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◇115 VSブラックメタルライノス
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秋です。
あんなに長かった夏休みもふたを開けてみれば早いもの。
ほとんどの時間を下らないことに費やして、ゲームでのレベル上げがおろそかになってしまっている面々(1年生編のテンポが速いのはそのため。ゲームでの出来事しかここには書いてないからね。2年生になったらちゃんとテンポ感を落とすよ)。
何て誰得な宣伝を挟むように、3人は走っていた。
そう、ただただ走っていた。
「嘘だよね、Night! 何であんなに速いの」
「私に聞くな。くそ、これじゃあトカゲ戦車の時と同じじゃないか」
「今回は追う側だけどね」
アキラたちいつものメンバーは新た大地を走っていた。
ただでさえ足下が悪い。
フェルノの炎によるブーストも雷斬の【雷鳴】もここだとほとんど通用しないだろう。
そんなスピードに関してまず絶望的な状況の中、3人が追っているものは非常に素早かった。
「絶対キャタピラ付いてるよ、あのサイ!」
「そうだな。ブラックメタルライノス。黒鋼のサイか。完全に戦車じゃないか」
目線の先にそれはいた。
黒く光るボディが何処となく……何でもない。
とにかく目の前にはとてつもなく黒くてギラギラしているサイが一頭は知っていた。
走っているのだろうか。今思えば怪しくなる。何せ4本脚で最低限生物として二装いはできているものの、背中にはバイクのような太いマフラーが付いていて、足下にはキャタピラが付いている。
絶対に追いつけない訳。きっと子供でもわかるだろう。
時速何100キロの戦車にスキル不可の人間が生身で追いつけるわけもない。
「こんなの聞いてないよ。罠のポイントまで到着する前に、私たちの体力が切れちゃわない?」
「ゲーム性としてのHPは減らないだろうな。だが精神的な疲れや、現実におけるスタミナの消耗は凄まじいだろう」
「感心してないで、何とかしてよ」
「私は青い猫型ロボットじゃない」
「うわぁ、名作だねー」
そのツッコみは今一番要らない。
それがわかっていたので誰も返してあげない。フェルノは寂しそうで、滑ったみたいだった。
けれど状況は変わらない。
この最悪な状況。どうして3人があのサイを追うのか。答えは一つ、ギルドのランクアップのためだ。
「Dランクだっけ? 何個上がったのかは覚えてないけど」
「そうだな。そもそもギルドのランク上げは興味ないからな」
「でもやってるよね。そもそもこの依頼持ってきたの誰?」
全員無言になる。
そう、全員で選んだ依頼だ。
だから誰も文句が言えず、このまま失敗して期限が過ぎると違約金を取られる。リアルにかなり似ている。
ストレスフリーなゲームじゃないけれど、流石にこれはストレスだ。
そもそも倒すなんて不可能だった。
「奴のレベルは40。私でもレベル35。倒すのは不可能だ」
「おまけにあの体。絶対に防御厚いよ」
「体当たりされたり一発だね。怖い」
負けるビジョンの方が先に思い当たる。
しかしまだ諦めていない。足下が悪すぎて移動系のスキルが使えないだけど、ここには何でもありのチートスキルが揃っている。
Nightのワンマンショーの出番だ。
「Night、何とかできないの?」
「無理だ。HPが保たない」
「そんなー」
「いつも度返しでやってるでしょー」
「今回は相手が悪い。そもそも距離がここまで開いた状態で届くと思うか? 例えば私が銃を作ったとして、あの装甲に効くとは思えない。そもそも戦車並みの装甲だとしても、おそらく現実以上。それこそミサイルなんかのレベルになるぞ」
「それは……無理だね」
Nightのスキルは体力と精神面を大きく削る。
難しいものを作ろうとすればするほど、その分エネルギーを消費する。
無駄な手間や工程を省けるとは言っても、あまりに現実味がないことはできない。
それがこのゲームの未知のプログラムだった。
とは言え無策でもない。
3人はしっかりと考えていた。主にNightが考えたものだが、今やっているのもそのためだ。
何とかして取り押さえないことには切りがない。
そこで3人揃って後を付けながら、何とか捕まえようとしていた。欲しいのはあの角なんだ。
あんなに長かった夏休みもふたを開けてみれば早いもの。
ほとんどの時間を下らないことに費やして、ゲームでのレベル上げがおろそかになってしまっている面々(1年生編のテンポが速いのはそのため。ゲームでの出来事しかここには書いてないからね。2年生になったらちゃんとテンポ感を落とすよ)。
何て誰得な宣伝を挟むように、3人は走っていた。
そう、ただただ走っていた。
「嘘だよね、Night! 何であんなに速いの」
「私に聞くな。くそ、これじゃあトカゲ戦車の時と同じじゃないか」
「今回は追う側だけどね」
アキラたちいつものメンバーは新た大地を走っていた。
ただでさえ足下が悪い。
フェルノの炎によるブーストも雷斬の【雷鳴】もここだとほとんど通用しないだろう。
そんなスピードに関してまず絶望的な状況の中、3人が追っているものは非常に素早かった。
「絶対キャタピラ付いてるよ、あのサイ!」
「そうだな。ブラックメタルライノス。黒鋼のサイか。完全に戦車じゃないか」
目線の先にそれはいた。
黒く光るボディが何処となく……何でもない。
とにかく目の前にはとてつもなく黒くてギラギラしているサイが一頭は知っていた。
走っているのだろうか。今思えば怪しくなる。何せ4本脚で最低限生物として二装いはできているものの、背中にはバイクのような太いマフラーが付いていて、足下にはキャタピラが付いている。
絶対に追いつけない訳。きっと子供でもわかるだろう。
時速何100キロの戦車にスキル不可の人間が生身で追いつけるわけもない。
「こんなの聞いてないよ。罠のポイントまで到着する前に、私たちの体力が切れちゃわない?」
「ゲーム性としてのHPは減らないだろうな。だが精神的な疲れや、現実におけるスタミナの消耗は凄まじいだろう」
「感心してないで、何とかしてよ」
「私は青い猫型ロボットじゃない」
「うわぁ、名作だねー」
そのツッコみは今一番要らない。
それがわかっていたので誰も返してあげない。フェルノは寂しそうで、滑ったみたいだった。
けれど状況は変わらない。
この最悪な状況。どうして3人があのサイを追うのか。答えは一つ、ギルドのランクアップのためだ。
「Dランクだっけ? 何個上がったのかは覚えてないけど」
「そうだな。そもそもギルドのランク上げは興味ないからな」
「でもやってるよね。そもそもこの依頼持ってきたの誰?」
全員無言になる。
そう、全員で選んだ依頼だ。
だから誰も文句が言えず、このまま失敗して期限が過ぎると違約金を取られる。リアルにかなり似ている。
ストレスフリーなゲームじゃないけれど、流石にこれはストレスだ。
そもそも倒すなんて不可能だった。
「奴のレベルは40。私でもレベル35。倒すのは不可能だ」
「おまけにあの体。絶対に防御厚いよ」
「体当たりされたり一発だね。怖い」
負けるビジョンの方が先に思い当たる。
しかしまだ諦めていない。足下が悪すぎて移動系のスキルが使えないだけど、ここには何でもありのチートスキルが揃っている。
Nightのワンマンショーの出番だ。
「Night、何とかできないの?」
「無理だ。HPが保たない」
「そんなー」
「いつも度返しでやってるでしょー」
「今回は相手が悪い。そもそも距離がここまで開いた状態で届くと思うか? 例えば私が銃を作ったとして、あの装甲に効くとは思えない。そもそも戦車並みの装甲だとしても、おそらく現実以上。それこそミサイルなんかのレベルになるぞ」
「それは……無理だね」
Nightのスキルは体力と精神面を大きく削る。
難しいものを作ろうとすればするほど、その分エネルギーを消費する。
無駄な手間や工程を省けるとは言っても、あまりに現実味がないことはできない。
それがこのゲームの未知のプログラムだった。
とは言え無策でもない。
3人はしっかりと考えていた。主にNightが考えたものだが、今やっているのもそのためだ。
何とかして取り押さえないことには切りがない。
そこで3人揃って後を付けながら、何とか捕まえようとしていた。欲しいのはあの角なんだ。
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