虹色の夏

アオト★★

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第三話 「二人の願い事」

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—虹色の夏―



第三話

「二人の願い事」



わたしは、足早に歩く隼人の後姿を追いかけた。

「待ってよ!隼人、歩くの早いよ!」

たくさんの人の波に流されながらわたしは隼人にやっと追いついた。

「遅いよ、もっと早く歩けよ!」

「だって、隼人早いんだもん」そういいふくれっ面をした私に

「全く、ほら」そう言って照れくさそうに手を差し伸べた隼人

少し驚いたけどわたしは嬉しくて手を握った。

手を繋いで人混みの中を歩いた。わたしは隼人の手を強く握った

隼人の手の温かさを感じながら・・・絶対はぐれないように。

夕方からだんだん薄暗くなってきて益々商店街は人で賑わっていた

七夕の笹の葉に書かれた短冊が風で揺れている

「風が出てきたな、少し寒いかな?要大丈夫?」

わたしを気遣う隼人に「うん、平気」といった

わたしたちは手を繋ぎながら商店街の半分まできた

「少し休もう」そう言い座れそうな場所を隼人が探すけど

混雑しているためなかなかなかった

隼人はふとたくさんの短冊を、見上げて言う

「なあ、要」「何?」「お前の七夕の願い事ってなに?」

そう隼人がわたしに聞いてきた。

「うーん、そうだなーやっぱり家族の健康かなー、

あとは四人ずっとこれからも仲良く一緒にいれますようにかな。隼人は?」

「あ、もう一つあった」「何?」「隼人とずっと恋人でいたい」

顔を赤らめながらでもわたしは真剣な顔で隼人の顔を覗き込んだ。

「隼人は?隼人は何をお願いするの?」わたしの心臓の音がドキドキしている。

いつの間に、隼人の洋服の袖を掴んでいた

「・・・俺は・・」隼人がそう言いかけたときまた風が強く吹いた

わたしの浴衣と隼人の洋服が風に揺れた・・

サーっと笹の短冊も揺れた

「そろそろ、七海たちと合流して帰ろうか」隼人が薄暗い空を見ながらそう言った





そのあと七海たちと合流して自宅に帰った

帰り道はまた四人でたわいのないおしゃべりをしたが、わたしは隼人の

七夕の願い事を聞きそびれて、気になって何度も隼人の顔を見たけど

隼人はカイと楽しそうに話していたから

そんなわたしのことなんて気が付かなかったと思う。



今日は7月7日年に一度の七夕だった

自宅のマンションに帰ったわたしは部屋のベットに寝転がった

「今日は疲れた一日だったな、でも四人で七夕祭りに今年もいけて良かった」

そう言い疲れた体をベットの上で解放した、もちろん浴衣を脱いでパジャマに

着替えた後で・・。わたしは疲れからいつの間に寝てしまった

スマホのラインが鳴る音がしても起きることはなかった

そのあと着信ありの表示がスマホにあり、それが隼人だったことにも気がつかなかった



つづく

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