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2ー1:烈火に燃えた竜
◇45 モンスターは生物
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「上手く行ったかな?」
「さぁねー。でもあれだけ大口叩いてたんだから、なんとかなってるんじゃないのー?」
「あはは、厳しいね、フェルノ」
「そっかなー? 私、理論とか全然興味無いからねー」
私とフェルノは森の中をトボトボ歩いていた。
約束の待ち合わせ場所はこの先だ。
まさかアルミラージ一羽にこれだけ苦戦するとは思わなかった。
だけど山の中、森の隅々を走り回ると、やっぱり楽しい。
いい気分転換になったと思うけど、結果はまだ知らない。
Nightなら上手く行ってると思うけど、少し不安だ。
「大丈夫だよね、Night」
心配になりながら森の中を進んだ。
すると小さな人影が見えてくる。
黒いマントを纏い、存在感を露わにすると、背中から見えないオーラを感じる。
「うーん、どっちー?」
「どっちだろ。おーい、Night。上手く行った?」
私はNightに声を掛ける。
するとNightは気怠そうに振り返る。
その視線の先、私とフェルノに気が付くと、成果を見せつけるように、その場を開けた。
「「あっ!」」
「二人共よくやったな。お手柄だ」
木の枝にワイヤーが通されている。
その先、丁度宙ぶらりんにされている白い塊がある。
あまりにも可哀そうに映るけど、それは確かにアルミラージ。
角を切り飛ばされ、完全に絶命しているけれど、上手く絞められているおかげか、粒子にならずに済んでいた。
「うわぁ、本当に捕まえちゃったよー。私達、全員凄くない?」
「そうか?」
「Night、上手く行ったんだから、素直に喜ぼうよ」
「そうなのか?」
あまり達成感を感じていなかった。
どうしてだろう? もしかして、Nightは楽しくなかったのかな?
私は不安になるものの、Nightに言葉を掛けた。
「Night、こんなに頑張ったんだから」
「だが経験値はほとんど入っていないぞ。本来の十分の一も無い」
「うっ、確かに倒して無いからね……」
残念ながら、捕獲だと経験値はほとんど入らない。
だから私たち三人の内、誰もレべルアップしていない。
おまけに私の固有スキル、【キメラハント】も新しいスキルを獲得できてない。
だって捕獲だから。奪うとか奪わないの話でも無い。
本当に難しいスキルだなと思いつつも、無事に成功してなによりだ。
「Night-!」
「うわぁ、なんだフェルノ!?」
そんな中、フェルノはNightの腕を掴んだ。
そのままブランブラーンと上げ下げさせる。
突然のことに驚く中、フェルノは続けた。
「Nightの作戦、私は最初、成功しないと思ってたんだー」
「だろうな」
「だろうなか―。でもね、ちゃんと成功した時、面白かったんだよねー。ワクワクしたっていうかー、みんな違ってみんな良いって感じでさー。あはは」
「なにが言いたいのかよく分からないんだが」
確かにフェルノのテンション的に上手く伝わらない。
だけどフェルノは楽しそうだ。
ここに間を挟むのはヤバいと思い、私は、助けを求めるNightを放置。
フェルノの気が済むまでお人形になって貰うことにした。
「イェーイ、イェーイ!」
「腕が疲れる……」
「やったね、やったね、でさでさ、これからどうするのー?」
「後は納品だ。欲しがっていたのは、こっちじゃなくて、こっちだからな」
そういうNightの手には、アルミラージから切り飛ばした角が握られている。
今回納品するのは、この角じゃない。
本当はこの角の方が価値があるらしいけど、今回欲しがっているのは、アルミラージのお肉だった。
「ねぇ、Night。アルミラージのお肉ってどうするの?」
「食べるに決まっているだろ」
「た、食べるの!?」
「当り前だ。アルミラージはウサギだからな。普通に食べることができる」
確かに今回の依頼だと、アルミラージを欲しがっていたのはプレイヤー。
しかもお肉を必用としている人だった。
ってことは、調理して食べるんだ。なんだろう、モンスターを食べるのって……
「モンスターは生物だ」
「えっ?」
「モンスターは生物だ。この世界のNPC達は、モンスターを食すことで生きている。それは私達が、牛や豚、魚や野菜を食べるのと同じことだ。生物を食べることで、私達は生きている。だからなにも問題にはならない」
確かに生きるってそういうことだ。
私達は他の生物を食べて生きている。
それがこの世界だとモンスターが代替になっていて、私はそんな世界の都合を意識する。
「そうだよね。それじゃあ、美味しく食べて貰わないとね」
「そう言うことだ。……で、いつまで私はバンザイをさせられるんだ?」
フェルノに絡まれ、いつまでもお人形にされているNight。
その顔色は面倒そうで、腕が疲れて来ていた。
それでもフェルノは無尽蔵な体力を見せると、ハキハキとした笑顔を剥きだす。
「えっ、それは聞かない約束でしょ?」
「そんな約束してないだろ。アキラ、コイツを止めろ」
「あはは、ごめんね、Night。それは無理かも」
「はっ? 無理ってなんだ!」
いや、こうなったフェルノは止められない。
だってフェルノの行動原理は単純だ。
自分が楽しいと思ったことに真っ直ぐ正面から向かっていく。
そんなフェルノを無理に止めるなんて真似なかなかできないので、私はNightに犠牲になって貰うことにした。
「頑張って、Night」
「お前な!」
私はNightにキレられる。
正直、拳銃を突き付けられそうだ。
だけど良かった。フェルノに腕を拘束され、手出しができないNightは、本当にお人形にみたいで可愛いかった。
「さぁねー。でもあれだけ大口叩いてたんだから、なんとかなってるんじゃないのー?」
「あはは、厳しいね、フェルノ」
「そっかなー? 私、理論とか全然興味無いからねー」
私とフェルノは森の中をトボトボ歩いていた。
約束の待ち合わせ場所はこの先だ。
まさかアルミラージ一羽にこれだけ苦戦するとは思わなかった。
だけど山の中、森の隅々を走り回ると、やっぱり楽しい。
いい気分転換になったと思うけど、結果はまだ知らない。
Nightなら上手く行ってると思うけど、少し不安だ。
「大丈夫だよね、Night」
心配になりながら森の中を進んだ。
すると小さな人影が見えてくる。
黒いマントを纏い、存在感を露わにすると、背中から見えないオーラを感じる。
「うーん、どっちー?」
「どっちだろ。おーい、Night。上手く行った?」
私はNightに声を掛ける。
するとNightは気怠そうに振り返る。
その視線の先、私とフェルノに気が付くと、成果を見せつけるように、その場を開けた。
「「あっ!」」
「二人共よくやったな。お手柄だ」
木の枝にワイヤーが通されている。
その先、丁度宙ぶらりんにされている白い塊がある。
あまりにも可哀そうに映るけど、それは確かにアルミラージ。
角を切り飛ばされ、完全に絶命しているけれど、上手く絞められているおかげか、粒子にならずに済んでいた。
「うわぁ、本当に捕まえちゃったよー。私達、全員凄くない?」
「そうか?」
「Night、上手く行ったんだから、素直に喜ぼうよ」
「そうなのか?」
あまり達成感を感じていなかった。
どうしてだろう? もしかして、Nightは楽しくなかったのかな?
私は不安になるものの、Nightに言葉を掛けた。
「Night、こんなに頑張ったんだから」
「だが経験値はほとんど入っていないぞ。本来の十分の一も無い」
「うっ、確かに倒して無いからね……」
残念ながら、捕獲だと経験値はほとんど入らない。
だから私たち三人の内、誰もレべルアップしていない。
おまけに私の固有スキル、【キメラハント】も新しいスキルを獲得できてない。
だって捕獲だから。奪うとか奪わないの話でも無い。
本当に難しいスキルだなと思いつつも、無事に成功してなによりだ。
「Night-!」
「うわぁ、なんだフェルノ!?」
そんな中、フェルノはNightの腕を掴んだ。
そのままブランブラーンと上げ下げさせる。
突然のことに驚く中、フェルノは続けた。
「Nightの作戦、私は最初、成功しないと思ってたんだー」
「だろうな」
「だろうなか―。でもね、ちゃんと成功した時、面白かったんだよねー。ワクワクしたっていうかー、みんな違ってみんな良いって感じでさー。あはは」
「なにが言いたいのかよく分からないんだが」
確かにフェルノのテンション的に上手く伝わらない。
だけどフェルノは楽しそうだ。
ここに間を挟むのはヤバいと思い、私は、助けを求めるNightを放置。
フェルノの気が済むまでお人形になって貰うことにした。
「イェーイ、イェーイ!」
「腕が疲れる……」
「やったね、やったね、でさでさ、これからどうするのー?」
「後は納品だ。欲しがっていたのは、こっちじゃなくて、こっちだからな」
そういうNightの手には、アルミラージから切り飛ばした角が握られている。
今回納品するのは、この角じゃない。
本当はこの角の方が価値があるらしいけど、今回欲しがっているのは、アルミラージのお肉だった。
「ねぇ、Night。アルミラージのお肉ってどうするの?」
「食べるに決まっているだろ」
「た、食べるの!?」
「当り前だ。アルミラージはウサギだからな。普通に食べることができる」
確かに今回の依頼だと、アルミラージを欲しがっていたのはプレイヤー。
しかもお肉を必用としている人だった。
ってことは、調理して食べるんだ。なんだろう、モンスターを食べるのって……
「モンスターは生物だ」
「えっ?」
「モンスターは生物だ。この世界のNPC達は、モンスターを食すことで生きている。それは私達が、牛や豚、魚や野菜を食べるのと同じことだ。生物を食べることで、私達は生きている。だからなにも問題にはならない」
確かに生きるってそういうことだ。
私達は他の生物を食べて生きている。
それがこの世界だとモンスターが代替になっていて、私はそんな世界の都合を意識する。
「そうだよね。それじゃあ、美味しく食べて貰わないとね」
「そう言うことだ。……で、いつまで私はバンザイをさせられるんだ?」
フェルノに絡まれ、いつまでもお人形にされているNight。
その顔色は面倒そうで、腕が疲れて来ていた。
それでもフェルノは無尽蔵な体力を見せると、ハキハキとした笑顔を剥きだす。
「えっ、それは聞かない約束でしょ?」
「そんな約束してないだろ。アキラ、コイツを止めろ」
「あはは、ごめんね、Night。それは無理かも」
「はっ? 無理ってなんだ!」
いや、こうなったフェルノは止められない。
だってフェルノの行動原理は単純だ。
自分が楽しいと思ったことに真っ直ぐ正面から向かっていく。
そんなフェルノを無理に止めるなんて真似なかなかできないので、私はNightに犠牲になって貰うことにした。
「頑張って、Night」
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