VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ゆう

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◇188 新しい街へ行きたい様子

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 ギルドホーム集まってのんびりしていたアキラたちは、机に突っ伏してだらーんとしていた。

「ああ、温かい」
「覇気がないな」
「だって外は寒いんだよ? こっちは温かくていいよねー」
「こっちにも季節はあるがな。とはいえ、ギルドホームの中は温かくていい」

 Nightがコーヒーを飲みながら目の前の席に座った。
 スプーンでブラックコーヒーをかき混ぜている。
 アキラも何か飲もうと思い立ちあがると、この間手に入れた鍋が置いてあった。

「あっ、この鍋ってこの間手に入れた」
「そうだ。その中にお湯が入っているから好きなものを飲め」

 ご丁寧にマグカップも用意されている。
 薄い桜色のマグカップを手に取り、アキラもコーヒーを飲むことにした。
 ブラックコーヒーもいいけれど、今日は砂糖をたくさん入れたい気分だ。

「って、こんな使い方で合ってるの!」
「融合炉鍋のことか? 本来の使い方とは違うが、そいつだと非常に早く湯が沸くからな」
「そんなことのために使っていいものじゃないよね?」
「本来は融合炉の本分としてエネルギーを生み出すことが最優先だな。とは言え、その鍋にはものを分解して新しいものを生成できる特殊な融合鍋でもある。その性質を利用すれば、自らお湯を作るなど余裕だ」
「まあ鍋だもんねー。アキラ、私もココア淹れて欲しいなー」
「はいはい」

 ついでと思い、アキラは赤いマグカップを手に取る。
 ココアの入った袋を開けると、中からスプーン一杯を取り出してマグカップの中に放り込んだ。
 それから杓子を使ってお湯を注ぐと、スプーンでかき混ぜる。

「はい、フェルノ」
「ありがと。ふはぁー、生き返るー」
「せめてその格好はやめろ。床が汚れる」

 フェルノは床に寝転がったまま飲んでいた。
 床暖房のおかげで少し肌寒いこの世界でも余裕かつ快適だった。
 けれどいつもの3人だけだと少し寂しい。

「雷斬たち遅いね」
「何かあったのかなー? ねえ、Night」
「知らん。とにかく私たちはいつも通りだ。そんなことより、お前たちの宿題を私が見る約束だろ」
「「あっ!」」

 アキラとフェルノはNightに宿題を見て貰う。
 すると流石は進学校。生徒の自主性と部活動の盛んなアキラたちの学校の授業範囲など、ズバズバ解き方を投げていく。
 しかし答えは教えていない。2人に考えさせるように丁寧に促していた。

「だからそこの範囲の求め方はxに範囲を入れてだな」
「こ、こう?」
「1つだと足りないだろ」
「ごめんね。フェルノの方はどう?」
「こっちもさっぱりだよー。はぁー、くたびれるなー」
「まだ40分もやってないだろ」

 何だかいつもの授業よりも速くて時間の間隔がわからなくなる。
 あっという間に宿題を片付けると、解放されたアキラたちは椅子に伸びをした。
 もう何もしたくない。そう思ったのだが、そこにやって来たのは雷斬とベルだった。

「2人ともどうしたの?」
「何だその表情は……雷斬?」

 雷斬の表情がいつもと違っていた。
 雰囲気もどこか緩い。何か良いことでもあったのかと聞こうとしたが、雷斬は机をドン! と叩いた。

「皆さん、ついにこの時が来ましたよ!」
「何が来たのかな?」
「さあね?」

 雷斬が威勢よく机を叩いてびっくりしたが、何が来たのかわからない。
 そこでアキラとフェルノの2人は顔を見合わせる。
 お互いに理解できていないようで、ベルは溜息を吐いた。

「モミジヤのことよ」
「モミジヤ?」
「紅葉屋? そんなもみじ饅頭を置いていそうなお店がこの世界にあったっけ?」
「似たようなものは少なくともあるだろう」

 3人は記憶を呼び起こしていた。
 するといち早くわかっていたのにわかっていないふりをしていたNightが頃合いを見て絶妙なタイミングで今思い出した風に口にした。

「モミジヤのことだな。この世界の町の名前だ」
「それです! つい11月になったので、行きましょう!
「なぜ?」
「そういう約束でした。いいですよ。京都モチーフの朱鳥居に柚、それから温泉。後は何よりも」
「紅葉……その話は散々聞いたわよ。少しは黙りなさい」

 妙にピリピリしているベルは話を聞いてうんざりしていた。
 しかしそのことを知らないアキラとフェルノは未だに金魚みたいに口をパクパクしている。

「モミジヤ?」
「新しい町?」

 2人の思考は重なった。

「「それいいね! 行こうよ、今から」」
「はい、行きましょう」
「アホか」

 アキラフェルノ、それから雷斬の盛り上がりを否定してきっぱりと切ってしまったのはNightだった。しかしNightなら何か理由があるのだろうと、アキラたちも黙って聞く。

「いいか、今からは無理だ。時間を見ろ」
「時間?」
「リアルタイムだ。今の時間は22時。流石にかかり過ぎた。明日も平日だぞ」
「「「あっ!」」」

 3人は盲点だった。それから崩れてしまう姿に憐れむNightはこう加えた。

「今度の休日だな」
「「「はい」」」

 3人は軽く頷いて了承した。むしろ諦めのようだった。
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