悪役令嬢ではなく歌姫です

広水 滝 (ヒロミヅ タキ)

文字の大きさ
2 / 3
一章

一話

しおりを挟む
  私は転生者だ。


 しかも、中世ヨーロッパ風乙女ゲームの悪役令嬢に転生したのだ。

 まぁ小説や漫画でよくあるだろう。ある少女や女性が転生してゲームの悪役令嬢になって破滅フラグを無くすためにあーだ、こーだやる物語が。


 だが、私はそんなテンプレどうりのことをやるつもりはない。
というか興味無いし、知ったこっちゃない。
…嘘、実は少し、いや結構興味がある。だけどやるつもりはあまりない。
いやどっちなんだよ笑


 そんな私が何故この世界がゲームの世界だと気づいたのか。それは私がまぁまぁのオタクだからである。

 小・中・高と少年少女の漫画を読みあさり、ありとあらゆる小説読んだ。
中でも異世界ものが好きだった私は、冒険、魔法、チート、フラグ、恋愛のあるものばかり見ていてアニメも沢山見ていた。もちろん『ラノベ』(ライトノベル)もしっかり見ていた。
あと、ついでに言うとゲームも始めたものは全てコンプリートする程やっていた。


 とまぁ、こんな感じの本格的なガチオタクだったので一時期中二病のようなものになっていたことがあった…
 だが勘違いしないで欲しい、私は決して中二病になっていた訳では無い、中二病のよ・う・なものになっていただけなのである。

  今までの話からしてまぁまぁのオタクという話から矛盾してガチオタと言っているがそれは触れないでおこう…


っと、話はこの辺にしておいて、本題に戻ろう。
なんでゲームの世界だと分かったのかっていう話からなのだが…まぁ私がオタクというのもあるが…うむ……皆よく考えてみて欲しい、よく物語で「この世界で過ごしているうちにここがゲームの世界だった事に気づいた」とか言ってるのがあるだろ?

 そこで私は思った……、「普通ゲームの世界なんだから気づくだろ!だって二次元の顔してるんだよ!」と…だから私はその通り転生してみんなを見た時に(自分を含め)二次元の顔をしていたので即座に「ここはゲームの世界だ!」と分かったのである。


 でもここで一つ皆が疑問に思っている事があるだろう。それは、なんで私が転生したのかという事だ。

ここで一応私の前世について教えよう。
私の前世での名前は花園美琴。歌い手として活動をしていた。だが、ある日の夜突然誰かに刺されて死んでしまったのだ。誰に刺されたのか今じゃ全く覚えていない。
 その後、目覚めると何故か赤ちゃんに転生していたという訳だ。


 っと、茶番はここまでにして自己紹介をしよう。
 今の私はティアナ・オルゴールという悪役令嬢に転生している。歳は十で今年十一になる。
 詳しい見た目を言うと、パールのような白くキラキラした髪に、まだ子供なのでクリクリのおっとりした薄桃色の綺麗なおめ目をしている。

 とても可愛らしく美人なので、本当に悪役令嬢なのか?むしろ主人公だろ!とも思ったがゲームの設定上とやかく言っても仕方がない。
    

 さて、話を変えよう。これから私はどうするのかということについてだが………特に決まってない!
 最初の方で言った通り破滅フラグを折るなんてことは面倒臭いし、かといって破滅まっしぐらに進むのも良くない。
そこで、私は考えた。前世の記憶を活かしてこの世界に歌を広げようと!

この世界に歌というものはあるが、皆はそれに関心がない。そこでわたしが歌を届けることによって歌の良さを知ってもらおうと考えているのだ!

歌の練習もずっとこっそりやっている。
だが、まだ十歳の子供にそんなこと出来るはずもなく私はずっと悩んでいた。


「あーもう!どうすればいいか全然わかんない。こういう時は息抜きに庭でゆっくりと過ごしましょう!」

外に出るためベルを鳴らしメイドのフランを呼んだ。
貴族ではメイドを呼ぶ時にベルを鳴らすのが基本なのだ。


「お嬢様何か御用ですか?」

フランは私の専属メイドで小さい頃からずっとお世話をしてもらっている。

「これからお庭に行きたいのだけれどドレスを出してほしいの」

「かしこまりました」

「お嬢様、今日はお客様がお見えになるそうなので、綺麗なドレスを出して置きますね」


お客様?誰が来るのかしら…

「ねぇフラン」

「はい、なんでしょうか?」

「今日来るお客様ってどなたなの?」

「えーと、確かフルート家の方だったと思います」

フルート家?どっかで聞いた事あるような…

「そう、ありがとうフラン。それじゃ行ってくるわね」

「はい、行ってらっしゃいませ。なるべく早くお戻りください」

「わかったわ」


私は水色のキラキラした綺麗なドレスを見にまとい庭へと向かった。


*  *  *

 庭に出ると空は快晴でそよ風が気持ちよくとても心地よかった。
家の庭には大きな木が一本生えておりその近くに噴水もあった。

私はいつものように噴水近くの大きな木の方に向かった。

「やっぱり外って気持ちいわ~」

ここにいる時はあまり誰も来ないため素の自分で居られ、とても好きな場所だった。

「こういう心地のいい日って歌いたくなるのよね~」


「っ」

どこまでも   広いがる空    輝く太陽   どうしてだろう   この世界は    今日もこんなに美しいのに   澄んだ空を   雲の色を   見せたい   あなたに   二人で交わした約束   今も   覚えていますか   もう一度   会いたい   あなたに


目をつぶりそよ風に揺られながら前世の頃に自分で書いて歌っていた曲を歌う

歌い終わり目を開けると目の前に誰かが立っていた。

うそ!聞かれた!


目の前に立っていたのは燃えるような真っ赤な髪にアクアマリンのような綺麗な水色の瞳をした男の子だった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

短編 跡継ぎを産めない原因は私だと決めつけられていましたが、子ができないのは夫の方でした

朝陽千早
恋愛
侯爵家に嫁いで三年。 子を授からないのは私のせいだと、夫や周囲から責められてきた。 だがある日、夫は使用人が子を身籠ったと告げ、「その子を跡継ぎとして育てろ」と言い出す。 ――私は静かに調べた。 夫が知らないまま目を背けてきた“事実”を、ひとつずつ確かめて。 嘘も責任も押しつけられる人生に別れを告げて、私は自分の足で、新たな道を歩き出す。

悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした

ゆっこ
恋愛
 豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。  玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。  そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。  そう、これは断罪劇。 「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」  殿下が声を張り上げた。 「――処刑とする!」  広間がざわめいた。  けれど私は、ただ静かに微笑んだ。 (あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)

結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤

凪子
恋愛
私はローラ・クイーンズ、16歳。前世は喪女、現世はクイーンズ公爵家の公爵令嬢です。 幼いころからの婚約者・アレックス様との結婚間近……だったのだけど、従妹のアンナにあの手この手で奪われてしまい、婚約破棄になってしまいました。 でも、大丈夫。私には秘密の『ポイント帳』があるのです! ポイントがたまると、『いいこと』がたくさん起こって……?

お母様!その方はわたくしの婚約者です

バオバブの実
恋愛
マーガレット・フリーマン侯爵夫人は齢42歳にして初めて恋をした。それはなんと一人娘ダリアの婚約者ロベルト・グリーンウッド侯爵令息 その事で平和だったフリーマン侯爵家はたいへんな騒ぎとなるが…

婚約者が選んだのは私から魔力を盗んだ妹でした

今川幸乃
恋愛
バートン伯爵家のミアの婚約者、パーシーはいつも「魔法が使える人がいい」とばかり言っていた。 実はミアは幼いころに水の精霊と親しくなり、魔法も得意だった。 妹のリリーが怪我した時に母親に「リリーが可哀想だから魔法ぐらい譲ってあげなさい」と言われ、精霊を譲っていたのだった。 リリーはとっくに怪我が治っているというのにずっと仮病を使っていて一向に精霊を返すつもりはない。 それでもミアはずっと我慢していたが、ある日パーシーとリリーが仲良くしているのを見かける。 パーシーによると「怪我しているのに頑張っていてすごい」ということらしく、リリーも満更ではなさそうだった。 そのためミアはついに彼女から精霊を取り戻すことを決意する。

「いらない」と捨てられた令嬢、実は全属性持ちの聖女でした

ゆっこ
恋愛
「リリアーナ・エヴァンス。お前との婚約は破棄する。もう用済み そう言い放ったのは、五年間想い続けた婚約者――王太子アレクシスさま。 広間に響く冷たい声。貴族たちの視線が一斉に私へ突き刺さる。 「アレクシスさま……どういう、ことでしょうか……?」 震える声で問い返すと、彼は心底嫌そうに眉を顰めた。 「言葉の意味が理解できないのか? ――お前は“無属性”だ。魔法の才能もなければ、聖女の資質もない。王太子妃として役不足だ」 「無……属性?」

処理中です...