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4ー1:風が舞い込んで
◇124 反撃のメガビブラート
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私は一人、タイコモリ―を歩いていた。
人目が無くなり、ホッと一安心。
胸を撫で下ろしていると、弓を背中に背負っている。
「以外に早く終わったわね」
私は解放感を全身に浴びている。
そう思うと、タイコモリ―の静けさも悪くないかも。
そう思ったのは一瞬、すぐに怪訝な表情になる。
「って、本当に変り者ばかりだったわね」
早速口から飛び出したのは悪態混じりの悪口だった。
実際、雷斬から聞いていた通り、変わり者の巣窟。
そんな姿が対面直後の行動から丸分かりとなり、私はげんなりした。
「あのメンツの何所に惹かれたのかしら? 私には分からないわ」
教官の仕様もない程に、ギルドとしての完成度が低い。
一人一人のポテンシャルは高そうには見えたけれど、私には関係がない。
むしろ面倒なまでの取り合わせに、私は姿を隠しても苛立つ。
「チッ、なんであんな子達に私が実力を見せてあげないといけないのよ? 普通に考えてみれば、なにもかも足りて無いでしょ?」
想像はしていた。けれど想像以下だった。
それだけ適当な、ノリを大事にしているギルドと馬が合わない。
私は自分のことをよく知っている。雷斬からは注意されるけれど、私は私。
これ以上でもこれ以下にもならない。それが私のポリシーでプライドだ。
「ハッ。さっさと戻ろ。で、さっさろ帰ろ」
そうとなれば、まずは矢の回収だ。
恐らくこの辺りだろうと、周囲を見回してみる。
すると木の幹に、私の射た矢が突き刺さっている。
「見つけた。やっぱりここにあったわね」
予定通りの場所に矢が突き刺さっていた。
もちろん木の幹を狙った訳じゃない。
問題は、矢が霞めている薄い膜だ。
「おまけにちゃんと捉えてるわね」
矢は木の幹に突き刺さるだけじゃなかった。鏃が何かを捉えている。
見れば小さな薄い膜が挟まっていて、それを捉えるように、木の幹に当たった。
「この膜は……詳しく無いけど、昆虫のものよね? ってことは」
太陽の陽射しがそこまで無い。
そのためくわしいことは言えないけれど、恐らくは昆虫のもの。
しかもこれだけの薄さとなると、狙いは定まっていた。
私は自分の実力の高さに惚れ惚れする。
「やっぱり私の腕は鈍ってないわね。まぁ、鈍らせる気は無いけど」
自信を持って矢を回収し、矢箇の中に戻した。
再利用できる自慢の矢を取り戻し、今度は地面を見る。
草の裏。やっぱりあった。マジで超デカい巨大トンボだ。
「ふふん。やっぱりいたわね」
メガビブラートは草の上に落っこちていた。
丁度翅の一枚が破けていて、標本としての勝ちは無いけれど、無事に捕まえることはできた。
もう死んでいるのか? 何故かピクリともしないけど、そんなの私には関係が無いの。
さっさと回収して戻ることにした私は、仮面を付け直すことにした。
「さてと、仮面を付け直して……まって、なんで動かないのよ?」
私は自分のしたこと・目で見たことに疑いを向ける。
何せ私の矢が捉えたのは翅だけだ。
直接当たってくれればよかったけれど、そこまで上手くはいかず、矢は木の幹に突き刺さっていた。つまり、メガビブラートが動かなくなるのはおかしいのよ。
「一体どうして……まさか!」
私はメガビブラートに触れようとした。
すると指先がメガビブラートの体をすり抜ける。
「ええっ!?」
メガビブラートは完全に霞だった。私の指先から消えてしまった。
これはどういうこと?
そう思って見てみれば、不可解すぎる生態をしていた。
「これ、脱皮ってこと? トンボが脱皮? ええっ!?」
あり得ない。いや、あり得ないわよね?
私はそこまでトンボの生態に詳しくないけれど、トンボって脱皮をするのだろうか?
いや、私の想像だと、トンボがトンボに脱皮するとは思えない。
「待ってよ。ヤゴからトンボじゃないの? やっぱりゲームね」
一から百まで、この世界はゲームだ。
現実ではあり得ないことが、当たり前のように起きてしまう。
常識を疑うことを思い起こさせると、私が疑問を抱く。
「それじゃあ、本体は何処に消えたのよ?」
これが仮に脱皮だとして、本体は何処に行ってしまったのか。
私は周囲を見回す。否、耳を頼って音を辿る。
忘れてはいけない。脱皮したものが皮ならば、何処かに飛躍している筈だ。
「何処よ。一体何処に私の目を掻い潜って……はっ!」
その瞬間、背後から異様な翅音が聞こえた。
私は嫌な予感がして、ソッと振り返る。
すると巨大なトンボの姿がそこにある。宙を停滞し、複眼で私を見ている。
ギュンギュンギュンギュンギュンギュンギューン!
メガビブラートは私を見ている。
四枚の翅を巧みに操り、空気を震わしている。
体を痛めつけるような激しい騒めきが、私の体を包み込んだ。
「くっ。この、ウザいわね!」
背中に背負った弓を手にした。
矢筒から矢を引き抜き、矢を番え、弦を引く。
メガビブラートへ射線を合わせると、私は射抜こうとした。
「このっ。私が射手だと思ってバカにしてるわね?」
超近距離での戦いなら、私に不利?
そんなの誰が決めたのよ。私がただの射手だと思って貰ったら困るわ。
苛立ちが募り、私が弦を引き離すと、矢がパシュン! と放たれた。
ギュン!
「やっぱり、この距離じゃ当たらないわね」
私は残念なことに矢を外してしまった。
流石にこの距離だとトンボの方が強い。
悔しいけれど、遠距離武器では戦えないので、私は嫌な顔をした。
「仕方ないわね。それじゃあ……」
ここは仮面を付け替える必要がある。
私は弓をソッと変形させようとする。
ここからは近接戦の出番だ。
「やってやるか!」
「おらぁ」
私は戦おうとした。けれど弓を変形させようとする私の前で、変なことが巻き起こった。
突然少女が突っ込んで来ると、メガビブラートに拳を振りかざす。
そこに現れたのは紛れもなくアキラで、私は瞬きをする。
「えっ、アキラ!?」
「大丈夫、ベル!?」
「だ、大丈夫よ……じゃなかった。えっ、なにが起きたの!?」
私はついつい素に戻ってしまった。
けれどアキラが目の前に居るのは確か。
私は何が起きたのか分からないが、正直真っ当な思考ではなく、頭を傾けてしまった。
人目が無くなり、ホッと一安心。
胸を撫で下ろしていると、弓を背中に背負っている。
「以外に早く終わったわね」
私は解放感を全身に浴びている。
そう思うと、タイコモリ―の静けさも悪くないかも。
そう思ったのは一瞬、すぐに怪訝な表情になる。
「って、本当に変り者ばかりだったわね」
早速口から飛び出したのは悪態混じりの悪口だった。
実際、雷斬から聞いていた通り、変わり者の巣窟。
そんな姿が対面直後の行動から丸分かりとなり、私はげんなりした。
「あのメンツの何所に惹かれたのかしら? 私には分からないわ」
教官の仕様もない程に、ギルドとしての完成度が低い。
一人一人のポテンシャルは高そうには見えたけれど、私には関係がない。
むしろ面倒なまでの取り合わせに、私は姿を隠しても苛立つ。
「チッ、なんであんな子達に私が実力を見せてあげないといけないのよ? 普通に考えてみれば、なにもかも足りて無いでしょ?」
想像はしていた。けれど想像以下だった。
それだけ適当な、ノリを大事にしているギルドと馬が合わない。
私は自分のことをよく知っている。雷斬からは注意されるけれど、私は私。
これ以上でもこれ以下にもならない。それが私のポリシーでプライドだ。
「ハッ。さっさと戻ろ。で、さっさろ帰ろ」
そうとなれば、まずは矢の回収だ。
恐らくこの辺りだろうと、周囲を見回してみる。
すると木の幹に、私の射た矢が突き刺さっている。
「見つけた。やっぱりここにあったわね」
予定通りの場所に矢が突き刺さっていた。
もちろん木の幹を狙った訳じゃない。
問題は、矢が霞めている薄い膜だ。
「おまけにちゃんと捉えてるわね」
矢は木の幹に突き刺さるだけじゃなかった。鏃が何かを捉えている。
見れば小さな薄い膜が挟まっていて、それを捉えるように、木の幹に当たった。
「この膜は……詳しく無いけど、昆虫のものよね? ってことは」
太陽の陽射しがそこまで無い。
そのためくわしいことは言えないけれど、恐らくは昆虫のもの。
しかもこれだけの薄さとなると、狙いは定まっていた。
私は自分の実力の高さに惚れ惚れする。
「やっぱり私の腕は鈍ってないわね。まぁ、鈍らせる気は無いけど」
自信を持って矢を回収し、矢箇の中に戻した。
再利用できる自慢の矢を取り戻し、今度は地面を見る。
草の裏。やっぱりあった。マジで超デカい巨大トンボだ。
「ふふん。やっぱりいたわね」
メガビブラートは草の上に落っこちていた。
丁度翅の一枚が破けていて、標本としての勝ちは無いけれど、無事に捕まえることはできた。
もう死んでいるのか? 何故かピクリともしないけど、そんなの私には関係が無いの。
さっさと回収して戻ることにした私は、仮面を付け直すことにした。
「さてと、仮面を付け直して……まって、なんで動かないのよ?」
私は自分のしたこと・目で見たことに疑いを向ける。
何せ私の矢が捉えたのは翅だけだ。
直接当たってくれればよかったけれど、そこまで上手くはいかず、矢は木の幹に突き刺さっていた。つまり、メガビブラートが動かなくなるのはおかしいのよ。
「一体どうして……まさか!」
私はメガビブラートに触れようとした。
すると指先がメガビブラートの体をすり抜ける。
「ええっ!?」
メガビブラートは完全に霞だった。私の指先から消えてしまった。
これはどういうこと?
そう思って見てみれば、不可解すぎる生態をしていた。
「これ、脱皮ってこと? トンボが脱皮? ええっ!?」
あり得ない。いや、あり得ないわよね?
私はそこまでトンボの生態に詳しくないけれど、トンボって脱皮をするのだろうか?
いや、私の想像だと、トンボがトンボに脱皮するとは思えない。
「待ってよ。ヤゴからトンボじゃないの? やっぱりゲームね」
一から百まで、この世界はゲームだ。
現実ではあり得ないことが、当たり前のように起きてしまう。
常識を疑うことを思い起こさせると、私が疑問を抱く。
「それじゃあ、本体は何処に消えたのよ?」
これが仮に脱皮だとして、本体は何処に行ってしまったのか。
私は周囲を見回す。否、耳を頼って音を辿る。
忘れてはいけない。脱皮したものが皮ならば、何処かに飛躍している筈だ。
「何処よ。一体何処に私の目を掻い潜って……はっ!」
その瞬間、背後から異様な翅音が聞こえた。
私は嫌な予感がして、ソッと振り返る。
すると巨大なトンボの姿がそこにある。宙を停滞し、複眼で私を見ている。
ギュンギュンギュンギュンギュンギュンギューン!
メガビブラートは私を見ている。
四枚の翅を巧みに操り、空気を震わしている。
体を痛めつけるような激しい騒めきが、私の体を包み込んだ。
「くっ。この、ウザいわね!」
背中に背負った弓を手にした。
矢筒から矢を引き抜き、矢を番え、弦を引く。
メガビブラートへ射線を合わせると、私は射抜こうとした。
「このっ。私が射手だと思ってバカにしてるわね?」
超近距離での戦いなら、私に不利?
そんなの誰が決めたのよ。私がただの射手だと思って貰ったら困るわ。
苛立ちが募り、私が弦を引き離すと、矢がパシュン! と放たれた。
ギュン!
「やっぱり、この距離じゃ当たらないわね」
私は残念なことに矢を外してしまった。
流石にこの距離だとトンボの方が強い。
悔しいけれど、遠距離武器では戦えないので、私は嫌な顔をした。
「仕方ないわね。それじゃあ……」
ここは仮面を付け替える必要がある。
私は弓をソッと変形させようとする。
ここからは近接戦の出番だ。
「やってやるか!」
「おらぁ」
私は戦おうとした。けれど弓を変形させようとする私の前で、変なことが巻き起こった。
突然少女が突っ込んで来ると、メガビブラートに拳を振りかざす。
そこに現れたのは紛れもなくアキラで、私は瞬きをする。
「えっ、アキラ!?」
「大丈夫、ベル!?」
「だ、大丈夫よ……じゃなかった。えっ、なにが起きたの!?」
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