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◇140 人の精神を変える力
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カチッ! カチッカチッ!
部屋の中でパソコンをカタカタとさせる音が響く。
マウスカーソル片手に、明輝はパソコンのディスプレイを睨めっこしていた。
「本当だ。精神レベルが高いとプレイヤーとの戦闘で有利になるんだ」
蒼伊に言われたことが気になってどうしても調べてしまった。
すると公式ホームページのQ&Aコーナーに答えが書いてあった。
そこにはこんな一文がある。
Q 精神のパラメータはどんな意味があるんですか?
A 精神のパラメータはステータス上における個人の精神レベルに値します。この数値が高ければ高いほど精神攻撃に耐性があることを差します。またプレイヤーや特定のモンスターとの戦闘における相手のMP(メンタル・ポイント)の損傷に繋がります。
Q MPを失うとどうなりますか?
A HPを失ったとき同様消滅し強制的にログアウトされます。行こう24時間の再ログインができません。また極度に自分と相手の精神に差異がある場合、精神のパラメータが高いプレイヤーの攻撃はその差の割合分だけMPを消費させます。
Q MPを失いログアウトすると虚無感に襲われますが、病院に行った方がいいですか?
A 本商品はある種の実験的な意味合いがありますが、必要とあれば病院に行くことをお勧めします。ただし本商品を使用している場合、消費者は契約書に合意したこととなります。本商品を使用される前に認証を要求されたものがその証明になります。
またMPが0になった場合、一時的な虚無感に苛まれるでしょうがご心配ありません。
その状態は体と精神がトランス状態に入っていることを表し、急速に回復することへの暗示です。稀にそのような現象が起こらない場合がございますが、日常生活には何ら支障がございません。
※ 現時点で確認されているMPO(メンタル・ポイント・アウト)を起こしたプレイヤーはMPOされる以前よりも良好に過ごせております。衛星により確認させていただ
きました。
Q 精神はどのようにすれば上がりますか?
A 精神のパラメータは個人の成長によるもののため、ステータス上での上り幅は操作できません。
とか何とか書いてあった。
どうやら蒼伊の言っていたことは本当らしく、明輝は少し怖くなった。
確かにゲームを開始する前に同意書がデータ上で出てきたが、ほとんど読まなかった。
自分のせいなのだが、そんな情報が公開されていたなって初耳だ。
「凄いね。じゃあ私ってなかなか凄いことしたのかな?」
放心状態になっていた。つまり昨日明輝が倒したプレイヤー達はみんな虚無感に苛まれているはずだ。
だけどその効果で二度とこんな酷いことはしないで欲しいと願った。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
パソコンのディスプレイに目を落とした彼女は期待以上の変化ににやけ顔をしていた。
そこにやって来たのは短髪で長身の男。
口元をマフラーで覆い隠し、細い目だけが窺える。
「どうですか、社長」
「素晴らしい成果です。期待以上のものですよ」
「ありがとうございます。今回は、彼らにも手伝っていただきましたよ」
男は不敵な笑みを浮かべていた。
NPCを平気で襲うプレイヤー達を見つけ声を掛け、誰かに倒させようと試みていた。
それが彼がゲーム内で行っていた行為。本物の警備騎士はプレイヤーだったというわけだ。
「それにしても、相変わらず彼女は面白いですね。流石は社長が目を付けた子です」
「やはり彼女は想像を超えてくる。だから面白いんです。そして……とても愛おしい」
社長と呼ばれた女性は、うっとりと頬杖をついた。ディスプレイに浮かぶたくさんの緑色のラインが脈打つ。常に精神が進化している。
この結果がどう転ぶか。おそらく良い方に転ぶでしょう。彼女は常に読んでいた。
まるで未来を視ているかのように、ことごとくが彼女の思い通りだった。しかしディスプレイに浮かぶ少女、××だけはその範疇を凌駕していた。
だからこその期待以上だとは彼女以外は気づいていない。
成長しているのは精神力だけではないことを。
部屋の中でパソコンをカタカタとさせる音が響く。
マウスカーソル片手に、明輝はパソコンのディスプレイを睨めっこしていた。
「本当だ。精神レベルが高いとプレイヤーとの戦闘で有利になるんだ」
蒼伊に言われたことが気になってどうしても調べてしまった。
すると公式ホームページのQ&Aコーナーに答えが書いてあった。
そこにはこんな一文がある。
Q 精神のパラメータはどんな意味があるんですか?
A 精神のパラメータはステータス上における個人の精神レベルに値します。この数値が高ければ高いほど精神攻撃に耐性があることを差します。またプレイヤーや特定のモンスターとの戦闘における相手のMP(メンタル・ポイント)の損傷に繋がります。
Q MPを失うとどうなりますか?
A HPを失ったとき同様消滅し強制的にログアウトされます。行こう24時間の再ログインができません。また極度に自分と相手の精神に差異がある場合、精神のパラメータが高いプレイヤーの攻撃はその差の割合分だけMPを消費させます。
Q MPを失いログアウトすると虚無感に襲われますが、病院に行った方がいいですか?
A 本商品はある種の実験的な意味合いがありますが、必要とあれば病院に行くことをお勧めします。ただし本商品を使用している場合、消費者は契約書に合意したこととなります。本商品を使用される前に認証を要求されたものがその証明になります。
またMPが0になった場合、一時的な虚無感に苛まれるでしょうがご心配ありません。
その状態は体と精神がトランス状態に入っていることを表し、急速に回復することへの暗示です。稀にそのような現象が起こらない場合がございますが、日常生活には何ら支障がございません。
※ 現時点で確認されているMPO(メンタル・ポイント・アウト)を起こしたプレイヤーはMPOされる以前よりも良好に過ごせております。衛星により確認させていただ
きました。
Q 精神はどのようにすれば上がりますか?
A 精神のパラメータは個人の成長によるもののため、ステータス上での上り幅は操作できません。
とか何とか書いてあった。
どうやら蒼伊の言っていたことは本当らしく、明輝は少し怖くなった。
確かにゲームを開始する前に同意書がデータ上で出てきたが、ほとんど読まなかった。
自分のせいなのだが、そんな情報が公開されていたなって初耳だ。
「凄いね。じゃあ私ってなかなか凄いことしたのかな?」
放心状態になっていた。つまり昨日明輝が倒したプレイヤー達はみんな虚無感に苛まれているはずだ。
だけどその効果で二度とこんな酷いことはしないで欲しいと願った。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
パソコンのディスプレイに目を落とした彼女は期待以上の変化ににやけ顔をしていた。
そこにやって来たのは短髪で長身の男。
口元をマフラーで覆い隠し、細い目だけが窺える。
「どうですか、社長」
「素晴らしい成果です。期待以上のものですよ」
「ありがとうございます。今回は、彼らにも手伝っていただきましたよ」
男は不敵な笑みを浮かべていた。
NPCを平気で襲うプレイヤー達を見つけ声を掛け、誰かに倒させようと試みていた。
それが彼がゲーム内で行っていた行為。本物の警備騎士はプレイヤーだったというわけだ。
「それにしても、相変わらず彼女は面白いですね。流石は社長が目を付けた子です」
「やはり彼女は想像を超えてくる。だから面白いんです。そして……とても愛おしい」
社長と呼ばれた女性は、うっとりと頬杖をついた。ディスプレイに浮かぶたくさんの緑色のラインが脈打つ。常に精神が進化している。
この結果がどう転ぶか。おそらく良い方に転ぶでしょう。彼女は常に読んでいた。
まるで未来を視ているかのように、ことごとくが彼女の思い通りだった。しかしディスプレイに浮かぶ少女、××だけはその範疇を凌駕していた。
だからこその期待以上だとは彼女以外は気づいていない。
成長しているのは精神力だけではないことを。
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