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凰雅side 初めての出逢い 2

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「大樹 次のドライブウェイに寄って。」

母親は今も親父を名前で呼ぶ。
親父は母親にベタぼれで「さえ さえ」とべたべたしている。
そのくせモータースポーツが大好きで時間を見つけてはせっせとモータースポーツに一人で出かけ また時間を見つけては「さえ」に時間を費やしている。
 
ドライブウェイに寄ると
その先がえらく渋滞しているようで 暫く様子を見ることになり

「この先で事故があったらしい。」
「乗用車にトラックが突っ込んだって。」
「怖いねえ。」

なんてまわりで声がする。

ドライブウェイから駐車場を眺めていると一人の女の子の後ろ姿が目に入った。
顔が見えないのに不安そうに見えて

「トイレ」
と母親にことわって その子の元に行ってみた。

その子の側で 大人の女の人が電話をしていて

「そうなの 結ちゃんは私達の車に乗ってたから大丈夫だったんだけど」


俺はその話を聞きながら その子の横に立った。

なぜか そこに行かないと後悔する と 自分の根源に関わる何かが。
俺の血が騒いだから。

横に行くと誰かと間違えたのか 俺の服をぎゅっと握って。

「っどうしよう。っお お父様と おお母さまが。ううっ」

声にならないか細い声で恐怖と戦って。


......俺は今まで感じたことのない
不思議な感情が生まれ出すのを ゾクゾクと背筋に感じながら 
その子の手をぎゅうと握った。

その瞬間その子は俺を見上げ
俺はその子を見下ろして。



その女の子の涙で光る澄んだ瞳と 俺の手の中の柔らかい彼女の手を感じて
人間同士の間には勝敗があり それは対峙するまでも無く 只 近傍にいるだけで感じるもので 俺は今疑いなく 完敗した と悟った。



女の子は目を真っ赤にし涙は次々にあふれていて 口をきつく結び嗚咽が漏れないよう我慢している。

見たこともない人間だった事に驚きその子が離そうとする手を 
俺は逃がさんとばかりに強く握って。

「大丈夫だ 俺がいるから」

何でそんな事を言ったのか わからない。

ただその時 強くそう思った。

小2の稼ぎもないガキのくせに。
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