VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

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5ー3:星の線を結んで

◇174 光線の行方

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「とりあえず開いたな」
「開いたなって、納得いかないんだけど」

 私は正直な感想を吐露した。
 けれどNightはあっさりしていた。

「開いたんだ。構わないだろ」
「構わないって、落ちてきたりしないよね?」

 一番怖いのはそこだった。
 この壁がシャッターだとして、突然落ちてきたら間違いなく死ぬ。
 トラウマ必死で、二度とこのゲームを遊べない。ましてやシャッター恐怖症もあり得る。

「ふむ。問題は無さそうだぞ」

 Nightはコンコンとシャッターを叩いた。
 一応引っ込んではいるけれど、まだ固定されているとは信じられない。
 それを身を持って証明すると、シャッターは落ちて来ないことになった。

「本当? だね。よかった」
「安心するのはまだ早いぞ」
「えっ?」

 そう言うと、Nightは目の前の部屋を観察。
 Zを描いて視線を右往左往させる。
 何か怪しい所はないか、確認してみるも、一応は大丈夫そうだ。

「罠の類は……ないか」
「それじゃあ早く入りましょう。って、他になんにもないじゃない」

 意気揚々とベルは部屋に入った。
 そこには確かに目ぼしいものは何もない。
 台座に固定された鏡。何故か高さが若干違う気はするけれど、それ以外には本当に何も無かった。

「鏡だけですか?」
「なーんだ、つまんないの」
「……そうとは限らないだろ」

 肩を落として落胆する私達。
 何か大きなヒントが隠されていると思ったけど、そんなことは全く無い。
 私達がしょんぼりすると、Nightは違った。視線が上にある。

「天井をよく見てみろ」
「「「天井???」」」

 Nightに誘導されて、私達は天井を見た。
 そこには透明なガラス板が張ってある。
 何故か湾曲しているとんでも構造だけど、私達は驚いてしまった。

「ま、窓!?」
「そうだな。これが所謂天窓って奴だ」

 これが天窓、初めて見た。
 私達は戸惑ってしまうと、この意味が分からない。
 わざわざ天窓を用意する意味って一体。それって太陽の古代遺跡の設定的に遭ってるのか分からない。

「どうしてこんなものが?」
「恐らく光源だ」
「恐らくって……Nightが言ってた奴?」
「そうだな。まさかここまで当たっているとはな……」

 Nightの思った通りに進んでいた。
 予想通り、天窓が設置されている。
 しかも天窓が設置された理由は確実に光源。
 そこまで当ててしまうと、Nightは台座に近付いた。

「天窓がわざわざ設置されている。つまりは、この天窓を使えってことだ」
「光源を取り込むってこと?」
「正解だ。こんな風にな」

 台座に近付くと、Nightは鏡の角度を変えた。
 天窓の奥には光がある。太陽が出ている証拠だ。
 試しに使ってみると、鏡の角度を適度に変え、湾曲したガラス窓を貫光して、鏡に跳ね返る。

 ピッカー――――ン!

「ま、眩しい……」
「や、焼ける。痛いいー」
「つまりこういうことだ」

 鏡に跳ね返った光が眩しい。
 一本の線になり、私達を襲う。
 今にも焼け焦げてしまいそうな熱にうなされると、部屋の隅っこに逃げた。

「なるほどね。つまりこの光源を上手くあの鏡に当てればいい訳ね」
「そう言うことだ」

 ベルは中央の広い部屋に設置された鏡、それから隣の部屋に設置されていた鏡を交互に見る。
 片方から得た光源を使って、もう片方の部屋に届ける。
 鏡を上手く利用すれば、全然不可能じゃない。Nightの中でも、その計画は変わらない。

 だけど私は気になって仕方が無い。
 確かにNightやベルの考えは合っていると思うけど、それだけだと足りない気がする。
 何せ、せっかく太陽から光源を貰ったらお題に添ってない。
 今回は〔太陽の試練〕じゃなくて、〔星の試練〕なんだ。明らかに意味あり気で、私はジッと光の線を睨んだ。

「あれ?」
「どうした、アキラ」
「今一瞬だけ光が途切れて……ええっ!?」

 私はジッと観察していた。光の方向を見つめていた。
 すると隣の部屋まで光が届かないことに気が付く。
 もちろん完全に届かない訳じゃないし、寧ろ届いてはいるけれど、隣の部屋に届いた瞬間、何かが遮断する。光が急に途切れると、Nightとベルも顔色を変えた。表情が曇っている。

「光が途切れたわね」
「そうだな。もう少し角度を変えてみるか」

 Nightは台座の位置と鏡の角度を変えた。その度に光が集まる。
 もの凄い熱が一気に解き放たれて、隣の部屋へ。けれど何度やってもダメ。
 光は線になって走るけど、隣の中央部屋に届く前に途切れた。

「ダメね。向こうの部屋に届く前に途切れるわ」
「うーん、やはり鏡に直接当てるしかないのか?」
「そうっぽいわよ。概念的な感じだからかしら?」
「可能性はあるな。さて、どうるすか」

 Nightとベルは難しそうな話をしていた。
 だけど私は今の光を直接鏡に届けられる方法を知らない。
 そのせいか、早速行き詰ってしまう。

「どうしよう、Night」
「どうしようもなにもないだろ。方法を探すだけだ」
「方法?」
「ああ、そうだ。とは言え、周りを見ただけでは、直接的な答えは無さそうだぞ」

 周囲を見回してみるけれど、直接的な答えは無い。
 そのせいか、何から手を付けるべきか、分からなくなってしまう。
 迷ってしまう私達に、Nightはポツリ呟く。

「となれば、コイツを解くしかないみたいだな」
「「コイツ?」」

 Nightは振り返った。私とフェルノも振り返る。
 壁があるだけで、特に変な物はない。
 もちろん、完全に無い訳じゃない。だけど、気になる訳じゃなかった。

「ちょっと、一体なにを解くのよ」
「コイツだ」
「コイツって……はぁ?」

 ベルは唇を歪めた。
 ポカンとしてしまうと、確かにポカンとしちゃう。
 私達の視線の先には壁。だけど汚れている。

「もしかすると、この黒いシミでしょうか?」
「そうだな。明らかに不自然だ」
「不自然って……偶々じゃないの?」
「どうだろうな。少なくとも私は、コイツを怪しいと睨んでいる」

 雷斬はNightと同じ視野で見た。
 確かに壁には明らかに多い黒いシミ。
 ただのカビだと言ったらそれまでだけど、Nightは怪しいらしい。

「そ、そっか……」
「なんだ、私をアホだと思ったのか?」
「う、うん……」
「お前な、私がそんなアホな真似する訳ないだろ」

 今の所アホっぽい。Nightが壊れちゃったのかな?
 確かにここまで大変だった。
 全部Nightに頼りっぱなしだったことを反省する。

「ごめんね、Night」
「いや、いい。……まあ、確信は無いんだがな」

 確信が無いんだ。それじゃあ本当に何?
 私達はもはやヒントを失って、何をしたらいいのか分からなくなると、鏡と台座に格闘するしかなかった。
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