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◇52 ギルド会館
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アキラたち三人は、人通りが少しずつ多くなる道を進んだ。
するとそこにあったのは、一際大きくて立派な建物だった。
そこからたくさんのプレイヤーやNPCが定期的に出てくる。
「ここが、ギルド会館だな」
「「うわぁー。おっきいねー!」」
白い建物がそびえる。
白と言っても真っ白ではなく、少し色落ちしたようなくすんだ白だった。
しかしそれが何とも、風情を出している。
「何だか大きな看板がしてあるよ」
「盾に剣が付き刺さってるのかな? クロスしてあるけど」
「剣と盾で冒険者を表しているんだろうな」
「そうなの? でもそれっぽいかも」
「それっぽいでいいのかなー?」
「適当でいいんだよ。それより、そろそろ行くぞ」
ここでも先陣を切るのはNightだった。
その後をてくてく続くのは、アキラとフェルノの二人。
しかしその様子すらも、Nightにとっては、何らかの策略でしかなかった。の、かもしれない。
アキラたちは、建物の中に入った。
するとそこに広がっていたのは、不思議と居心地のいい空気感だった。
何故なら、かなり明るい雰囲気で、大年のRPGで見たことのある、ギルド感があった。
「結構盛大に賑わっているね」
「そうでないと困るんだろう。この世界のNPCたちは、人工知能を持っている。決まった動きはしないし、この世界で生きる以上、その落ち度に付け込まれるわけにもいかないからな」
「運営サイドみたいなこと言ってる」
「と言うか、元も子もないような世界観壊すこと言ってるねー」
「わかりきったことを並べただけだ。いちいちツッコみを入れるな」
「「いや、入れるでしょ」」
などと口々に言い合う。
そうこうしていると、そんなアキラたちを見かねてか、一人のNPCが声をかけた。
金色の髪を頭の上で結った、可愛らしい顔立ちの女性だった。真面目そうである。
「如何しましたか、何かお困りでしょうか?」
「あっ、はい。ギルド登録をしようと思っていて」
「ギルドを設立するのですね。わかりました。すぐに手続きいたしますので、こちらに来てください」
そう言われ、誘われるままにカウンターに付いた。
そこにはさっき声をかけてくれたNPCの受付嬢がせっせと、準備をしている。
何故かアキラを先頭にして、Nightは後ろに隠れてしまった。目立ちたくないみたいだ。
「それではこちらの用紙に記入して、こちらに持ってきてください。ご相談をしていただいても構いませんよ。テーブルは、向こうのものをお使いください」
そう言って、促された先には木製のテーブルがあった。
テーブルの上には、万年筆が置いてあるみたいだ。
万年筆って、ファンタジーゲームだけど、別にいいよね。
「わかりました。えーっと」
「私は、ルーミラと言います。今後よろしくお願いしますね」
「はい。ルーミラさん」
アキラはそう答えると、Nightに服の袖を引っ張られたので、テーブルの元に向かった。
すると、Nightはこう言った。
「お前は誰とでも話せるんだな」
「そんなことはないよNightはコミュ障なの?」
「この性格を見たらわかるだろ」
「うーん。ズバズバ言うから、誰にでもと思ってたけど」
「それはそうだが、あまり好き好んで話すタイプじゃないんだ」
「そうなんだー。それで、これには何を書けばいいの?」
フェルノが脱線しそうな話を戻した。
珍しいこともあると思いながら、ボードに止められた紙を見ると、いくつか項目が書いてある。
それにしてもこの辺りは、リアルにしているんだと思った。
「えーっと、メンバーの名前とかは要らないんだね」
「それはそうだ。まだギルドがない」
「メンバーはいいとして、必要なのは、名前とギルマスとサブマス。それからエンブレム?」
大きく分けたら、この辺りだった。
すると、Nightは自分に振られる前に答えておく。
「言っておくが、私はギルマスはしないぞ。それをするなら、私は抜ける」
「嘘でしょ。じゃあ誰がするの!」
「アキラがやればいいよ。私はサブぐらいはするからさー。でもでも、経理とか? は、代わりにNightがやってよね。それならいいでしょー?」
「仕方ないか。このメンツだと、それが丸い」
何故か項垂れていたけれど、まだ一言もやるとは言っていない。
しかしフェルノは勝手に万年筆を取ると、ギルマスの欄にアキラの名前を。
サブマスには自分の名前を書いていた。すでに消すことはできずに仕方ないと溜息を吐きながら、受け入れるのだった。どっちみち、やるけどさ。
するとそこにあったのは、一際大きくて立派な建物だった。
そこからたくさんのプレイヤーやNPCが定期的に出てくる。
「ここが、ギルド会館だな」
「「うわぁー。おっきいねー!」」
白い建物がそびえる。
白と言っても真っ白ではなく、少し色落ちしたようなくすんだ白だった。
しかしそれが何とも、風情を出している。
「何だか大きな看板がしてあるよ」
「盾に剣が付き刺さってるのかな? クロスしてあるけど」
「剣と盾で冒険者を表しているんだろうな」
「そうなの? でもそれっぽいかも」
「それっぽいでいいのかなー?」
「適当でいいんだよ。それより、そろそろ行くぞ」
ここでも先陣を切るのはNightだった。
その後をてくてく続くのは、アキラとフェルノの二人。
しかしその様子すらも、Nightにとっては、何らかの策略でしかなかった。の、かもしれない。
アキラたちは、建物の中に入った。
するとそこに広がっていたのは、不思議と居心地のいい空気感だった。
何故なら、かなり明るい雰囲気で、大年のRPGで見たことのある、ギルド感があった。
「結構盛大に賑わっているね」
「そうでないと困るんだろう。この世界のNPCたちは、人工知能を持っている。決まった動きはしないし、この世界で生きる以上、その落ち度に付け込まれるわけにもいかないからな」
「運営サイドみたいなこと言ってる」
「と言うか、元も子もないような世界観壊すこと言ってるねー」
「わかりきったことを並べただけだ。いちいちツッコみを入れるな」
「「いや、入れるでしょ」」
などと口々に言い合う。
そうこうしていると、そんなアキラたちを見かねてか、一人のNPCが声をかけた。
金色の髪を頭の上で結った、可愛らしい顔立ちの女性だった。真面目そうである。
「如何しましたか、何かお困りでしょうか?」
「あっ、はい。ギルド登録をしようと思っていて」
「ギルドを設立するのですね。わかりました。すぐに手続きいたしますので、こちらに来てください」
そう言われ、誘われるままにカウンターに付いた。
そこにはさっき声をかけてくれたNPCの受付嬢がせっせと、準備をしている。
何故かアキラを先頭にして、Nightは後ろに隠れてしまった。目立ちたくないみたいだ。
「それではこちらの用紙に記入して、こちらに持ってきてください。ご相談をしていただいても構いませんよ。テーブルは、向こうのものをお使いください」
そう言って、促された先には木製のテーブルがあった。
テーブルの上には、万年筆が置いてあるみたいだ。
万年筆って、ファンタジーゲームだけど、別にいいよね。
「わかりました。えーっと」
「私は、ルーミラと言います。今後よろしくお願いしますね」
「はい。ルーミラさん」
アキラはそう答えると、Nightに服の袖を引っ張られたので、テーブルの元に向かった。
すると、Nightはこう言った。
「お前は誰とでも話せるんだな」
「そんなことはないよNightはコミュ障なの?」
「この性格を見たらわかるだろ」
「うーん。ズバズバ言うから、誰にでもと思ってたけど」
「それはそうだが、あまり好き好んで話すタイプじゃないんだ」
「そうなんだー。それで、これには何を書けばいいの?」
フェルノが脱線しそうな話を戻した。
珍しいこともあると思いながら、ボードに止められた紙を見ると、いくつか項目が書いてある。
それにしてもこの辺りは、リアルにしているんだと思った。
「えーっと、メンバーの名前とかは要らないんだね」
「それはそうだ。まだギルドがない」
「メンバーはいいとして、必要なのは、名前とギルマスとサブマス。それからエンブレム?」
大きく分けたら、この辺りだった。
すると、Nightは自分に振られる前に答えておく。
「言っておくが、私はギルマスはしないぞ。それをするなら、私は抜ける」
「嘘でしょ。じゃあ誰がするの!」
「アキラがやればいいよ。私はサブぐらいはするからさー。でもでも、経理とか? は、代わりにNightがやってよね。それならいいでしょー?」
「仕方ないか。このメンツだと、それが丸い」
何故か項垂れていたけれど、まだ一言もやるとは言っていない。
しかしフェルノは勝手に万年筆を取ると、ギルマスの欄にアキラの名前を。
サブマスには自分の名前を書いていた。すでに消すことはできずに仕方ないと溜息を吐きながら、受け入れるのだった。どっちみち、やるけどさ。
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