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◇79 砂の底の巣窟
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アキラと雷斬は砂漠の砂の中に飲み込まれてしまった。
抗う術などもなく、流砂が発生し引きずり込まれてしまった。
それからアキラたちが目覚めたのは、狭くて固められた砂の中だった。
「ううっ。ここは……」
「どこなのでしょうか。砂の中に飲み込まれたのは、記憶にあるのですが」
「ってことは、ここは砂の中?」
砂漠の砂の中に飲み込まれるなんて、そんな体験したことがない。
そもそもお目にかかることもない。
けれどアキラは疑問に思った。砂の中に飲み込まれたはずなのに、自分たちが飲み込まれた流砂が存在していなかった。普通、飲み込んだ入り口が広がっていないとおかしい。
「如何やら閉じ込められてしまったみたいですね」
「そうでもないよ。ほら、向こう側に道が続いてる」
アキラは指を差した。
右手には道が続いている。けれどいかにも怪しい。絶対罠だった。
「明らかに罠でしょうね」
「多分。でも流砂があっても、どのみち上には上がれないんでしょ?」
「そうですね。流砂は飲み込む作用ですから。ここから地上に出るためには、その術を探さないといけません」
だったら迷っている暇もない。
アキラたちは餌としてここに連れ込まれた。だとしたら行動を起こさないと、ただやられるだけだった。そう思ったからこそ、少しでも慎重にでも行動は大胆にと気持ちを切り替える。
「行こう、雷斬。こんなところにいても、誰も助けてくれない」
「そうですね。天井も固いです。おや?」
「如何したの……って、メダルが埋まってる!」
アキラは叫んだ。気が付いた場所の天井に、メダルが二枚埋まっていた。
アキラと雷斬は手を伸ばして回収すると、表面には星が五つ描かれる。もしかしたら、皆んなこれを狙って……
「もしかしたら、皆さんこのメダルを狙ってここに落ちてきたのでしょうか?」
「だとしたら私たちは偶然だったね。こんなところにメダルが埋まっているなんて。しかも、まだ誰も入手してないよ?」
「と言うことは、皆さん流砂に飲まれた段階でやられてしまったのでしょうか」
「多分。そうだと思うよ」
つまり私たちは運が少しだけよかったことになる。
敵がどんなモンスターなのかはわからないれど、やってくる前に目が覚めたんだ。ホッと胸を撫で下ろすものの、まだ安心できない。早く行動に移そうと、アキラと雷斬はその場から移動した。
砂漠の砂の中は、かなり涼しかった。
炎天下、灼熱世界から解放された分体は整っているが、逆に寒い。
砂漠は昼間は暑く、夜間は極寒の地と化す。それを砂の中にまで踏襲しているのだろうか? アキラはそんなことは一切考えず、何の気もなしに砂の中の道を進んだ。
「アキラさん、少し変ではありませんか?」
「何が変なの?」
「ここまで砂の道は一本です。左右は固い砂の壁で覆われていて、壊すこともかないませんね」
「そうだね。絶対おびき出されてる」
「やはりこの先に食事処があるのではないでしょうか?」
「うーん。もしそうなら倒せたら帰れるのかな」
おそらくその線は極めて高い。なんて、Nightなら言うんだろうけど、私にはよくわからない。
でもその可能性は高い気がした。何故かはわからないけれど、脳内でそう警告している。
「ではどのような相手だと思いますか?」
「うーん。私はアリジゴクかな」
「アリジゴクですか。確かにその線は濃厚ですね」
「そう思う! よかった。あてずっぽうだったから」
「そうなのですか?」
「うん。私流砂みたいな罠を張る生き物なんて他に知らないから」
「私もです。ですが、砂の中にまで引きずり込むのは随分と狡猾ですね。わざわざ偽の流砂を意識する範疇に置くことによって、本命を気付かれずに真下に展開するなどと言う戦法。恐れ入りました」
仮にもモンスター。狡猾な性格は残っている。
しかし雷斬はそんな相手でもリスペクトしている。確かに面白い作戦だけど、いざはまるときつい。Nightの作戦も全部怖いけど、自分たちがそれを味わうのは、もっと怖い。
「それはそうと雷斬。ちょっと気になっていることがあるんだけどね」
「如何なさいましたか?」
「さっきから道が迷路みたいに複雑になっているんだけど、これは如何してかな?」
流砂に飲まれ、言われるがまま道を進むと迷路のように複雑めいた。
今いるのは、分かれ道だった。目の前には全部で五本の道が広がっている。しかも道の大きさは全て違う。細いのから太いのまで、高いのから低いのまで幅広い。難しい問題だ。絶対一度でもミスったら終わりだよ。と脳内で警報が鳴る。
「どの道を進んでみる?」
「そうですね。こういう時は……」
ごくりと喉を鳴らした。
すると二人は揃って答える。
「「右」」
同時だった。しかも全く同じ道を指さす。
それは特になんと変哲もなく、それでいて安全と危険が五分な道だったが、何故か揃ってしまった。そこでもう恨みっこなし。アキラと雷斬はお互いに確認を取ると、迷わずその道を突き進んだのだった。
抗う術などもなく、流砂が発生し引きずり込まれてしまった。
それからアキラたちが目覚めたのは、狭くて固められた砂の中だった。
「ううっ。ここは……」
「どこなのでしょうか。砂の中に飲み込まれたのは、記憶にあるのですが」
「ってことは、ここは砂の中?」
砂漠の砂の中に飲み込まれるなんて、そんな体験したことがない。
そもそもお目にかかることもない。
けれどアキラは疑問に思った。砂の中に飲み込まれたはずなのに、自分たちが飲み込まれた流砂が存在していなかった。普通、飲み込んだ入り口が広がっていないとおかしい。
「如何やら閉じ込められてしまったみたいですね」
「そうでもないよ。ほら、向こう側に道が続いてる」
アキラは指を差した。
右手には道が続いている。けれどいかにも怪しい。絶対罠だった。
「明らかに罠でしょうね」
「多分。でも流砂があっても、どのみち上には上がれないんでしょ?」
「そうですね。流砂は飲み込む作用ですから。ここから地上に出るためには、その術を探さないといけません」
だったら迷っている暇もない。
アキラたちは餌としてここに連れ込まれた。だとしたら行動を起こさないと、ただやられるだけだった。そう思ったからこそ、少しでも慎重にでも行動は大胆にと気持ちを切り替える。
「行こう、雷斬。こんなところにいても、誰も助けてくれない」
「そうですね。天井も固いです。おや?」
「如何したの……って、メダルが埋まってる!」
アキラは叫んだ。気が付いた場所の天井に、メダルが二枚埋まっていた。
アキラと雷斬は手を伸ばして回収すると、表面には星が五つ描かれる。もしかしたら、皆んなこれを狙って……
「もしかしたら、皆さんこのメダルを狙ってここに落ちてきたのでしょうか?」
「だとしたら私たちは偶然だったね。こんなところにメダルが埋まっているなんて。しかも、まだ誰も入手してないよ?」
「と言うことは、皆さん流砂に飲まれた段階でやられてしまったのでしょうか」
「多分。そうだと思うよ」
つまり私たちは運が少しだけよかったことになる。
敵がどんなモンスターなのかはわからないれど、やってくる前に目が覚めたんだ。ホッと胸を撫で下ろすものの、まだ安心できない。早く行動に移そうと、アキラと雷斬はその場から移動した。
砂漠の砂の中は、かなり涼しかった。
炎天下、灼熱世界から解放された分体は整っているが、逆に寒い。
砂漠は昼間は暑く、夜間は極寒の地と化す。それを砂の中にまで踏襲しているのだろうか? アキラはそんなことは一切考えず、何の気もなしに砂の中の道を進んだ。
「アキラさん、少し変ではありませんか?」
「何が変なの?」
「ここまで砂の道は一本です。左右は固い砂の壁で覆われていて、壊すこともかないませんね」
「そうだね。絶対おびき出されてる」
「やはりこの先に食事処があるのではないでしょうか?」
「うーん。もしそうなら倒せたら帰れるのかな」
おそらくその線は極めて高い。なんて、Nightなら言うんだろうけど、私にはよくわからない。
でもその可能性は高い気がした。何故かはわからないけれど、脳内でそう警告している。
「ではどのような相手だと思いますか?」
「うーん。私はアリジゴクかな」
「アリジゴクですか。確かにその線は濃厚ですね」
「そう思う! よかった。あてずっぽうだったから」
「そうなのですか?」
「うん。私流砂みたいな罠を張る生き物なんて他に知らないから」
「私もです。ですが、砂の中にまで引きずり込むのは随分と狡猾ですね。わざわざ偽の流砂を意識する範疇に置くことによって、本命を気付かれずに真下に展開するなどと言う戦法。恐れ入りました」
仮にもモンスター。狡猾な性格は残っている。
しかし雷斬はそんな相手でもリスペクトしている。確かに面白い作戦だけど、いざはまるときつい。Nightの作戦も全部怖いけど、自分たちがそれを味わうのは、もっと怖い。
「それはそうと雷斬。ちょっと気になっていることがあるんだけどね」
「如何なさいましたか?」
「さっきから道が迷路みたいに複雑になっているんだけど、これは如何してかな?」
流砂に飲まれ、言われるがまま道を進むと迷路のように複雑めいた。
今いるのは、分かれ道だった。目の前には全部で五本の道が広がっている。しかも道の大きさは全て違う。細いのから太いのまで、高いのから低いのまで幅広い。難しい問題だ。絶対一度でもミスったら終わりだよ。と脳内で警報が鳴る。
「どの道を進んでみる?」
「そうですね。こういう時は……」
ごくりと喉を鳴らした。
すると二人は揃って答える。
「「右」」
同時だった。しかも全く同じ道を指さす。
それは特になんと変哲もなく、それでいて安全と危険が五分な道だったが、何故か揃ってしまった。そこでもう恨みっこなし。アキラと雷斬はお互いに確認を取ると、迷わずその道を突き進んだのだった。
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