VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ゆう

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◇385 高速の板の噂

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 一月も終わりに差し掛かる。
 十二月から続いていた雪化粧もより濃くなる。そうするとますます寒気は強くなるだろう。
 しかしこの先の二月を凌げば冬はもう終わり。何て構える必要があり、ギルドホームの周りは今日も雪が降っていた。

「うーん、外は寒いねー」
「そうだな。外は寒いな」

 フェルノとNightがギルドホームのリビングで過ごしている。
 外は寒いので暖炉の火がとても温かい。
 近くに居なくても全体に広がり、体中がポカポカする。
 アキラもこの心地よさには敵わず、椅子に座ってNightたちとボードゲームで遊んでいた。

「アキラの番だぞ」
「うん、サイコロ取って」
「ほい」

 テーブルの上はすごろくが置かれていた。
 ルーレットではなく、サイコロを使うタイプでかなり進みは遅い。
 それなのにマスの数はかなり多く、遊び応えがあった。

 コロコロ

 さいころを振って出た数字は六。さっきからアキラの番だと五から六しか出ていない。
 別に降り方がある訳じゃないのだが、何故かアキラが振ると狙った数字しか出ない。
 Nightは訝しい表情を浮かべるが、それでも黙ってプレイする。
 しかしフェルノは知っていた。この手の運が絡むゲームではアキラは負けないのだ。

「えっと、宝くじが当たったみたいだよ。さいころを振って出た順位によって賞金が決まる……それ」
「外せ、外せ」
「あはは、ごめんね。一が出たから一等みたい」
「またか……ジリジリと詰め寄って来るな」

 ここまではNightの方が優勢だった。
 序盤から資金管理をしっかりと行っていて、着実にガッポリ設ける。
 しかしアキラも負けていなかった。さいころ運でのし上がり、Nightとの差を徐々に縮める。圧倒的にどちらが有利とはいえず、もはや互角の領域に差し掛かっていた。

「あっ、そうだ! ねー、雷斬たちは?」
「二人は少し遅れてから来るって。部活が忙しいみたい」
「そっかー。そろそろ外出て遊びたいなー」
「寒いから中にいるんじゃないのか?」
「うーん、それもあるけど。私、ファイアドレイクだよ?」
「……そうだったな」

 Nightは納得した。確かにファイアドレイクだと、暑さにも寒さにも多少は耐性がある。
 幾度となくそんな姿を何度も見て来たんだ、容易に納得することができた。
 それからフェルノは筋トレを始める。時間を潰そうとしていると、近くから音がした。

 ダッダッダッ!

 足音が聞こえてきた。
 フェルノはスッと立ち上がると、アキラたちも視線を向ける。
 扉越しに雷斬の姿が先に見え、その直後にベルの姿もあった。

「皆さん居ますか?」
「居るよー」

 フェルノが軽く返事を返す。アキラたちも凝視すると、着ているコートに違和感を覚える。
 二人とも街の方に寄って来たのか、コートの肩に白い雪がほんの少しだけ付いている。
 ある程度はここに来る前に払ったようだが、少し溶けて湿っていた。

「二人共ギルド会館にでも行って来たの?」
「はい、先程少し寄って来たのですが……」

 口調に少し含みがあった。
 アキラは顔色を窺い当てようとするが、それよりも先にベルが答える。

「季節限定の依頼を見つけたのよ」
「「「季節限定?」」」

 まるで商戦に生き残るために企業が煽り文句として掲げているみたいだった。
 しかし季節限定って言葉は嫌いじゃない。
 このGAMEでも季節によって出現の有無が変わるモンスターや植物も多数存在している。
 もちろんこの間の龍の髭もその一つで、依頼だって季節によって変わるのだ。
 アキラたちは視線を釘付けにされると、ベルから直接話を伺う。

「どんな依頼を見つけてきたの?」
「なんでも草原に謎の飛行物体が出たらしいのよ。しかも複数ね」
「複数の飛行物体? それってもしかして!」
「UFOと言いたいのか? 馬鹿馬鹿しいな。そんな設定をこの世界に持ち込んだら、世界観が崩れるだろ」
「……Nightが言うの?」
「私が言ったらマズいのか?」
「そんなことないけど……続けて」

 アキラはNightにこれ以上追及するのは止めた。
 ベルに話をスライドすると、続きを話してくれた。

「続きを話してもいいわよね? 謎の飛行物体なんだけど、かなり特殊な形状をしているみたいなのよね」
「特殊な形状?」
「円盤形?」
「だからUFOじゃないわよ。板、超高速で飛行する謎の板が出現したの」
「「「ん?」」」

 アキラたちは息を詰まらせた。
 嘘は言っていないのだろうが、にわかには信じがたい。
 そんな地味なモンスターを果たして季節限定で出すのだろうか? しかしギルド会館で聴いて来たのなら間違いないはずだ。
 難しいラインだと思い腕を組むも、雷斬はキラキラした目で唱える。

「面白そうではありませんか? 今までにない形のモンスターですよ」
「雷斬、楽しそうだね」
「この間の龍の髭の一件であまり役に立てなかったこと、この子気にしているのよ」
「ベル、その話は……」

 雷斬はとても仲間想いで、自分の活躍で仲間が盛り上がってくれるのが嬉しいのだ。
 しかしこの間はあまりこれと言った活躍はできなかった。
 そのことを気に病んでいるのなら、全く気にしなくてもいい。
 アキラは雷斬にそう伝えるものの、この依頼は確かに気になった。

「雷斬、気にしなくても良いよ」
「アキラさん……」
「みんなもそうだよね?」
「ああ。だがその依頼は少し面白そうだな」
「うん、全然気にしてないよー。後、雷斬が見つけて来てくれたこの依頼、かなり面白そうだよねー。行ってみようよー」
「うん、私は良いよ。二人は如何かな?」

 アキラはすぐさま了承。
 雷斬とベルに委ねたが、首をコクコク縦に振り、「「うん」」と被せて答えた。
 如何やら今から行く様子で、アキラたちもすぐに準備をする。
 薪ストーブを消し、すごろくを早々に片付けると
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