完璧なお見合い結婚〈完全完結〉9/12完全完結しました！

大学生 それぞれの始まり 4

急いでお披露目会の計画が進む中　目まぐるしく変わる周りや打合せに頭が追い付かずストーカーらしき人を気にするけれど　凰雅さんの周りにはそれらしき人がいっぱいいて見分けがつかない。

有名で有能でモテる人は大変なんだなあ　と初めて同情し

暫くボディガードをつけないか　と　凰雅さんに打診されたけど不自由な気がしてそれは断った。　






「明日ビリーと会わせてくれるんだろ？」

忙しい中　いつも通り時間を作って迎えに来てくれた凰雅さんに声をかけられ

自分の世界に入っていた私は

はっと我に返り

「はい。　それがね　凰雅さん　きいてくれる？」

少し前に里美とビリーと三人で会った時の違和感を話してみた。

凰雅さんは私の髪をやさしく撫でながら目を細めて見つめながら頷いて。


「いつになく二人の態度がよそよそしいの。あの里美よ？どう思う？」

「どうって...確かにあの里美がよそよそしいってのは妙だな。あいつなら何かあるならずばっときいてくる」

くるくる私の髪を自分の指に巻き付けながら凰雅さんが余り関心なさそうに言う。

「まあ　嫌いか。そうじゃねえなら　好きか　のどっちかじゃねえのか？」

「えっ！！」

そ　そう言うこと？
それは　まずい...ビリーはホモセクシャルなのに。
里美が傷つく。
　
凰雅さんも何かに気が付いたようで。
　
「そうか...そうか　ビリーもおかしいんだな？」

一人で頷いて私に質問する。

「そ　そうだけど。」

私がそう言うと　凰雅さんは目を眇めてニヤリとした。










「ちょっと　凰雅さん離れて」

外なのに　いつもよりこれ見よがしにベタベタしてくる凰雅さんを　一生懸命たしなめるけど　意地悪な顔をして　私が困っているのを楽しんでいるように見える。

溜め息をつき　観念した私は　凰雅さんの好きなようにしてもらって　なるべく気にしないように決めた。

私が抵抗しない事が分かると　益々好きなように私の腰を抱き　時折髪に唇を落としたり耳や頬にも唇を落とす。

もうやけくそになった私はアメリカにでもいるつもりで堂々として。

「そういう結もありだな。立ちそう」

と凰雅さんは耳元で囁き。
.....むかつく！絶対からかってる...！こっちは恥ずかしいのを我慢してるのに！

凰雅さんの傍若無人な態度にドギマギさせられながら　待ち合わせのレストランに到着すると　私が気づく前にビリーから声がかかった。

『ユイ　今日もかわいいね。』

そう言いながら差し出した頬を凰雅さんは私を引っ張って引き離す。
じろりとビリーを睨んで　凰雅さんは

『ここは日本だ』
と言い放った。

ビリーは笑いながら　凰雅さんに握手を求めて

『了解　凰雅さん。よろしく』

『...こちらこそこそよろしく』



そこからは　嫌なムードにはならなくて　意外にビリーと凰雅さんの話はほぼ初対面とは思えない位リラックスした感じで弾んでいる。
時折凰雅さんがスマホを気にしては入り口を見つめ。

凰雅さんらしくない行動に違和感を感じながら　それでも楽しく食事をしていると　私の後ろに誰かの気配を感じた。

「凰雅さん！何なんですか？これは」

紛れもなく親友の里美の声で　その途端飛び上がる様に席を立ったのは　ビリーだった。
間違いなくビリーは狼狽えていて　気のせいか頬が赤い。

何が何なのか　振り返って見ると　里美もビリーを見て赤くなっていた。


待って...!どういう事...？

ビリーってホモセクシャルだよね...?

バイじゃなかったよね..？

二人を交互に見ながら困惑した頭でどうにか着地点を見つけようと必死になっていると　ニヤリとしている凰雅さんが目に入った。

凰雅さんはビリーと目が合うと　悪い顔で笑いながら軽く頷き　ビリーはバツの悪そうな顔をしたあと　開き直った様に目に力を込めてから微笑んだ。...里美に。

びっくりして　思わず見入ってしまったけれど　全てを理解してしまった。
里美も　溜め息をついた後　照れくさそうに笑ってビリーに微笑みかける。

何だか　感極まって　言葉が出てこない。
...何なの　このサプライズは。

上手くいくかななんて保証はどこにもない。
ビリーの事も女の子と上手くいって欲しいなんて思った事もない。

なのに　この瞬間居合わせただけで　恋に落ちたこの二人を見た感動は凄まじく私を震えあがらせた。