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2ー2:継ぎ接ぎの始動
◇61 Eランクになったぞ!
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スタットのギルド会館に戻って来た。
私達は、ギルドに提出するための素材を用意する。
正直、ここまで大変な道のりだった。
なにせ、私以外の二人は完全にダウンしていた。
「あー、やーっと着いたー」
「はぁはぁはぁはぁ……ようやくか」
フェルノとNightは、息を切らしていた。
それもその筈、フェルノはスキルの反動。
体力を可なり消耗していて、疲れ切っている。
一方のNightは単純に体力は終わりに近い。
顔色はやっぱり悪く、今日一日で、多分一週間分は歩いた。
そう思わせてくれるには充分なほど、転移地が遠かった。
メタクロの森からすぐに出も出ようとしたのに、探せど探せど見つからない。
そのせいもあってか、三十分以上は格闘した。
「でもなんとか戻って来たよ。ほら、報告しに行こう!」
私だけは頑張って元気な振りをする。
フェルノとNightを引き連れ、受付にやって来た。
目の前のプレイヤーが列を抜け、丁度、ミーNaさんの顔があった。
「あっ、皆さん、今戻られたのですね?」
「ミーNaさん、これでいいんですよね?」
私はインベントリの中からアイテムを取り出す。
今回の依頼、〔メタクロベアーの討伐〕は、もっと正確に言えば、〔鋼鉄の熊爪〕の納品だった。
だから、ちゃんとドロップしてくれてよかった。
胸を撫で下ろすと、私はアイテムを納品する。
「それでは、アイテムの提出をお願いできますか?」
「はい。これで大丈夫ですか?」
私はインベントリの中から、鋼鉄の熊爪を取り出す。
トレイの上に置くと、ミーNaさんは受け取った。
「それでは確認させていただきますね。うん、少し傷が入っていますが、大丈夫ですね」
「き、傷ですか?」
「はい。この辺りを見てください」
ミーNaさんは鋼鉄の熊爪を見せてくれる。
人差し指で指すのは、爪の部分。
一ヵ所だけ、穴が開いている。それが傷になっているらしく、減額になってしまうらしい。
「こんな傷があったんだ……」
「ミスったな。モンスターを倒してドロップするアイテムには、確率が設定されている。その確率を少しでも上げるには、狙った部位を狙うのがベストだが、同時にそのモンスターから落ちる素材も、どのように攻撃したのか、どのようにダメージを与えたのかによって決まる」
「つまり、ワイヤー作戦の弊害?」
「私の作戦は完璧だった。無茶はしたが、二人なら充分できた筈だ!」
「えー、結構頑張ったのに、叱られるのー?」
「私は完璧にこなした。それだけだ」
こんな公衆の面前で喧嘩しないで欲しい。
私はなんとか二人の間に入り、喧嘩を諫める。
とは言っても、喧嘩をするような体力も無い。
二人は適当にやり取りをすると、すぐに如何でもよくなった。
「それじゃあミーNaさん、これって……」
「いえ、大丈夫ですよ。この程度でしたら、依頼主の方にもギルド側から、補填をさせていただきますので。実際、品質・耐久性、どちらも十二分ですから」
ミーNaさん、上手く話しを纏めてくれた。
如何やら私達の頑張りはそっくりそのまま適ったらしい。
よかったと何度も胸を撫で下ろすと、呼吸が整ってくれた。
「それでは後で不備などが無いか確認させていただきますね」
「お願いします」
「それと、〈《継ぎ接ぎの絆》〉の皆さん。先に報酬をお渡ししておきますね。こちらが今回の報酬になります」
そう言うと、ミーNaさんは袋を手渡してくれた。
ズッシリしていて重たい。
中身は何かと思ったら、如何やらコインがたくさん入っている。きっとお金だ。
「うわぁ、こんなに!」
「報酬の内、五パーセントは、ギルド側が利息としていただきます。残りはどうぞお受け取りください」
「ありがとうございます」
私は報酬を受け取った。
とは言え、この報酬は何だか受け度り辛い。
なにせ相手が相手だ。またソウラさんに睨まれなければいいのにと思いつつ、ミーNaさんはもう一つ教えてくれた。
「今回の依頼、少々Fランクとしては難易度が高かったかもしれませんね」
「あっ、そうだぞ! 相手は凶暴化していた強化個体だった」
「そうだよー。おかげで酷い目に遭ったんだよー」
Nightとフェルノは吹っ切れた。
ミーNaさんに文句を言いだして、私は戸惑う。
けれどそれを聞いたミーNaさんは驚くと、申し訳なさそうな顔になった。
「そうだったんですか!? 申し訳ございませんでした」
「ミーNaさんが謝ることじゃないですよ。それにこうして無事なんですから」
「それはそうですが……本当に無事でなによりでした」
確かに無事で何よりだ。
私達は今のレベルでよく勝てたと思う。
それだけの強敵を打ち負かしたことで、ミーNaさんは凄いことを教えてくれた。
「〈《継ぎ接ぎの絆》〉の皆さんは、これでFランクからEランクに昇格しましたね。おめてどうございます」
「「「えっ!?」」」
私達は声を上げた。
まさかたった一日で、ランクが上がるなんて思ってもみなかった。
私達は互いに視線を配り合うと、ミーNaさんに訊ねる。
「ランクが上がってもいいんですか?」
「はい、問題ありませんよ」
「えっと、それじゃあ……」
この後如何したらいいのかな?
まさか一日にしてランクが上がるとは思わなかった。
流石に声が出なくなると、とにかく喜んではみた。
「みんなやったね」
「うんうん、なーんか、実感ないけどねー」
「そうだな。とは言え、これで目標はクリアだ」
私達は知らなかった。
あの強化個体のメタクロベアーが、相当のランクであること。
それを倒したことを、ミーNaさんは会話から読み解くと、そのまま私達をランクアップさせてくれたのだった。
「ん、おや?」
ギルド会館にやって来た女性が一人。
真っ黒な髪に、深い青の瞳。
凛々しい顔立ちは、同性でも目を奪われてしまう。
何となく私にはそう映った。
彼女の名前は知らないが、如何やらギルド会館に用があったらしい。
依頼を受理しに来たのか、受注しに来たのか、どちらにせよ目的を持つ顔だ。
「アレは……」
そんな中、女性の目は一点に留まる。
受付カウンターから離れ、互いに喜び合っている少女達の姿。
アキラ達〈《継ぎ接ぎの絆》〉の姿を見ると、つい聞き耳を立ててしまった。
「これでよかったんだよね?」
「当り前だ。無事に依頼も達成した。ギルドランクも上がったからな」
「どっちみちー。OKってことでしょー。万々歳―!」
女性にとっては何の縁も所縁もない。
けれどギルド会館でかなり目立っているせいか、自然と視線を奪われる。
とは言え話すこともあまりない。女性は一瞬目を伏せると、アキラ達と交差した。
「青春だね。仲間同士で喜び合う光景。おめでとうと讃えておくよ」
とは言え喜んでいる少女達は眩しい。青春を満喫している。
女性は凛とした態度を崩すことは無いが、軽く拍手を送った。
きっと大変な依頼を達成したのだろう。「おめでとう」の気持ちを贈る。
「さてと、ボクも依頼の確認をしないとね」
「あっ、けみーさん」
「ん? やぁ、ミーNa。どうしたのかな? なにかあった?」
女性の名前はけみーと言った。
受付カウンターに向かうと、アキラ達の対応を終えたミーNaに声を掛けられる。
如何やら知り合いのようで、お互いにフランクなやり取りをする。
「けみーさん。丁度今、〈《Deep Sky》〉のソウラさんの依頼が達成されましたよ」
「丁度今? ……偶然かな?」
けみーの目的は依頼の確認だった。
現在進行形か否か、その進捗を聞くだけでよかった。
面倒な依頼になっているため、誰も引き受けてはいないだろうと高を括っていたのだが、まさか依頼が達成されるなんて思わなかった。しかも丁度今だ。けみーは姿勢を崩す。
「ちなみに一体誰が?」
「けみーさんの視界の中にあります」
「僕の視界? ……まさか、彼女達が?」
「はい!」
けみーは誰が依頼を達成したのか気になった。
本来口にするべきではないのだが、ミーNaは嬉しくてヒントを出す。
視界の中と言われ、けみーは周囲を見回す。
クルンと振り返ってみると、“丁度今”が引っかかった。
その言葉を検索に掛けると、一組だけヒットする。
そう、今しがたギルドを立ち去ろうとするアキラ達だ。
「けみーさん?」
「なるほど、そうかい。彼女達が……面白いね」
けみーは笑みを浮かべていた。
一体何が面白いのか、ミーNaは分からない。
もちろん私にも分からず、人間にしか伝わらない、もしくはけみーにしか理解できない高次元の思考を、私のデータとして蓄積する訳にはいかなかった。
私達は、ギルドに提出するための素材を用意する。
正直、ここまで大変な道のりだった。
なにせ、私以外の二人は完全にダウンしていた。
「あー、やーっと着いたー」
「はぁはぁはぁはぁ……ようやくか」
フェルノとNightは、息を切らしていた。
それもその筈、フェルノはスキルの反動。
体力を可なり消耗していて、疲れ切っている。
一方のNightは単純に体力は終わりに近い。
顔色はやっぱり悪く、今日一日で、多分一週間分は歩いた。
そう思わせてくれるには充分なほど、転移地が遠かった。
メタクロの森からすぐに出も出ようとしたのに、探せど探せど見つからない。
そのせいもあってか、三十分以上は格闘した。
「でもなんとか戻って来たよ。ほら、報告しに行こう!」
私だけは頑張って元気な振りをする。
フェルノとNightを引き連れ、受付にやって来た。
目の前のプレイヤーが列を抜け、丁度、ミーNaさんの顔があった。
「あっ、皆さん、今戻られたのですね?」
「ミーNaさん、これでいいんですよね?」
私はインベントリの中からアイテムを取り出す。
今回の依頼、〔メタクロベアーの討伐〕は、もっと正確に言えば、〔鋼鉄の熊爪〕の納品だった。
だから、ちゃんとドロップしてくれてよかった。
胸を撫で下ろすと、私はアイテムを納品する。
「それでは、アイテムの提出をお願いできますか?」
「はい。これで大丈夫ですか?」
私はインベントリの中から、鋼鉄の熊爪を取り出す。
トレイの上に置くと、ミーNaさんは受け取った。
「それでは確認させていただきますね。うん、少し傷が入っていますが、大丈夫ですね」
「き、傷ですか?」
「はい。この辺りを見てください」
ミーNaさんは鋼鉄の熊爪を見せてくれる。
人差し指で指すのは、爪の部分。
一ヵ所だけ、穴が開いている。それが傷になっているらしく、減額になってしまうらしい。
「こんな傷があったんだ……」
「ミスったな。モンスターを倒してドロップするアイテムには、確率が設定されている。その確率を少しでも上げるには、狙った部位を狙うのがベストだが、同時にそのモンスターから落ちる素材も、どのように攻撃したのか、どのようにダメージを与えたのかによって決まる」
「つまり、ワイヤー作戦の弊害?」
「私の作戦は完璧だった。無茶はしたが、二人なら充分できた筈だ!」
「えー、結構頑張ったのに、叱られるのー?」
「私は完璧にこなした。それだけだ」
こんな公衆の面前で喧嘩しないで欲しい。
私はなんとか二人の間に入り、喧嘩を諫める。
とは言っても、喧嘩をするような体力も無い。
二人は適当にやり取りをすると、すぐに如何でもよくなった。
「それじゃあミーNaさん、これって……」
「いえ、大丈夫ですよ。この程度でしたら、依頼主の方にもギルド側から、補填をさせていただきますので。実際、品質・耐久性、どちらも十二分ですから」
ミーNaさん、上手く話しを纏めてくれた。
如何やら私達の頑張りはそっくりそのまま適ったらしい。
よかったと何度も胸を撫で下ろすと、呼吸が整ってくれた。
「それでは後で不備などが無いか確認させていただきますね」
「お願いします」
「それと、〈《継ぎ接ぎの絆》〉の皆さん。先に報酬をお渡ししておきますね。こちらが今回の報酬になります」
そう言うと、ミーNaさんは袋を手渡してくれた。
ズッシリしていて重たい。
中身は何かと思ったら、如何やらコインがたくさん入っている。きっとお金だ。
「うわぁ、こんなに!」
「報酬の内、五パーセントは、ギルド側が利息としていただきます。残りはどうぞお受け取りください」
「ありがとうございます」
私は報酬を受け取った。
とは言え、この報酬は何だか受け度り辛い。
なにせ相手が相手だ。またソウラさんに睨まれなければいいのにと思いつつ、ミーNaさんはもう一つ教えてくれた。
「今回の依頼、少々Fランクとしては難易度が高かったかもしれませんね」
「あっ、そうだぞ! 相手は凶暴化していた強化個体だった」
「そうだよー。おかげで酷い目に遭ったんだよー」
Nightとフェルノは吹っ切れた。
ミーNaさんに文句を言いだして、私は戸惑う。
けれどそれを聞いたミーNaさんは驚くと、申し訳なさそうな顔になった。
「そうだったんですか!? 申し訳ございませんでした」
「ミーNaさんが謝ることじゃないですよ。それにこうして無事なんですから」
「それはそうですが……本当に無事でなによりでした」
確かに無事で何よりだ。
私達は今のレベルでよく勝てたと思う。
それだけの強敵を打ち負かしたことで、ミーNaさんは凄いことを教えてくれた。
「〈《継ぎ接ぎの絆》〉の皆さんは、これでFランクからEランクに昇格しましたね。おめてどうございます」
「「「えっ!?」」」
私達は声を上げた。
まさかたった一日で、ランクが上がるなんて思ってもみなかった。
私達は互いに視線を配り合うと、ミーNaさんに訊ねる。
「ランクが上がってもいいんですか?」
「はい、問題ありませんよ」
「えっと、それじゃあ……」
この後如何したらいいのかな?
まさか一日にしてランクが上がるとは思わなかった。
流石に声が出なくなると、とにかく喜んではみた。
「みんなやったね」
「うんうん、なーんか、実感ないけどねー」
「そうだな。とは言え、これで目標はクリアだ」
私達は知らなかった。
あの強化個体のメタクロベアーが、相当のランクであること。
それを倒したことを、ミーNaさんは会話から読み解くと、そのまま私達をランクアップさせてくれたのだった。
「ん、おや?」
ギルド会館にやって来た女性が一人。
真っ黒な髪に、深い青の瞳。
凛々しい顔立ちは、同性でも目を奪われてしまう。
何となく私にはそう映った。
彼女の名前は知らないが、如何やらギルド会館に用があったらしい。
依頼を受理しに来たのか、受注しに来たのか、どちらにせよ目的を持つ顔だ。
「アレは……」
そんな中、女性の目は一点に留まる。
受付カウンターから離れ、互いに喜び合っている少女達の姿。
アキラ達〈《継ぎ接ぎの絆》〉の姿を見ると、つい聞き耳を立ててしまった。
「これでよかったんだよね?」
「当り前だ。無事に依頼も達成した。ギルドランクも上がったからな」
「どっちみちー。OKってことでしょー。万々歳―!」
女性にとっては何の縁も所縁もない。
けれどギルド会館でかなり目立っているせいか、自然と視線を奪われる。
とは言え話すこともあまりない。女性は一瞬目を伏せると、アキラ達と交差した。
「青春だね。仲間同士で喜び合う光景。おめでとうと讃えておくよ」
とは言え喜んでいる少女達は眩しい。青春を満喫している。
女性は凛とした態度を崩すことは無いが、軽く拍手を送った。
きっと大変な依頼を達成したのだろう。「おめでとう」の気持ちを贈る。
「さてと、ボクも依頼の確認をしないとね」
「あっ、けみーさん」
「ん? やぁ、ミーNa。どうしたのかな? なにかあった?」
女性の名前はけみーと言った。
受付カウンターに向かうと、アキラ達の対応を終えたミーNaに声を掛けられる。
如何やら知り合いのようで、お互いにフランクなやり取りをする。
「けみーさん。丁度今、〈《Deep Sky》〉のソウラさんの依頼が達成されましたよ」
「丁度今? ……偶然かな?」
けみーの目的は依頼の確認だった。
現在進行形か否か、その進捗を聞くだけでよかった。
面倒な依頼になっているため、誰も引き受けてはいないだろうと高を括っていたのだが、まさか依頼が達成されるなんて思わなかった。しかも丁度今だ。けみーは姿勢を崩す。
「ちなみに一体誰が?」
「けみーさんの視界の中にあります」
「僕の視界? ……まさか、彼女達が?」
「はい!」
けみーは誰が依頼を達成したのか気になった。
本来口にするべきではないのだが、ミーNaは嬉しくてヒントを出す。
視界の中と言われ、けみーは周囲を見回す。
クルンと振り返ってみると、“丁度今”が引っかかった。
その言葉を検索に掛けると、一組だけヒットする。
そう、今しがたギルドを立ち去ろうとするアキラ達だ。
「けみーさん?」
「なるほど、そうかい。彼女達が……面白いね」
けみーは笑みを浮かべていた。
一体何が面白いのか、ミーNaは分からない。
もちろん私にも分からず、人間にしか伝わらない、もしくはけみーにしか理解できない高次元の思考を、私のデータとして蓄積する訳にはいかなかった。
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