VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

文字の大きさ
87 / 199
3ー1:メダルハンターへの道

◇87 森林のバトルキル

しおりを挟む
 私はメダルを探し回っていた。
 もちろん、まずはNightとフェルノを見つけ合流すること。それが最優先だけど、見渡せばキラリと光るものでいっぱいだ。

「あっ、またあった!」

 これで三枚目のメダルだ。私は地面に突き刺さった星一つのメダルを手にすると、ポケットの中を探る。
 中にはここまででGETしたメダルが三枚。色は同じで、少しくすんでいる物もあるけれど、真ん中に星が一つ彫り込まれた立派なメダルだ。

「やった、運がいいのかも」

 私は一人興奮して喜んだ。
 けれど一向に仲間との合流ができそうにない。
 何処まで行っても森の中で、完全に迷ってしまったみたいに錯覚する。

「うーん、太陽の位置から離れた筈なんだけど……」

 確実に私が進んでいるのは太陽を見れば分かる。
 最初に比べ、見え方の位置が変わっている。
 とりあえず南目指して進んではみたが、景色が若干変わったくらいで、進展という進展はない。私は心細くなるも、ここは意識を切り替えて自分を励ます。

「ダメダメ。きっと大丈夫!」

 ギュッと拳を握り、早く仲間を見つけようと焦る。
 そんな折、突然草木がガサッと動いた。
 私は視線を惹き付けられると、目を見開いて警戒する。

「……な、なに?」

 強張る体をなんとか解すと、草木の合間から人影が現れる。
 男性プレイヤーのようで、この場合は完全に敵。
 私が視線を合わせないように避けると、男性プレイヤーは険しい表情を浮かべて臨戦態勢に即刻入る。

「もしかしてこれ、戦う流れ?」
「プレイヤーだな。メダル持ってるんだろ!」

 私は戦う気なんて無かった。できれば穏便解決がしたい。
 けれど男性プレイヤーはメダルの有無を私に訊ねて、睨みを利かせてきた。

「えっと、その……持ってますけど」
「だったらメダルをよこせ。そしたら見逃してやる!」
「嫌です。私にもメダルを譲れない理由があります」
「だったら強引にでも奪ってやる! はっ!」

 男性プレイヤーは血走っていた。
 両腕を私に向かって突き出すと、肘の部分から深緑色をした蔦が伸びた。
 鋭くまるで槍の様で、私は咄嗟に躱した。

「うわぁ!」
「チッ、避けやがったか」

 男性プレイヤーは苦悶の表情を浮かべる。
 避けられたのがそんなに意外だったのか、私は完全に敵視されてしまう。
 これは戦うしかない。そんな流れを汲むと、頬をパチンと両手で叩く。

「(パチン!)えいっ、頑張るぞ!」

 私は【キメラハント】を発動した。まずは様子見の【甲蟲】を使い、両腕を武装する。
 顔の前でクロスに構え、男性プレイヤーとの距離を縮める。
 ジリジリと感覚を詰めれば、男性プレイヤーの間合いに入る。

「そこだ!」
「そんなの喰らいません」

 再び蔦を出し、私を襲ってくる。
 もちろん私は全力で躱すと、逆に間合いを更に詰めた。
 これだけ詰めていれば確実に当たる。そう思うのが普通で、もちろん私も避けられると思っていない……ので、ここは頑張る。

「そりゃぁ!」
「なに、俺の蔦を掴んだだと!?」

 私は蔦を両手でガッシリ掴んだ。
 完全にスキルと腕の力で、STR(筋力)が余り足りていない私には酷。
 それでも体幹を使って頑張って耐え抜いていると、男性プレイヤーはほくそ笑む。

「ふん。掴んでくれてありがとな!」

 男性プレイヤーはニヤリと笑みを浮かべる。
 何か仕掛けてくる? 警戒する私だったけど、体の方が先に悲鳴を上げた。

「な、なにこれ!? うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 私の中に音が流れ込んでくる。
 強烈な振動が走り、全身細胞が悲鳴を上げ出す。
 目を見開き、足がプルプル震えると、力が抜けていく。

「これが俺のスキルコンボ。【蔦腕】と【振動】だ。見たか、見たな。この俺に挑んだことを後悔しやがれ!」

 男性プレイヤーは勝ち誇っていた。ケラケラと笑いだすと、私のことを見下す。
 悔しい。というよりも痛い、辛い。
 ムッと表情がくすむ中、私は鋭い眼光で威圧した。

「ひいっ!?」
「私、負けないです。こんな所で、絶対負けないです!」

 私が奥歯を噛み締め、男性プレイヤーを凝視した。
 鋭すぎる眼光がまるでナイフを突きつけられたみたいに、男性プレイヤーを硬直させる。
 蔦の強度が落ちると、強引に掴んでいた私の手を放させた。

「振動系のスキルなら、多分手を離せば……あっ、やっぱり伝わらない」
「な、なんだと!?」
「なんだとじゃないですよ。ここから私の番です、せーのっ!」

 私は蔦に絡み付かれないように、全力で避けながら進む。
 距離を詰めれば、男性プレイヤーの攻撃の苛烈さが増す。
 このままだと蔦に触れ、振動を叩き込まれるに違いないけど、私は負ける気無い。
 だって、負けたくないし、それだけで理由には充分だった。

「来るんじゃねぇよ!」
「【キメラハント】+【灰爪】」

 私は【灰爪】を発動し、指先から伸びた爪が高質化した。
 鋭く尖って男性プレイヤーへと突き付ける。
 もちろん届く訳ないんだけど、蔦が目の前を邪魔するのを防ぐには充分だ。

「おりゃぁ!」

 高質化した爪はそれだけで剣の様に硬い。
 おまけに強くて、蔦の壁を切り裂いた。
 バッサリ断ち切ると、男性プレイヤーの悲痛な顔が視界に映ると、地面を蹴って一気に近付く。

「終わりです」
「や、止めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「止めません。そりゃ」

 私が男性プレイヤーの喉元を貫く。
 鋭い剣先が喉仏を貫いて、呼吸困難にさせる。
 息を荒げ、口をパクパク目もバキバキにさせると、苦しんで転んで地面に伏せた。
 動かなくなってしまうと、粒子状に体が変化し、メダルだけが転がっていた。

「ふぅ、倒せた」

 胸をソッと撫でると、肩から力が抜けた。
 とりあえず無事に勝つことはできたし、メダルも追加で手に入った。
 きっとこれがイベントなんだ。私はゴクリと喉を鳴らして唾を飲むと、戦った感想も心地よさもなにも無い。むしろあまり嬉しくなく、顔色を変えて先に進む。

「まさかこんな早々に戦うことになるなんて。もっと頑張ろう」

 私はとりあえず森の中を駆ける。
 木々達の騒めきを聞き分けながら、プレイヤーやモンスターを警戒した。
 けれどまともに戦うことはしないし、もちろん目の前に敵は居ないので、私は黙々と森を抜けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺の職業は【トラップ・マスター】。ダンジョンを経験値工場に作り変えたら、俺一人のせいでサーバー全体のレベルがインフレした件

夏見ナイ
SF
現実世界でシステムエンジニアとして働く神代蓮。彼が効率を求めVRMMORPG「エリュシオン・オンライン」で選んだのは、誰にも見向きもされない不遇職【トラップ・マスター】だった。 周囲の冷笑をよそに、蓮はプログラミング知識を応用してトラップを自動連携させる画期的な戦術を開発。さらに誰も見向きもしないダンジョンを丸ごと買い取り、24時間稼働の「全自動経験値工場」へと作り変えてしまう。 結果、彼のレベルと資産は異常な速度で膨れ上がり、サーバーの経済とランキングをたった一人で崩壊させた。この事態を危険視した最強ギルドは、彼のダンジョンに狙いを定める。これは、知恵と工夫で世界の常識を覆す、一人の男の伝説の始まり。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。 ────── 自筆です。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。 Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。 最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!? ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。 はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切) 1話約1000文字です 01章――バトル無し・下準備回 02章――冒険の始まり・死に続ける 03章――『超越者』・騎士の国へ 04章――森の守護獣・イベント参加 05章――ダンジョン・未知との遭遇 06章──仙人の街・帝国の進撃 07章──強さを求めて・錬金の王 08章──魔族の侵略・魔王との邂逅 09章──匠天の証明・眠る機械龍 10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女 11章──アンヤク・封じられし人形 12章──獣人の都・蔓延る闘争 13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者 14章──天の集い・北の果て 15章──刀の王様・眠れる妖精 16章──腕輪祭り・悪鬼騒動 17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕 18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王 19章──剋服の試練・ギルド問題 20章──五州騒動・迷宮イベント 21章──VS戦乙女・就職活動 22章──休日開放・家族冒険 23章──千■万■・■■の主(予定) タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

処理中です...