VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

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2ー3:ユニゾンハートは止まらない

◇65 街で出会う白黒

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 私達はギルド会館を出た。
 正直、この後は予定が無い。
 もう一つ依頼を受けるような体力も無く、とりあえずスタットの街中に立った。

「この後どうしよっか?」
「私はアイテムの買い出しをする」

 Nightは誰よりも先に目的を決めていた。
 依頼が無いなら、自分から依頼を作る。
 そんな印象が強く出ると、私とフェルノは視線を預けた。

「ん? なんだ」
「いや、ちゃっかりしてるなって」
「うんうん。スケジュール管理上手いよねー」
「別に褒められたことじゃないだろ。それより、お前達はどうするんだ? もっとも、詮索はしないが」

 Nightは興味を持っていなかった。
 完全に間繋ぎな言葉に、私とフェルノは考える。
 目と目を合わせ、「うーん」と唸り合うと、ポンと手を打った。

「「適当に街ブラするよ」-」

 私とフェルノは当り障りが無い答えを言った。
 するとNightは無言になる。
 完全に呆れると、眉間に皺を寄せてしまい、私達は期待させちゃったかな? と申し訳が無くなる。

「ごめんね、期待させちゃって」
「期待?」
「Night、期待してたんでしょー。顔に出てるよ?」
「はっ? はぁー、くだらないことを言うなら、私はもう行くぞ」

 Nightは溜息を付いた。
 振り返り、背中を見せると、人混みに消えようとする。

「Night!」
「いつもの広場に集合だ。いいな」
「えっと」
「いいな!」

 Nightは最後に一言言い残し、人混みに消えた。
 私とフェルノは行っちゃったと思う。
 だけど追いかける気はない。なにせ、追い掛けたら怒りそうだからだ。

「どうしよっか、フェルノ?」
「うーん、じゃ私達も分かれよっか」
「そうだね。それじゃあいつもの広場で」
「うーん。あーあ、PvPでもしたいなー」

 フェルノは、頭の上で腕を組む。
 人混みの波に飲まれると、その背中を追い掛けられない。
 完全に掻き消されると、私一人になってしまった。
 何だか寂しい? なんてことは無いけれど、予定が無くなったので、困ってしまった。

「それで、私はどうしよう?」

 とりあえず、スタットの街を歩き回ってみようかな。
 私は、アイテム屋:Deep Skyに行くときくらいしか、スタットの街を散策しない。
 そのせいか、あまりこの街を知らない。
 一人になったのなら、せっかくなので、色々見て回りたい。

「そうだ。どうせなら、普段行かない所に行ってみよう」

 私は人混みを上手く避けながら、淡々と歩く。
 波に上手く溶け込み、逆に乗りこなしていく。
 するとスムーズかつ快適に歩くことができて、私は気になるものを見つけていく。

「うわぁ、武器屋さんだ。そう言えば、私の武器、〈初心者の短剣〉のままだけど、大丈夫かな?」

 せっかく武器屋さんを見つけたんだから、立ち寄ってみてもいいかも。
 と思ったけれど、人混みに巻き込まれ、私は流される。

「ああ、まあいっか。えっと次は……おっ!」

 ふと路地の向こう側を覗き込む。
 すると反対側の街路が現れた。
 まあ、当然なんだけど、その周りはたくさんの屋台で埋まっている。
 もしかしたら、噂に聞く露店街かもしれない。

「行ってみよっかな。よっと、あっ、ごめんなさい」

 隣の路地に入るにも大変だ。
 私は、道行く人にぶつかりそうになる。
 それでも何とか避けたつもりだったけど、私はドスンと何かにぶつかっていた。

「うわぁ!?」
「ごめんなさい。あの、大丈夫ですか?」

 私はぶつかってしまった。
 よそ見をしていたつもりはなかったけれど、急にぶつかってしまった。
 だから先に謝ると、小さな少女の姿があった。

「あれ、もしかして……えっ?」

 私はこの子を知っている。
 と言うより、まさかこんな所で出会うなんて思わなかった。
 だって、この子は、ただのNPCじゃない。

「ようやく見つけました」
「やっぱり、モノクロちゃんだ!」

 白と黒のツインテール。白と黒のオッドアイ。
 不思議な魅力を放つ、美少女。
 ピアノの鍵盤のような色合いの服に身を包み、妙に白い肌が映える。
 私の前に現れると、何故か見つけたと答えた。

「見つけたって、どう言うことモノクロちゃん? もしかして、私に会いに来てくれたの?」
「はい」
「はいって……」

 即答されてしまった。
 だけどなんの用かな? もしかして、私は防いでもやっちゃったのかな?
 少し怖くなるけれど、モノクロちゃんは私の腕を引く。

「少しいいですか、アキラ様」
「えっ。あっ、ちょっと待ってよ!」

 私はモノクロちゃんにとんでもない力で引っ張られる。
 腕が引き千切れるかと思った。
 肩が脱臼しそうな程で、もはや付いて行くしかない。
 そう思った私は、モノクロちゃんに連れ回された。

「モノクロちゃん、何処に行くの?」
「何処とは?」
「目的があって、街に来たんでしょ? だって、モノクロちゃんは、ナビゲーター」
「はい。ナビゲーターはしていますよ。ですが、問題はありません。私の姉妹達が、代わりを務めてくれていますので」

 ん? って私はなる。
 なんだか初耳的なことを言っていた。

「えっ、モノクロちゃんって姉妹がいたの?」
「はい、いますよ。私は一番末っ子です」
「そうだったんだ。全然知らなかった」

 ナビゲーターの素性なんて、正直私には分からなかった。
 と言うよりも考えたことが無かった。
 けれど目の前ではっきり言われて思う。
 NPCは生きている。この世界にとっての人間なんだ。

「知らなくても当然ですよ。ただ、私は貴女に会いに来ました」
「私に?」
「はい。貴女は何故私に……」

 そこまで行ったタイミングで、モノクロちゃんは目の前の路地を曲がる。
 裏路地に入って、混雑を避けようとしたんだ。
 けれどそれがダメだった。
 私達は、またまた誰かにぶつかった。

「「「うおっ!?」」」

 お互いに声を上げた。
 すると体重の軽いモノクロちゃんの方が吹き飛ばされる。
 私は後ろに居たので、モノクロちゃんが怪我をしないように受け止めた。

「大丈夫、モノクロちゃん?」
「はい、アキラ様。いたた……すみませんでした」

 モノクロちゃんは真っ先に謝る。
 しかし、ぶつかられた方からは、何も返ってこない。
 なんだかマナーがなってないな、と少しだけ思ったが、私は心の中で諫める。
 代わりにどんな人かな? と思い顔を上げると、私はハッとなる。

「あ、貴方達は……」
「ああっ? お前は……」

 私とモノクロちゃんは、最悪のタイミングで、最悪の人達に出会ってしまった。
 それもその筈、この間ギルド会館で絡んできた人達。
 路地裏でたむろしていると、私達のことを睨み付けた。

「……すけて、お願いします」

 しかも痩せて眼鏡を掛けた男性プレイヤーを甚振っている。
 胸ぐらを掴み、壁に叩き付けると、今にも殴るような構えを取る。
 完全に喧嘩をしている様子、否、一方的な暴力を振るっていた。

「お前は、この間のガキか?」
「丁度良いぜ。おい、ボレオ。ソイツを痛めつけたら、今度はコイツらをやっちまおうぜ」

 私は脚が竦んでしまった。
 これは、ミーNaさんから聞いていた以上にヤバい状況。
 私はモノクロちゃんを抱き締めると、男性プレイヤー達と対面した。
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