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◇331 ファミレスの帰り道
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とりあえず明輝は完全に忘れることにした。
一旦意識を切り替えることで気持ちも入れ替えた。
さっきまでの分からないを、とりあえず分からなかったに書き換えることで、アニメは面白そうってことと珊瑚と友達になったことだけを満足に感じる。
「とりあえずプラモ作りは一旦保留にして、お店出よっか?」
「そうだな。流石に午後からが来る」
「お腹減ったし、ファミレスか何処かでご飯食べよー」
ようやく女子高生らしくなってきた。
オタク道から外れてプラモ屋を出ると、外のひんやりとした風に当てられる。
先程までの熱気が体の内側から抜けていき、ようやく解放された気持ちに明輝はなった。
「涼しい!」
「中もエアコンは効いていたがな」
つまりあれは人の熱気だったわけだ。
人をあれほど熱くさせる日本の偉大な文化に明輝は感動したが、まだ沼には入りたくないなと嫌煙した。とは言え嫌いじゃないので、また来る機会があればいいなレベルでは自分の中に留め、明輝たちは近くのファミレスに入ることにした。
「「「いただきます」」」
それぞれが注文した品を目の前にしてお腹を満たすことにした。
烈火は相当お腹が空いているのかカレーライスを頼んでいた。一方明輝も同じくでハンバーグランチプレートを注文した。
蒼伊は少し控えめだけどカルボナーラをフォークでクルクルしている。スプーンの上に置き礼儀正しく上品な食べ方を見せてくれた。
「まさか一席しか空いてなかったね」
「プラモ屋から出てきた人たちが、全員ここに集まっているとしか思えないな」
蒼伊は口の中にカルボナーラを運んだ。
明輝はハンバーグを食べやすい大きさに切り分けながら、ゆっくり味わって食べる。ファミレスは値段は手頃で、大衆に共感してもらえる日本人向きの味になっているので、とっても美味しい。口の中いっぱいにハンバーグの味が広がり、明輝は満足していた。
「それにしてもさ、これから如何する?」
「如何するって何を?」
「だからさ、これから何する?」
烈火はまだまだ遊び足りない様子だった。
両手いっぱいに荷物を抱えているにもかかわらず、全然平気そうだった。
「せっかくこっちまで来たんだから、後で駅のコインロッカーに預けてもう少し遊びに行こうよ」
「うーん、ごめんね烈火。私はもう良いかな」
「えっ?」
「私もだ。流石に目的を果たして疲れた」
「あー……じゃあいっか」
「「良いんだ」」
烈火はすぐさま自分が折れた。だけどちょっと不服そうで、カラーライスをドンドン勢いよく口の中に運んでいた。
口の周りが汚れていることなんて一切気にしない。子供みたいなワンパク加減が窺えた。
「そうだ蒼伊。これから家に行ってGAMEでもしない?」
「GAME? 私は構わないが……」
「それじゃあ決まりだね。烈火、蒼伊の家でGAMEして遊ぼ!」
「オッケー」
烈火の機嫌が一気に解決した。上機嫌みたいで口元のカレーを拭き取る。
明輝は蒼伊の家で遊べて嬉しいし、烈火の機嫌が直ってくれて一安心。
だけどここからだと蒼伊の家は遠いので、急いで食べることにするも、蒼伊が首を捻る。
「それじゃあ次の電車は……」
「待て、ここから電車に乗って帰るのか?」
「そのつもりだけど……蒼伊、何してるの?」
蒼伊はスマホを取り出していた。
誰かにメッセージを送っていて、「よし」と一言呟き再び食事に戻る。
「蒼伊?」
「よがらに連絡をして置いた。三十分もすれば来るだろ」
「いえ、もういます」
「「「!?」」」
明輝たちは聞いたことのある声を聴き目を見開いた。
蒼伊が振り返り、明輝と烈火は首を伸ばした。
自分達の据わっていた席の後ろの席に何故かよがらが居た。
「よ、よがら?」
「はい、如何なさいましたか?」
「いつからそこに居た」
「最初からです。……蒼伊様たちが店を出た後には既に待機していました」
「……怖っ」
蒼伊はドン引きだった。発信機でも付いているのか、それともスマホにアプリが入れてあるのか不審に思った。
しかしながらよがらはコーヒーを飲みながら、「いえ、予測をしていただけです」と淡々と答えた。
「よ、よがらさん……」
「何でしょうか、明輝様」
「多分話を聞いてたとは思うんですけど……お願いしても……」
「はい、構いませんよ」
よがらは速攻でオッケーしてくれた。
あまりの展開の早さにドン引きしつつも、これで蒼伊の家に楽に行けそうで助かった。
「それで車は何処に停めてあるんだ?」
「この裏です。コインパーキングにリムジンを停めてあります」
「「リ、リムジン?」」
明輝と烈火は食べていたものをそれぞれフォークとスプーンから落としてしまった。
蒼伊は車種を聞いて「もっと目立たないものにしろ」と答える。流石に目立ちたくないのは変わらずな様子で、よがらも「分かりました」と淡々と答えた。
圧倒的な非常識のやり取りに目を奪われて完全に蚊帳の外になっている明輝たちはそれからしばらく二人のやり取りを傍観するのだった。
一旦意識を切り替えることで気持ちも入れ替えた。
さっきまでの分からないを、とりあえず分からなかったに書き換えることで、アニメは面白そうってことと珊瑚と友達になったことだけを満足に感じる。
「とりあえずプラモ作りは一旦保留にして、お店出よっか?」
「そうだな。流石に午後からが来る」
「お腹減ったし、ファミレスか何処かでご飯食べよー」
ようやく女子高生らしくなってきた。
オタク道から外れてプラモ屋を出ると、外のひんやりとした風に当てられる。
先程までの熱気が体の内側から抜けていき、ようやく解放された気持ちに明輝はなった。
「涼しい!」
「中もエアコンは効いていたがな」
つまりあれは人の熱気だったわけだ。
人をあれほど熱くさせる日本の偉大な文化に明輝は感動したが、まだ沼には入りたくないなと嫌煙した。とは言え嫌いじゃないので、また来る機会があればいいなレベルでは自分の中に留め、明輝たちは近くのファミレスに入ることにした。
「「「いただきます」」」
それぞれが注文した品を目の前にしてお腹を満たすことにした。
烈火は相当お腹が空いているのかカレーライスを頼んでいた。一方明輝も同じくでハンバーグランチプレートを注文した。
蒼伊は少し控えめだけどカルボナーラをフォークでクルクルしている。スプーンの上に置き礼儀正しく上品な食べ方を見せてくれた。
「まさか一席しか空いてなかったね」
「プラモ屋から出てきた人たちが、全員ここに集まっているとしか思えないな」
蒼伊は口の中にカルボナーラを運んだ。
明輝はハンバーグを食べやすい大きさに切り分けながら、ゆっくり味わって食べる。ファミレスは値段は手頃で、大衆に共感してもらえる日本人向きの味になっているので、とっても美味しい。口の中いっぱいにハンバーグの味が広がり、明輝は満足していた。
「それにしてもさ、これから如何する?」
「如何するって何を?」
「だからさ、これから何する?」
烈火はまだまだ遊び足りない様子だった。
両手いっぱいに荷物を抱えているにもかかわらず、全然平気そうだった。
「せっかくこっちまで来たんだから、後で駅のコインロッカーに預けてもう少し遊びに行こうよ」
「うーん、ごめんね烈火。私はもう良いかな」
「えっ?」
「私もだ。流石に目的を果たして疲れた」
「あー……じゃあいっか」
「「良いんだ」」
烈火はすぐさま自分が折れた。だけどちょっと不服そうで、カラーライスをドンドン勢いよく口の中に運んでいた。
口の周りが汚れていることなんて一切気にしない。子供みたいなワンパク加減が窺えた。
「そうだ蒼伊。これから家に行ってGAMEでもしない?」
「GAME? 私は構わないが……」
「それじゃあ決まりだね。烈火、蒼伊の家でGAMEして遊ぼ!」
「オッケー」
烈火の機嫌が一気に解決した。上機嫌みたいで口元のカレーを拭き取る。
明輝は蒼伊の家で遊べて嬉しいし、烈火の機嫌が直ってくれて一安心。
だけどここからだと蒼伊の家は遠いので、急いで食べることにするも、蒼伊が首を捻る。
「それじゃあ次の電車は……」
「待て、ここから電車に乗って帰るのか?」
「そのつもりだけど……蒼伊、何してるの?」
蒼伊はスマホを取り出していた。
誰かにメッセージを送っていて、「よし」と一言呟き再び食事に戻る。
「蒼伊?」
「よがらに連絡をして置いた。三十分もすれば来るだろ」
「いえ、もういます」
「「「!?」」」
明輝たちは聞いたことのある声を聴き目を見開いた。
蒼伊が振り返り、明輝と烈火は首を伸ばした。
自分達の据わっていた席の後ろの席に何故かよがらが居た。
「よ、よがら?」
「はい、如何なさいましたか?」
「いつからそこに居た」
「最初からです。……蒼伊様たちが店を出た後には既に待機していました」
「……怖っ」
蒼伊はドン引きだった。発信機でも付いているのか、それともスマホにアプリが入れてあるのか不審に思った。
しかしながらよがらはコーヒーを飲みながら、「いえ、予測をしていただけです」と淡々と答えた。
「よ、よがらさん……」
「何でしょうか、明輝様」
「多分話を聞いてたとは思うんですけど……お願いしても……」
「はい、構いませんよ」
よがらは速攻でオッケーしてくれた。
あまりの展開の早さにドン引きしつつも、これで蒼伊の家に楽に行けそうで助かった。
「それで車は何処に停めてあるんだ?」
「この裏です。コインパーキングにリムジンを停めてあります」
「「リ、リムジン?」」
明輝と烈火は食べていたものをそれぞれフォークとスプーンから落としてしまった。
蒼伊は車種を聞いて「もっと目立たないものにしろ」と答える。流石に目立ちたくないのは変わらずな様子で、よがらも「分かりました」と淡々と答えた。
圧倒的な非常識のやり取りに目を奪われて完全に蚊帳の外になっている明輝たちはそれからしばらく二人のやり取りを傍観するのだった。
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