VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

文字の大きさ
60 / 199
2ー2:継ぎ接ぎの始動

◇60 VSメタクロベアー4

しおりを挟む
 ズドン!

 先制攻撃は、フェルノからだった。
 鋭いパンチが繰り出されると、炎に燃えて見えた。
 もはや私の目には見えない。目で追えない。ギリギリ意識すれば、輪郭がボヤけて見える程で、メタクロベアーも理解できていない。

「グマラァァァァァ!?」
「叫んだって無駄だよ。それ、それっそれっ、それぇぇぇぇぇ!」

 フェルノは全身から炎を漏らす。
 だけどそれだけで止まらない。
 ただドラゴンの力を武装していた時に比べ、圧倒的に動きがいい。
 身体能力が加速度的に上昇していて、私は目を疑う。

「どうなってるの、これ?」
「恐らく、フェルノの固有スキル、【烈火心動】の効果だろうな」
「【烈火心動】……どんなスキルなんだろう?」
「さぁな。これは勘だが、フェルノの感情のボルテージが上がるごとに、つまりパッションに左右されて、身体能力を強化するスキルだろうな」
「フェルノっぽい。けど、これじゃあ私達が戦えないよ!」

 フェルノが暴れ回っている。
 そのおかげもあり、メタクロベアーはフェルノとだけ戦っている。
 鋭い爪同士がぶつかり合うと、激しく熱いバトルが繰り広げられ、もやは私達が参戦する間は無い。

「トドメをって言われても、このままじゃ……」
「それに関しては問題無い。フェルノは戦いながらも、自分の役目を果たそうとしている」

 フェルノのことを、Nightはよく見ていた。
 とんでもない観察眼を発揮すると、フェルノがメタクロベアーの爪を封じ込めようとする。

 ワイヤーを上手く掛けながら、鋭いパンチやキックで気圧していく。
 完全にフェルノが押していて、圧倒的なリードとアドバンテージを稼いでいる。
 もうこのままフェルノが決めた方がいいんじゃ……とか思ってしまうけど、戦い続けるフェルノは、汗を流していた。

「はぁはぁ……後ちょっと」
「フェルノ、大丈夫!?」
「大丈夫―大丈夫―……もうちょっと」

 フェルノは疲れていた。あの無尽蔵の体力が活きていない。
 メタクロベアーの攻撃のせいか、それともスキルによるデメリットか。
 色々想像できるけど、フェルノが心配になった。

「マズいな。これ以上はもたないぞ」
「Night、援護して!」
「援護だと? なにを考えているんだ」

 Nightは眉間に皺を寄せる。
 表情を訝しめ、私の言葉に耳を傾けた。

「ちょっと無茶するだけだよ。私がトドメを刺すんでしょ? それなら!」

 私は【キメラハント】+【甲蟲】+【灰爪】を解放。
 武装すると、Nightは全てを理解する。

「そう言うことか。いいだろう、行って来い!」

 Nightはそう言うと、拳銃を構える。
 引き金を引き、フェルノに叫んだ。

「フェルノ、しゃがめ!」
「えっ!? な、んって、うひゃっ!」

 フェルノの動体視力は、放たれた銃弾を捉える。
 急いでしゃがんで躱すと、フェルノは叫んだ。

「Night、急に撃たないでよー!」
「いいからお前は引け。ワイヤーでメタルクローの爪を封じろ」
「そんな勝手だよー。もっと弱らせないと、アキラの攻撃力じゃ……」
「問題無い。今のは威嚇だが、本当の狙いはこっちだ!」

 フェルノとNightが口論していた。
 だけど、Nightは、拳銃を再び構えて引き金を引く。
 フェルノも合わせて、ワイヤーを引くと、メタクロベアーの腕が縛られた。

「グマァッ!?」
「驚く暇は無いぞ」

 困惑するメタクロベアー。
 その間には銃弾が宙を舞い、メタクロベアーの目に当たった。
 ズドン! と命中し、メタクロベアーの視界を完全に潰した。

「グマァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 メタクロベアーは、一瞬のうちに窮地に立たされる。
 腕も視界も奪われると、ただただジタバタして暴れ回る。
 地団駄をして、ワイヤーを必死に引っ張るフェルノ。
 その姿を眼下に構えると、私は爪を尖らせた。

「行けっ、アキラ!」
「うん!」
「えっ、木の上から……嘘でしょ、そんな無茶苦茶なー!」

 私は二人の活躍を木の上から見ていた。
 メタクロベアーが動けない一瞬。
 私はその隙を摘まむと、高くジャンプして、【灰爪】で全力武装した拳をメタクロベアーに突き刺した。

「頭を潰せば、どんな生き物も!」

 私の爪は、メタクロベアーの眉間に突き刺さる。
 何かグシャッとなる、気持ちの悪いものに、触れてしまった。
 だけどこのまま抜きたくない。グルンと手首を回すと、メタクロベアーは絶叫を上げ、口を大きく開けた。

「グマラララララララララララララララ!!!」
「う、おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 私はメタクロベアーの眉間に爪を突き刺し続ける。
 するとメタクロベアーは苦しみ、HPが一瞬で削れる。
 半分近くまでフェルノとNightが削ってくれていた分が、一瞬で〇になると、メタクロベアーは動かなくなってしまった。

「グ……マ……ァ」

 メタクロベアーはピクリともしない。
 如何やら私達は勝ったらしい。
 あまりにもリアルで、あまりにも爽快感が無い。
 だけど、勝ちは勝ち。私は全身から脱力感が起きると、突然のアナウンスに起こされる。

——レベルアップ! “アキラ”のレベルが7になりました——
——ドロップアイテム獲得! 鋼鉄の熊爪を獲得しました——

「あっ、レベルアップとアイテムだ」
「よかったな、アキラ」
「これで依頼達成だー。あー、もうクタクタ」

 とりあえず依頼は達成だ。
 納品アイテムの鋼鉄の熊爪も手に入った。
 私はホッと胸を撫でると、もう一回アナウンスが鳴る。

——固有スキル:【キメラハント】が新しいスキルを獲得しました——
——適合率判定の結果、スキルとの相性を確認し、固有スキル:【キメラハント】に、メタクロベアー:【熊手】を追加しました——

 おまけに新スキルまで手に入った。
 何はともあれって言うのかな?
 私は達成感と一緒に、とんでもない目に遭ったと思うと、Nightに声を掛けた。

「これでいいんだっけ?」
「そうだな。私の方もアイテムは落ちた。スタットに戻るぞ」
「ううっ、アキラー。おんぶして」
「ごめんね、肩を貸すから歩いて」
「えー、はぁ、疲れた―」

 アキラ達はメタクロベアーとの死闘を制した。
 ギルド会館に報告しに行こう。
 転送場を探しに向かうと、私達は、速やかこの場所を離れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺の職業は【トラップ・マスター】。ダンジョンを経験値工場に作り変えたら、俺一人のせいでサーバー全体のレベルがインフレした件

夏見ナイ
SF
現実世界でシステムエンジニアとして働く神代蓮。彼が効率を求めVRMMORPG「エリュシオン・オンライン」で選んだのは、誰にも見向きもされない不遇職【トラップ・マスター】だった。 周囲の冷笑をよそに、蓮はプログラミング知識を応用してトラップを自動連携させる画期的な戦術を開発。さらに誰も見向きもしないダンジョンを丸ごと買い取り、24時間稼働の「全自動経験値工場」へと作り変えてしまう。 結果、彼のレベルと資産は異常な速度で膨れ上がり、サーバーの経済とランキングをたった一人で崩壊させた。この事態を危険視した最強ギルドは、彼のダンジョンに狙いを定める。これは、知恵と工夫で世界の常識を覆す、一人の男の伝説の始まり。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。 ────── 自筆です。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。 Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。 最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!? ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。 はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切) 1話約1000文字です 01章――バトル無し・下準備回 02章――冒険の始まり・死に続ける 03章――『超越者』・騎士の国へ 04章――森の守護獣・イベント参加 05章――ダンジョン・未知との遭遇 06章──仙人の街・帝国の進撃 07章──強さを求めて・錬金の王 08章──魔族の侵略・魔王との邂逅 09章──匠天の証明・眠る機械龍 10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女 11章──アンヤク・封じられし人形 12章──獣人の都・蔓延る闘争 13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者 14章──天の集い・北の果て 15章──刀の王様・眠れる妖精 16章──腕輪祭り・悪鬼騒動 17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕 18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王 19章──剋服の試練・ギルド問題 20章──五州騒動・迷宮イベント 21章──VS戦乙女・就職活動 22章──休日開放・家族冒険 23章──千■万■・■■の主(予定) タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

処理中です...