VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

文字の大きさ
131 / 199
4ー2:流れ、流され、川下り

◇131 安心感が無い

しおりを挟む
「……ってことになっちゃって」
「「なっちゃってじゃないだろ」じゃないわよ」

 私はギルドホームでみんなに集まって貰った。
 色々あったけど、ミーNaさんからの頼みごとを引き受けちゃった。
 そのことを伝えると、やっぱり怒られた。
 特にNightとベルはカンカンだ。

「お前、勝手なことをするな」
「そうよ。私達にも一言言ってからにしなさいよ」
「ごめんなさい」

 私はなんでか謝っちゃった。
 別に私が悪い訳じゃないのに。

「まぁまぁ、いいじゃんかー」
「「よくない!」」

 フェルノも私の味方をしてくれる。
 元を辿れば、フェルノが引き受けた依頼だ。
 最後ミーNaさんも渋ってたけど、結局フェルノのせいだ。

「大体お前が勝手なことをしたからだろ」
「えっ? 私が悪いのー?」
「お前の性だろ」

 Nightは呆れて言葉を失う。
 けれどフェルノは何も分かってない。むしろ自分が悪いなんて一切思ってない。
 呆れちゃうのは昔からだけど、フェルノはにやけている。

「でもさー、楽しそうじゃない?」
「楽しいだと? 危険の間違いだ」
「危険ってー?」
「お前、試乗試験も碌にやってないようなレジャーをしたいと思うのか?」
「したい!」
「バカだな、コイツ」

 流石にフェルノのバカさ加減が分かって来たらしい。
 顔に手を当て、嘆いてしまうNight。ご愁傷様。
 私は手を合わせると、ジロッと睨まれる。

「親友ならなんとかしろ」
「無理だよ」
「無理なのか。まぁ仕方が無い。ここは恩を売っておくことにするか」

 最高に良い切り替えを見せるNight。
 私は惚れ惚れするも、状況が状況だ。
 Nightは諦めた顔をすると、面倒そうに話を訊く。

「それで、一体どんなレジャーなんだ?」
「えっとねー。川下り」
「……ん?」

 Nightは固まってしまった。
 そうだよね、絶対そうなるよね。
 私も同じことを思ってしまうと、コクリと首を縦に振る。

「他にないのか?」
「ないよー」
「……それはスリルだな。試乗試験もしていない川を下るなんて」
「いや、絶対にヤバいでしょ? 私達のこと、なにも考えて無いでしょ」
「ですね」

 ここで雷斬も始めて声を上げた。
 確かにそれは間違ってない。
 私達はここから恐怖と戦うことになる。そう、得体知れない“安心”が欠落した地獄を。

「とにかくやるからには生き残ることだけ考えるぞ」
「なんだか、違うベクトルの話してない?」
「そうだな。だが、下手に危険な真似をして心身に影響が出るのも問題だろ」
「「「確かに」」」

 下手なことになれば、心身に影響が出る。それがこのVRゲームの特徴だ。
 それに対して、保証なんて一切無い。そう言う契約だ。
 私達は完全にテスターになってしまった事実をしかと受け入れると、面倒な顔をする。

「なんだかな」
「お前が言うなよ」
「ごめんなさい!」

 だからなんで謝らないといけないんだろう。
 私だって被害者なのにと思い、辛い気持ちになる。
 だけどこの責任はミーNaさんにある。今頃くしゃみでもしてるんだろうなと、ちょっとだけ呪った。


「はくしゅん!」

 ミーNaさんは仕事中に珍しく咳が出た。
 鼻がムズムズしたとか、喉が引っかかったとかじゃない。
 勝手に何の変哲もないタイミングの咳に唖然とする。

「おかしいですね。何処かで私の噂でもしているのでしょうか?」

 そんな迷信を信じざるを得ない。
 瞬きをして手にした資料をギュッと握ると、心の中で唱えた。
 (お願いしますね、〈《継ぎ接ぎ》〉の皆さん)。完全に他力本願してしまうミーNaは、フェルノの提案を如何丸め込むか、必死に考えるのだった。



「なるほど、それは面白い変化ですね」

 私は社長室で資料を手にしていました。
 今回持って来てくれたのは、エンジニアの弧鉈さんだ。
 受取った資料をVRドライブ越しに確認すると、私は笑みを浮かべました。

「AIの進歩をこの瞬間に目撃しています」
「ですね~。エンジニアやって良かったですよ」
「そうですね。これは私達の特権ですね」

 確かにこの変化はAIの進歩によるもの。
 たくさんのプレイヤー(人間)と交流することで、また新しい変化を生みました。

「それにしても、かなり無茶をしましたね」
「あはは、それはNPC達に言ってくださいよ」

 実際、今回の資料によると、提案は無理難題。
 けれど現実でもあるような問題に良い切り口を付けてくれます。
 私は賛辞を贈るのですが、やはり許せない面もあります。

「それにしても、かなり危険なことをしていますね」
「あはは、確かに。私も同意見ですよ」
「私の耳に入っておいてよかったです」

 眼鏡をクイッとさせると、弧鉈は小さなパソコンを取り出した。
 左手で支えると、早速権限を利用して、CUの世界にアクセス。
 プレグラムを少し書き換えるらしい。

「流石は弧鉈さんですね。私の言いたいこと、理解してくれましたか」
「もちろんですよ~。安心安全がモットーですもんね」
「そう言う訳ではありませんが、最低限慎みたいですね」

 私は弧鉈さんがエンジニアとして、プログラマーとして、作業をしている姿をアシストしました。
 弧鉈さんの腕は確かなものです。私も安心します。
 複雑なコードを打ち込んでいく中、私もパソコンを介して、プログラムを書き換えます。

「うわぁ」
「どうされましたか、弧鉈さん?」

 突然弧鉈さんが声を上げました。
 珍しいこともありますね。
 私は首を捻ると、弧鉈さんに嫌味を言われました。

「社長~。私の仕事取らないでくださいよ」
「仕事を奪ってはいませんが?」
「奪ってますよ。だって、私と同速度でタイピングしてるじゃないですか~」

 確かに私は弧鉈さん以上に正確かつタイピングも早いです。
 けれどそれ以上でもそれ以下でも無いのです。
 私は笑みを浮かべると、弧鉈さんと共に修正を終えました。

「(パチッ)! これで終わりですね」
「ですね~。いや、このまま放置してたらマズいですよね」
「そうです。とりあえず、一度私達で見に行きましょうか」
「OKで~す」

 私と弧鉈さんは一緒にCUにログインすることにしました。
 時刻は深夜。今から三時間後に、緊急メンテナンスを行うことにします。

 私と弧鉈さんはその間に修正パッチをインストールしつつ、ダウンロードして貰います。
 今回修正したもの。それはほとんどプレイヤーの行き来が無い場所。
 リュウシン大渓谷の調査を決行する私は、弧鉈さんと共に、レジャーの試運転をするのでした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。 ────── 自筆です。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。 Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。 最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!? ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。 はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切) 1話約1000文字です 01章――バトル無し・下準備回 02章――冒険の始まり・死に続ける 03章――『超越者』・騎士の国へ 04章――森の守護獣・イベント参加 05章――ダンジョン・未知との遭遇 06章──仙人の街・帝国の進撃 07章──強さを求めて・錬金の王 08章──魔族の侵略・魔王との邂逅 09章──匠天の証明・眠る機械龍 10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女 11章──アンヤク・封じられし人形 12章──獣人の都・蔓延る闘争 13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者 14章──天の集い・北の果て 15章──刀の王様・眠れる妖精 16章──腕輪祭り・悪鬼騒動 17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕 18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王 19章──剋服の試練・ギルド問題 20章──五州騒動・迷宮イベント 21章──VS戦乙女・就職活動 22章──休日開放・家族冒険 23章──千■万■・■■の主(予定) タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...