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そのよん

そのよん-5

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「後ろのファスナー、下ろしてあげる」

にっこり笑って、ドアを閉めた。 

「じ、自分で出来るよ。それくらい」

「いいから」

尊はあたしに背中を向かせて、ファスナーを下ろした。

パサッ。と。

軽い衣擦れの音と一緒に、着ていたワンピースが床に落ちる。

「当日はちゃんとブラつけないとダメだよ?」

尊の両手が、後ろからあたしの膨らみを覆う。

「ち、ちょっと尊!」

「静かにして?外に聞こえるから」

アンタ何する気だあああ!!

場所をわきまえろおおお!!

尊は構わずに手を動かす。

膨らみの先端を指で弄ぶ。

「…やっん…だめだってばっ」

「声出さないでね」

耳元で尊が囁く。

ダメだってば!

こんなとこで!

何考えとんじゃ!!

尊の手は、腰骨をなぞり下着の中に侵入してくる。

「ふ…んっ!」

「濡れてるよ、みのりさん」

あざけるような言葉を、わざと。

必死に声が漏れない様に唇を噛みしめ。

「見て?みのりさん」

「…っ…やっ」

尊があたしの顎を掴んで、壁の鏡に顔を向かせる。

そこには、下着一枚だけ身に付けて、後ろから尊に弄ばれるあたしが。

「ちゃんと見て。みのりさんのイヤラシイとこ」 

「…や…だぁ…ってば」

「凄い溢れてくる。恥ずかしいの?」

尊がクスクス笑う。

もおおおおっっ!!

このドS!!変態!!

「はぅっ」

尊がいきなりあたしに。

「…さすがに、こんなトコじゃ時間かける余裕ないからっ…」

「んっ…あんっ…」

「我慢して?声」

「ふっ…んっ…」

んな事言っても…無理だってば!

尊は激しく動く。

「んっ…んんっ…ぐっ」

尊の手が、あたしの口を覆う。

「イキそうになったら俺の指噛んで。声我慢して」

あたしはもう、いっぱいいっぱいになり。

尊の指思い切り、噛んだ。

「んっ!んんーーっ!」

「…って…」

尊が小さく呻いて。

「…尊のばかぁ…」

尊の支えていた手から離れ、あたしは床にへたり込んだ。

もう、アンタって!

ちょっと涙目になるあたし。

「みのりさん、可愛い」

尊はキスをして、あたしを抱き締めた。

「服、着せてあげるから」

尊は手早くあたしに服を着せて。

「歯形、めっちゃついてる」

自分の指を見て笑った。 

試着室から出ると、アンティークな応接セットにこれまた素敵な紅茶のティーセット。

「何してたの?」

瞳子さんが、微笑みながら尊に問いかける。

「着替え手伝ってた」

事も無げにサラリと答える尊。

このドS!

ドSの上にあんなところでとかっ!変態!

「そう」

瞳子さんが、にっこりとあたしに微笑みかける。

うっ!

その微笑みが痛い。

バレてんじゃなやいのか?

と、あたしの顔は真っ赤。尊は涼しい顔で紅茶を飲んでる。

「こちら商品でございます」

スタッフのお姉さんが、お店の紙袋を持って来てくれた。

「あっ、どうも…」

値段を聞こうとした時。

「いくら?」

尊が財布を出した。

「いいっ、自分で払うよ!」

慌てて尊を遮る。

「どうして?彼女に服買ってあげるのなんて普通でしょ?」

「いや、普通って言われても」

決してお安いものでは無いし。

そんな簡単に買ってもらうとかいくら彼氏、っても。

とか、言い合いしてたら。

「尊に買わせちゃえばいいのに」

瞳子さんが、笑いながら言った。

「いえ、そんな。これくらい自分でお支払いします」

「可愛いわねぇ。みのりちゃん。いいわ。私がプレゼントするわ」

ええええええ!?

なんでえええ!?

「そんなっ!」

「だって、尊が初めて紹介してくれた彼女ですもの。記念に私からプレゼントするわ」

にっこり。

尊とそっくりな顔で、瞳子さんが笑う。

き、記念て。

記念が好きな親子だな。

「そのかわり…」

はいっ!?なんでしょう!?

「また遊びに来てね?みのりちゃん」

あたしの手を握りしめて、瞳子さんは微笑んだ。

瞳子さんに、何度もお礼を言ってお店を出た。

連絡先も交換した。

尊が初めて紹介した彼女。


瞳子さんの言葉に、かなりびっくりした。

「どうしたの?」

尊の声が頭の上から聞こえる。

尊は背が高いから、チビのあたしと並ぶと30センチくらい差がある。

「瞳子さん、綺麗やなぁて思って。尊そっくり」

「うん。俺、母親似だから」

「…尊って、親に彼女紹介したの、初めてやったんや」

なんか、あたしにとって。

嬉しいんだけど、こそばゆいと言うか。

「だって俺、まともに女の子と付き合うの、みのりさんが初めてだからね」

前にも聞いたけど、未だ信じられない。

尊にとっての「初めての彼女」があたしな事実。

「今まで遊びばっかりだったしね」

尊の顔が近づいてきて。

「本気で好きになったの、みのりさんだけだよ」

ほっぺたにキスした。

まっ!街中でとか!

はっ、恥ずかしいなっ!

「あは。顔赤いよ、みのりさん」

誰のせいですかああああ!!

「みのりさん、ここ入ろ?」

あたしの手を引いて尊が入ったのは、ジュエリーショップ。
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