64 / 151
オキシトシン
12
しおりを挟む「祐輔。洗濯物出しなさい」
「いっ、いいっ!」
夕方帰ってきたちいさんが俺に言うから思っきし首横に振った。
だってっ!パンツとかっ!いや、何回も見せてるよ?
けどっ!変なとこ汚れてたら恥ずかしいだろおおっ!
「良いから。着替えが無くなるでしょ!」
ちいさんにカバンごと奪われた。
「なんで着替えカバンに隠してるのよ。洗濯機に入れれば良いのに」
ぶつぶつ言いながら俺のカバンからパンツとか出して。うわっ!ヤバいっ!そのカバンにはっ。
ちいさんの手に薬の袋。あああ。なんか真面目な顔して袋の裏読んでるしっ!
ちいさんは俺見て。そんな眼で見ないでえっ!
黙って洗濯物持ってバスルームに行った。
俺、絶対呆れられてるよな。なんつっても、長イキだもんな。俺も呆れる。
気まずいままの空気でメシ食って。はっっ!
もしかして俺がいつも変な薬に頼ってるとか思われてんじゃっ。ちっ違うぞっ!あれ一回だけだぞっ。しかも効果無かったしっ!
メシ食って片付けて、ちいさんが乾いた洗濯物リビングに持ってきたから。ここは俺も手伝わねえとな。
何気に洗濯物取ったら。ち!ちいさんのおっ!ぱぱぱぱっ!
いや、いつも見てるけどっ、見てんだけどおっ!
「…なにしてるのよ…もう」
ちいさんがティッシュ俺に押し付ける。なんで?
「鼻血!出てる」
うっうそおっ!慌ててティッシュ鼻に詰める。
下着で興奮するとか俺は一体いくつのガキなんだよっ!!
「…ぷっ」
ぷ?
「くっ…あはは」
声出して笑うちいさん。え?なんでよ?
「バカみたいっ…下着くらいで鼻血とかっ…」
たまに思うけど。ホントはちいさんはこんな風に笑うから。
いつも冷たそうにしてるのはワザとかも知んない。
「ホント、子供みたいな事ばっかり考えて」
「俺…子供じゃねえよ」
ガキみてえな事ばっかしてるけど、子供じゃねえよ。ちいさんが今まで見てきた男からしたら俺はバカでガキかも知れねえけど。
「ちいさんは…俺の事弟みたいに思ってるの?」
ちいさんが笑うの止めて俺見る。
「…そうね。蒼が生きてたらって思った事はあるわ」
やっぱり俺は。
弟代わり?
「でも…」
でも?
「蒼はもっと落ち着いた子だったわよ。大人になっても多分落ち着いてたわよ。祐輔みたいに変な薬飲んだりしないわよ」
あっ、あれはっ!
「大体すっぽんエキスって!余計興奮するに決まってるじゃないの」
ええ?そうなの!?あれ飲んで余計に早くなったのってだからなのかっ。
あれ?俺さりげなくバカって言われてる?なんか、デジャブ?
「俺…俺はちいさんに男としてちゃんと見てほしくて…」
声がちっちゃくなる。なんかそんな事言えるほど、俺は出来は良くねえし。
唯一他の男と張り合えるセックスだって。
「…祐輔は祐輔でしょ」
洗濯物畳ながらちいさんが言ったから。
なんかまた。ちょっとだけ。
泣けてきた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる