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一章

一話

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  私は転生者だ。


 しかも、中世ヨーロッパ風乙女ゲームの悪役令嬢に転生したのだ。

 まぁ小説や漫画でよくあるだろう。ある少女や女性が転生してゲームの悪役令嬢になって破滅フラグを無くすためにあーだ、こーだやる物語が。


 だが、私はそんなテンプレどうりのことをやるつもりはない。
というか興味無いし、知ったこっちゃない。
…嘘、実は少し、いや結構興味がある。だけどやるつもりはあまりない。
いやどっちなんだよ笑


 そんな私が何故この世界がゲームの世界だと気づいたのか。それは私がまぁまぁのオタクだからである。

 小・中・高と少年少女の漫画を読みあさり、ありとあらゆる小説読んだ。
中でも異世界ものが好きだった私は、冒険、魔法、チート、フラグ、恋愛のあるものばかり見ていてアニメも沢山見ていた。もちろん『ラノベ』(ライトノベル)もしっかり見ていた。
あと、ついでに言うとゲームも始めたものは全てコンプリートする程やっていた。


 とまぁ、こんな感じの本格的なガチオタクだったので一時期中二病のようなものになっていたことがあった…
 だが勘違いしないで欲しい、私は決して中二病になっていた訳では無い、中二病のよ・う・なものになっていただけなのである。

  今までの話からしてまぁまぁのオタクという話から矛盾してガチオタと言っているがそれは触れないでおこう…


っと、話はこの辺にしておいて、本題に戻ろう。
なんでゲームの世界だと分かったのかっていう話からなのだが…まぁ私がオタクというのもあるが…うむ……皆よく考えてみて欲しい、よく物語で「この世界で過ごしているうちにここがゲームの世界だった事に気づいた」とか言ってるのがあるだろ?

 そこで私は思った……、「普通ゲームの世界なんだから気づくだろ!だって二次元の顔してるんだよ!」と…だから私はその通り転生してみんなを見た時に(自分を含め)二次元の顔をしていたので即座に「ここはゲームの世界だ!」と分かったのである。


 でもここで一つ皆が疑問に思っている事があるだろう。それは、なんで私が転生したのかという事だ。

ここで一応私の前世について教えよう。
私の前世での名前は花園美琴。歌い手として活動をしていた。だが、ある日の夜突然誰かに刺されて死んでしまったのだ。誰に刺されたのか今じゃ全く覚えていない。
 その後、目覚めると何故か赤ちゃんに転生していたという訳だ。


 っと、茶番はここまでにして自己紹介をしよう。
 今の私はティアナ・オルゴールという悪役令嬢に転生している。歳は十で今年十一になる。
 詳しい見た目を言うと、パールのような白くキラキラした髪に、まだ子供なのでクリクリのおっとりした薄桃色の綺麗なおめ目をしている。

 とても可愛らしく美人なので、本当に悪役令嬢なのか?むしろ主人公だろ!とも思ったがゲームの設定上とやかく言っても仕方がない。
    

 さて、話を変えよう。これから私はどうするのかということについてだが………特に決まってない!
 最初の方で言った通り破滅フラグを折るなんてことは面倒臭いし、かといって破滅まっしぐらに進むのも良くない。
そこで、私は考えた。前世の記憶を活かしてこの世界に歌を広げようと!

この世界に歌というものはあるが、皆はそれに関心がない。そこでわたしが歌を届けることによって歌の良さを知ってもらおうと考えているのだ!

歌の練習もずっとこっそりやっている。
だが、まだ十歳の子供にそんなこと出来るはずもなく私はずっと悩んでいた。


「あーもう!どうすればいいか全然わかんない。こういう時は息抜きに庭でゆっくりと過ごしましょう!」

外に出るためベルを鳴らしメイドのフランを呼んだ。
貴族ではメイドを呼ぶ時にベルを鳴らすのが基本なのだ。


「お嬢様何か御用ですか?」

フランは私の専属メイドで小さい頃からずっとお世話をしてもらっている。

「これからお庭に行きたいのだけれどドレスを出してほしいの」

「かしこまりました」

「お嬢様、今日はお客様がお見えになるそうなので、綺麗なドレスを出して置きますね」


お客様?誰が来るのかしら…

「ねぇフラン」

「はい、なんでしょうか?」

「今日来るお客様ってどなたなの?」

「えーと、確かフルート家の方だったと思います」

フルート家?どっかで聞いた事あるような…

「そう、ありがとうフラン。それじゃ行ってくるわね」

「はい、行ってらっしゃいませ。なるべく早くお戻りください」

「わかったわ」


私は水色のキラキラした綺麗なドレスを見にまとい庭へと向かった。


*  *  *

 庭に出ると空は快晴でそよ風が気持ちよくとても心地よかった。
家の庭には大きな木が一本生えておりその近くに噴水もあった。

私はいつものように噴水近くの大きな木の方に向かった。

「やっぱり外って気持ちいわ~」

ここにいる時はあまり誰も来ないため素の自分で居られ、とても好きな場所だった。

「こういう心地のいい日って歌いたくなるのよね~」


「っ」

どこまでも   広いがる空    輝く太陽   どうしてだろう   この世界は    今日もこんなに美しいのに   澄んだ空を   雲の色を   見せたい   あなたに   二人で交わした約束   今も   覚えていますか   もう一度   会いたい   あなたに


目をつぶりそよ風に揺られながら前世の頃に自分で書いて歌っていた曲を歌う

歌い終わり目を開けると目の前に誰かが立っていた。

うそ!聞かれた!


目の前に立っていたのは燃えるような真っ赤な髪にアクアマリンのような綺麗な水色の瞳をした男の子だった。
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