VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

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2ー2:継ぎ接ぎの始動

◇59 VSメタクロベアー3

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 ベチャッ!

 メタクロベアーの両腕が、私のことを挟んだ。
 潰そうとしたものの、その腕は何も掴めていない。

「グマァ?」

 メタクロベアーの両腕は、青色のベタベタした粘液に包まれていた。
 一体これはなに?
 そう思っているに違いなく、私は意識の外側に外れた。

(危なかったー)

 私は間一髪の所で、【キメラハント】+【半液状化】を使った。
 おかげで即死を回避した私。
 ホッと胸を撫で下ろしたいけど、手も無いし、そんなことしている暇もない。

(どうしよう。フェルノは大ダメージ喰らって動けないし、Nightはなにしているかわからないし、私はどうしたら……)

 そんなことで悩んでしまった。
 するとメタクロベアーは、足下に転がる、青いスライムが気になる。
 きっとこの森には居ないんだ。
 私は視線に気が付いた瞬間、スキルとか関係無しに、ヤバい予感がした。

「グマァ!」
「やっぱりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 私は急いでスキルを解除。
 メタクロベア―から距離を取る。

 鋭いメタルクローの爪が振りかかる。
 またしても、間一髪の所で攻撃を回避すると、私はメタクロベアーから遠ざかる。

「あ、危なかった……」

 私は冷汗をたくさん掻いた。
 自分の汗だけで、服の中がスース―する。
 目の前に居るメタクロベアーも、爪を研ぎ澄ませ、私のことを赤い瞳で睨み付ける。
 もう逃げられない。ジリジリと気配だけで追い詰められる。

「グマァ」
「ど、どうしよう……」

 私は【キメラハント】+【甲蟲】で武装する。
 能力を解放し、メタクロベアーに迎え撃つ。
 だけど足が竦む。どうしたら勝てるのかな、私はそればかり考える。

「こうなったら、突撃して……」
「そんなバカな真似するな。死にに行くつもりか!」

 そんな時、背後から声が聞こえた。
 隠れて何かしていたNightが、顔を覗かせ、早速罵倒する。

「Night!」
「いいか、メタクロベアーは。鋼鉄の爪だけが突出している。攻撃特化の相手なら、それを封じればいいんだ」
「封じるってどうやって?」

 そんな簡単に言わないで欲しい。
 私はムッとした表情をするけれど、Nightはニヤッと笑みを浮かべる。

「コレを使え」

 Nightはそう言うと、いつものワイヤーを手渡した。
 私は受け取ると、なんだか違和感がある。
 このワイヤー、いつもより太くて長い?
 不思議な感覚になると、Nightは続ける。

「Night、コレっていつものワイヤーだよね?」
「そう思うか?」
「……思わないけど。どうやって使うの?」
「単純だ。そのワイヤーで、メタクロベアーの腕を封じろ。攻撃を封殺すれば、ソイツはただの的だ!」

 Nightは突飛なことを言った。
 もっと頭の良い作戦かと思ったけれど、実際は単純。
 私はポカンとして真顔になると、Nightは続ける。

「安心しろ。私も援護はする」

 Nightは拳銃を二丁取り出す。
 回転式と、自動式。メタクロベアーを睨みつつ、引き金に指を掛ける。

「お前は、フェルノにそのワイヤーを渡せ。それで私が動きを止めるから、その隙に倒せ!」
「そんな無茶苦茶な。簡単には行かないよ!」
「当り前だ。だからこそ……」

 Nightが言葉を噤んだ。
 すると背後に気配を感じ、振り返ると、メタクロベアーがすぐそこに居る。
 悠長に話をしている間に向かって来ていて、鋭い爪を煌めかせ、私を切り裂こうとする。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「だからこそ、面白いんだよねー」

 私は絶叫した。
 だけどその間際に、影が抜ける。
 瞬きをした一瞬のうち、姿は炎に燃えていて、逞しく、そして果敢に攻めた。

「フェルノ!」
「アキラ、ワイヤー借りるよー」

 さっきまで倒れていたフェルノだが、回復して戻って来た。
 口元からは緑色の青汁っぽい液体が垂れている。
 苦いのか、表情は眉間に皺が寄っていた。
 効き目抜群な回復ポーションを飲んだおかげで、失ったHPも、完全回復とは行かないながらも、ある程度それこそ七割は戻って来ていた。

「フェルノ、大丈夫なの!?」
「うーん、まだ腕は痛いけど、なんとか動けるよー」
「なんとかって……」

 フェルノは痩せ我慢していた。
 腕が痙攣していて、ピクピクしている。
 それでも【吸炎竜化】で武装した体からは、炎が噴き出ると、フェルノは拳を合わせた。

「んだから、トドメはアキラに任せるねー。私は、このワイヤーで動きを止める」
「できるの? まあ、フェルノならできそうだけど」
「ふふん。ありがとー。んでも、まだ体が痛いから、少し動きは鈍いかも」

 私は目を見開く。
 フェルノの運動神経はピカイチ。
 だけどまともに動かなかったら意味が無い。私は不安がよぎる中、フェルノは何故か楽しそうで、笑みを浮かべている。
 目の奥には闘志が宿り、燃え滾っていた。

「フェルノ?」
「ごめん、アキラ。ちょっと試したいスキルがあって、乱暴になるけど、付いて来れる?」

 フェルノの問いは本気だ。私は気圧されそうになる。
 けれどそんな暇は残ってない。
 メタクロベアーは、フェルノの威圧感に一瞬負けると、動きを止めてくれるけど、それも今だけだ。

「うん、任せて」
「それじゃあ行くよ、私の固有スキル、【烈火心動】!」

 フェルノが固有スキルを対に解放。
 その瞬間、全身から熱が込み上げる。
 メラメラと燃える炎がフェルノの精神を加速させると、振り抜いた拳は、もはや見えない程だった。
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