんだ言って争いの神のことを愛しており、【上天界】を降りたことに対する後悔はなく、むしろ自身の身を賭けた甲斐があったと自負してもいます。
また、争いの神との賭けについては初めから完全に自身の方に勝算があったため、公平な賭けではないことは理解していましたが、むしろそうした中での争いの神の反応が面白くて堪らなかったことから内容には満足しているようです。
本来は【賭けとは双方互いが公平な上に成り立っていなければならない】という信条があるらしく、そこに発生する駆け引きや やり取りを眺めることを何よりも好ましく感じているのだとか。
漆黒の髪に漆黒の衣姿をした、なんとも麗しい神です。
男神姿も女神姿も少々衣が薄いようで…いやがおうにも妖艶さが目立っています。
『賭け事を好む気質』というのは つまり賭け事に興じている神や人間同士の関わり合いを好んでいるということでもあるため、賭け事の神もすべての神や人間達のことを無条件に好ましく、愛らしく思っているのだとか。
【天界】で他の神を見つけるとすぐさま賭け事をしようと迫り、何度も何度も繰り返し賭けに付き合わせたりすることも…よくあるようです。
ーーーーーーー
・???
本来は戦や諍いなどを司る男神。
陸国という国を新たに興そうとしている人間達によって一番初めに【天界】で目醒めさせられた神でした。
自身が『争いの神』だと理解してすぐに人間達を互いに争わせて滅ぼそうとしていましたが、賭け事の神に見つかり、監禁された挙句 賭けに誘われたことによって結果的にその務めを放棄することになります。
それはつまり、陸国に安寧をもたらすということでもありました。
初めは賭け事の神に翻弄されて煮え滾る怒りと憎しみの気持ちでいっぱいだったものの、やがて長い年月を過ごすうちに文字通り身も心も屈服させられ、ついに自ら賭けへの負けを認めます。
おそらくですが…陸国の人々が諍いに関しての想いを届けることがなくなったため、自然と神力が弱まり、弱体化していくらか気性が柔らかくなったということもあったでしょう。
神力が人々から届けられなくなった神は消滅してしまうものですが、争いの神の場合は常に賭け事の神がそばにいて神力を分け与えているため、消滅してしまうことはないのだと思われます。
また、【天界】に住む男神とその側仕え(夫神)は精霊を生み出すことができますが、それは側仕え達が転生をして【天界】での神格を得たことによって可能になったことであり、出身が【上天界】という異なる世界である賭け事の神とは争いの神は精霊を生み出すことができません。
きっとこの先も2人、ひっそりと【天界】に佇む屋敷で暮らしていくでしょう。
屋敷の外に出る際は賭け事の神によって姿を変えられていますが、それは『器』に魄を移されているのとは異なりただ単に『変化』させられているというだけなので、賭け事の神や争いの神の気分によって姿はその時々で変わっているようです。
(ある時は大きな漆黒の山犬、またある時は大きな漆黒の烏、など…)
関係の始まりは最悪極まりなかったものの、今ではすっかり賭け事の神を受け入れ、愛してさえもいるのだとか。
武芸などの他には特に興味を持つものがなかった争いの神ですが、賭け事の神と共に目にするものにはなんでも関心を寄せているようです。
賭け事の神同様に漆黒の髪と漆黒の衣をしているそうです。
射るような目つき、そしていかにも武芸を嗜んでいるというような強靭な体つきで本来は近寄りがたい雰囲気を漂わせていますが…その姿を目にしたことのある者はただ一柱、賭け事の神のみです。
【地界】では時折小さな諍いも起きるようですが、そこには争いの神の神力となるような強烈な想いがこもっていることは『ない』とはっきりと言ってもいいくらいなので、これからも賭け事の神とは運命共同体というような形で日々を過ごしていくでしょう。
実は…
陸国は余所の国から1、2回ほど侵略のためらしい装備をした遠征隊を送られたことがあるようですが、それらはすべて争いの神と賭け事の神によってもれなく始末されています。
資源などを巡ってなのか、侵略を試みた国があったのでしょう。
相手方にも戦の神がついてきたことがありましたが、陸国を守護する神々はそれをはるかに上回る強さを誇っており、遠征隊は陸国に到着することすらできませんでした。
以降どの国からも遠征隊がやってくることはなく、陸国は平和を保っています。
陸国は何しろ広く、他の地域がそれぞれ『他の国』といった感じのため…人々も特に余所の国に関心を示すことがないようです。
武芸に秀でた争いの神と【上天界】から降りてきた強大な力を持つ賭け事の神が守護している以上、陸国はこの先もずっと安泰であるということは疑うまでもないこと、確実です。
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