109 / 478
◇108 虫取りに行こう
しおりを挟む
夜のゲームの中。
アキラとフェルノの2人は森の中にいた。
何処にでもあるような森ではない。木々が密集していない、少し開けた森だった。
「アキラ、用意できた?」
「うん。ソウラさん達から借りて来たよ」
アキラはインベントリの中から取り出した瓶と虫取り網を見せた。
瓶の中には金色に光るネトネトした半液状の蜜が入っている。
Deep Skyのソウラから借りてきたもので、それもそのはず頼まれたんだ。
「この時期にしか出ない幻のゴールデンデストロイコーカサスオオカブトを捕まえるぞ!」
「めちゃくちゃ燃えているけど、長いよね。名前」
今回この森にやって来たのは、そのカブトムシを捕まえにきた。
本当はもっと熱帯のエリアに棲んでいるらしく、この時期限定でこの『スタット』にも出現するらしい。
それもそのはず、この森は実際暑い。
熱帯の地域に行ったことはないが、じめじめとしていて6月の蒸し暑さに似ている。
正直来ている服は汗びしょだった。
「はぁはぁ。暑いね」
「うん、暑い。でも虫取りに来たんだから、どうせ暑くなるよ」
「どうせって、毎回思うけどフェルノって虫好きだよね」
「うーん、好きじゃないけど平気なだけかな。アキラだって、アレは叩き潰すでしょ?」
「もちろんアレはね。叩き潰すけど……カブトムシだよ?」
アキラは表情を歪めた。
するとフェルノは、気を悪くしてしまったことに咎めたのか、悲しい目をする。
「もしかして、アキラって苦手なの? 虫」
「ううん。全然平気だよ」
「何それー」
急な切り返しに仰天していた。
アキラは普通に無視は触れる系だ。でないと、ツインビーは倒せない。
「そう言えばこのカブトムシの名前凄いよね。体長は普通にコーカサスと同じくらいなんでしょ?」
「そうだねー。見たことないけど」
「うん。図鑑でしか見たことないかも」
今回捕まえる予定のゴールデンデストロイコーカサスオオカブトは金色に輝くコーカサスオオカブトだ。
とてつもなくデカい。だけどそこまで危険ではない。
とは言え、出現頻度が低い。それが困りどころだ。
「昼間にソウラさん達が来た時に仕掛けをしたらしいよ」
「そうなんだ。にしても残酷だよねー」
「うん。だって現実の夜にしか出現しないもんね。本当に鬼畜仕様だよ」
今回出現するカブトムシは現実世界の夜にしか出現しない。
ゲームの中では1日に3回程度、日をまたぐ。
しかし、このカブトムシは現実とゲームの時間帯が重なる時間にしか出現しない。
ソウラ達は、今夜は飲み会があるとかでアキラ達に頼んだんだ。
「うーん、ここにはいないね」
「大丈夫だよ、後5か所あるから」
アキラとフェルノは仕掛けにやって来た。
しかし狙いのカブトムシはいない。たかっているのはカナブンだ。
しかもモンスターではないので倒しても経験値にもならず、かなりしょっぱかった。
「ここにもいないねー」
「う、うん。もしかして今日はいないのかな?」
正直怪しくなってきた。
ここまでカナブンしかいない。いても普通のカブトムシだ。
これじゃあ約束を果たせない。
「どうしよう。このままじゃ報酬が……」
「大丈夫だって。だって運ゲーのアキラだよ」
「それは嬉しくないんだけど。それに私、運だけじゃないでしょ!」
「まあね。でも運もいいでしょ?」
否定はできない。
このゲームだって運良く手に入れたものだ。
そう言えばエルエスタさんは「遊んでみてください」と言っていた。だから私も楽しく遊ぶことを優先する。そんなアキラは走り出していた。
「どうしたのさアキラ!」
「思い出したの。確かそのカブトムシって特定の匂いに敏感なんでしょ? きっとこれが最後の鍵なんだよ」
アキラは瓶の中のネトネトした蜜を手にした。
黄金色に輝くその蜜には豊潤で強い甘みを感じる。
きっとこの蜜、後塗り何だ。だからこの時間に指定されたんだとアキラはようやく意図していたことに気が付いた。
アキラとフェルノの2人は森の中にいた。
何処にでもあるような森ではない。木々が密集していない、少し開けた森だった。
「アキラ、用意できた?」
「うん。ソウラさん達から借りて来たよ」
アキラはインベントリの中から取り出した瓶と虫取り網を見せた。
瓶の中には金色に光るネトネトした半液状の蜜が入っている。
Deep Skyのソウラから借りてきたもので、それもそのはず頼まれたんだ。
「この時期にしか出ない幻のゴールデンデストロイコーカサスオオカブトを捕まえるぞ!」
「めちゃくちゃ燃えているけど、長いよね。名前」
今回この森にやって来たのは、そのカブトムシを捕まえにきた。
本当はもっと熱帯のエリアに棲んでいるらしく、この時期限定でこの『スタット』にも出現するらしい。
それもそのはず、この森は実際暑い。
熱帯の地域に行ったことはないが、じめじめとしていて6月の蒸し暑さに似ている。
正直来ている服は汗びしょだった。
「はぁはぁ。暑いね」
「うん、暑い。でも虫取りに来たんだから、どうせ暑くなるよ」
「どうせって、毎回思うけどフェルノって虫好きだよね」
「うーん、好きじゃないけど平気なだけかな。アキラだって、アレは叩き潰すでしょ?」
「もちろんアレはね。叩き潰すけど……カブトムシだよ?」
アキラは表情を歪めた。
するとフェルノは、気を悪くしてしまったことに咎めたのか、悲しい目をする。
「もしかして、アキラって苦手なの? 虫」
「ううん。全然平気だよ」
「何それー」
急な切り返しに仰天していた。
アキラは普通に無視は触れる系だ。でないと、ツインビーは倒せない。
「そう言えばこのカブトムシの名前凄いよね。体長は普通にコーカサスと同じくらいなんでしょ?」
「そうだねー。見たことないけど」
「うん。図鑑でしか見たことないかも」
今回捕まえる予定のゴールデンデストロイコーカサスオオカブトは金色に輝くコーカサスオオカブトだ。
とてつもなくデカい。だけどそこまで危険ではない。
とは言え、出現頻度が低い。それが困りどころだ。
「昼間にソウラさん達が来た時に仕掛けをしたらしいよ」
「そうなんだ。にしても残酷だよねー」
「うん。だって現実の夜にしか出現しないもんね。本当に鬼畜仕様だよ」
今回出現するカブトムシは現実世界の夜にしか出現しない。
ゲームの中では1日に3回程度、日をまたぐ。
しかし、このカブトムシは現実とゲームの時間帯が重なる時間にしか出現しない。
ソウラ達は、今夜は飲み会があるとかでアキラ達に頼んだんだ。
「うーん、ここにはいないね」
「大丈夫だよ、後5か所あるから」
アキラとフェルノは仕掛けにやって来た。
しかし狙いのカブトムシはいない。たかっているのはカナブンだ。
しかもモンスターではないので倒しても経験値にもならず、かなりしょっぱかった。
「ここにもいないねー」
「う、うん。もしかして今日はいないのかな?」
正直怪しくなってきた。
ここまでカナブンしかいない。いても普通のカブトムシだ。
これじゃあ約束を果たせない。
「どうしよう。このままじゃ報酬が……」
「大丈夫だって。だって運ゲーのアキラだよ」
「それは嬉しくないんだけど。それに私、運だけじゃないでしょ!」
「まあね。でも運もいいでしょ?」
否定はできない。
このゲームだって運良く手に入れたものだ。
そう言えばエルエスタさんは「遊んでみてください」と言っていた。だから私も楽しく遊ぶことを優先する。そんなアキラは走り出していた。
「どうしたのさアキラ!」
「思い出したの。確かそのカブトムシって特定の匂いに敏感なんでしょ? きっとこれが最後の鍵なんだよ」
アキラは瓶の中のネトネトした蜜を手にした。
黄金色に輝くその蜜には豊潤で強い甘みを感じる。
きっとこの蜜、後塗り何だ。だからこの時間に指定されたんだとアキラはようやく意図していたことに気が付いた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
174
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる