VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

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1ー2:幽幻の居城の冒険

◇32 VS鎧騎士1

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 私とNightは鎧騎士と対峙した。
 その瞬間、全身を殺気が包み込む。
 一瞬にして飲まれる。それを受け止めると、私は短剣を胸のプレートに叩き付け、距離を取る。

「Night、下がろう」
「はっ!? なにバカなことを言って」
「いいから。一旦距離を取ろう」

 私の直感が促している。これはこのまま戦ったら負ける相手だと。
 そう悟った瞬間、私はNightを連れて後方に下がる。
 そのおかげかパンチを躱すことができ、即死の代わりに鎧騎士に槍を取られてしまった。

「ふぅ、なんとか助かったね」
「バカか! 敵がみすみす手放した武器を取り返させてどうする」
「ううっ、それは言わないでよ。私だって頑張ったんだよ?」
「そうだとしてもだ。槍を取られた以上、攻撃範囲はあいつに分があるんだぞ」

 Nightは私の頑張りを否定しなかった。それはなんだか嬉しい。
 だけど槍を取り返されちゃったのは多分マズい。
 武器の攻撃範囲が圧倒的に違う。
 私達は窮地に立たされると、次第に鎧騎士に追い詰められていた。

 ガチャン、ガチャン、ギュン!

「「うおっ!?」」

 鎧騎士は数歩近付くと、私達を纏めて槍の餌食にしようとする。
 繰り出した槍が私とNightの丁度間を縫う。
 鋭い一撃。瞬きしている暇もなく、やられるとしか思えなかった。

 バン!

「えっ?」
「この程度で諦めるな」

 空の薬莢が飛び、Nightの声が響く。
 いつの間にか取り出していた拳銃の引き金を引くと、弾が射出される。
 火花が散り、鎧騎士の胸プレートにカツンぶつかった。
 私のことを励ましてくれるも、鎧騎士にはまともなダメージは与えられていない。

「全然効いてない?」
「やっぱりか。鎧騎士の鎧に幾ら攻撃をしても、まともなダメージソースにはならないと」
「厄介な相手過ぎない?」
「そうだな。とは言え、時間は稼げた。少し距離を取るぞ」

 Nightのおかげで確かに時間は稼げた。
 鎧騎士の動きが一瞬止まると、胸プレートを擦っている。
 人間味があるけど、中身は空っぽ。
 勝てる要素が一つずつ減って行くと、私はNightにはできない戦い方を提案する。

「Night、もしかして倒せないのかな?」
「そんな訳が無いだろ。少なくとも、鎧を全てバラせば倒せる」
「バラすってことは、近接戦ってこと? Nightは戦えるの?」
「得意ではないがな。お前はどうだ?」
「私は、一応できるよ。だから、ちょっとやってみるね」

 そう言うと、私はピタリと立ち止まる。
 Nightはせっかく距離を取ったにもかかわらず、バカみたいに止まった私に目を見開く。
 手を伸ばして引き戻そうとする。だけどそんなことできなかった。

 ギュィーン!

 槍が私のことを狙って突き出される。
 当たれば確実に死んじゃう。
 恐怖心が助長されるけど、私は振り返り様に槍を抑え込んだ。

「【キメラハント】+【甲蟲】!」

 ガシッ!

 私は槍の棒部分を受け止めた。
 両腕でガッシリ抑え込むと、鎧騎士の攻撃が止まる。
 それだけじゃない。足も止まっていて、鎧騎士は声も無く困惑する。

「お、抑え込んだ!?」
「ううっ、槍は抑え込んだけど……うわぁ!」

 鎧騎士は槍を受け止められて考える素振りをする。
 だけど閃いた様子で軽く槍を持ち上げた。
 これってマズい。その瞬間、私の足が地面から離れると、簡単に宙に浮く。
 そうだよね。分かってた。私、体重そんなに重くないから、投げ飛ばされちゃうんだよね。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「なにやってるんだよ!」

 Night投げられた私を見兼ねて叫んだ。
 そんなことより助けて欲しい。
 私はそう思ったけど、そんなこと言ってる場合じゃなかった。

 ギュン!

 鎧騎士は槍を突き出す。
 天井に届いてしまうそうな勢いで、私は恐怖する。
 こんなの防御できない。確実に貫かれると思った。

「こ、このっ!」

 それでも最後に足搔いてみようとした。
 【甲蟲】で武装した腕を前に構え、×印を作る。
 果たしてこれで防御になるのかな? そう思ったけど、視界の端に捉えたNightはインベントリから何か取り出す。

「そんなので止められると思うな! これでも掴まれ!」

 そう言うと、Nightは何か投げてくれる。
 黒い紐のようなもので、私は一生懸命掴む。
 すると胸部分の防御が透けて、槍の先が捉えていた。

 ギュン!

 素早く鎧騎士は打ち込んだ。
 槍の先端が私の武装した腕に当たる。
 カツン! と鈍い音を立てると、私は目を閉じるが、同時に引っ張られた。

「せーのっ!」
「……お、遅い」

 私の腕に巻き付いていた紐は、黒いワイヤーだった。
 この間のものよりも太くて長い。
 それをウインチを使わずにNightが人力で引き寄せると、私はフラフラしながら床が近付く。

「ちょ、ま、待って!?」
「悪いな。私は非力なんだ」
「ひ、非力にも程があるよ!」

 私はワイヤーをなんとか引き千切ると受け身に全力になった。
 このまま落ちたら全身打撲だ。
 そんなことになったら痛いし、動けない。
 そう悟ると、受け身に超が付く程全力で、私は軽い身のこなしで受け身を取った。

 ドスン!

「ううっ、なんとかなったけど……」

 なんとかなったけど、普通にミスした。
 私は肩を脱臼しかけるも、そんな私にNightは励ましも掛けない。
 寧ろ急かす素振りを見せると、左腕を引っ張った。

「一度体勢を立て直す。攻撃の範囲から抜けるぞ」
「あっ、ちょっと待ってよ!」

 私は何とか立ち上がると、急いで鎧騎士から離れる。
 まだ勝ち手段ができていない。
 私とNightは空気で追い詰められると、厳しい状況になっていた。
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