187 / 617
◇187 肌寒くなってきました
しおりを挟む
カタカタカタカタ——
蒼伊はパソコンのディスプレイを前にして何やら作業をしているようだった。
たくさんの英数字が打ち込まれていて、コマンドを入れているみたいだった。
「ここをこうして……後はここをだな」
特に意味はない。意味がないからこそ暇をしていた。
蒼伊にとってこれは暇潰しだ。
その間に打ち込まれていたのは、何かのプログラムのようだった。
「こんなものだろ」
「蒼伊様」
そこにやって来たのは蒼伊専属のメイドだった。
ドアノブをコンコンと叩き、蒼伊の返事を待っていると、いつもよりも早く扉が開かれる。
そこにいたのは目を真っ赤にして隈ができた蒼伊の姿で、メイドはビックリした。
「何だお前か」
「はい、私でございます。それより蒼伊様、作業の方は順調でしょうか? せっかくですので眠気覚ましにコーヒーをお持ち致しました」
「助かる。それと作業は見ての通りだ」
「そのようですね。お疲れ様です」
「これも必要なことだ。それよりもデバッグ班は順調なんだろうな」
「はい、それはもちろんでございます」
「そうか。……私以外にこの家で作業ができる奴はいないからな。仕方ない」
蒼伊は家の手伝いをしていた。しかし莫大な金銭が動く依頼だった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「ううっ、何だか肌寒いね」
「そうだねー。シュッシュッ!」
急に烈火がシャドーボクシングを始めた。
あまりに突然のことでいつもの烈火だなと思い、軽く話しを逸らすと、今度は烈火の方から話を広げた。
「もう11月なのに、イベントもないよね?」
「イベントはないよ。だって11月だもん」
「あっ、そっか。11月だもんね」
しかし話しがすぐに広がらなくなった。
明輝と烈火はここのところログインしても何もなくてつまらなかった。
もちろん遊ぶこと自体につまらないはない。むしろ無限大すぎてたまにおかしくなりそうだった。
「蒼伊も最近ログインしてないもんね」
「雷斬とベルもだよ? 部活が忙しいとか、色々あるみたいだね」
「やっぱり引継ぎが大変なのかな?」
「うーん、引継ぎの時期はもう終わっていると思うけど」
烈火は頭の上で腕を組んでいた。
もう11月だ。木々の葉っぱもかなり茶色になっている。あの新緑の緑は既にない。
「しかも寒い!」
「そうだよね。最近寒くてー」
「って、嘘付くなっ!」
ポンと頭をチョップした。
すると烈火は「ごめんごめーん」と舌を出した。
「烈火は鍛えてるから寒くないでしょ?」
「もちろん寒いよ。でもそんなにかなー?」
烈火は結構筋肉を付けている。
暇さえあれば走っている気がするし、最近はプラモを作っているそうだが運動量は人並み以上だ。
「でも最近本当に寒いよね」
「うん。何だか温泉が恋しくなってくるね」
「そうだねー。明輝って、温泉好きだったっけ?」
「ちょっぴりかな。でも嫌いじゃないよ。好きすぎてウザいくらいじゃないけど」
「確かにそんな気はしないかも。そう言えば、雷斬が新しい町に行きたいって言ってたよね?」
「もしかしてそのせいでログインしないのかな?」
「いや、まさか……ね?」
烈火も苦笑いを浮かべる。
するとドライブにメッセージが入った。何かと思えば、ベルからだった。
「こんな時間に何だろ?」
「ベルからメッセージが来たね。えーっと何々?」
「雷斬が温泉に行きたいってうるさいみたいだね」
ベルから送られてきたメッセージによると雷斬の話ばかりだった。
まさかそれでログインしてないとかはないと思うけど、ドライブにまでメッセージが来るのはとんでもない。
「じゃあ今度蒼伊にも相談してみよっか」
「そうだね。もう11月だから予定通り新しい町に行ってみよう」
烈火が右腕を突き上げた。
すると同時に大きなくしゃみをする。
「寒いよね。早く学校行こっか」
「それじゃあ学校まで競争だね。それじゃあ位置についてー!」
「ちょっと待ってよ。私まだ走るなんて一言も……」
「よーい、どん!」
烈火は気にせず走り出した。仕方ないと思い、明輝もその後ろを付いて走る。
前よりもかなり速くなっている。けれど明輝は烈火に追いつくのだった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「皆さんで温泉、きっといいですよね」
「それはいいけど、少しは授業にも集中しなさいよ」
「すみません鈴来。精進致します」
「精進されても困るんだけど……はぁ、ちょっとは冷静になりなさいよね」
鈴来は隣の斬禍に声を掛けた。
スマホの画面を覗き込んでこれから行こうと思っている町に着いての情報を調べているようだった。
「その町って何か面白いものあるの?」
「紅葉の紅葉と朱鳥居。それから何よりも……」
「温泉ね。まさかGAMEの中でも温泉に入れるなんて、ちょっと変わってる」
「そんなことないですよ! 温泉は日本人にとって……」
「そう言うのいいから、とにかく絡まないで。最近の斬禍は何だかしつこいわよ」
「すみません。こんな私がいられるのは、鈴来のおかげですよ」
「はいはい。今はそれでいいわ」
2人の女子高生も、なんだかんだ暖かい格好をしていた。
蒼伊はパソコンのディスプレイを前にして何やら作業をしているようだった。
たくさんの英数字が打ち込まれていて、コマンドを入れているみたいだった。
「ここをこうして……後はここをだな」
特に意味はない。意味がないからこそ暇をしていた。
蒼伊にとってこれは暇潰しだ。
その間に打ち込まれていたのは、何かのプログラムのようだった。
「こんなものだろ」
「蒼伊様」
そこにやって来たのは蒼伊専属のメイドだった。
ドアノブをコンコンと叩き、蒼伊の返事を待っていると、いつもよりも早く扉が開かれる。
そこにいたのは目を真っ赤にして隈ができた蒼伊の姿で、メイドはビックリした。
「何だお前か」
「はい、私でございます。それより蒼伊様、作業の方は順調でしょうか? せっかくですので眠気覚ましにコーヒーをお持ち致しました」
「助かる。それと作業は見ての通りだ」
「そのようですね。お疲れ様です」
「これも必要なことだ。それよりもデバッグ班は順調なんだろうな」
「はい、それはもちろんでございます」
「そうか。……私以外にこの家で作業ができる奴はいないからな。仕方ない」
蒼伊は家の手伝いをしていた。しかし莫大な金銭が動く依頼だった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「ううっ、何だか肌寒いね」
「そうだねー。シュッシュッ!」
急に烈火がシャドーボクシングを始めた。
あまりに突然のことでいつもの烈火だなと思い、軽く話しを逸らすと、今度は烈火の方から話を広げた。
「もう11月なのに、イベントもないよね?」
「イベントはないよ。だって11月だもん」
「あっ、そっか。11月だもんね」
しかし話しがすぐに広がらなくなった。
明輝と烈火はここのところログインしても何もなくてつまらなかった。
もちろん遊ぶこと自体につまらないはない。むしろ無限大すぎてたまにおかしくなりそうだった。
「蒼伊も最近ログインしてないもんね」
「雷斬とベルもだよ? 部活が忙しいとか、色々あるみたいだね」
「やっぱり引継ぎが大変なのかな?」
「うーん、引継ぎの時期はもう終わっていると思うけど」
烈火は頭の上で腕を組んでいた。
もう11月だ。木々の葉っぱもかなり茶色になっている。あの新緑の緑は既にない。
「しかも寒い!」
「そうだよね。最近寒くてー」
「って、嘘付くなっ!」
ポンと頭をチョップした。
すると烈火は「ごめんごめーん」と舌を出した。
「烈火は鍛えてるから寒くないでしょ?」
「もちろん寒いよ。でもそんなにかなー?」
烈火は結構筋肉を付けている。
暇さえあれば走っている気がするし、最近はプラモを作っているそうだが運動量は人並み以上だ。
「でも最近本当に寒いよね」
「うん。何だか温泉が恋しくなってくるね」
「そうだねー。明輝って、温泉好きだったっけ?」
「ちょっぴりかな。でも嫌いじゃないよ。好きすぎてウザいくらいじゃないけど」
「確かにそんな気はしないかも。そう言えば、雷斬が新しい町に行きたいって言ってたよね?」
「もしかしてそのせいでログインしないのかな?」
「いや、まさか……ね?」
烈火も苦笑いを浮かべる。
するとドライブにメッセージが入った。何かと思えば、ベルからだった。
「こんな時間に何だろ?」
「ベルからメッセージが来たね。えーっと何々?」
「雷斬が温泉に行きたいってうるさいみたいだね」
ベルから送られてきたメッセージによると雷斬の話ばかりだった。
まさかそれでログインしてないとかはないと思うけど、ドライブにまでメッセージが来るのはとんでもない。
「じゃあ今度蒼伊にも相談してみよっか」
「そうだね。もう11月だから予定通り新しい町に行ってみよう」
烈火が右腕を突き上げた。
すると同時に大きなくしゃみをする。
「寒いよね。早く学校行こっか」
「それじゃあ学校まで競争だね。それじゃあ位置についてー!」
「ちょっと待ってよ。私まだ走るなんて一言も……」
「よーい、どん!」
烈火は気にせず走り出した。仕方ないと思い、明輝もその後ろを付いて走る。
前よりもかなり速くなっている。けれど明輝は烈火に追いつくのだった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「皆さんで温泉、きっといいですよね」
「それはいいけど、少しは授業にも集中しなさいよ」
「すみません鈴来。精進致します」
「精進されても困るんだけど……はぁ、ちょっとは冷静になりなさいよね」
鈴来は隣の斬禍に声を掛けた。
スマホの画面を覗き込んでこれから行こうと思っている町に着いての情報を調べているようだった。
「その町って何か面白いものあるの?」
「紅葉の紅葉と朱鳥居。それから何よりも……」
「温泉ね。まさかGAMEの中でも温泉に入れるなんて、ちょっと変わってる」
「そんなことないですよ! 温泉は日本人にとって……」
「そう言うのいいから、とにかく絡まないで。最近の斬禍は何だかしつこいわよ」
「すみません。こんな私がいられるのは、鈴来のおかげですよ」
「はいはい。今はそれでいいわ」
2人の女子高生も、なんだかんだ暖かい格好をしていた。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。
branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位>
<カクヨム週間総合ランキング最高3位>
<小説家になろうVRゲーム日間・週間1位>
現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。
目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。
モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。
ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。
テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。
そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が――
「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!?
癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中!
本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ!
▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。
▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕!
カクヨムで先行配信してます!
【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます
鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。
このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。
それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。
その称号効果はスライム種族特効効果。
そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・
このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。
主人公は経験値でモンスターを殴ります。
──────
自筆です。
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!
ゆるり
ファンタジー
【書籍化!】第17回ファンタジー小説大賞『癒し系ほっこり賞』受賞作です。
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『もふもふで始めるVRMMO生活 ~寄り道しながらマイペースに楽しみます~』です)
ようやくこの日がやってきた。自由度が最高と噂されてたフルダイブ型VRMMOのサービス開始日だよ。
最初の種族選択でガチャをしたらびっくり。希少種のもふもふが当たったみたい。
この幸運に全力で乗っかって、マイペースにゲームを楽しもう!
……もぐもぐ。この世界、ご飯美味しすぎでは?
***
ゲーム生活をのんびり楽しむ話。
バトルもありますが、基本はスローライフ。
主人公は羽のあるうさぎになって、愛嬌を振りまきながら、あっちへこっちへフラフラと、異世界のようなゲーム世界を満喫します。
カクヨム様でも公開しております。
ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー
びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。
理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。
今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。
ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』
計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る!
この物語はフィクションです。
※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。
Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。
最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!?
ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。
はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切)
1話約1000文字です
01章――バトル無し・下準備回
02章――冒険の始まり・死に続ける
03章――『超越者』・騎士の国へ
04章――森の守護獣・イベント参加
05章――ダンジョン・未知との遭遇
06章──仙人の街・帝国の進撃
07章──強さを求めて・錬金の王
08章──魔族の侵略・魔王との邂逅
09章──匠天の証明・眠る機械龍
10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女
11章──アンヤク・封じられし人形
12章──獣人の都・蔓延る闘争
13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者
14章──天の集い・北の果て
15章──刀の王様・眠れる妖精
16章──腕輪祭り・悪鬼騒動
17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕
18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王
19章──剋服の試練・ギルド問題
20章──五州騒動・迷宮イベント
21章──VS戦乙女・就職活動
22章──休日開放・家族冒険
23章──千■万■・■■の主(予定)
タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる