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◇232 落胆しても仕方ない
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あれから2日。12月5日になっていた。
ギルドホームではアキラたちが項垂れていた。
「はぁー。あんなに頑張ったのにね」
「そうだねー。でもさー、ねー」
落ち込んでいても仕方がないのはわかる。
けれどクマデクマの時はそもそもポイントすら入らず、アイスシェードンの時は苦労して倒したにもかかわらず、仮想ポイントだけで終わってしまった。
これ以上に残念なことはない。
言ってしまえば、締切日に間に合ったのに、ネット回線の問題で応募できなかったみたいな虚しさが広がる。
「でも気にしても仕方ないよね。うん、切り替え切り替え」
「切り替えるのは良いけど、結局何位だったのかな?」
「それは……Nightさーん」
頬杖をついてむすっとした顔をするNightに話しかけた。
今回はNightも命懸けだった。
【ライフ・オブ・メイク】で巨大な縦まで作ったにこの様だと、流石に傷付くようだ。
「おーい、Nightさーん」
けれどアキラは何も気にしなかった。
気にせず声を掛け続けると、ピキッと音を立てて振り向いた。
目と目が合ってときめくわけでもなく、眉根に皺を寄せていた。
「何だ」
ぶっきら棒かつかなり直情思考だった。
Nightらしくないと思いつつも、ランキングに付いて尋ねる。
「ランキングって、何位だったのかな? ほら、Nightはもう確認しているんでしょ? 集計が如何とかで今見られないの。教えて」
「聞いても何もないぞ」
「わかっているよー。でもさ、結局何位で落ち着いたのかなーとは思うでしょ? クマデクマを倒した後、ポイントが入らなかったから適当なモンスターを何匹か倒してたから、少しは変動する適って」
「多少は変動するだろうが……あっ!」
Nightは記憶を呼び起こした。
すると皺を寄せていた眉根が元に戻り、1人で笑い出した。
アキラとフェルノは奇妙な光景に目を丸くして、逆に心配になった。
もしかしたら聞いてはいけないことだったのでは? と思い、アキラは怖くなる。
「ちょっとNight。如何したの?」
「気持ち悪いよ」
「それは酷い言い草だな。いや、今思えばお前たちの結果は凄かったな」
「何が凄いのかわからないのに凄いとか言われてもこっちはわからないんだけど……」
実際のところアキラたちはランキングを常にチェックしていたわけではない。
けれどNightが笑っているので何やら面白いことなのだろう。
「ランキングの結果、最初確認した時は何位だったか覚えているか?」
「確か13位とかじゃなかった?」
「わかんない。でもそのくらいだったと思うよ。ちょっとずつポイントを加算したけれど、流石に1位は厳しいよね?」
「でももしかしたら、ランキング上位者に……」
「それだけはない」
Nightが真っ向から否定した。
予想に反してランキングを駆け上がったのではと思い、アキラは一縷の望みを懸けた。
しかし期待していた結果は望まれず、がっくし肩を落とす。
「いいか、お前たちの結果は13位だ」
「うん。だから最初見た時は……」
「いや、今も13位のままだ。つまり何も変わっていない。これは逆に凄いぞ。何も変化が出ていない。こんな結果、私も予想はしていなかった」
Nightが笑っていた理由がよくわからなかった。
もちろん言葉としてでは理解できる。
けれど全然嬉しくないので、アキラとフェルノは互いに顔を見合わせ首を捻った。
「嘘でしょ?」
「本当だ。お前たちの結果は最初から何も変わっていない。もちろんポイントは増えているが、他のプレイヤーたちもポイントを集めている。そして、結果お前たちは唯一の13位になったわけだ。逆にこれは凄いぞ、他のプレイヤーと競争が起きなかったからな」
「どういうこと?」
「あっ、私はちょっとわかったかなー」
アキラは首を捻り、フェルノは理解したらしい。
実際オンラインゲームをしている人ならピンとくるだろうが、Nightがアキラに説明したかったのは、オンラインゲーム特有のランキングシステムのことにある。
大抵の大戦やポイント集計が絡むオンラインゲームにはランキングがあるが、同じ順位になることがほとんどだ。
他のプレイヤーとポイントの総数が同じだった場合はそう判定される。
こうすることで不公平が起きないのだ。
けれどアキラとフェルノのペアは競争が起きなかった。
しかもポイントが増えているにもかかわらず何も変化していない。
その安定性はNightの予想を凌駕し、逆に面白いを突き立てた。
「というわけで、お前たちは凄いな」
「「全然良くないよ!」」
それは成長していないのではと煽られているように感じた。
陰気な空気がギルドホーム内に漂い、部屋の扉を開けた雷斬とベルは表情を歪めた。
「こ、これは入らない方が良いわね」
「そうですね。少し廊下で待機していましょうか」
ゆっくりと扉を閉めて関係ないふりをする。
罵声を浴びるNightは2人に気付いており、ギロッと視線を向けていたのは内緒だ。
ギルドホームではアキラたちが項垂れていた。
「はぁー。あんなに頑張ったのにね」
「そうだねー。でもさー、ねー」
落ち込んでいても仕方がないのはわかる。
けれどクマデクマの時はそもそもポイントすら入らず、アイスシェードンの時は苦労して倒したにもかかわらず、仮想ポイントだけで終わってしまった。
これ以上に残念なことはない。
言ってしまえば、締切日に間に合ったのに、ネット回線の問題で応募できなかったみたいな虚しさが広がる。
「でも気にしても仕方ないよね。うん、切り替え切り替え」
「切り替えるのは良いけど、結局何位だったのかな?」
「それは……Nightさーん」
頬杖をついてむすっとした顔をするNightに話しかけた。
今回はNightも命懸けだった。
【ライフ・オブ・メイク】で巨大な縦まで作ったにこの様だと、流石に傷付くようだ。
「おーい、Nightさーん」
けれどアキラは何も気にしなかった。
気にせず声を掛け続けると、ピキッと音を立てて振り向いた。
目と目が合ってときめくわけでもなく、眉根に皺を寄せていた。
「何だ」
ぶっきら棒かつかなり直情思考だった。
Nightらしくないと思いつつも、ランキングに付いて尋ねる。
「ランキングって、何位だったのかな? ほら、Nightはもう確認しているんでしょ? 集計が如何とかで今見られないの。教えて」
「聞いても何もないぞ」
「わかっているよー。でもさ、結局何位で落ち着いたのかなーとは思うでしょ? クマデクマを倒した後、ポイントが入らなかったから適当なモンスターを何匹か倒してたから、少しは変動する適って」
「多少は変動するだろうが……あっ!」
Nightは記憶を呼び起こした。
すると皺を寄せていた眉根が元に戻り、1人で笑い出した。
アキラとフェルノは奇妙な光景に目を丸くして、逆に心配になった。
もしかしたら聞いてはいけないことだったのでは? と思い、アキラは怖くなる。
「ちょっとNight。如何したの?」
「気持ち悪いよ」
「それは酷い言い草だな。いや、今思えばお前たちの結果は凄かったな」
「何が凄いのかわからないのに凄いとか言われてもこっちはわからないんだけど……」
実際のところアキラたちはランキングを常にチェックしていたわけではない。
けれどNightが笑っているので何やら面白いことなのだろう。
「ランキングの結果、最初確認した時は何位だったか覚えているか?」
「確か13位とかじゃなかった?」
「わかんない。でもそのくらいだったと思うよ。ちょっとずつポイントを加算したけれど、流石に1位は厳しいよね?」
「でももしかしたら、ランキング上位者に……」
「それだけはない」
Nightが真っ向から否定した。
予想に反してランキングを駆け上がったのではと思い、アキラは一縷の望みを懸けた。
しかし期待していた結果は望まれず、がっくし肩を落とす。
「いいか、お前たちの結果は13位だ」
「うん。だから最初見た時は……」
「いや、今も13位のままだ。つまり何も変わっていない。これは逆に凄いぞ。何も変化が出ていない。こんな結果、私も予想はしていなかった」
Nightが笑っていた理由がよくわからなかった。
もちろん言葉としてでは理解できる。
けれど全然嬉しくないので、アキラとフェルノは互いに顔を見合わせ首を捻った。
「嘘でしょ?」
「本当だ。お前たちの結果は最初から何も変わっていない。もちろんポイントは増えているが、他のプレイヤーたちもポイントを集めている。そして、結果お前たちは唯一の13位になったわけだ。逆にこれは凄いぞ、他のプレイヤーと競争が起きなかったからな」
「どういうこと?」
「あっ、私はちょっとわかったかなー」
アキラは首を捻り、フェルノは理解したらしい。
実際オンラインゲームをしている人ならピンとくるだろうが、Nightがアキラに説明したかったのは、オンラインゲーム特有のランキングシステムのことにある。
大抵の大戦やポイント集計が絡むオンラインゲームにはランキングがあるが、同じ順位になることがほとんどだ。
他のプレイヤーとポイントの総数が同じだった場合はそう判定される。
こうすることで不公平が起きないのだ。
けれどアキラとフェルノのペアは競争が起きなかった。
しかもポイントが増えているにもかかわらず何も変化していない。
その安定性はNightの予想を凌駕し、逆に面白いを突き立てた。
「というわけで、お前たちは凄いな」
「「全然良くないよ!」」
それは成長していないのではと煽られているように感じた。
陰気な空気がギルドホーム内に漂い、部屋の扉を開けた雷斬とベルは表情を歪めた。
「こ、これは入らない方が良いわね」
「そうですね。少し廊下で待機していましょうか」
ゆっくりと扉を閉めて関係ないふりをする。
罵声を浴びるNightは2人に気付いており、ギロッと視線を向けていたのは内緒だ。
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