VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

文字の大きさ
79 / 199
3ー1:メダルハンターへの道

◇79 閑話休題1

しおりを挟む
「ふんふふーん」

 烈火は珍しく机と向かい合っている。
 私はベッドに座り、茫然と見ていた。
 そう、烈火の部屋のパソコンで、私は流れる映像を観ていた。

『どうして、どうして学園都市が戦場になるんですか!』
『それが戦争というものだ』
『そんなの、大人達の勝手じゃないですか。どうして、どうして私達まで戦争に巻き込まれないといけないんです!』
『皮肉なものだよ。未来ある若者が、線上に駆り出されるというのは』
『だったら……えっ?』

 パソコンのディスプレイでは勇敢な少女が、軍服を着た大人達に抗議していた。
 なんだか重たい話で、私は観るのが辛くなる。
 深い内容が展開されると、急に場面転換し、症状の額に銃口が触れた。

「じゅ、銃!?」
「あははー、そりゃ出るでしょー」
「あ、当り前みたいに言ってる?」

 私は声を上げてしまった。
 しかし烈火はケラケラ笑うと、私に当然だと言い切る。

「烈火、このアニメ、結構深い系?」
「深い系。あっ、今回はロボットでないよ」
「えっ、ロボットアニメなのに!?」
「違うよ。よくあるでしょ? ロボットアニメの皮を被った、人間同士の対立を描く作品。アレだよ」
「れ、烈火が深いこと言ってる」

 確かにそういう作品はよくある。
 キャッチ―な世界観と見せかけておいて、実際にはかなり核心を付いた、政治的背景のドラマとかアニメとか。
 私はゴクリと息を飲み観ると、烈火が教えてくれた。

「いやぁー、面白いよね、イカロスシリーズ」
「そうなの?」
「そうだよ! 五十年以上続く名作だよ? えっと、今のでTVシリーズ・第二十作品目じゃないかな? 鋼翼戦記イカロス・ウイング。ちょっとSFファンタジー強めの学園ドラマなんて、滅多にやらなかったよ」
「えっと、最初が分からないんだけど、大丈夫な奴?」
「大丈夫大丈夫。そもそも、深い内容が分かる人は少ないから、私も分かってないし。っていうかー、私も分かってないからねー。あはは」

 全然ダメだった。いや、最初からそうだと思っていた。
 烈火はただロボットアニメだから観ているだけ。
 そんな気はしていたが、今更言いだせず、もちろん私にも深いことは分からない。

 ただ、こう。DNAを貫通するような強い感情が伝わる。
 グサリグサリと棟の奥を貫く感触。
 それに焦がされると、私は頭を抱える。

「もう、分からないよー」
「大丈夫だってー。ほら、カッコいいでしょー」

 そう言うと、私に烈火はプラモデルを見せてくれた。
 赤をベースに、黒とか緑とか。クリアなパーツも多く、しっかりと纏まっている。
 一体これはなに? そう思うも、すぐにピンと来る。

「もしかして、このアニメに出て来る奴?」
「そう。主人公のライバルだったんだけど、戦って和解して、今じゃ良い兄貴分になってくれたキャラの機体。名前はね、フォース・ザンパネル。どう、どうどう? カッコいいでしょー」

 烈火は嬉しそうに私に説明してくれる。
 とは言え、私が烈火に魅せられた話にはOPでしか出てきていない。
 そのせいか、あまり印象が無い。

「カッコいいけど、どうしてライバルキャラなの?」
「えっ? イカロスシリーズは、主人公が人気無いんだよ」
「ど、どうして?」
「メディアにいっぱい出て、他キャラの方がレアだから。プラモも主人公機は工場のラインで大量生産されるから、全国各地で定価割れしているんだよねー。ヤバいよ、ほら」

 烈火はスマホで調べてくれた。
 ネット通販のサイトを見ると、確かに低下の半分以下になっている。
 これが流通量。唖然とした私だけど、やっぱり主人公の機体が一番好きだ。

「私は好きだよ、主人公の」
「明輝は当り障りのないメジャーでバランス機が好きだからなー」
「もしかして、私少数派?」
「このアニメに関しては、マジで少数派―」
「そんな。カッコいいのに」

 まあ、好みは人それぞれだ。
 誰かの意見に従ったって、責任は取れないし、上手くも行かない。
 私はそんな人間社会の心理を解きつつ、烈火の作っているプラモを見た。

「そう言えば、このプラモ……」
「百四四の一って書いてある」

 確かに机の上に置いてある箱には、144分の1とパッケージに記載がある。
 つまり、これを後百四三個集めれば、本物と同じサイズになる?
 あまりプラモデルは使ったことが無い。
 私は首を捻るも、烈火は語る。

「とりあえず仮組と、鑢掛けが終わったんだよー。後は適当に洗って、塗装するだけ」
「すごっ、そこまでやるの?」
「趣味だからねー」
「……烈火がそんなに集中するなんて。珍しいね」

 私は知っている。
 烈火は飽きっぽい性格で、基本的に流れで適当だ。
 だからこんな繊細で単調とした作業を長時間掛けてできるなんて、エンタメって凄い。

「そうだ、明輝も作ろうよー」
「えっ、私も?」
「そうそう。一応キットは余ってるからさー。完成したら、ガチャガチャして遊ぼう」

 烈火は瞳を輝かせる。
 楽しそうで興奮気味でもある。
 しかし私は圧に負けない。逆に詰め寄られ、私は頬が震える。

「えっ、せっかく塗装するのに、ガチャガチャして遊ぶの?」
「うん、だって飾るより遊んだ方が楽しいでしょ!」
「えーっと、それは塗装する意味が……まあ、いっか」

 結局は烈火の自由だ。
 塗装して仮に剥がれたら、また塗装し直せばいい。
 おもちゃは飾っても遊んでも楽しい。それが一番面白い。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺の職業は【トラップ・マスター】。ダンジョンを経験値工場に作り変えたら、俺一人のせいでサーバー全体のレベルがインフレした件

夏見ナイ
SF
現実世界でシステムエンジニアとして働く神代蓮。彼が効率を求めVRMMORPG「エリュシオン・オンライン」で選んだのは、誰にも見向きもされない不遇職【トラップ・マスター】だった。 周囲の冷笑をよそに、蓮はプログラミング知識を応用してトラップを自動連携させる画期的な戦術を開発。さらに誰も見向きもしないダンジョンを丸ごと買い取り、24時間稼働の「全自動経験値工場」へと作り変えてしまう。 結果、彼のレベルと資産は異常な速度で膨れ上がり、サーバーの経済とランキングをたった一人で崩壊させた。この事態を危険視した最強ギルドは、彼のダンジョンに狙いを定める。これは、知恵と工夫で世界の常識を覆す、一人の男の伝説の始まり。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。 ────── 自筆です。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。 Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。 最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!? ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。 はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切) 1話約1000文字です 01章――バトル無し・下準備回 02章――冒険の始まり・死に続ける 03章――『超越者』・騎士の国へ 04章――森の守護獣・イベント参加 05章――ダンジョン・未知との遭遇 06章──仙人の街・帝国の進撃 07章──強さを求めて・錬金の王 08章──魔族の侵略・魔王との邂逅 09章──匠天の証明・眠る機械龍 10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女 11章──アンヤク・封じられし人形 12章──獣人の都・蔓延る闘争 13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者 14章──天の集い・北の果て 15章──刀の王様・眠れる妖精 16章──腕輪祭り・悪鬼騒動 17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕 18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王 19章──剋服の試練・ギルド問題 20章──五州騒動・迷宮イベント 21章──VS戦乙女・就職活動 22章──休日開放・家族冒険 23章──千■万■・■■の主(予定) タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

処理中です...