VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

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4ー2:流れ、流され、川下り

◇137 何か漏れてない?

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 私達の乗る筏はドンドン進む。
 プロペラの力は偉大だ。激流をスイスイ乗り越える。
 そんな中だった。大量の鳥が止まり、私達のことを眼下に見下ろしている。

「プピュァ!」

 声にもならない声が聞こえる。
 するとコンドル達が頭上を回る。
 グルグルと群れを成して回転すると、上昇気流を掴む。

「凄い。あんなにたくさん」
「ここが谷の様な形状だからだろうな。コンドルは上昇気流を使って飛ぶんだ」
「そうなの?」
「そうだ。とは言え、様子がおかしい気がするが……」

「アレ、岩よね?」
「そうだな。岩だな」
「そう言えばさっきも岩が落ちて来たけど……」
「あはは、まさかねー」

 トンネル内で酷い目に遭った。
 だからもしかするのかもと、想像してしまう。
 だけどそんなことして来ないよね? 私達が祈ると、コンドル達は飛び上がった。

「「「プピャァ!!!」」」

 コンドル達が死を踊る。
 回転して私達を見下ろすと、足には岩が掴まれている。
 ドンと爪を放した。すると大きめの岩が雨の様に降る。

「やっぱりだぁぁぁぁぁ!」

 私はつい叫んでしまった。
 大きめの岩がドンドン振ってしまう。
 これじゃあ雨に打たれて体が穴だらけだ。
 ボコボコになってしまうのは嫌だ。岩の雨を遮ろうと、Nightとベルは動く。

 バン!
 パシューン!

 Nightは拳銃の引き金を引いた。
 ベルも弓を構え、矢を番えた。
 一斉に打つと、弾丸と矢が空に舞う。

 バキッ……ドーン!!

「凄い。二人共凄いよ!」
「こうなることは分かっていたからな」
「そうですね。では、少しずつ捌きましょうか。雷斬、機動力を上げていただけますか?」
「分かりました」

 ベルは冷静に指示を出した。
 雷斬はオールを使って筏の速度を上げる。
 少しずつ速度が上がると、Nightとベルはとにかく打ち続ける。

「このまま続けますよ」
「そうだな」

 バンバンバン!!!
 バシューンバシューンバシューン!!!

 Nightとベルは作業を始めた。
 遠距離はベルが、中距離はNightが請け負う。
 降って来る岩を粉々に砕いて行くと、コンドルの攻撃を掻い潜った。

「ふぅ、これで……」
「いや、まだだ」

 私は安堵する。けれどNightは睨んでいる。
 まだ何かあるのかな?
 そう思うと、大量の岩の雨が降っていた。

「ちょっと来たよ!」
「流石にこの距離は……」

 Nightとベルでもこの距離は無理だ。
 拳銃でも弓でも、壊せば確実に私達に当たる距離。
 困り顔を浮かべると、唇を噛んだ。

「そりゃぁぁぁぁぁ!」

 フェルノが突然飛び出した。
 すると腕を振り上げ、激しい熱が伝わった。

「ほ、炎!?」
「凄い、全部弾いちゃった」
「こんなのできたんだー」

 まさか本人も分かってなかった。
 フェルノが腕を振り上げると、炎がフワッと舞った。
 その瞬間爪状に展開した炎が小さな岩を砕いてしまう。

「凄いよフェルノ。でもこのままじゃ……」
「そうね。まだまだ数はいるわよ」

 正直コレだと数は減らない。
 もっと直接的にコンドルを制圧する方法が必要だ。
 それこそ恐怖させること。一種の支配ができる方法が無いか模索する。

「仕方ないか」

 Nightがポツリと呟く。
 同時に拳銃(リボルバー式)の弾倉を開けた。
 中身を入れ替えると、もう一回答える。

「耳を塞げ」
「えっ?」
「早くしろ!」

 耳栓を一人だけ付けているNight。嫌な予感がする。
 拳銃を頭上に掲げると、私達は急いで耳を塞いだ。

 パァーン!

「うっ……」
「これって、音?」
「そうだ。音響弾だ」

 Nightは音響弾を打った。
 耳を塞いでなかったら危なかった。きっと鼓膜が破けていた。
 私達がそう思うと、コンドル達は一斉に墜落する。流石に音には勝てないのか、川の中にドボンだ。

 バッシャー――――ン!!

 可哀そうに何羽も落ちて来る。
 私達は直視できないが、たくさんの水飛沫を見つけた。
 空を見れば数は半分以下になっている。
 コンドル達もこれにはたまらない。Nightのことを睨み付けると、恐怖している。

「あっ、逃げていくよ!」
「一昨日来やがれー」
「「来なくていい」ですよ」

 コンドル達は逃げ帰った。
 岩も失って、数も減って、流石に勝てないと見越した。
 賢明な判断に私は安堵するけれど、フェルノは何故か煽る。
 そのせいでNightと雷斬から怒られるまでがセットだ。

「ふぅ、なんとか掻い潜ったわね」

 ベルはいつものベルに戻った。
 疲れちゃったのか、腕がダランとしている。

「お疲れさま、ベル」
「別に、私はたいしてやってないわよ。ところでフェルノ、なによアレ!」
「なにってー?」
「炎よ、炎! あんなのできるなら最初からやりなさいよ!」

 確かにあの炎は凄かった。
 まさか岩を軽く弾き飛ばされるだけの火力を持っているなんて。
 <ファイアドレイク>恐ろしい。ちょっとだけそう思わされる。

「全く、私の出番要らなかったじゃない」

 ベルはちょっとだけ拗ねていた。
 「そんなことないよ」と、私は声を掛ける。
 けれどあまり嬉しくないのか、筏の上に体重を下ろした。

「はぁー。ちょっと腰を落ち着かせるけど、沈まないわよね?」
「問題ない」
「構いませんよ。オールの調整は私がしますから」

 Nightも雷斬も素直に了承する。
 別にベルはそこまで重くない。
 無理して立っていなくても、筏は沈まない。

「そっ。それならいいけど……はぁ、疲れた―」

 ベルは完全に気を抜いていた。
 一旦冷静になり、体中から脱力する。
 すると互換が研ぎ澄まされたのか、ベルは風の心地よさと水飛沫を浴びる。

「ねぇ、なにかニオワない?」

 そんな中、ベルが口を開いた。
 鼻先をスンスンさせている。
 なにかニオウのかな? 私も鼻をスンスンさせる。

「確かに、ちょっとだけ、変な?」
「臭うかもねー」
「そうよね。コレ、何処からするのかしら?」

 別にこの臭いが問題とは思えない。
 けどベルがやけに真剣に臭いを辿る。
 私達も視線を配り、鼻をスンスンさせ続けると、雷斬がふと川を見る。

「皆さん、川が汚れていますよ?」

 突拍子も無い話題だった。
 流石に嘘だと決めつけ、容易くあしらう。

「バカな、そんな話が……って!?」
「本当に汚れてる。しかも紫色だよ!?」

 けれど川を見ると本当に汚れていた。紫色の、自然界ではあり得ないような色が溶け出ている。
 しかも油分を含んでいるのか、ちょっと浮いてる。
 明らかに異常事態で、私達はドン引きする。

「な、なによコレ。一体何処から……」
「この液体は……ん?」
「Night、どうした……のぉ?」

 ふとNightの視線の先を追いかける。
 すると私は固まってしまった。
 目に留まったのは筏の周りを囲う、浮きの一つだ。

「あ、あれ? もしかしてこの液体」
「ここから漏れてるな」
「嘘でしょ!? なんでアウトリガーから!?」

 紫色をした液体の出どころ。それはまさかのアウトリガーから。
 つまりはこの液体はアウトリガーの中にあった。
 それが漏れ出ている。ってことはつまり……そう言うことだよね?
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