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◇107 謎の声は龍の声
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無意識化でスキルを使った。
こんなことができるなんて、このゲームは本当に脳波とリンクしている。
アキラは深いことはわからなかったが、気が付けば無限の宇宙の中にいた。ここは深層心理の部分だ。
「ここは……」
「ここは心理の部屋。人の心の中に存在する自分だけのパーソナルスペースです」
「パーソナルスペース?」
「そうです。このゲームには特定の脳波や心の調和を持つ人がたまに入ることのできる空間があるんです。それがこの心理の部屋。アキラは、【ユニゾンハート】でこの空間に自由に入ることができるんですよ」
なるほど、これで今までベールに包まれていた謎のスキルの正体が解けた。
【キメラハント】が相手の能力を奪うものなら、この【ユニゾンハート】は何に使うのか。正直今まで存在そのものを忘れていたが、特定の行動に必要だったとは思いもよらない。
だけどそこまで便利でもない気がしたが、使いどころがないだけでわかっただけ御の字と言える。
アキラは1人納得したが、この声は何処から聞こえているのだろうか。
すると声の主が普通に正体を明かしてくれた。
「私はこの世界のものです。いわばAIですね」
「AIって、急にプログラムってことに引き戻すんだね」
「当然です。それに今はアキラのスキルですから」
「はい?」
頭の中で処理が追い付かなくなる。
私は高性能CPUじゃないので少し時間がかかった。
しかしどうしてこんなところにAIがいるのか。
アキラは、自分が何か良くないことを引き起こしたのではと焦りを見せる。
けれどこの声の主は否定した。
「飲みましたよね」
「飲んだって何を?」
「水です」
「水? そんなの普段から飲んでいるけど」
屁理屈みたいに聞こえただろうが、アキラは首を捻る。
すると声の主は水を限定化した。
「霊龍の泉の水を飲みましたよね」
「う、うん。噂の真相が知りたくて」
「あの水はプログラムのコードが眠っているんです。効力を及ぼせるのは、取り込んで奪うことができてかつ心理の部屋を持っている人だけですよ」
何だか限定しすぎじゃないだろうか。
しかし待てよ。効力を及ぼすのは水を取り込んで、奪うことができる人だけ?
『奪う』のパワーワードが気になって仕方なかったが、どうしてか自分を重ねてしまった。
「それって【キメラハント】のこと?」
「そうですね。待ちわびていました」
「あはは、まるで奪われるのを心待ちにしていたみたいだよ」
「そうですね。……本当に似ている」
何が似ているのか。
このゲームの開発者さんにでも似ているのかな。
自分で自分のことをAIだと認識しているのがその証拠だ。
「もしかしてじゃなくて、あの石板に触れたから声が聞こえるようになったとして、私がスキルを持っているの?」
「はい。既にスキルとして取り込まれているはずです」
「怖っ! 怖すぎるよ」
自分がバグるんじゃないかと不安になった。
何だか都市伝説じみたことを思い起こして怖くなる。
しかし声の主は「大丈夫です、貴女は正真正銘、人間ですから」と言ってくれた。
よくわからない。もしかして私は……とか思ってしまうアキラだが、AIは伝える。
「アキラ、貴女はAIではないですがスキルとして取り込んでも問題ない体と精神をしているんですよ。いざとなれば、【ユニゾンハート】に託してみましょう」
「意味がわからないけど、留めておくよ」
「そうしてください……そろそろ時間ですね」
唐突すぎる。アキラは何も確信できないまま、急に投げ出された。
そのまま気が付けば心配した顔色を見せる雷斬とベルの姿がある。
指が石板から離れていた。
「2人とも……」
「大丈夫ですか? 突然固まってしまって」
「声を掛けても返事がないからびっくりしたわよ。5分くらいだったけどね」
アキラは5分間も固まっていた。
つまりあの時間はたったの5分だったことになる。
冷汗が出てきた。体が身震いしてしまい、気が付けばその場から立ち上がる。
急いでここを離れたくて仕方がない。
「ごめん、今日は帰ろう」
「それはいいけど、何かあったの?」
「う、うん。ちょっと不気味で」
ベルは心配してくれた。
アキラは雷斬に手を引かれてその場を後にする。
ここに来るのはもう少し後になりそうだが、すでに運命を掴み取るチャンスは動き出していた。
こんなことができるなんて、このゲームは本当に脳波とリンクしている。
アキラは深いことはわからなかったが、気が付けば無限の宇宙の中にいた。ここは深層心理の部分だ。
「ここは……」
「ここは心理の部屋。人の心の中に存在する自分だけのパーソナルスペースです」
「パーソナルスペース?」
「そうです。このゲームには特定の脳波や心の調和を持つ人がたまに入ることのできる空間があるんです。それがこの心理の部屋。アキラは、【ユニゾンハート】でこの空間に自由に入ることができるんですよ」
なるほど、これで今までベールに包まれていた謎のスキルの正体が解けた。
【キメラハント】が相手の能力を奪うものなら、この【ユニゾンハート】は何に使うのか。正直今まで存在そのものを忘れていたが、特定の行動に必要だったとは思いもよらない。
だけどそこまで便利でもない気がしたが、使いどころがないだけでわかっただけ御の字と言える。
アキラは1人納得したが、この声は何処から聞こえているのだろうか。
すると声の主が普通に正体を明かしてくれた。
「私はこの世界のものです。いわばAIですね」
「AIって、急にプログラムってことに引き戻すんだね」
「当然です。それに今はアキラのスキルですから」
「はい?」
頭の中で処理が追い付かなくなる。
私は高性能CPUじゃないので少し時間がかかった。
しかしどうしてこんなところにAIがいるのか。
アキラは、自分が何か良くないことを引き起こしたのではと焦りを見せる。
けれどこの声の主は否定した。
「飲みましたよね」
「飲んだって何を?」
「水です」
「水? そんなの普段から飲んでいるけど」
屁理屈みたいに聞こえただろうが、アキラは首を捻る。
すると声の主は水を限定化した。
「霊龍の泉の水を飲みましたよね」
「う、うん。噂の真相が知りたくて」
「あの水はプログラムのコードが眠っているんです。効力を及ぼせるのは、取り込んで奪うことができてかつ心理の部屋を持っている人だけですよ」
何だか限定しすぎじゃないだろうか。
しかし待てよ。効力を及ぼすのは水を取り込んで、奪うことができる人だけ?
『奪う』のパワーワードが気になって仕方なかったが、どうしてか自分を重ねてしまった。
「それって【キメラハント】のこと?」
「そうですね。待ちわびていました」
「あはは、まるで奪われるのを心待ちにしていたみたいだよ」
「そうですね。……本当に似ている」
何が似ているのか。
このゲームの開発者さんにでも似ているのかな。
自分で自分のことをAIだと認識しているのがその証拠だ。
「もしかしてじゃなくて、あの石板に触れたから声が聞こえるようになったとして、私がスキルを持っているの?」
「はい。既にスキルとして取り込まれているはずです」
「怖っ! 怖すぎるよ」
自分がバグるんじゃないかと不安になった。
何だか都市伝説じみたことを思い起こして怖くなる。
しかし声の主は「大丈夫です、貴女は正真正銘、人間ですから」と言ってくれた。
よくわからない。もしかして私は……とか思ってしまうアキラだが、AIは伝える。
「アキラ、貴女はAIではないですがスキルとして取り込んでも問題ない体と精神をしているんですよ。いざとなれば、【ユニゾンハート】に託してみましょう」
「意味がわからないけど、留めておくよ」
「そうしてください……そろそろ時間ですね」
唐突すぎる。アキラは何も確信できないまま、急に投げ出された。
そのまま気が付けば心配した顔色を見せる雷斬とベルの姿がある。
指が石板から離れていた。
「2人とも……」
「大丈夫ですか? 突然固まってしまって」
「声を掛けても返事がないからびっくりしたわよ。5分くらいだったけどね」
アキラは5分間も固まっていた。
つまりあの時間はたったの5分だったことになる。
冷汗が出てきた。体が身震いしてしまい、気が付けばその場から立ち上がる。
急いでここを離れたくて仕方がない。
「ごめん、今日は帰ろう」
「それはいいけど、何かあったの?」
「う、うん。ちょっと不気味で」
ベルは心配してくれた。
アキラは雷斬に手を引かれてその場を後にする。
ここに来るのはもう少し後になりそうだが、すでに運命を掴み取るチャンスは動き出していた。
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