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◇5 城下町からスキル説明

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 ただただ長ーい夢を見ているような高揚感。
 私の胸は掻き立てられる。

 明輝ことアキラは、気が付けば知らない城下町の広場にいた。
 目の前では噴水の水が今まさに噴出する瞬間だった。

「うわー! すっごく綺麗」

 アキラは広場にある誰も座っていないベンチに座って、噴出した噴水の水のリアルさと勢いに感動していた。
 キラキラ光る水飛沫。
 アキラは口をポカンと開けていたが、すぐに我に返る。

「えっ、ここどこ!?」

 本当に今更だった。
 だけどここが何処かわからなくなるぐらい、リアリティで、アキラは頬を叩いてみた。
 痛い。ただ痛かった。
 如何やらここは夢の世界じゃない。
 だけど現実でもない。こんな場所、近所にない。
 だからここは……

「ここが、VRGAMEの世界? 凄い、本物みたい」

 アキラは感動していた。
 と言うか、凄すぎて言葉も出なかった。
 ここまでリアルだと、色々疑って混乱するかもしれないけど、すぐに我に返るのもアキラのいいところだった。

「えっと、まずはリナに言われて通り、ステータスの確認って」

 一瞬で思い出した。
 リナに言われたことを参考にして、左手を上下に振るとメニューパネルが現れる。

「ステータス確認は、これかな?」

 いっぱいアイコンが出てきた。
 その中で、一番左上にあった筋肉アイコンを押した。
 するとステータスが表示された。ちなみにこんな感じ。

◇アキラ
LV1 《ヒューマン》
HP 100
MP 100

筋力 3
賢さ 3
敏捷 2
精神 4
幸運 5

装備品[武器]普通の剣
装備品[防具]なし

種族スキル 【順応】
固有スキル 【キメラハント】【ユニゾンハート】

 わからない。
 わからない、項目が多すぎる。

「えっと、このスキルってなに?」

 アキラは混乱していた。
 種族スキルって? 固有スキルって? それに如何して二つも固有スキルがあるのかな。

「うーん、スキル?」
「何か困ってるの? NPCさん」

 するとアキラは話しかけられた。
「えっと、誰ですか?」
「あれ、NPCじゃないの!」
「は、はい」
「でもヒューマンよね? 本当にプレイヤー!?」
「……はい」

 居た堪れないってこういうことかな。
 アキラは小さく頷くと、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
 だけどエルフのお姉さんは、アキラに優しくしてくれた。

「そっかプレイヤーだったんだ。私てっきりNPCかと思っちゃった」
「そうですか?」
「うん。タグを見ないとやっぱり分からないね。でもほら見て、歩いているNPCってほとんどヒューマンでしょ?」
「えーっと?」
「あっ、色ね色。青がプレイヤーで、緑がNPC。まあ、ヒューマン以外もいるんだけど、この町だと少ないかな」

 確かによく見て見れば、タグの色が違った。
 タグは目を凝らさないとわからなくて、色も正直薄い。
 わざわざ見ようとしなければ、見つけることすら不可能だった。

 そんなアキラにエルフのプレイヤーさんは快く話しかけてくれて、隣のベンチに座ると、教えてくれた。

「私はソウラ。貴女は?」
「アキラです。あのソウラさん、ソウラさんはこのゲーム詳しいんですか?」
「うーん、如何かな? 詳しいわけじゃないけど、ちょっとなら知ってるよ」

 よかったとホッとする。
 何も知らずに飛び込んで、話が展開されたら分からなくなる。

「それで何に悩んでたの? 確かスキルとか……」
「はい。ステータスに書いてある、種族と固有のスキルの違いが……」
「ああ、それ難しいわよね。でも安心して、とっても簡単だから」

 ソウラさんは教えてくれた。

「まずは種族スキルね。これは各種族に与えれた共通のスキルなのよ。これが一番のだいご味ね」
「共通のスキル?」
「ええ。例えば私のエルフなら、弓の命中性が少し上がるって効果。こんな感じで、選んだ種族ごとに決まったスキル効果が与えられるのよ」
「へえー」

 アキラは感心した。
 それからもう一つだ。

「それで残るもう一つは、固有スキル」
「固有スキル?」
「これはその人個人が持っている潜在的なーとか、この人と言えばこれ! って感じの深層心理の具現化?」
「えっと……」
「ごめんなさい。私もそこまでしか知らないの。でもどのプレイヤーも一つは必ず持っていて、これを駆使したり活かしたり、それこそアレンジしたりして遊ぶのがコツよ。他の人と協力とかしてね。でも、これまでネットにも一つしか聞いたことないわね」

 ソウラの説明はしっかりと噛み砕かれわかりやすかった。
 おかげですっきり入ってくる。
 だけど気になるのは、

「被ったら、如何するんですかね?」
「それはないわよ」
「如何して言い切れるんです?」

 当たり前の疑問だった。
 だけどこれは公式回答があるそうで、

「ほら、似てる人でも完璧に同じじゃないでしょ。双子でも、一卵性と二卵性で違ったり、全然性格違ったりしてる。そんな感じで、同じ名称、似た能力でも細部までは細かく区分化されてるのよ。だから、その心配はいらないわ」
「じゃあ唯一無二的なノリですか?」
「そう言うことよ。大体わかったかしら?」
「はい。とってもわかりやすかったです」
「そっか。そうだ、またなにかあったら私のお店に来て。これ、私のIDフレンド登録しておきましょう」

 アキラはソウラから申請された。
 そこで快く受けると、ソウラはお店の準備のためにそそくさと去ってしまった。
 一人になったアキラはそれから、少しベンチでくつろぐと、とりあえずやってみることにした。
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