VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ゆう

文字の大きさ
6 / 617

◇6 VSスライム

しおりを挟む
 アキラは近くの森にやって来た。
 この森にやって来たのはただ近かったから。
 何の気なしに、メニューを表示し、アイコンの地図マークをタッチすると、マップが簡単に表示された。

「おっ! ここよさそう」

 アキラはその足で迷わずこの森に入った。
 森の中はそこまで暗くなく、明るい方。
 ちなみになんでやって来たのか。そんなの数学の式よりも簡単で、

「よーし、モンスターを倒すぞー!」

 レベルアップを目指してやって来た。
 このゲーム、レベル上げは重要そう。
 調べてないけど、多分この手のゲームには必要そう。

 でもさ、

「モンスターとか、私に倒せるかな?」

 正直そこが一番心配だった。
 だってさ、コントローラーカチカチで、テレビやパソコンの画面を見ながらするゲームじゃないんだよ。
 実際に生身じゃないにしろ、武器を使ってモンスターを倒すんだ。
 多分感触とかあるし、ちょっとは演出で血も出るかも。
 怖いな。
 アキラはビビりじゃないけど、怯えていた。

「ううん。やるしかないよね」

 ここはすぐに切り替えていこう。
 別に問題ないや。だってアキラは切り替えが早いタイプ。
 考え込みすぎることはあっても、何事も直観を信じる。

「せっかくゲームをやるんだもん。楽しまなくちゃね」

 アキラは楽しむことにした。
 そこでインベントリを開き、中から武器を取り出す。
 唯一今持っている武器。その名も、

「はい、普通の剣。普通のショートソード」

 しかし意外だよ。
 だって初めて握ったのに、こんなに手に馴染むなんてさ。

「でもこれがゲームだよね」

 だけど切り替えの速さで、無理矢理落とし込む。
 正直ここまで触れたことないのに、手に馴染んだ。
 それもそれで怖いけど、一番の不思議はその重さだ。
 だってちょっとだけ重たい。本当に質量があった。
 しかも刃こぼれしそうで怖い。

「せめて最初は危なくないモンスターから……ん?」

 草むらが揺れた。
 ふと視線を落として、武器を構えると、そこから飛び出してきたのは、小さくて青い物体。
 生きているのか、ゼリー質だった。
 プルルンと、揺れる姿がまさにゼリー、いやスライム? みたいだった。

「これってスライム? もしかしてモンスターだよね?」

 確実にモンスター。
 だれがどんな角度から見ようが、これはモンスター。ここでは魔物じゃなくて、モンスター。
 そう、あの超定番、最弱モンスター筆頭格。
 いろんな色で使いまわされる、あの誰もが知るモンスター界のアイドルだった。
 でもまさか、

「まさか、最初に出会うのがスライムって。普通だよねー」

 アキラはふにゃけた。
 だってこんな当たり前に出て来るなんて。
 しかしスライムの方は、完全に敵対していて、アキラを見るや否や、襲い掛かったきた。

 プルンっ!——

「うわぁ!」

 するとお腹を目掛けて体当たり。
 だけど全く痛くない。
 それどころかアキラはそのままスライムを捕まえた。

「えーっと、これからどうすればいいのかな。えーっと、えーっと」

 スライムはその間も、もごもご動き回る。
 気持ちいいような。くすぐったいような。何とも言えない感覚。
 だけど私はそのまま抱きしめていると、

キュー!——

 まさかの事だった。
 突然スライムの声が聞こえなくなる。

 すると、アキラの腕の中で、光の粒子が飛び散る。
 目をぱちぱち、瞬きを繰り返すがそこにスライムの姿はない。
 まさか、こんなことになるなんて、言葉も出ない。

「ま、待ってよ。初戦がそれ! 最初がそんなのって、ないよ!」

 アキラは慌てふためく。
 だけどゲーム的にありなのか、軽快な音が鳴った。
 それからステータスが表示され、レベルが2になって、さらにパラメータも上がる。

「うわぁー、なんか複雑……ん?」

 だけど固まった。
 気になることが書いてある。
 ステータスの下、そこには固有スキルの項目。しかも、不穏なことが書いてあった。

 固有スキル:【キメラハント】
『新しいスキルを略奪しました。スライム:【半液状化】』

 ヤバい。頭がパンクしそう。
 それどころか、処理が追い付かない。
 まあでも、アキラじゃなくても仕方ない。そもそもこの【キメラハント】、他の誰も#_使えない奇怪なスキル_・__#なんだから。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。 ────── 自筆です。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり
ファンタジー
【書籍化!】第17回ファンタジー小説大賞『癒し系ほっこり賞』受賞作です。 (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『もふもふで始めるVRMMO生活 ~寄り道しながらマイペースに楽しみます~』です) ようやくこの日がやってきた。自由度が最高と噂されてたフルダイブ型VRMMOのサービス開始日だよ。 最初の種族選択でガチャをしたらびっくり。希少種のもふもふが当たったみたい。 この幸運に全力で乗っかって、マイペースにゲームを楽しもう! ……もぐもぐ。この世界、ご飯美味しすぎでは? *** ゲーム生活をのんびり楽しむ話。 バトルもありますが、基本はスローライフ。 主人公は羽のあるうさぎになって、愛嬌を振りまきながら、あっちへこっちへフラフラと、異世界のようなゲーム世界を満喫します。 カクヨム様でも公開しております。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

決戦の夜が明ける ~第3堡塁の側壁~

独立国家の作り方
SF
 ドグミス国連軍陣地に立て籠もり、全滅の危機にある島民と共に戦おうと、再上陸を果たした陸上自衛隊警備中隊は、条約軍との激戦を戦い抜き、遂には玉砕してしまいます。  今より少し先の未来、第3次世界大戦が終戦しても、世界は統一政府を樹立出来ていません。  南太平洋の小国をめぐり、新世界秩序は、新国連軍とS条約同盟軍との拮抗状態により、4度目の世界大戦を待逃れています。  そんな最中、ドグミス島で警備中隊を率いて戦った、旧陸上自衛隊1等陸尉 三枝啓一の弟、三枝龍二は、兄の志を継ぐべく「国防大学校」と名称が変更されたばかりの旧防衛大学校へと進みます。  しかし、その弟で三枝家三男、陸軍工科学校1学年の三枝昭三は、駆け落ち騒動の中で、共に協力してくれた同期生たちと、駐屯地の一部を占拠し、反乱を起こして徹底抗戦を宣言してしまいます。  龍二達防大学生たちは、そんな状況を打破すべく、駆け落ちの相手の父親、東京第1師団長 上条中将との交渉に挑みますが、関係者全員の軍籍剥奪を賭けた、訓練による決戦を申し出られるのです。  力を持たない学生や生徒達が、大人に対し、一歩に引くことなく戦いを挑んで行きますが、彼らの選択は、正しかったと世論が認めるでしょうか?  是非、ご一読ください。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

処理中です...