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4ー1:風が舞い込んで
◇125 翅音が止んだら
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何とかギリギリ間に合った。
ベルがメガビブラートに襲われていたから慌てて飛び出したけど、何とか無事に助けられた。私はホッとすると、ベルに声を掛ける。
「間に合ったよ」
「間に合った……ですか?」
「うん。なんだか嫌な予感がしたからね」
私はベルが心配でやって来た。
如何やらその予感は的中したみたいで、メガビブラートが好戦的だ。
「あの、アキラさん。今、私の……」
「そんなこといいよ。それより戦える? それとも逃げる?」
ベルが何か言おうとしたから、私は口を差し止めた。
代わりに二つの選択肢を投げ掛ける。戦うor逃げる。
どっちも間違っていないけれど、ベルは即答する。
「……逃げませんよ。私を虚仮にしたんですから」
「そっか。それじゃあ、頑張ろっか」
ベルは何だか苛立っていた。それが本当のベルなのだろうか?
私には分からないけれど、戦うなら頑張る。私ができるのはそれくらいだ。
「それっ!」
先に仕掛けたのは私。【キメラハント】で【甲蟲】を発動し、いつものように殴り掛かる。
けれど攻撃は空振り。
メガビブラートは悠々と躱してしまう。
「あれ?」
「やはり速いですね。では!」
空ぶってしまった私を援護してくれるベル。
矢を番えると、弦を引き寄せて一射。
真っ直ぐに飛ぶ矢は空気の抵抗を失い、メガビブラートを襲った。
「チッ、外しましたか。ではこれでどうですか!」
けれどメガビブラートはこれすら優雅に躱す。
四枚の翅を上手く使い、空中に停滞。
スライド移動を駆使してホバリングすると、簡単に避けられてしまった。
パシュン!
空気が渦を巻き、風穴を生み出す。
もちろん目では追えないし、見ることもできない。
けれど確かにそこにあり、風が渦を巻き上げる。
「【風招き】。放て!」
矢を放つと、風穴の中に吸い込まれる。
私は矢が異常な軌道を走る姿に慄く。
「な、なにこれ?」
人間技じゃない。もっと高度な、高次元の技術が披露される。
流石にこれにはメガビブラートも驚愕。
かと思えば、四枚の翅を巧みに操り、体を浮上させた。
「あっ、また逃げちゃう!」
「上昇気流を使いましたか」
「上昇気流?」
確かに風が浮き上がっている気がした。
自然と体が浮き上がりそうな程、風力は強い。
もしかすると、もしかする。私はバカみたいな作戦を考えた。
「ベル、私を飛ばして!」
「はい?」
「いいから、私が仕留めるから」
これは今の私にはできない。今持っている私のスキルじゃ無理。
だからベルを頼ると、意味不明な顔をする。
「なんだコイツ」とか言いたそうな程、眉間に皺が寄っているけど、私も本気だ。
「お願い、ベル!」
私は必死に頼み込んだ。
あまりにも無謀なことは百も承知。でもこれくらいしかできない。
その意図を組んでくれたのか、溜息を付かれる。
「はぁー……分かりました。ですがくれぐれも怪我はなされないように」
「ありがとう。せーのっ」
ベルは迷った末に私にも風を招いてくれた。
忠告を聞きつつ、体の周りを風が覆う。
感触として肌に伝わると、フワリ地面から足が離れた。
「うわぁ、私浮いてる!? いや、飛んでる!」
「アキラさん、この状態は長く持ちませんよ」
「分かったよ。それじゃあ……えいっ!」
体が宙に浮かび上がり、自由自在に空を飛ぶ。
だけど体幹が強くないと全身を持っていかれそうになる。
それくらいの強風に、現実では絶対に真似しちゃいけないし、できないって分かった。
「なっ、風穴の中に!?」
「そうだよ、後はこの状態で……翅だけを狙って」
私の行く先は風穴の中。メガビブラートを標的に定めた。
風穴の頭上に行くと、もう風が残っていない。
つまり下は丸見えで、メガビブラートの姿が簡単に見つかる。
この状態で私は見たいもの。それは翅の位置だ。
「【キメラハント】+【灰爪】+【熊手】」
【キメラハント】を発動。今回は【灰爪】と滅多に使わない【熊手】の出番だ。
すると私の両手が巨大化し、分厚い皮と毛に覆われる。
ここだけはいくら風が当たっても痛くない。完璧に風を弾いていた。
「まさか、そのようなことは」
「します!」
ベルは私の考えを読んでくれた。
あまりにも無謀で、バカの一つ覚え。
それでも私は宣言する。このバカな技をやると。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「まぁ、そうなるでしょうね!」
ベルに散々ツッコまれてしまった。
私は複雑に絡み合う風に巻き込まれてしまう。
例えるなら洗濯機で、私は洗濯機の中にダイブしていた。
だから発狂が止まらない。目が回って体が痛い。
八つ裂きにされそうな中、この中を飛ぶメガビブラートの凄さを見る。
「で、でも! えいっ」
私はメガビブラートを見つけた。
つい目の前を悠然と飛んでいるので、私は【熊手】を使って風を押しかえる。
その間に鋭い灰色の爪が何をするのか。決まってる。動きを止めるんだ。
「そこだっ!」
私は爪を尖らせ、鋭く突き出す。
メガビブラートもこの上昇気流を上手く使っている身。
簡単に避けれるかと思いきや、私が風を邪魔したせいで、微かにだけど動きがブレる。
そのおかげか、私の爪が翅に届いた。ほんの微か、ほんの隙間に触れる。
「せーのっ!」
爪で引っ掻くと、翅が一部千切れる。
そのおかげか、メガビブラートは体勢を崩す。
風穴の中上手く飛べなくなると、そのまま体を風穴の壁面に叩き付けた。
ギュンギュンギュンギュンギュンギュンギュン!
断末魔のように翅が擦れる。
いくら振動を送ってもここは風の中。
これ以上変なことは起きないので、メガビブラートに生き残る術はない。
「ベル、もういいよ!」
「本当にいいのですか?」
「うん、大丈夫だから。【幽体化】」
私は即座にスキルを発動し、風穴の影響下から外に抜け出す。
メガビブラートだけが風穴の中に取り込まれると、ベルはスキルを解く。
すると如何だ。風穴が消え、メガビブラートは逆さまに落下する。
パサッ!
そのまま奇跡的に草の上に落ちた。
衝撃を吸収すると、メガビブラートは死んでしまうが、一応形は残る。
最後に綱渡りをしてしまった私は、なんとかなったと安堵した。
「よっと」
「アキラさん!? いつのまにそこに」
「あはは、驚いたでしょ?」
私も地上に降りてから【幽体化】を解く。
突然消えたかと思えば目の前に現れた私に、ベルは驚いた。
瞬きをして本物かと疑われるが、私は本物で本人だ。
「とりあえずこれでよかったかな?」
私が不安になってしまう。何せまだ結果が出ていない。
経験知的には美味しくないと思うけど、私は表示された画面に視線を奪われる。
——ドロップアイテム獲得! 古代トンボの標本を獲得しました——
一番欲しかったアイテムがドロップした。
私は苦労が実ったと、心底喜ぶ。
「やったぁ!」
——固有スキル:【キメラハント】が新しいスキルを獲得しました——
——適合率判定の結果、スキルとの相性を確認し、固有スキル:【キメラハント】に、メガビブラート:【衝撃波】を追加しました——
次いで私は新しいスキルまで手に入った。
これは凄いいい結果じゃないのかな?
私は達成感に仰がれると、いい気分だった。
ベルがメガビブラートに襲われていたから慌てて飛び出したけど、何とか無事に助けられた。私はホッとすると、ベルに声を掛ける。
「間に合ったよ」
「間に合った……ですか?」
「うん。なんだか嫌な予感がしたからね」
私はベルが心配でやって来た。
如何やらその予感は的中したみたいで、メガビブラートが好戦的だ。
「あの、アキラさん。今、私の……」
「そんなこといいよ。それより戦える? それとも逃げる?」
ベルが何か言おうとしたから、私は口を差し止めた。
代わりに二つの選択肢を投げ掛ける。戦うor逃げる。
どっちも間違っていないけれど、ベルは即答する。
「……逃げませんよ。私を虚仮にしたんですから」
「そっか。それじゃあ、頑張ろっか」
ベルは何だか苛立っていた。それが本当のベルなのだろうか?
私には分からないけれど、戦うなら頑張る。私ができるのはそれくらいだ。
「それっ!」
先に仕掛けたのは私。【キメラハント】で【甲蟲】を発動し、いつものように殴り掛かる。
けれど攻撃は空振り。
メガビブラートは悠々と躱してしまう。
「あれ?」
「やはり速いですね。では!」
空ぶってしまった私を援護してくれるベル。
矢を番えると、弦を引き寄せて一射。
真っ直ぐに飛ぶ矢は空気の抵抗を失い、メガビブラートを襲った。
「チッ、外しましたか。ではこれでどうですか!」
けれどメガビブラートはこれすら優雅に躱す。
四枚の翅を上手く使い、空中に停滞。
スライド移動を駆使してホバリングすると、簡単に避けられてしまった。
パシュン!
空気が渦を巻き、風穴を生み出す。
もちろん目では追えないし、見ることもできない。
けれど確かにそこにあり、風が渦を巻き上げる。
「【風招き】。放て!」
矢を放つと、風穴の中に吸い込まれる。
私は矢が異常な軌道を走る姿に慄く。
「な、なにこれ?」
人間技じゃない。もっと高度な、高次元の技術が披露される。
流石にこれにはメガビブラートも驚愕。
かと思えば、四枚の翅を巧みに操り、体を浮上させた。
「あっ、また逃げちゃう!」
「上昇気流を使いましたか」
「上昇気流?」
確かに風が浮き上がっている気がした。
自然と体が浮き上がりそうな程、風力は強い。
もしかすると、もしかする。私はバカみたいな作戦を考えた。
「ベル、私を飛ばして!」
「はい?」
「いいから、私が仕留めるから」
これは今の私にはできない。今持っている私のスキルじゃ無理。
だからベルを頼ると、意味不明な顔をする。
「なんだコイツ」とか言いたそうな程、眉間に皺が寄っているけど、私も本気だ。
「お願い、ベル!」
私は必死に頼み込んだ。
あまりにも無謀なことは百も承知。でもこれくらいしかできない。
その意図を組んでくれたのか、溜息を付かれる。
「はぁー……分かりました。ですがくれぐれも怪我はなされないように」
「ありがとう。せーのっ」
ベルは迷った末に私にも風を招いてくれた。
忠告を聞きつつ、体の周りを風が覆う。
感触として肌に伝わると、フワリ地面から足が離れた。
「うわぁ、私浮いてる!? いや、飛んでる!」
「アキラさん、この状態は長く持ちませんよ」
「分かったよ。それじゃあ……えいっ!」
体が宙に浮かび上がり、自由自在に空を飛ぶ。
だけど体幹が強くないと全身を持っていかれそうになる。
それくらいの強風に、現実では絶対に真似しちゃいけないし、できないって分かった。
「なっ、風穴の中に!?」
「そうだよ、後はこの状態で……翅だけを狙って」
私の行く先は風穴の中。メガビブラートを標的に定めた。
風穴の頭上に行くと、もう風が残っていない。
つまり下は丸見えで、メガビブラートの姿が簡単に見つかる。
この状態で私は見たいもの。それは翅の位置だ。
「【キメラハント】+【灰爪】+【熊手】」
【キメラハント】を発動。今回は【灰爪】と滅多に使わない【熊手】の出番だ。
すると私の両手が巨大化し、分厚い皮と毛に覆われる。
ここだけはいくら風が当たっても痛くない。完璧に風を弾いていた。
「まさか、そのようなことは」
「します!」
ベルは私の考えを読んでくれた。
あまりにも無謀で、バカの一つ覚え。
それでも私は宣言する。このバカな技をやると。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「まぁ、そうなるでしょうね!」
ベルに散々ツッコまれてしまった。
私は複雑に絡み合う風に巻き込まれてしまう。
例えるなら洗濯機で、私は洗濯機の中にダイブしていた。
だから発狂が止まらない。目が回って体が痛い。
八つ裂きにされそうな中、この中を飛ぶメガビブラートの凄さを見る。
「で、でも! えいっ」
私はメガビブラートを見つけた。
つい目の前を悠然と飛んでいるので、私は【熊手】を使って風を押しかえる。
その間に鋭い灰色の爪が何をするのか。決まってる。動きを止めるんだ。
「そこだっ!」
私は爪を尖らせ、鋭く突き出す。
メガビブラートもこの上昇気流を上手く使っている身。
簡単に避けれるかと思いきや、私が風を邪魔したせいで、微かにだけど動きがブレる。
そのおかげか、私の爪が翅に届いた。ほんの微か、ほんの隙間に触れる。
「せーのっ!」
爪で引っ掻くと、翅が一部千切れる。
そのおかげか、メガビブラートは体勢を崩す。
風穴の中上手く飛べなくなると、そのまま体を風穴の壁面に叩き付けた。
ギュンギュンギュンギュンギュンギュンギュン!
断末魔のように翅が擦れる。
いくら振動を送ってもここは風の中。
これ以上変なことは起きないので、メガビブラートに生き残る術はない。
「ベル、もういいよ!」
「本当にいいのですか?」
「うん、大丈夫だから。【幽体化】」
私は即座にスキルを発動し、風穴の影響下から外に抜け出す。
メガビブラートだけが風穴の中に取り込まれると、ベルはスキルを解く。
すると如何だ。風穴が消え、メガビブラートは逆さまに落下する。
パサッ!
そのまま奇跡的に草の上に落ちた。
衝撃を吸収すると、メガビブラートは死んでしまうが、一応形は残る。
最後に綱渡りをしてしまった私は、なんとかなったと安堵した。
「よっと」
「アキラさん!? いつのまにそこに」
「あはは、驚いたでしょ?」
私も地上に降りてから【幽体化】を解く。
突然消えたかと思えば目の前に現れた私に、ベルは驚いた。
瞬きをして本物かと疑われるが、私は本物で本人だ。
「とりあえずこれでよかったかな?」
私が不安になってしまう。何せまだ結果が出ていない。
経験知的には美味しくないと思うけど、私は表示された画面に視線を奪われる。
——ドロップアイテム獲得! 古代トンボの標本を獲得しました——
一番欲しかったアイテムがドロップした。
私は苦労が実ったと、心底喜ぶ。
「やったぁ!」
——固有スキル:【キメラハント】が新しいスキルを獲得しました——
——適合率判定の結果、スキルとの相性を確認し、固有スキル:【キメラハント】に、メガビブラート:【衝撃波】を追加しました——
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