「その結婚ちょっと待つのじゃー!」ってワシは何を言っているのだろうか?

だらけたい

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22.まさか2度目が

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 桃に無理矢理連れて行かれた後、

「自分で着替えるのじゃ!手伝いはいらぬのじゃ!」

 と言ったのじゃが、桃はワシの言葉などには耳をかさずに着替えまで強制的に行われてしまったのじゃよ。

 まぁ、相手が桃なので恥ずかしくもなんともないのじゃがの。

 冗談で、

「もうお婿に行けないのじゃ」

 と言ったら、四季達までやって来て、

『私達で養うので安心してください』

 と本気で言われたのじゃよ。

 というか、今でも半分くらいは養われておるようなものなんじゃがの。

 その理由としては、やはり商会を任せておるというとこが大きいのじゃよ。

 もちろん商会にはワシが作った商品も並んでおるので商会から報酬を受け取っても問題はないのじゃが、運営を任せっきりにしておるのはやっぱり養われておるとも言えるじゃろう。

 おっと、自分が言い出した冗談のせいで話が反れてしまったの。

 桃によって着替えさせられた服はこの前のイビラチャの結婚式に乱入した時に着ていた和服じゃった。

「狐の面はあとからでいいよ~」

 と言われたからつけてはおらぬが、なぜこの服なのかがやはり理解出来ぬ。

 さらに理解出来ぬのは四季達も同じ和服を着ておるということじゃろう。

「なぜこの服を着ないといけないのじゃ?」
「その理由も含めてもうすぐわかりますから、とりあえずは神社の方へ移動しましょう」

 移動することで理由がわかるというのなら、素直に移動しようかの。

 というわけで、四季に促されるままに本来のよろず屋の入り口近くに桃が即席で建てた更衣室から出たのじゃが、様変わりした店内にワシは「ほう」という感嘆の声が出てきたのじゃよ。

 まずは本来の入り口から神社までの参道とも言える道なのじゃが、そこには千本鳥居のような真っ赤な鳥居がズラッと並んでおるのじゃよ。

 もちろん神社までの距離が短いので30本程しか立っておらぬのじゃが、それでも森の中の道にこれだけの鳥居が並んでおるじゃけで壮観と言えるのじゃよ。

 その鳥居の道を抜け、神社前の大鳥居を抜けると狛犬ならぬ狛狐2体がお出迎えしてくれるのじゃよ。

 この神社は稲荷神社ではないし、そもそも何も祀ってはおらぬから神社ですらないのじゃから狛犬でも良かったし、何も置かなくても良かったのじゃろうが、和服を着ておる今のワシ達は狐人族なので、それに合わせたのじゃろうな。

 そんな狛狐達の間を抜けてようやく本殿に着いたのじゃが、参道を歩いてきてから見たからか、より荘厳で神秘的に見えるのじゃよ。

 和式ということで本殿の前で靴は脱ぎ、裸足で階段を上がって正面のふすまを開ければ、中は大広間になっておった。

 それも全面畳敷きじゃよ。

 この畳はワシが試行錯誤して苦労して作り上げたものじゃよ。

 やはり、元日本人としては畳は外せぬからの。

 そして、当然畳は外には出しておらんし、島で使っている家もワシの家だけで、それも寝室用の六畳一間じゃけじゃ。

 じゃからこそ、全面畳敷きの大広間というのはいいじゃよ。

 新品の畳じゃから独特な匂いがこもっておるのが余計にいいと感じられたのじゃよ。

 畳敷きの匂いに包まれ、一通り感動して改めて自分はやはり日本人なのじゃな、と思いなおしながら奥へと目をやると、大広間の奥のほうじゃけ少し敷居が高くなっておったのじゃよ。

 大政奉還図のような部屋、といえばわかりやすいなかの?

 将軍が1段高いところに座って、諸大名は低いところで並んでいるようなそういった造りの部屋なのじゃよ。

 しかし、なんとも仰々しく感じるの。

 というか、確実にワシが座るのはその1段高いところにある座布団の上になるのじゃろうな。

 やっぱり仰々しいのじゃよ。

 ワシを偉く見せたいという四季達の意図がひしひしと伝わってくる造りじゃのう。

 本当に仰々しいのじゃよ。

 大切なことじゃから3回言ったぞ。

 あいにくと、ワシはそんなに偉い人間ではないし、偉そうに見せたいという気持ちも、偉ぶりたいという気持ちもないので、

「チェンジじゃな」
「はい」

 ワシがそう言うことを予測しておった四季は頷き、1度指を鳴らしたのじゃよ。

 すると、部屋は一瞬にして様変わりし、広さは八畳一間で真ん中には少し大きめの木のテーブルがあり、その上にはお茶とお菓子がすでに用意されておるのじゃよ。

「やっぱりこっちの方がしっくりくるの」

 さっきの大広間も仰々しくなければ悪くわないし、ああいった部屋でゴロゴロするのも夢ではあるが、やっぱりこっちの方がいいと思うのはワシが一般人じゃからじゃろうな。

「それはよかったです」

 といいつつも、少し不満げな四季達なのじゃよ。

 ワシの理想はこっちで四季達の理想は初めのほうなのじゃが、最終的にはワシの意見を採用してこちらにはしてくれるのじゃよな。

 しかし、じゃからこそワシが何も言わないであろう外観は自分達の理想を最大限詰め込もう、ということで、あんな荘厳で神秘的な外観になったのじゃろうな。

 普段から何かとみんなには世話になっておるからの、外観については何も言わないのじゃよ。

 本当はもっと古民家風の落ち着いた感じがいいのじゃがの。

「さて」

 落ち着いた部屋になったので、ワシは奥側の場所に座ると四季を見たのじゃ。

「つまり、この前のような結婚式を止めてほしい的な依頼が来た、ということかの?」

 この服装に参道や神社といった神秘的な雰囲気を演出しようとしているのを見れば、自ずとその結論へとたどり着いたのじゃよ。

 確かに、イビラチャの結婚式に乱入した時は転移で乱入したり、御前様とか使いの者とか言ったり、シャルフィムを攫う時も木の葉と入れ替えたりと今にして思えば黒歴史と言えるような演出をしたのじゃよ。

 じゃが、あれはこの手の依頼があの1度で終わると思ったからの演出じゃったわけで、まさか2度目が来るとは思わぬじゃろ!

 しかし、その手の依頼が来たから四季達はあの演出の続きとなる演出をするためにこの空間を作り出したわけで、こうなったのも自業自得なので四季達を怒るわけにはいかんの。

「まだ確定ではありません。しかし」

 四季は秋を見たのじゃ。

「イビラチャの結婚式の翌日に商会の方へ1人の男性が焦った様子やって来まして、昨日の結婚式に乱入してきた者が何者か分かったのか?と聞いてきました」
「ふむ」
「なので、まだ教会の人達と調査中と答えつつも、今回の件で昔会長から聞いた話として、

「助けを求める者のところに現れる狐人族という者達がいるらしくて、助けを求める心があれば会うことは出来るかもしれない。だけど、会えたからといって必ず助けてくれるわけでもない、という話を聞いた」

 という話を思い出した、と話したら希望を持った様子で商会を出ていきました」

 そう話しながらも秋は徐々にうつむいていき、謝りそうになっておったので秋の元まで行き、

「謝る必要はないのじゃよ」

 そう言いながら秋の頭を撫でて謝罪の言葉を言わせなかったのじゃよ。

「秋はその男性が心配になってそんな嘘をついたのなら謝る必要はないのじゃよ。そもそも、ワシがシバルの依頼を受けてそういう前例を作ったから今こうなっておるわけじゃからの。自業自得じゃ」

 それでも秋は顔を上げることはなかったが、謝罪することもしなかったのでそれ以上は何も言わなかったのじゃよ。

「で、ここまで段取りが出来たということは、今日その男性をここに連れてくるということでよいのじゃな?」
「はい。今リムが狐の姿になって男性をここに誘導しています」

 四季がそう答えた瞬間、よろず屋の扉が開く音がここまで聞こえてきたのじゃよ。
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