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◇175 掘ったら穴
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まさか仕掛けの謎を解くと、そこにはさらに床が広がっていた。
二層構造の床の仕掛けにアキラたちは絶句してしまう。
その理由は至ってシンプル。せっかく頑張ったのに、何も起きなかったからだ。
「どうしよう。これじゃあ頑張った意味がないよ!」
「私言っても仕方がないだろ。とにかく他に仕掛けがないか探ってみるぞ」
ここまで来ると、Nightにも余裕は無くなっていた。
約半月以上に時間を捧げてきた攻略に憤りを感じながらも、今一度手掛かりを求めてアキラたちはバラバラで探索を始める。
するも何も手掛かりが得られずアキラは一回考えをリセットしていた。
「そう言えばどうして床が二層構造なんだろう。ハズレならもっとわかりやすくしてくれてもいいのにね」
単純に運営側が意地悪している可能性だってある。
そう簡単に遺跡の謎を解かせたくない。もっと試行錯誤して楽しんで欲しい。あるいは、ここには何にもないから残念でしたと煽られているのでは、色々な思考がせめぎ合う。
けれどアキラはもっと単純でいいのではと思い至り、試しにNightに頼んでみることにした。
「ねえNight。ツルハシって作れない?」
「ツルハシ? それなら持っているが、どうする気だ」
「ちょっと貸してよ。遺跡の調査したいから」
「まさか壊すのか?」
「うーん、場合によっては?」
アキラは可愛く言ってみた。しかしNightは断固拒否といった具合で、アキラに怪訝そうな表情を浮かべる。
「いいかアキラ。遺跡と言うのは何があるかわからないんだ。むやみやたらと手を加えて破壊するような真似は危険で愚かな行為だぞ。確証がないことの飛び込んで死んだ冒険家何てざらにいる」
「でもここはゲームだよ?」
「ログインしている限り、私たちはここの世界の人間と同義だ。もっと考えてからやれ」
「考えたんだよ。お願い信じて!」
アキラはNightの目を見て強く訴えかけた。
アキラの目は真剣そのもので強い芯を持っていた。
こちらの言葉には耳も課さず、何か確信を抱いているような節すらある。
けれどまだ一押しが足りずに悩んでいるような、そんな印象だった。
そこでNightはツルハシを渡し、背中を押してやることにした。
「わかった。だが慎重にやれよ」
「ありがとうNight。よーし、じゃあ一発やってみよっかな!」
そう思ってアキラはツルハシを肩に掛けると、二層構造の床がお目見えした場所に立った。
それから思いっきりツルハシを掲げると、振り下ろして床をぶち開けた。
「お前何してるんだぁ!」
「えっ?」
アキラはNightから罵声を浴びた。けれど何も悪いことをしていないと思っているのか、アキラが動じることはない。
それどころかさらにツルハシを叩きつけ、穴を大きく広げていく。
「おい、アキラ。お前は何をしているんだ。こんなことをすれば遺跡が……」
「何してるのアキラ?」
そこにやって来たのはフェルノだった。
アキラがツルハシを叩きつけている姿を見ていたフェルノは事情を知ると、アキラの代わりにツルハシを握り思い切り叩きつける。
鋭い金属の一撃が加わり、床がボロボロと崩れていく。
完全に穴開きになったところで、Nightも諦めが付いたのか、「もういい。好きにやれ」と投げやりになって、2人を見守っていた。
「よいしょーよいしょっ!」
「せーのっ、うわぁ!」
「どうした、フェルノ!」
2人は必死にツルハシを使って穴を広げていたが、フェルノが高い声を上げた。
自分たちが開けた穴は小さいものだったが、不意に転んで落ちそうになった。
底がどうなっているかわからないのに落ちるのは危険すぎる。
「危ない危ない。危く落ちるとこだったよ」
「でも何だか下は続いていそうだよ?」
「本当か。まさか二層構造の床は偽物でツルハシで壊すことが正規ルートだったわけか。すまない」
Nightは自分の甘さを卑下して2人に怒ったことを誤った。
けれどアキラもフェルノも気にしている様子はないのですぐに気を取り直すと、ツルハシを叩きつける。
「もう少し。もう少しでっ……うわぁ!」
「ちょっとアキラ危ないって。ってこっちも崩れるの!」
アキラとフェルノは自分たちが開けた穴が広がってしまい、バランスを崩してしまった。
不安定になった体勢を流石の体幹でも支えることはできずに落っこちてしまう。
いち早く察知したNightは長めのロープを作り出すと、2人を助けるためにロープを投げ込んだ。
「おい、掴まれ!」
「ありがとNight……アキラも私の腕に掴まって」
アキラはフェルノの腕を掴んだ。
しかし掴んだ途端にNightが振ってきた。
「ちょっと何でNightが落っこちてるの!」
「私の筋力で支えられると思うな。安心しろ、ロープは固定してきた」
「固定してきたじゃないよ。ごめんフェルノ。私先降りるね」
「ちょっと待て。今、ネットを作る……」
「ごめん。もう降りてきちゃった」
「私もー」
「おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」
アキラたちは真っ逆さまに穴の中に落ちてしまった。
その声を聞いていた雷斬とベルはアキラたちがいないことを確認すると、首を捻ってしまった。
「どこに行ったのでしょうか?」
「もしかしてこの穴の中に落ちたとかないわよね?」
そのまさかだった。
二層構造の床の仕掛けにアキラたちは絶句してしまう。
その理由は至ってシンプル。せっかく頑張ったのに、何も起きなかったからだ。
「どうしよう。これじゃあ頑張った意味がないよ!」
「私言っても仕方がないだろ。とにかく他に仕掛けがないか探ってみるぞ」
ここまで来ると、Nightにも余裕は無くなっていた。
約半月以上に時間を捧げてきた攻略に憤りを感じながらも、今一度手掛かりを求めてアキラたちはバラバラで探索を始める。
するも何も手掛かりが得られずアキラは一回考えをリセットしていた。
「そう言えばどうして床が二層構造なんだろう。ハズレならもっとわかりやすくしてくれてもいいのにね」
単純に運営側が意地悪している可能性だってある。
そう簡単に遺跡の謎を解かせたくない。もっと試行錯誤して楽しんで欲しい。あるいは、ここには何にもないから残念でしたと煽られているのでは、色々な思考がせめぎ合う。
けれどアキラはもっと単純でいいのではと思い至り、試しにNightに頼んでみることにした。
「ねえNight。ツルハシって作れない?」
「ツルハシ? それなら持っているが、どうする気だ」
「ちょっと貸してよ。遺跡の調査したいから」
「まさか壊すのか?」
「うーん、場合によっては?」
アキラは可愛く言ってみた。しかしNightは断固拒否といった具合で、アキラに怪訝そうな表情を浮かべる。
「いいかアキラ。遺跡と言うのは何があるかわからないんだ。むやみやたらと手を加えて破壊するような真似は危険で愚かな行為だぞ。確証がないことの飛び込んで死んだ冒険家何てざらにいる」
「でもここはゲームだよ?」
「ログインしている限り、私たちはここの世界の人間と同義だ。もっと考えてからやれ」
「考えたんだよ。お願い信じて!」
アキラはNightの目を見て強く訴えかけた。
アキラの目は真剣そのもので強い芯を持っていた。
こちらの言葉には耳も課さず、何か確信を抱いているような節すらある。
けれどまだ一押しが足りずに悩んでいるような、そんな印象だった。
そこでNightはツルハシを渡し、背中を押してやることにした。
「わかった。だが慎重にやれよ」
「ありがとうNight。よーし、じゃあ一発やってみよっかな!」
そう思ってアキラはツルハシを肩に掛けると、二層構造の床がお目見えした場所に立った。
それから思いっきりツルハシを掲げると、振り下ろして床をぶち開けた。
「お前何してるんだぁ!」
「えっ?」
アキラはNightから罵声を浴びた。けれど何も悪いことをしていないと思っているのか、アキラが動じることはない。
それどころかさらにツルハシを叩きつけ、穴を大きく広げていく。
「おい、アキラ。お前は何をしているんだ。こんなことをすれば遺跡が……」
「何してるのアキラ?」
そこにやって来たのはフェルノだった。
アキラがツルハシを叩きつけている姿を見ていたフェルノは事情を知ると、アキラの代わりにツルハシを握り思い切り叩きつける。
鋭い金属の一撃が加わり、床がボロボロと崩れていく。
完全に穴開きになったところで、Nightも諦めが付いたのか、「もういい。好きにやれ」と投げやりになって、2人を見守っていた。
「よいしょーよいしょっ!」
「せーのっ、うわぁ!」
「どうした、フェルノ!」
2人は必死にツルハシを使って穴を広げていたが、フェルノが高い声を上げた。
自分たちが開けた穴は小さいものだったが、不意に転んで落ちそうになった。
底がどうなっているかわからないのに落ちるのは危険すぎる。
「危ない危ない。危く落ちるとこだったよ」
「でも何だか下は続いていそうだよ?」
「本当か。まさか二層構造の床は偽物でツルハシで壊すことが正規ルートだったわけか。すまない」
Nightは自分の甘さを卑下して2人に怒ったことを誤った。
けれどアキラもフェルノも気にしている様子はないのですぐに気を取り直すと、ツルハシを叩きつける。
「もう少し。もう少しでっ……うわぁ!」
「ちょっとアキラ危ないって。ってこっちも崩れるの!」
アキラとフェルノは自分たちが開けた穴が広がってしまい、バランスを崩してしまった。
不安定になった体勢を流石の体幹でも支えることはできずに落っこちてしまう。
いち早く察知したNightは長めのロープを作り出すと、2人を助けるためにロープを投げ込んだ。
「おい、掴まれ!」
「ありがとNight……アキラも私の腕に掴まって」
アキラはフェルノの腕を掴んだ。
しかし掴んだ途端にNightが振ってきた。
「ちょっと何でNightが落っこちてるの!」
「私の筋力で支えられると思うな。安心しろ、ロープは固定してきた」
「固定してきたじゃないよ。ごめんフェルノ。私先降りるね」
「ちょっと待て。今、ネットを作る……」
「ごめん。もう降りてきちゃった」
「私もー」
「おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」
アキラたちは真っ逆さまに穴の中に落ちてしまった。
その声を聞いていた雷斬とベルはアキラたちがいないことを確認すると、首を捻ってしまった。
「どこに行ったのでしょうか?」
「もしかしてこの穴の中に落ちたとかないわよね?」
そのまさかだった。
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