VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

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1ー1:私がキメラになった日

◇7 そこは始まりの街“スタット”

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 目が覚め、気が付くとそこは巨大な噴水があった。
 私はベンチに座っているようで、茫然と眺めていると、勢いよく水が出る。
 まるで雨のように勢いよく振り掛かると、あまりにもベンチが近かったせいで、私は水が降りかかった。

「……冷たい」

 私は目を細め、あまりのリアリティに浸っていた。
 これは何だろう。夢なのかな?
 そんな風に考えたのも束の間、意識を切り替えると、私は目を見開く。

「えっ、もしかしてここが!?」

 私は勢い余って立ち上がる。
 するとここが中世ヨーロッパ風の街であり、私が居るのは、巨大な噴水が目立つ広場だと察する。
 あまりの美しさと親しみやすさに一瞬忘れてしまったが、ここはゲームの中。
 そう、CUの世界なんだ。

「本当にリアル。これがVRMMOなの? 分からないけど」

 正直、VRゲームを遊んだ経験は無い。
 皆無と言っていいので、私は興奮のあまり、周囲をキョロキョロ見てしまう。
 すると歩いている他の人達に変な目をされてしまった。
 印象最悪。恥ずかしくなって私は顔を真っ赤にすると、ベンチに座り直した。

「えっと、とりあえずなにするんだっけ? そうだ、ステータス確認」

 私はエルエスタ・コーポレーションの凄さにドン引きする。
 流石は書類にサインをさせられただけのことはある。
 関心が空回りしてしまいそうだけど、とにかく凄すぎた。

 とは言え、一旦関心は置いておく。
 まず、ゲームを始めたからにはやるべきことがある。
 そう、待望のステータス確認だ。

「たしかこうやって……うわぁ、これがメニュー画面?」

 私は左手をスッと前に差し出し下に下げる。
 すると何処からともなく透明な板が目の前に出現する。
 そこにはたくさんのアイコンが表示されていて、これがいわゆるメニュー画面。
 私はその中から一つ、ステータスの項目をタッチした。


■アキラ
性別:女
種族:<ヒューマン>
LV:1
HP:100/100
MP:100/100

STR(筋力):12/10
INT(知力):12/10
VIT(生命力):12/10
AGI(敏捷性):12/10
DEX(器用さ):12/10
LUK(運):12/10

装備(武器)
武器スロット:〈初心者の短剣〉

装備(防具)
頭:
体:
腕:
足:
靴:
装飾品:

種族スキル:【適応力】
固有スキル:【キメラハント】,【ユニゾンハート】


「ん?」

 正直見てもさっぱり分からなかった。
 ステータスの読み解き方も、装備に貧弱さも、何より肝心のスキルさえ分からない。
 そんな状況で頭の中が真っ白になるが、とりあえず一言。私は吐露する。

「多分、強くは無いんだよね?」

 私は自分のステータスを何度も凝視した。
 けれど何度見てもバグっているようにしか見えない。
 ステータスの欄、そこに表示されている数字は、何故か右と左で違う。
 おまけに肝心のスキルもピンと来ない。

「うーん、スキルの説明って見られないのかな?」

 私は気になったスキルを確認してみる。
 とりあえずポチポチ押せば何か反応する。
 そんな原始的な発想で押してみると、スキルの詳細が明かされた。


種族スキル:【適応力】
条件:<ヒューマン>
説明:どんな環境下でも、時間経過と共に、その環境で最低限の行動が保障される程度に適応できるようになる。


「うん、普通?」

 意味合いとしてはそのままだった。
 だから何となく文字列から理解ができる。
 私はコクコク首を縦に振ると、続けて固有スキルを確認した。


固有スキル:【キメラハント】
条件:モンスター・NPCから特徴となるスキルを得る。
説明:モンスターに一定以上の精神的ダメージを負わせる、NPCからスキルを譲渡されることにより、AIによって診断され、その結果を基にスキルを獲得・使用することができる。


「ん? えっと、よく分からないないんだけど、つまりどういうこと?」

 正直、私は物分かりは悪くないと思う。
 けれど独特な表現が混じっているせいか、スキルの詳細が読み取れない。
 肝心なことが判らないのに使えない。そう思ってもう一つのスキルを確認しようとするが、何故か詳細を確認するとおかしなことになった。


固有スキル:【ユニゾンハート】
条件:unknown
説明:unknown


「あれ? おかしいな、こっちもバグってるのかな?」

 私は何度も何度も詳細を確認しようとした。
 しかし何も分からない。Unknownと表示されるだけで、後は鎖に覆われている。
 詳細を確認することが一向にできず、私は分からず仕舞いになった。

「どういうこと? もしかして私、おかしいのかな?」

 不安の方が強くなってきた。
 せっかく楽しむ気でいたのに残念。
 項垂れてしまっているとそれではダメだと悟る。
 意識を切り替え考えを変えてみた。

「もしかして、自分で確かめろってことなの? ちょっと面白そうかも」

 私は逆に楽しんでみることにする。
 そうと決まれば、ワクワクして来て、心が躍る。

「とりあえず【キメラハント】? 試してみないと分からないから……ここから一番近い場所は……えっと」

 私はメニューからマップを開いてみる。
 するとそこにはこの辺り一帯の地形が表示された。
 凄い高度なマップ技術だ。一瞬にしてファンタジー風な世界から、近未来に引き戻される。

「ここがスタット、始まりの街……確かにそれっぽい」

 私が感心したのは、この街がイメージのしやすいヨーロッパ風だからだ。
 しかも名前がスタットとある。
 スタートを切るには充分過ぎて、これ以上に無かった。

「って、そんなことよりこの近くに……森がある。スタットーン?」

 森の名前はスタットーンと言うらしい。
 何処までもスターを切らせたい名前のようで私ははにかんだ笑顔を浮かべる。
 唇をプルプル震わせると、なんと言ったらいいのか分からない。とは言えここは楽しもう。

「それじゃあこの森に行ってみよう。なにかいるかもしれない」

 何か居るかもしれないと言いながら、私は居て欲しいと願った。
 せっかくやる気が出たんだ。そう思ったっていい。
 私はベンチから素早く立ち上がると、噴水広場を抜け、街の外へと向かうのだった。
 その足取りは軽やかで、とても満ちていた。
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