「冷徹将軍との政略結婚は溺愛の幕開けでした~捨てられ令嬢は帝国で幸せになります

霧島

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第3章 夫の溺愛と実家の没落

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 グラナート帝国の将軍クラウス・フォン・グラナートのもとへ嫁ぐことになってから、およそ一か月。
 わたし、エリシア・フォン・ルクセンベルクは、いまだに自分の身に起こったことを実感しきれないまま、帝国の公爵家の屋敷で新生活を送っている。
 なにしろ、セレスティア王国で「冷遇される令嬢」として過ごしてきたわたしが、今では“冷徹将軍”と恐れられるクラウスの婚約者として、帝国の使用人や騎士たちから一目置かれる立場になったのだから。その変化はあまりにも大きい。

 けれど、あの父(アドルフ・フォン・ルクセンベルク公爵)や妹(ビアンカ)の家で過ごすより、今のほうがずっと穏やかで幸せだ。
 第一、クラウスは“冷徹”などという噂が信じられないほどにわたしを大切にしてくれる。これまで、誰からも必要とされず、道具のように扱われてきたわたしにとっては、その優しさこそが救いだった。

 そして、日々が過ぎるごとに――
 わたしに向けられるクラウスの視線は、優しさだけでなく、どこか強い熱量を帯びているように感じる。溺愛というには少々大げさかもしれない。けれど、屋敷の侍女やガートルード(侍女頭)は、面白がるように口々に言うのだ。

> 「将軍閣下がここまで誰かを甘やかすのは、初めて見ましたわ」
「エリシア様がいらっしゃるだけで、閣下の表情がとても柔らかくなるんですよ」



 わたしはそれを聞くたびに、こそばゆい気持ちで胸を締めつけられる。クラウス自身が「甘やかしている」という自覚はないようだけれど、事実、彼の行動や言葉はわたしを暖かな感情で満たしてくれるのだ。


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1.甘い日常――そして徐々に迫る社交界デビュー

 「エリシア、朝食は一緒にとろう」
 そんな声でわたしが目を覚ます日もある。クラウスは帝国軍の将軍として多忙を極めているはずなのに、できる限り朝夕の食卓をわたしと共にしてくれる。

「クラウス様、今朝は珍しくお早いですね……」
「報告書は夜明け前に一通り目を通した。今は少し落ち着いているから、お前の顔を見に来ただけだ」

 無骨ながら、さらりと甘いことを言う人だ。わたしがまだ眠気を引きずりながらベッドでぼんやりしていると、侍女たちが大慌てで着替えの用意をしてくれる。
 当然ながら、貴族の礼儀としては“まだ起き抜けの部屋着”なんて姿を婚約者に見せるのは恥ずかしい。わたしは慌てて立ち上がり、クラウスの顔を直視できずにそそくさと洗面台へ向かう。

「……こ、今しばらくお待ちくださいませ!」
「焦らなくていい。……お前がゆっくり準備している間、庭を一回りしてくるだけだ」

 言われて窓の外を見ると、屋敷の中庭では朝日がまだ低い位置から差し込み、噴水の水面にきらきらと光が揺れている。
 彼がいったん部屋から出ていくと、侍女たちが楽しそうに笑う。

> 「エリシア様、閣下がわざわざ起こしに来るなんて、よほどですわねぇ。今までは執務室にこもって誰とも顔を合わせずに過ごされることも多かったのに……」
「そうです。びっくりですわ。閣下がお優しい人だとは昔から知っていますが、こうも露骨に愛情を示されるのは初めてで……私たちも見ていて少し照れちゃいます」



 わたしが赤面しながら「あまり茶化さないでください」と言うと、侍女たちは「ふふっ」とまた微笑む。
 こんな何気ないやりとりですら、わたしの心は暖かく満たされていく。昔は誰かに微笑みかけられることさえ、ままならなかった。

帝国社交界への準備

 クラウスがわたしのことを甘やかしているのは、屋敷の外にも徐々に広まっているようだ。とりわけ、帝都の貴族が集まる社交界では、「冷徹な将軍が女を溺愛しているらしい」という噂が少しずつ囁かれ始めているらしい。
 そしてその流れの中、わたしも近々行われる舞踏会への出席がほぼ確定した。皇帝陛下のお披露目の茶会はひとまず問題なく済んだが、本格的に社交の場へ出るのはまだこれから。名実ともに「将軍閣下の婚約者」として認められるには、大勢の前で堂々と振る舞う必要がある。

「エリシア様、この書類をご覧になってくださいませ。帝国の主だった貴族の家名と紋章の一覧です。覚えておくと舞踏会などでお役に立つでしょう」
 そう言って差し出してくれたのは、侍女頭のガートルードだ。
「わ、こんなにたくさん……。覚えきれるかしら」
「大丈夫です。よくお出迎えする家や、大公爵家筋など、特に重要なところだけでも頭に入れておけば十分ですわ。初めから全部を完璧に覚えようとなさらなくても大丈夫。閣下がついておられますしね」

 わたしはガートルードの言葉に少し救われる思いで、書類にざっと目を通す。王国とはまったく違う家名も多いし、紋章のモチーフが紛らわしいものもある。早速、ノートを作り自分なりに整理し始めた。
 こうして日々勉強しながら、帝国での暮らしに慣れ、クラウスと共に少しずつ社交界へ足を踏み入れていく――その準備を続けるうちに、時はあっという間に過ぎていく。


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2.噂される実家のトラブル――ルクセンベルク公爵家の動揺

 ところが、そんな穏やかな日々の中でわたしの耳に飛び込んできたのは、セレスティア王国に残してきた“実家”、すなわちルクセンベルク公爵家にまつわる良からぬ噂だった。
 王国では、わたしの妹ビアンカが第二王子レナード殿下との婚約話を進めている――はずだった。少なくとも、わたしがこっちに来る前はそういう風に聞かされていた。だけど、どうやらその縁談が雲行き怪しくなっているらしい。

> 「ビアンカ嬢の評判がいま王宮でガタ落ちだとか……」
「第二王子殿下が他の令嬢に目移りされたのか、それともビアンカ嬢の性格に難ありと判断されたのか……。とにかく破談が濃厚のようですよ」



 そんな話を、屋敷の侍女たちが雑談まじりに口にしているのを小耳にはさんだとき、わたしは自分でも驚くほど心臓がドキリとした。
 ビアンカは、父に溺愛され、わたしが持っていたはずの第二王子殿下との婚約を横取りした形。あの子が王太子妃候補になるかもしれない、と周囲が浮き足立っていたことを思えば、破談の話など夢にも思っていなかったのだろう。
 それが急転直下、破談の危機――。となれば、当然、公爵家は王宮からの信用を大きく失うことになる。そして、それはわたしの実家の没落を意味する可能性が高い。

「……わたしにはもう、関係のないことだと思うけれど……」

 そう自分に言い聞かせる。実際、わたしはあの屋敷で散々冷遇され、すでにこの帝国へ嫁いだ立場。あちらの事情に口を挟む余地などない。
 ただ、血のつながった家族といっても、わたしには微妙な感情が残る。言いようのない寂しさと、正直「ざまあみろ」という暗い感情が入り混じり、複雑な気持ちで胸が締めつけられた。

 すると、わたしの表情の変化にすぐ気づいたのか、クラウスが声をかけてくる。執務室へ向かおうとしていた足を止め、わたしの顔をのぞき込んだ。

「エリシア、どうした。顔が青いぞ」
「い、いえ……少しだけ、実家の話を聞いてしまって」
「……ルクセンベルク公爵家のことか」

 彼は低く息をつき、隣に立つわたしの肩に手を回すようにして支えてくれる。やわらかな圧力と体温が、わたしの心を不思議と落ち着かせた。

「王国の動向は常にチェックしている。公爵家が危ういのは事実だ。……だが、お前が心を痛める必要はない。お前はすでにあそこから解放されたのだから」
「ええ、そうですね……ありがとうございます」

 うなずいたものの、過去の記憶が胸をチクリと刺す。わたしを道具扱いし、誰一人として助けてくれなかった実家――それでも「完全に無関係になった」とは、なかなか切り捨てられない自分もいる。
 それを知ってか知らずか、クラウスはそっとわたしの肩を抱き寄せ、耳元で囁く。

「もし気になるなら、俺が探りを入れることもできる。……だが本当にそれが必要か? お前は今、ここで新しい人生を歩んでいるんだぞ」
「……そう、ですね。いまはまだ、何も聞かなくていいです。ごめんなさい、変な顔をしてしまって」
「謝るな。……お前はお前のままでいい」

 その言葉に、わたしはほっと息を吐く。いつもクラウスはわたしの心に寄り添い、けれど強要も否定もしない。ただ、わたしの意思を尊重してくれる。それがどれほど有り難いことか――かつての家では味わえなかった自由だ。


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3.実家からの手紙――身勝手な援助要請

 その予感が的中したのか、ある日、さらにわたしの心を乱す出来事が起こった。
 グラナート帝国における郵便・伝令役を務める兵が、わたし宛の書簡を届けてきたのだ。宛名を見ると、差出人は――アドルフ・フォン・ルクセンベルク公爵、つまりわたしの父。

「父から……ですか?」
 わたしが思わず口にすると、手紙を受け取ったクラウスが軽く眉を寄せる。
「……やはりか。最近の王国の情勢からして、公爵家が何か仕掛けてくる可能性はあると思っていたが」

 クラウスはそれ以上は何も言わず、わたしに手紙を手渡してくれた。緊張で唇が乾き、恐る恐る封を開ける。中には父の特徴的な筆跡で、予想どおりの内容がぎっしりと書かれていた。


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**『エリシア。貴様が帝国に渡って以来、我がルクセンベルク家は不当な仕打ちを受けている。第二王子殿下との縁談も危うく、ビアンカは破談の危機だ。周囲の貴族たちも我が家を冷遇し始め、家が立ち行かなくなる恐れがある。

 もとはといえば、お前がセレスティア王国の和平に貢献するために帝国へ嫁いだのだろう? ならば、それなりの責任を果たすべきだ。帝国の将軍とやらを説得し、こちらへ支援を送るよう取り計らえ。財政的な援助でも構わん。とにかく我が家が没落しないよう手を尽くせ。

 お前がルクセンベルク家の娘であることを忘れるな。すぐに返事をよこせ』**

 あまりの内容に、わたしは開いた口が塞がらず、呆然とする。そこには「助けてほしい」という言葉は一切なく、まるで「当然の義務」であるかのように帝国からの支援を取り付けろと要求してきている。
 そもそも、わたしは彼らにとって無能な厄介者の娘でしかなかったはずだ。にもかかわらず、いまさら「公爵家を救うために動け」と言われるなど、あまりにも身勝手だ。

「……ふざけてる。どうしてここまで一方的に……」

 手紙を握りしめ、震える声でそう呟く。クラウスが黙ってわたしの手元に視線を落とし、紙面を確認し終えると、小さく舌打ちしたように見えた。

「……思ったとおりだな。家が崩れかけているから、“帝国へ嫁いだ娘”を利用しようというわけだ。もっとも、お前の父の性格を考えれば驚きでもないが……」
「わたし……どうすれば……。こんなの、無視したいです。わたしにはもう、あの家に義理はありません」

 本音がこぼれ落ちる。かつては父に認めてほしいと必死にもがいていた時期もあった。けれど今となっては、自分を人間扱いしてくれなかった実家に対する愛情はほとんど枯れている。
 にもかかわらず、“血のつながった家族”というだけで、ここまでの横暴を押し付けられるなんて――。

「エリシア。お前はどうしたい? 返事を出したいか、それとも無視するか。……どちらを選んでもいい」

 クラウスはわたしの意思を確かめようとしてくれる。彼なら、もしわたしが「助けたい」と言えば何かしら動きはしてくれるだろう。だが、わたしの胸に残るのは“怒り”と“呆れ”だ。助ける理由など、どこにも見当たらない。

「……返事は、出したくありません。わたしからも帝国からも援助なんて、絶対にしない。そのまま処分していただいて構いません。国交に影響が出そうなら、その点だけはご迷惑をかけてしまいますが……」
「それは問題ない。セレスティア王国自体は停戦協定を守る姿勢を見せているし、一公爵家が没落しようが帝国の方針が揺らぐことはない。……お前が本当に関わらなくていいというなら、そのように手配しよう」

 わたしは深く頷く。そして、彼から手紙を返してもらい、破り捨てたい衝動に駆られた。しかし、さすがに公式の文書を目の前で破るのは憚られ、クラウスに処分を任せることにする。
 涙が出るかと思ったが、不思議なほど冷静だった。かつての自分なら“家族の危機”という言葉に動揺し、何とかして役に立ちたいと願ったかもしれない。でも今は――もう二度と戻りたくない。あの冷たい屋敷へは。

「……ありがとうございます、クラウス様。わたしのわがままを聞いてくださって」
「わがままでもなんでもない。お前が傷つく必要はない。……むしろ、俺の目からすれば、もっと相手を罵倒してもいいくらいだと思うが」

 そう言いながら、彼はわずかに目を細める。まるで「よく耐えたな」とでも言いたげに、わたしの頭をそっと撫でてくれた。その手の温かさに、わたしは泣きそうになる気持ちを必死にこらえる。
 わたしは――もう後ろを振り向かない。あの家がどうなろうと、わたしには新しい人生があるのだから。


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4.甘やかされる日々――夫(婚約者)の優しさに包まれて

 実家からの一方的な手紙が届いて数日後。わたしは相変わらず、帝国での日常を淡々とこなしていた。
 ――と言っても、その「日常」はセレスティア王国にいたころとはまるで違う。何より、クラウスの“溺愛”ぶりが周囲を驚かせるほどに強まっているからだ。

 朝食前、わたしが中庭を少し散歩していると、彼が執務室から抜け出してわざわざやって来る。
「おい、エリシア。こんな朝早くから一人で歩き回って、寒くないか?」
「大丈夫ですよ。少し風は冷たいですけど、歩いていれば平気です」
「そうか。……なら、お前に付き合おう」

 さらりと隣を歩くクラウスに、近くの使用人たちは「また将軍閣下がお嬢様を優先しておられる……」というような視線を向ける。
 わたしが「ご迷惑では」と申し訳なく思うと、彼は「迷惑?」と不思議そうに眉をひそめる。

「俺が好きでやっていることだ。――お前は気にしなくていい」
「でも、いつも公務でお忙しいでしょうし……」
「公務など、やり出せば一日かかる。だったら、休憩くらい好きにさせろ。……それより、お前の歩幅が少し大きいな。もう少しゆっくり歩け」

 わたしの手をさらりと取り、歩調を合わせてくれる。その様子を目撃している使用人や衛兵が、こっそり視線を交わしているのがわかる。
 彼は人前でも平然と距離を近づけてくるから、わたしの心臓は常にドキドキだ。頬が熱くなる。だが、その反面、幸せな気分に満たされるのも事実だ。

 夜になると、夕食を一緒に摂ることも多い。わたしが食事を終えたころを見計らって、彼の執務が一段落ついていれば、「少し部屋に来い」と声をかけてくれる。
 最初の頃は「いえ……何をするんですか?」と警戒(というか恥ずかしさ)で固まったが、彼に悪戯めいた笑みを向けられ、「何もしない。ただ、話をしたいだけだ」と返されてしまった。
 実際、彼の部屋でちょっとしたお茶を飲みながら、日々の出来事を語り合うだけ――なのに、わたしにとっては心臓に悪いほど甘い時間だ。

「お前の勉強の進み具合はどうだ? 帝国の紋章一覧はもう覚えたか?」
「半分くらいですかね。まだ似たような紋章が多くて、少し混乱しちゃいます」
「ふむ。明日は俺が時間を作って、どこかの貴族をお前に直接紹介してやろう。それが一番早い」
「そ、そんな急に……。でも、助かります。ありがとうございます」

 何気ない会話。だが、クラウスの視線は終始わたしの動向を逃さないように注がれていて、まるで恋人同士が夜な夜な逢瀬を重ねているような――そんな雰囲気。
 もしビアンカがこれを見たら、目を剥いて驚愕するに違いない。

> (わたしは、愛されるために生まれてきたのだろうか……)



 そんな、まるで夢を見るような思いが頭をよぎる。昔なら「そんなわけない」と即座に否定したが、いまは、クラウスの温かさがあまりにも現実的だからこそ、自分が信じられなくなるくらいに幸せなのだ。


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5.皇帝陛下のお披露目を経て――帝国社交界へ

 やがて、わたしは皇帝陛下に正式に“クラウスの婚約者”として認められ、お披露目の小さな茶会にも参加した。
 そこでは皇帝陛下のほか、帝国の重臣や近親の貴族らがわたしを観察するように見つめてきたが、クラウスがさりげなく助け船を出してくれたおかげで、大きな失敗はなかった。
 むしろ、「セレスティア王国の令嬢とは思えないほど落ち着いている」と、ある重臣が評してくれたようだ。実際のところ、内心は緊張で震えていたのだけれど……。

 クラウスがその夜、茶会を終えて屋敷に戻ったわたしに言った言葉は、今でも忘れられない。

「エリシア、お前は思ったよりずっと社交の場に向いている。……自信を持て。俺が保証する」

 彼のそのまっすぐな瞳と肯定の言葉が、わたしをどれほど救っただろう。もともと実家での暮らしのせいで、わたしは自分を「何の役にも立たない存在」と思い込んでいた。だからこそ、彼の手を借りながら少しずつ周囲に認められていくのは、全く新しい感覚だった。
 そして、そこに重なるように、わたしの実家――ルクセンベルク公爵家の凋落の噂がどんどん強まっていく。


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6.実家の没落――妹の破談と父の足掻き

 第二王子レナード殿下とビアンカの婚約話は、最終的に破談に至ったという。理由はいろいろ囁かれているが、有力なのは「ビアンカの性格の悪さが露呈し、殿下が愛想を尽かした」という説だ。
 どんな経緯があったにせよ、王家や貴族社会では「もうルクセンベルク公爵家は信用に値しない」と見なされ、急速に支持を失ったらしい。実際、ビアンカの醜聞は王宮で大きな話題となり、父の政治的影響力も一気にしぼんでしまったという。

 そんな中、父は最後の悪足掻きとして帝国に縋ろうとした。わたしに宛てて「援助を取り付けろ」と書いてきたのは、まさにその行動の一環。だが、わたしはそれを無視し、クラウスも相手にしないよう取り計らってくれた。
 結果、公爵家は周りからどんどん見放され、商人たちも安易に信用を与えなくなった。領地経営もうまくいかず、屋敷では使用人を次々と解雇し、かつての繁栄は見る影もないらしい。

「……ざまあみろ、と言いたいわけじゃないけれど……」

 わたしは素直にそう思ってしまう自分に驚く。父やビアンカに散々冷たい仕打ちをされてきたのだから、この程度の“報い”があってもいいのではないか――というささやかな仕返し心。

 その話をクラウスに打ち明けると、彼は珍しく苦笑めいた表情を浮かべた。
「本当に“ざまあ”と思っているなら、それはそれでいい。……お前を散々粗末にした家が没落したところで、俺は一ミリも同情しないがな」
「……わたしだって、できれば誰も不幸にならずに済むほうがいいんでしょうけど……実家には、あまりにも嫌な思い出が多すぎて」
「そうか」

 そこまで言ったところで、クラウスはわたしの手をとり、少し強い力で握ってくる。落ち着いた、しかし揺るぎないまなざしがわたしを見つめていた。

「エリシア。もう後ろを見なくていい。……お前はここで新しい人生を築く。それが俺との約束だ。お前自身も、そう望んでいるのだろう?」
「……はい。そう、思います」

 わたしは頷きながら、心にわずかに生まれた罪悪感を振り払う。どんなに小さくても、父たちが没落していく現実を“気持ちいい”とは言い切れない。だが、それでもわたしはもう戻らない。戻りたくもない。
 ――これ以上、過去に縛られる必要などないのだ。


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7.初舞踏会への出席――クラウスの揺るがぬ愛情

 そんなわたしを後押しするかのように、クラウスは大きな決断を下した。
 帝都で近々開催される舞踏会に、わたしを正式に連れていく。しかも、できるだけ多くの貴族たちにわたしを“婚約者”として紹介し、社交界へ本格的にデビューさせるつもりだという。
 この提案を最初に聞いたとき、わたしは大きく目を見開いた。

「そ、そんな……わたしはまだ、帝国の社交界に不慣れですし、踊りだってセレスティア式しかろくに覚えていません……」
「何の問題もない。お前は基本を習っているし、俺がリードすればそれなりに踊れるだろう。……それに、これ以上お前を“隠し宝”にしておくのも面倒だ。俺の妻になる女だということを、周囲に刻み込んでおきたい」

 その言葉に、わたしは思わず耳まで赤くなる。彼としては、溺愛を惜しみなく披露して「お前たち、手を出すなよ」という牽制も込めているのかもしれない。実際、わたしの存在を“利用”しようとする貴族が舞踏会に現れるかもしれないし、変に言い寄ってくる輩もいるだろう。
 しかし、クラウスがそうした不安を一掃してくれるなら、わたしは自信を持って臨むことができそうだ。

 舞踏会当日。きらびやかに着飾ったわたしは、自分で鏡を見ても別人のように感じる。ガートルードや侍女たちが総出で選んでくれたドレスは、帝国らしい意匠を取り入れつつも、わたしが着ていて無理のないデザイン。髪も上品にまとめられ、宝石の髪飾りがきらきらと輝いていた。

「……これがわたしなの……?」

 呟いた瞬間、部屋の扉がノックされ、クラウスが入ってくる。彼もまた正装で、軍人らしい上質な服装がどこか凛々しく、金色の瞳をさらに映えさせている。
 わたしが見惚れていると、彼のほうもじっとわたしを見つめて口元を上げた。

「……いいじゃないか。よく似合っている。……いや、正直、他の誰にも見せたくないくらいだな」
「そ、そんな……褒めすぎです」
「事実を言ったまでだ。……行くぞ。馬車が待っている。今夜はお前が主役だ」

 そう言われて、胸が高鳴る。クラウスは当たり前のようにわたしの手を取り、ドアを開けて廊下へ進む。侍女や騎士たちが列を作るように見送ってくれるなか、わたしは深く息を吸い込んだ。

舞踏会の華やかな夜

 大公爵家が主催する舞踏会が開かれる館は、帝都でも指折りの豪華さを誇る建物だった。玄関前には多くの馬車が並び、煌々と明かりが灯る階段を貴族たちが次々と上がっていく。
 その中に混じってわたしたちも馬車を降りると、クラウスはわたしの緊張を解くように静かに囁く。

「大丈夫だ。俺がいる。……堂々と歩け」
「はい……」

 彼の手を借りながら赤い絨毯を進むと、館の中は壮麗な装飾と人々の笑い声と音楽で溢れていた。きらびやかな衣装を纏った貴族たちが、思い思いに会話を楽しんでいる。
 その光景だけで、わたしは圧倒されそうになるが、クラウスは腰に手を添えてわたしの歩幅を気遣ってくれる。どれほど心強いか、言葉にできない。

 会場を一瞥していると、すぐに何人かがわたしたちに気づき、視線を向けてくる。
 ――“冷徹将軍”が婚約者を連れて現れた。
 そんな視線を感じつつも、クラウスは悠然とした足取りでホールへ進み、周囲の貴族や知己の者に軽く挨拶を交わしていく。

「クラウス様、みなさんこちらを見てますね……」
「ああ。お前が想像以上に美しいから、彼らも見惚れているのだろう」
「や、やめてください……! 緊張が増します……」

 わたしが赤面して抗議すると、彼はクスリと笑ってわずかに肩をすくめる。どうやら緊張をほぐすために、わざとそんなことを言ったらしい。
 ほどなくして、数名の貴族が挨拶にやって来る。中には以前屋敷に押しかけてきたオーバーグ男爵の姿もあったが、彼は「これは将軍閣下……」と、わたしたちの機嫌を損ねないように必死で媚を売り、そそくさと離れていく。

 わたしとしては、想像していたより敵意を向けられていないことに安心した。多分、クラウスが隣にいるから誰も迂闊に手出しできないのだろう。周囲はこわごわと様子をうかがいながら、「初お披露目の令嬢」としてわたしに興味を示している。

「こんばんは、将軍閣下。それに……エリシア様とお呼びしてよろしいのでしょうか?」
「は、はい。はじめまして。セレスティア王国から嫁いできたエリシアと申します。どうぞよろしくお願いいたします」

 バタバタしつつも、一人ひとり丁寧に言葉を交わしていくうちに、わたしは次第に自分を取り戻してきた。練習した通りの笑顔と挨拶を繰り返し、相手の名前や紋章を頭の中で照合する。どうにか大きな失態は避けられているようだ。
 人がある程度落ち着いたころ、ホール中央で音楽が始まり、優雅な舞曲が鳴り響きはじめる。貴族たちが次々にパートナーを誘いあい、フロアで踊り始めた。

「エリシア。踊ろうか」
「え……わたしでいいんですか?」
「お前のデビューだぞ。俺が真っ先にリードしないでどうする」

 クラウスはそう言って、わたしに手を差し伸べる。ドレスの裾をほんの少し持ち上げ、わたしは彼の手を取った。軽く指先が触れるだけなのに、心臓が高鳴る。
 音楽に合わせて、わたしたちはホールの真ん中へ。彼がわたしの腰を支え、片手を繋いだままゆっくりとステップを踏み出す。セレスティア式とはステップのタイミングが若干違うが、クラウスのリードが的確で、わたしはそれに合わせて足を動かしていく。

 ――ひとつ、ふたつ。回転するたびに彼の胸元が近づき、その体温と力強さがわたしを支えてくれる。曲が緩やかに盛り上がり、ふたりの距離が微妙に変化する。視線が交錯したとき、クラウスが微かに唇をつり上げた。
 優しいとはいえ、戦場で鍛えた体躯はやはり筋肉質で頼りがいがある。腕の力だけでわたしをくるりと回してみせると、わたしはふわりと宙に浮いたような感覚すら味わう。
 いつしか周囲も、わたしたちを遠巻きに眺めて拍手をしていた。何より、音楽に合わせて踊るという行為がこんなにも楽しいものだとは……!

「……エリシア、苦しくないか?」
「だ、大丈夫……。クラウス様がリードしてくださるから……」
「そうか。なら、もう少し動きを大きくしてもいい。――ついてこい」

 クラウスが少し声を低め、わたしの手を取り直して勢いよくステップを踏む。慣れない動きに一瞬足がもつれそうになったが、彼がしっかりと腰を押さえてくれるので転ばずに済む。ほっと息を吐きつつ、わたしは笑みをこぼす。
 音楽が終わり、ふたりの動きが静かに止まると、会場から自然と大きな拍手が起こった。わたしは軽く息を切らしながら深くお辞儀をし、クラウスに支えられるようにしてフロアから下がる。

「素晴らしかったですよ、エリシア様!」「将軍閣下、お見事なステップでした!」と、あちこちで声が上がる。
 中にはやや嫉妬や警戒を含んだ視線も混じっているが、今のわたしにとっては大した問題ではない。何より、クラウスがわたしの手を離さず、堂々としていることが最大の抑止力だ。

「……ありがとう、クラウス様。わたし、意外と踊れるんですね……」
「当たり前だ。元々、お前には素質がある。……見事だったぞ」

 言葉少なに、しかしはっきりと褒めてくれる。わたしは彼の礼儀をわきまえた振る舞いに感謝しつつ、そのまま彼の腕に身を預ける。胸がドキドキと高鳴って落ち着かないけれど、今はこの幸福感に浸りたい。
 ――こうして、わたしの帝国社交界デビューは、舞踏会を通じて華やかに果たされることになったのだ。


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8.それぞれの道――わたしの未来と公爵家の破滅

 舞踏会が終わり、屋敷へ戻った後も、わたしはしばらく興奮が冷めやらなかった。ドレスを脱いでも、クラウスの腕の感触や手のぬくもりが頭から離れない。
 そうしてうとうとと半覚醒のまま眠りについた翌朝、決定的な知らせが舞い込んできた。

「エリシア様。……セレスティア王国のほうで、ルクセンベルク公爵家が王宮から正式に“冷遇対象”として扱われることが決まったそうです。領地の一部没収や、重臣の地位剥奪も検討されているとか……」
「……そう、なんですね……」

 侍女からそう告げられ、わたしは静かに目を伏せる。これで、わたしの実家は完全に没落の道を辿ることになるのだろう。ビアンカの婚約破談と相まって、公爵家はもうどこからも援助を得られない。父の必死の手紙も、わたしが握り潰してしまった。
 自業自得、と言えばそれまでかもしれない。しかし、血の繋がった家がこうもあっけなく崩れ去るのは、なんとも言えない気持ちだった。どこか、わたしの中で“ざまあ”という感情と、“やはり寂しい”という感情が入り混じる。

 だけど、もう決めている。わたしは二度とあの家に戻らない。関わらない。
 クラウスにもそう宣言してあるし、彼もそれを尊重してくれている。わたしはグラナート帝国で、クラウスの婚約者として、そしていずれは正式な妻として生きていく。それがわたしの選んだ道だ。

「……エリシア、寝起きに重い話をしてすまないが、大丈夫か?」
 いつの間にか、クラウスが心配そうに部屋の戸口からわたしを見ている。わたしは「おはようございます」と挨拶しながら、寂しそうな笑みを浮かべる。

「大丈夫……です。むしろ、はっきりしたほうがいいと思います。わたしは、もう父や妹に振り回される必要がないんだって……」
「そうか。……よかった」

 彼はそれだけ言うと、さりげなく部屋に入り、わたしの肩を抱き寄せる。人目をはばからず、いつものようにまっすぐな瞳を向けてきた。
 その瞳に迷いなく映るのは、“いまここにいるわたし”だけ。過去ではなく、セレスティアのルクセンベルク公爵家の令嬢でもない。ただ――エリシア・フォン・ルクセンベルク、という一人の女。

「エリシア、これからも俺の隣にいろ。……お前が何を思い、どう生きようと、俺がお前を守る」
「はい……わたしも、クラウス様に守られるだけじゃなくて、いずれはあなたの力になりたいんです」
「そうか。期待している。……それまで、お前はただ幸せになれ」

 その言葉が、どれほど強い力をわたしに与えてくれることか。
 過去の呪縛から解放され、どこまでも“溺愛”してくれる男のもとでわたしは輝き始めている――実感として、そう思えるのだ。


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エピローグ:新しい居場所を得たわたし

 ――あれから数週間。
 ルクセンベルク公爵家は、事実上の政治的権力をほぼ失い、王宮での影響力も完全に断たれた。妹ビアンカの破談騒動が決定打となった形で、父はあちこちに助けを求めたらしいが、結局誰も手を貸さなかったそうだ。
 使用人たちの大半が屋敷を去り、貴族の屋敷としての体裁すら保つのが難しくなっている――という噂が、王国から帝国へと伝わってきた。
 わたしはその話を耳にして、もうほとんど動揺しなかった。ああ、やっぱりそうなったんだな、という程度の感想しか浮かばない。彼らの“ざまあ”を願っていたわけではないが、それでも「必然の結果だろう」と思う。

 一方、わたし自身は舞踏会を機に帝国社交界に顔を出し、クラウスとともに公の席に出ることも増えてきた。最初は彼の威光に助けられてばかりだったが、今では少しずつ自分で会話を切り盛りできる場面もある。
 人々の評判はさまざまだが、少なくとも“お飾りの令嬢”とは思われていないらしい。セレスティア王国で育った教養や礼儀が、皮肉にも役に立っているのだ。
 それに何より、わたしの隣には必ずクラウスがいる。彼の存在はわたしを恐れずにいられる最大の理由。すべての不安を取り払ってくれる、最強の味方だ。

「エリシア、次の会合は三日後だ。……面倒なら出なくてもいいぞ?」
「いえ、頑張って出席します。クラウス様の仕事の邪魔にならないように、きちんと振る舞います」
「そうか……」

 彼は短くそう返事をすると、わたしの肩を支える手にわずかに力をこめた。日増しに深まっていく、彼の愛情――そしてわたしも、もっともっと彼に応えられるようになりたい。
 故国のしがらみと、実家の呪縛から解放されたわたしが見つけたもの。それは、クラウスの隣で生きるという“新しい居場所”だった。
 わたしはようやく理解する。自分は、誰かの道具でも飾りでもなく、一人の人間として生きていいのだと。あの家が没落したのは悲劇かもしれない。でも、それはわたしのせいじゃない。彼ら自身が選んだ結果なのだ。

> 「わたし、これからは――この帝国で、クラウス様とともに未来を紡いでいく。もう、振り返らない」



 そう心の中で強く誓う。
 愛してくれる人がいる。わたしを認めてくれる人がいる。この幸せを手に入れた今、あの家の没落に手を貸すつもりはないし、戻る気も毛頭ない。
 ――ビアンカや父がもし後悔しているとしても、わたしは知りたくもない。これが、わたしの“ざまあ”なのだろう。けれど、その言葉をわざわざ口に出して確認する必要などない。“あのとき”もう決まったはずだから。

 こうして、わたしはクラウスとの日々を重ねながら、真の意味で自由と安らぎを得ていく。
 政略結婚で始まったこの縁は、今やわたしを心から溺愛してくれる夫へ――そして、わたし自身も彼を深く慕う存在へ変わりつつある。
 第二王子との破談を迎えたビアンカも、没落を迎えた父も、もうわたしの足枷にはなれない。どんなふうに思われようが、わたしの心は揺るがない。
 ――なぜなら、わたしが歩む先には、あの人の強い腕と、あたたかな眼差しがあるから。

 “あなたは道具じゃない。俺の妻になる人間だ”
 その言葉を思い出すたびに、わたしは込み上げてくる喜びを噛みしめる。




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